いくやの斬鉄日記

オープンソースからハイスクールフリート、The Beatlesまで何でもありの自称エンターテインメント日記。

LibreOfficeフォーク時に離脱したOpenOffice.orgの主要メンバーって誰なんだろうという話

2016年09月28日 21時15分27秒 | LibreOffice/AOO
LibreOffice 6周年おめでとうございます!

よくLibreOfficeを紹介する時に、「OpenOffice.orgの主要メンバーが独立してLibreOfficeを立ち上げた」と言われれます。ひとまずOpenStandiaにはそう書かれています。というかこれ情報古いですよ。
それはさておき、この主要メンバーというのが誰なのかがよくわかりません。OpenOffice.orgの主要メンバーは、どう考えてもSun Microsystems/Oracleでした。

非常に簡単ではありますが、主要開発メンバー(特に企業)に注目して図を作ってみました。


OpenOffice.orgはこんな感じです。楕円の大きさには特に意味はありません。


Go-ooというのはOpenOffice.orgのパッチセットで、SUSE/openSUSEやDebian/UbuntuではOpenOffice.orgとしてリリースされていました。直接的にはこれがLibreOfficeの母体となりました。よって、初期メンバーはこれにRed Hatを入れてSun/Oracleを抜いたものと考えていただければいいかと思います。


IBM Lotus Symphonyはこんな感じです。大雑把に言ってOpenOffice.orgにIBM独自のパッチを当て、Eclipseの革を被せたものです。
このOpenOffice.org相当部分はソースが公開されたのですが、Apache OpenOfficeにもLibreOfficeにも取り込まれていないものもあります。


現在のLibreOfficeはこんな感じです。Novellどこ行ったという感じですが、LibreOffice部門の大部分の人員はCollaboraに移籍しました。Novellに残っている人もいますが、仕事でLibreOfficeのソースをいじることはないのだそうです。


以前のApache OpenOfficeはこんな感じです。IBMが主要開発者でした。


そのIBMが抜けるとこうなりますよね。逆に言えば給料もらってApache OpenOfficeの開発している人はいないはずということになります。まー個人の懐事情を完全に把握するのは不可能ですけど。

OpenOffice.orgの主要メンバーであったSun/Oracleの部隊の人達は解雇され、一部の人はRed HatやNovell→CollaboraやIBMに移った人もいますが、ごく僅かです。IBMはApache OpenOfficeの開発から手を引いて、1名はCIBに転職しましたがあとの人は何してるんでしょうね。

LibreOfficeのフォークから現在までの流れを知りたい場合は、『Calcハッカー,吉田浩平氏が語るLibreOfficeの歴史と未来 ~LibreOffice mini Conference 2016 Osaka/Japan 基調講演レポート』が非常に参考になります。
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Apache OpenOfficeはひとまず継続するという話

2016年09月28日 20時34分51秒 | LibreOffice/AOO
Apache OpenOffice、プロジェクトの終焉を協議から1ヶ月も経っていないのですが、少なくとも当面の間は継続することが決定しました。

リリースマネージャーがPatricia Shanahanさんに、PMC ChairがMarcus Langeさんに決定し、Stop the lazy season, start changingというブログのエントリも公開されました。

ここにも書かれているとおり、4.1.3はわりと早めにリリースされそうです。11月リリースなんて話もありましたが、よほどのことがない限りは10月にリリースできるペースで進んでいます。
次のメジャーバージョニングは未定のようですが(今のところは4.2ですけど)、そちらもリリースするつもりのようですがtrunkだとMac版がビルドできないってバグは直ったんですかね。たぶん直ってないですけど、リリースする気があるならビルドできるようにしような。

差し当たってはそんな感じですが、別に強力な開発者が多数参加しましたというような事実はなく(新メンバーがコミット権を得た場合はMLに告知されるものの、それがないのでわかる)、開発ペースも以前よりはマシですがぼちぼちといったところです。


ちなみにLibreOfficeはこんな感じです(Michael Meeksのブログより転載)
]
直接的には比較できませんけど、それでも文字どおり桁が違いますね。2桁ほど。
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『Ubuntu 16.04 LTSが全部わかる本』がKindleで発売開始しました

2016年09月28日 20時17分31秒 | Ubuntu
Ubuntu 16.04 LTSが全部わかる本
クリエーター情報なし
日経BP社


日経Linux 7月号の付録である『Ubuntu 16.04 LTSが全部わかる本』がKindleで発売開始しました。
先の記事で指摘した部分や、その他もろもろを修正してもらって完全版(当社比)となっています。
機会があればいろいろ直したいなーと思っていたのですが、ついにその時がきたという感じです。当初は(たぶん)予定になかったのですが、私が日経Linux編集長の岡地さんにお願いして直させてもらいました。

実のところ私もまだ買っていないのですが、この記述を見る限り固定レイアウトなんでしょうか?

内容は折り紙付きなので、日経Linux 7月号を書いそびれてしまった方はもちろん、お持ちの方も完全版(当社比)ということで一つよろしくお願いします。

今回は著者の名前が入っていないのがちょっぴり残念でした。

追記(10/2):
Book Walkerでも販売しているのを確認しました。
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Ubuntu Weekly Recipe 第438回 LibreOffice 5.2 CalcとMicrosoft Excel 2016の関数

2016年09月21日 20時49分21秒 | Ubuntu
Ubuntu Weekly Recipe 第438回 5.2 CalcとMicrosoft Excel 2016の関数

LibreOfficeとApache OpenOfficeの一番大きな違いはなんだろうと考えて思いついたのが、Calcの関数でした。
まずは参考書籍
今すぐ使えるかんたんmini Excel 全関数事典 [Excel 2016/2013/2010/2007対応版]
クリエーター情報なし
技術評論社

の目次にある関数をすべてCalcに入力し、続いてCalc 5.1の関数をCalcに入力し……という作業を行いました。5.1ベースにするか5.2ベースにするか迷ったのですが(Ubuntu 16.04 LTSが5.1のため)、結果を重視することにしました。
そういえば参考書籍の目次には一つ抜けがありましたが、記録を取らなかったのでどれかは忘れてしまいました。失敗しました。

ちなみに執筆には2週間くらいかかっています。まずは前述のとおりにデータを集め、次にどのようにまとめるか考え、実際に執筆……とやっている間に例の騒動が起きたわけです。書き終わってから公開されるまでは少し時間がありました。

書かなかったけれども知ったこととかも当然あって、例えばLOOKUP関数はベクトル形式と配列形式があって、Calcの関数ウィザードの説明とヘルプを読む限りでは前者にしか対応してなさそうに見えますが、実はどちらにも対応していたりします。

これを読めばApache OpenOfficeからLibreOfficeに乗り換えたくなる! というものを目指しましたが、どんなもんでしょうか。ぱっと見思ったよりは食いつきがよくないようで、ちょっぴり悲しいです。

追記(9/28)
ExcelのYEN関数とDOLLAR関数、およびODF標準
というわけで、YEN関数の代わりにDOLLAR関数を使えばいいのだそうです。
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ソフトウェアデザイン 2016年 10 月号 Ubuntu Monthly Report 【78】ASUS X205TAにXubuntu 16.04 LTSをインストールする

2016年09月20日 00時21分59秒 | Ubuntu
[雑誌]
クリエーター情報なし
技術評論社


よーーーやく書きたかった記事が書けました。
若干手間ではあるものの、一度インストールしたら極めて安定して動いていますし、Windows 10の頃より稼働率が上がりました。というかすごい便利です。もちろん使えない機能もいろいろあるのですけど。
どうやらeMMCの空き容量がそんなになくてもWindows 10 Anniversary Updateにする方法はあるようですけどね。

まぁね、ポイントはあれなんですよね。これはもう本文を読んでくださいとしか。
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OracleがNetBeansをApache Software FoundationのIncubator Projectに移管する旨の提案を公表

2016年09月15日 00時30分00秒 | OpenSource Software
Oracle Proposes NetBeans As Apache Incubator Project

私の中でNetBeansVirtualBoxは2大Oracleが維持する理由がわからないプロジェクトなので、驚きはしましたが来たるべき時が来たかという感じです。
Apache Software Foundation (ASF)のIncubatorプロジェクトに移管というのは、Apache OpenOffice (AOO)と同じスキームですが、AOOにはOracleの社員は1名しか参加しなかったわけです。しかし、Proposalを見る限りだとNetBeansにはOracleの社員もいっぱい参加しているので、AOOと同じと見ることはできないでしょう。ただ、IBMがOracleに代わっただけで、結局はほとぼりが冷めたら社員を引き上げる、またはクビにするんじゃないの、という予測はできます。楽観視できるくらい信用できる会社であればよかったのですけど。

ちなみにIncubatorプロジェクトでどんなことが行われるのか、あるいは行われないかはAOOの先例が参考になります。決して箸の上げ下げまで面倒見てくれるようなことはないですよ。

企業スポンサーを失ったというのはどう考えても悪いニュースですが、いいニュースを考えてみるとApache License 2になるので現状から見るとかなりゆるいライセンスになること(CDDLはかなり扱いにくいみたいです。理由はよくわかりませんが)、開発者が入ってきやすいこと、VCSがMercurialからgitになること、などが思いつきます。プロプラなライセンスで面白いものが登場したりするかも知れませんね。

AOOとは違って開発者のためのアプリケーションで、また規模もAOO程はでかくないので(でもソースはzipアーカイブで200MBはある)、細々とメンテナンスが継続されそうな気はしますけど、どうなんでしょうか。

しっかしライセンスのページに書かれていることと、ASFのIncubatorプロジェクトにする(イコールApache License 2にする)という全く正反対のことを軽々しくやってのけるからOracleのことが信じられないし、本当に大嫌いです。
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Ubuntu Weekly Recipe 第436回 LibreOffice 5.2 Impressはこんなに変わった

2016年09月07日 23時01分39秒 | Ubuntu
Ubuntu Weekly Recipe 第436回 LibreOffice 5.2 Impressはこんなに変わった

前に書いたとおり、私が担当するRecipeは当面はLibreOfficeネタになります。こんなタイミングになるとは思っていませんでしたが……。
5.2の新機能を活かすのはImpressだよなと思って書いたイントロダクション的な記事です。
まー5.3になったらさらにいろいろ変わるのですけど……。
テンプレートマネージャーでリモートのテンプレートを扱えると便利なんですけどねぇ。難しいんでしょうねぇ。

なお、今回使用した5.2.1はめでたく本日リリースされました。もともとLibO Conでリリースするって言ってたので、そのとおりになっただけですけど。

次回(再来週?)の記事も概ね書けているので、ご期待下さい。

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Apache OpenOfficeの件の反応とか

2016年09月05日 22時53分05秒 | LibreOffice/AOO
Apache OpenOffice、プロジェクトの終焉を協議は1日半で2万PVを達成し、個人の泡沫ブログとしてはかなりのアクセス数で、多分斬鉄日記史上最高のアクセス数になったと思います。書く前はそんなことは全く想像していませんでしたが。はてブのホットエントリにも入りました。2回目ですが、前回がCentOSの記事だったので、私の本来のフィールドであるUbuntuやLibreOfficeでホットエントリに入ってみたいものですね。無理か。

AOOのMLを見ていても、今のところは良くも悪くも話は進んでいません。現実を直視していないような発言は散見しますが。
本当にAOOがなくなるかどうかは、今のところはまだわかりません。

週が明けて営業日が始まったからか、いくつかのメディアも紹介されるようになりました。

無料オフィスソフトOpenOfficeが深刻な開発者不足に直面。ASFは開発終了も視野に議論
事実関係がデタラメすぎて、どこからツッコミを入れたらいいのか。

OpenOffice(Apache OpenOffice)が開発者不足のためプロジェクト終了へ
GIGAZINEなのに、事実関係に目立った誤りはありません。GIGAZINEなのに。他の記事もこのくらい正確に書いてほしいです。
> 短いときには1ヶ月に1回のペース
あえていえば、短いときには月2回リリースされます。

Linux Daily Topics 2016年9月5日 OpenOfficeプロジェクト,終焉へのカウントダウンが始まる
OracleがSun Microsystemsを買収したのは2010年です。

「Apache OpenOffice」プロジェクトが人員不足で終了の危機
窓の杜でこういう取り上げられ方をすると、LibreOfficeユーザーが増えるんじゃないかなぁと思います。

過去6年分の歴史をおさらいしたい場合は、私がgihyo.jpに書いた新春特別企画がおすすめです。
2011年のOpenOffice.org/LibreOffice
LibreOffice/Apache OpenOffice ~2011年の総括と新たな選択~
LibreOffice/Apache OpenOffice ~2012年の出来事と2013年の新バージョンリリース~
LibreOffice/Apache OpenOfficeの2013年の推移と2014年の展望
LibreOffice/Apache OpenOfficeの2014年の推移と2015年の展望
LibreOfficeの2015年振り返りと2016年
あらためて読み返してみましたが、自分で書いたものではあるものの超面白いですねー。

ちなみに水曜日に公開されるRecipeはLibreOfficeネタです。乞うご期待。
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Apache OpenOffice、プロジェクトの終焉を協議

2016年09月03日 11時44分06秒 | LibreOffice/AOO

うちにある一番古いOpenOffice.org

現在、Apache OpenOfficeのProject Management Committee (PMC) のChair(要するに代表者)であるDennis E. Hamiltonさんによって、Apache OpenOfficeプロジェクトを終了させ、その後の処理をどうするのかの提案がされています。

[DISCUSS] What Would OpenOffice Retirement Involve? (long)

ソースコードはThe Apache Attic(Atticは屋根裏の意味)に置き、それ以外のインフラやソーシャルメディアのアカウントは原則として閉鎖、というのが概要です。

その理由はApacheプロジェクトの成熟モデルに挙げられている迅速なセキュリティの修正とバグ報告に反応することができていないということです。概要を読む限りでは必須というわけではないので、根拠としては若干弱いところです。

その後詳細な理由を明らかにしました。先日ホットフィックスがリリースされた脆弱性は、実はAOO 4.1.2リリース直前の2015年10月20日(原文では2016年10月20日だけど、後のメールで訂正)に情報の提供があって、ソースコードの修正ができたのが3月、6月7日には6月中に情報を公開するぞという連絡が来て、それを更に引き伸ばして公開したのは7月21日、そしてホットフィックスをリリースしたのは先日、というのはいくら何でも時間がかかりすぎです。責任をもって安全なものを提供できないので終了するというのは充分な理由のように思います。

一応現在のところの概要はこんな感じですが、最近のタイムラインを見るとよりわかりやすくなるので紹介します。なお、時間はメールにあるもので、日本時間とは違います。

7月31日…Dennisさんが任期満了に伴うPMC Chairの降板と選挙への方針を発表。立候補者なし
8月20日…Kay SchenkさんがAOO 4.2.0のリリースマネージャーに立候補
8月24日…Don Lewisさんが脆弱性がある古いライブラリを使い続けていることを公表
8月30日…ホットフィックスをリリース
8月30日…Dennisさんが2回目のPMC Chairの立候補を促す
9月01日…今回の話が出てくる
9月02日…Kay SchenkさんがPMC退任を宣言。すなわちリリースマネージャーがいなくなる

こうしてみると、Dennisさんが自分の任期中にプロジェクトを閉じようとしているのかなと思いますし、こういう判断ができるChairって素晴らしいと思います。

私がこれはもうダメだなと思ったのは、実はDon Lewisさんのメールでした。考えてみれば当たり前じゃんと思われるかも知れませんけど、AOOに対してそんな考えるようなことはありませんから。

他にも停滞っぷりがBoard of Directors Meeting Minutes July 20, 2016に書かれていますが、これはあまり参考にならないそうです。ビルドボットが止まってるとか、パッチがレビューされないとか、Windows版の電子署名の仕組みはあるのに使っていないとか、そんなことが書かれているのですが。


最終バージョンになるのか?

== 最後にCM ==

『うぶんちゅ! まがじん ざっぱ~ん♪ Vol.5』発売開始!
寄付だと思って買ってね!

== CMここまで ==

追記:
ポジショントーク忘れてた。今後はLibreOfficeを使いましょう。
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