事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

わたし怒ってます カジノ

2016-12-21 | 社会・経済

◆経営上の妙味がどれほどあろうとも、カジノは人の不幸と不運を養分にして咲く徒花である。日本経済の定評であった優秀の「秀」の字が悲しい金にまみれ、「銹(さび)」に変わる。見るに忍びない。

……あいかわらず読売のコラム「編集手帳」は冴えている。しかしよく考えると、あの保守ゴリゴリの読売ですらカジノ法案については否定的なのか。というか、カジノ法案については、自民、民進、公明内部でも推進派と慎重派が分かれている。保守革新の二元論ではかたづかないのかもしれない。国会運営を考えると、民進は政権を再奪取するつもりはないようだ。

カジノ法案(正確には統合型リゾート整備推進法案。NHKはカジノ法案とは呼ばずに『カジノ含むIR法案』と気持ち悪く表記)を推進しようとする勢力の主張はつまるところ

儲かる

これでしょう?メリットはいくらでも思いつく。

・カジノや観光施設の箱ものをつくることで、まず不動産業、建設業が潤う。

・新たな雇用が創出される。

・洗練されたギャンブルを合法化することで、新しい文化が創造できる。

・海外から、特に富裕層を呼びこむ(インバウンド)ことで経済が活性化する。

逆に、デメリットもいくらでも。

・ギャンブルを合法化することで、依存症患者を増やすことになる。

・“質の悪い”海外資本の流入が予想される。

・地元資本(笑)のやくざが、この動きを指をくわえて見ているはずがない。

・治安悪化により、社会的コストが増大する。

・リゾート法の二の舞で、疲弊した地域に廃墟が乱立。

他にも、ネット上ではパチンコとのからみに言及する人が多くて、そんな話なのかなあと違和感。おもてなし感覚でカジノを開帳するとすれば、当然のように(非合法ではあるにしろ)周辺にはセックス関係のサービス業が進出するはずだが。

さて、わたしがこの法案をどう考えているかというと……以下次号

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明細書を見ろ!2016年12月号 差額の支給日を推理するPART2

2016-12-20 | 明細書を見ろ!(事務だより)

PART1はこちら

推理する、とは言ってもまさに現在、県議会の議場で採決の真っ最中ですし、今日の午後にはメールで支給に関する連絡が来るでしょうから、ほとんどなんの意味もないんですが。

ふり返ってみましょう。去年の、というかこの春に支給された差額は異例づくしでした。本来は年末までに支払われるべき(民間との“差額”を支給するのだから早い方が理にかなっている)お金が、3月3日まで遅れたのはなぜか。

・安保法をどうしても通したいために、通常国会が全然通常じゃないくらい長引いた(戦後最長)

・早く臨時国会をひらいて給与法案を通すべきなのに、結局は次の通常国会に持ち越した。

・国家公務員の差額が出ないからといって、別に地方は支給してもかまわないじゃないかと思われるのに、総務省が「地方公務員の給与決定にあたっては民間事業の従業員の給与等とともに、国家公務員給与も考慮事項のひとつにされている」という気が遠くなるような理屈を持ち出してフライングするなと“助言”した。

……などによるものです。

それでは一昨年はどうだったか。昨年のクミアイとの交渉で、県の総務部長はこう発言しています。

・2月議会に提案し、可決され次第、支給する準備にかかる

・前年度は可決から6日間で支給できたが、今年度はもう少しかかる

つまり普通の差額の場合は6日間が通常だというのです。調べてみたら

12月19日(金) 県議会で採択、閉会

12月24日(水) 採択された条例が官報となって公示

12月25日(木) 差額支給

となっていて、なるほど6日間です。ということは、今年の採択は今日、12月21日だから……まあそう単純ではないんでしょうが、忘年会の翌日に支給事務やるのってのはつらいなあ。

ちなみに、酒田市職員は28日の支給。26日に支給される県もあるようです。さて、ちょいとメールをチェックしてみるか……。

画像は「続・深夜食堂」(2016 東映)
こういう地味な作品だとかえって役者の演技力が試されます。小林薫、渡辺美佐子、オダギリジョー、佐藤浩市などの名優がうまいのは当然だけれど、片岡礼子、池松壮亮(こいつの映画を今年4本も見てしまいました)、そして前作につづいて多部未華子が激しく魅力的。何故めしやのお品書きに「豚汁定食」だけがあるのかは映画オリジナルのネタ。泣ける。

2016年12月差額号につづく

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日露首脳会談 あるいは読売の混乱。

2016-12-19 | 国際・政治

12月17日付の読売新聞は圧巻だった。わたし、ラーメン屋で読んでいたんだけど、日露首脳会談に関して紙面の混乱が並ではなかったから。

この新聞社は現政権を支持する立場だから、社説では

「『領土』解決へ重要な発射台だ~共同経済活動で信頼醸成図ろう」

と、この会談を評価している。一面では政治部長が

「首相がこの問題(日露平和条約締結)に人一倍の情熱を傾け、真摯に解決の道を探ってきたことは疑いない。粘り強い交渉を続けるしかない」

ここまで持ち上げるか。なんか、必死である。

しかしその下の、コラム編集手帳は違う。

「レストランでの会話がある。客『ボーイ君、どうして皿がこんなに濡れているのかね?』ボーイ『お客さま、それはスープでございます』。西洋の小話にある。◆想像するに、大きな皿なのだろう。皿が立派すぎると、盛られた料理が貧弱に見えるときがある。安倍首相とプーチン大統領による首脳会談は皿が立派すぎたかもしれない」

と揶揄している。国民の大半も、そう感じたのではないだろうか。北方領土返還に自信たっぷりな発言をかましていた首相の表情が、次第に暗くなっていたことだけでもそれは理解できる。途中から、なにも期待するなという伏線バリバリだったし。

読売の混乱、あるいは意図的な両論併記はつづく。二面ではEUが対露経済制裁を半年間延長することをトップにすえ、3面ではモスクワ支局長が

「『強国ロシア』を掲げ国民の愛国心の高まりを背景に、高い支持を維持するプーチン氏にとって、2018年の大統領選が近づくにつれ、領土問題で柔軟姿勢を見せることはできない。プーチン氏は日露の主要テーマとなった『共同経済活動』を巡る今後の交渉でも、主導権を握り強気の立場を守るだろう」

……現場で取材すれば、あるいはトランプのアメリカとプーチンのロシアの接近を考えれば、今回の交渉に実りなどあったはずがない、あるはずがないことは自明だ。

それでもやみくもに首相を持ち上げなければならない社是は、しかし紙面をむやみに面白くもしている。社の方針よりもジャーナリストとしての矜持を優先した記者と、上をうかがっている人物の相克がいい。モスクワ支局長や編集手帳氏が、お小言をくらってなければいいのだけれど。

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真田丸 第五十回 最終回

2016-12-18 | 大河ドラマ

第四十九回「前夜」はこちら

いま、目が真っ赤です。妻はしみじみ「いいドラマだったわねえ」と。

いいドラマでした。もちろん今回はどうしたっておなじみの面々が死にゆく話なので、それなりの感慨があるだろうとは思ったけれども、それ以上に、最後の最後まで三谷幸喜らしさが横溢していたことに満足。

たとえば自刃の場面。ことここに至って佐助の年齢を確かめるあたりのユーモアと陰惨な設定の共存。これこそが三谷ドラマ、真田幸村の物語を描く真骨頂だ。そして大河ドラマファンである三谷幸喜だからこそ、数々の新機軸を。

・ドラマ開始前の特報「ダメ田十勇士」で登場した雑兵たち(博多華丸、梅垣ピーナッツ義明など)を、ここで再登場させ、堺雅人と共演させる妙味。

・ディック・フランシスばりに二文字のタイトルを連続(早川書房に仁義はきりましたか)、そしてそれを最終回で「最終回」と三文字にする余裕。

・重要な人物なのに、近ごろ出番が少ないんじゃないかと心配させた竹内結子に用意した大芝居。

そしてわたしがなにより感じ入ったのは、最終回のくせに回想をいっさい入れなかったという矜持だ。

もちろんエンドタイトルでは盛大に流してくれるけれども、普通は名文句を発した人物のそのシーンを挿入させるじゃないですか。それ一切なし。信繁が腹を切るときも、他のキャラがその後どのようになるかだけを暗示して終わる。

もちろん計算違いもこの大河にはたくさんあった。ペース配分がちょっとくるってなかったかとか、戦国なのに(いくら合戦が嫌いだとはいえ)騎馬の場面が少ないのはわたしも不満。

でもね、わたしは五十週にわたってこのドラマを見続けてきてつくづく正解だった。一回も日曜夜にこのドラマを見逃さなかったのは社会人失格だけれども、満足しています。

前回の視聴率は意外に上がらなくて14.8%。うーん、今回は16%台かな。これほど総集編が楽しみな大河はない。また特集します。わたしはこの長大なお話が、最後まで兄弟の物語であったことに感動しています。

総集編「真田丸アカデミー賞」につづく

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永続敗戦論PART3

2016-12-17 | 国際・政治

PART2はこちら

敗戦を冷静に見つめれば、アメリカに屈服することを、サンフランシスコ講和条約を結んだ時点で日本は認めたのである。たとえそれがいかに屈辱的な内容であっても、敗戦国として日本はそれを呑んだ。

だけれども、アメリカ追従、はっきり言って属国と堕した自国のことを考えるとプライドは保てない。そのフラストレーションを

「おれたちは確かにアメリカには負けたけれども、別に中国や韓国に負けたわけじゃない」

という、戦勝国に文句を言えないいらだちをアジアに放出するのが日本のナショナリストの姿だと。

とても、納得できます。

この考えを基準にすると、現在の日本が抱える尖閣諸島などの領土問題、拉致被害者、TPPなどに違った側面が見えてくる。原発事故が起こったとき、放射能の情報を、自国民には公表しないのにアメリカに提供していたことも呆れるほど納得できる。

それでもまだ、プーチンが北方領土を返してくれるという期待をふりまくことが、いかに虚妄かも理解できます。よけいな話だけれど、いつ日本は四島一括返還の旗をおろしたのだろう。右翼たちの沈黙が怖いくらいだ。敬愛する現首相の方針なら何でも受け入れるのだろうか。

もちろん、白井の指摘はすでに何度も行われてきたことではないかとする批判もある。白井自身も、それは認めている。しかしこの書が出た途端に論壇騒然、ネトウヨ激昂、という事態を見ると、やはりみんな敗戦国だという事実から目をそむけているのだと再確認できる。

いまさらですけど、必読の書です。

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永続敗戦論PART2

2016-12-15 | 国際・政治

PART1はこちら

白井聡の「永続敗戦論」は、一本の補助線をひくことによって、多くの疑問を一刀両断にしてくれる。その補助線とは

「日本は敗戦国であり、しかし日本人は必死でそれを忘れようとしている」

この一本だ。

日本が敗戦国なことぐらい誰でも知っとるわ!とあなたは言うかもしれない。それではあなたは、8月15日のことをなんと呼んでいるだろう。多くの人は

「終戦記念日」

じゃないですか。もちろん対外的にも歴史的にも

「敗戦記念日」

の方が事実に近い。中国や台湾は

「抗日戦争勝利記念日」

だし、韓国は

「光復節」

で、北朝鮮は

「解放記念日」

なのとわざわざ対照しなくてもね。つまり、日本は第二次世界大戦における敗北を、それも徹底的な敗北を、あたかも天災のように感じているのではないか、と白井は指摘する。自らの戦力戦略の不備によって負けたのではなく、重大な“なにか”のために日本人は不幸に陥ってしまった、負けたのは自分たちのせいではない……と。

少なくとも、わたしは思い当たる節はあります。もちろん映像としてのヒロシマ、ナガサキがそうさせている部分はあるだろうけれど、わたしたちは再びかみしめなければならない。わたしたちは敗戦国の国民なのだということを。以下次号

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「永続敗戦論」 白井聡著 太田出版

2016-12-14 | 国際・政治

わが首相の近ごろの動きは、日本人のひとりとして少なからず恥ずかしいかぎりだ。

・米大統領選ではトランプの勝利を読み切れず(外務省の情報収集能力がうかがい知れる)

・結果が出た途端、まわりの首脳たちはトランプの動向をうかがっている段階なのに、まだ大統領にもなっていない人物と「急げ!」とばかりにどこよりも早く会談をセッティング“してもらい”

・どんな会談内容だったかは明かせないとしているのに、アメリカのTPP離脱を翻意させることに自信があるようなふりをし、

・トランプ氏は信頼に足る人物だったと持ち上げ

・APECの会合では日本が主導して自由貿易を推進すると主張

・外遊最終日に「アメリカ抜きのTPPでは意味がない」と会見。

ところが、わずかその1時間後に肝心の次期大統領は「就任初日にTPPから脱退する」とのビデオメッセージを……

本来なら、ここは日本の首相として怒ってみせなければならないところだ。プライドのかけらでもあれば。

でもそうはならない。マスコミも、国辱ものだという論調ではほとんど報じない。

米軍の駐留における「思いやり予算」(なんてすばらしいネーミングだろう)にしても、実態は明らかな「朝貢」(ちょうこう……王に対して周辺国=夷狄が貢物を送り、見返りに王は……なこと)なのに。

なぜアメリカの靴先をなめるような状況が、独立国として問題にならないのか。ナショナリストたちはなぜアメリカを批判しないのか。白井聡の「永続敗戦論」は、そのあたりを読み解いてくれる格好の書だった。以下次号

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「明治・妖(あやかし)モダン」「明治・金色(こんじき)キタン」 畠中恵著 朝日新聞出版

2016-12-13 | 本と雑誌

しゃばけ」をギブアップしたのは、若旦那をはじめとした登場人物たちの善人ぶりがしんどくなってきたからかも。もう少しどす黒い感じが中年には必要です。

その点、若様組とこのシリーズはちょいとダークな味があるのと、なにより明治の物語なのがいい。ガス燈が路を照らす銀座。しかし闇のなかに人ならざるものたちはまだ生き残っている……で、その人ならざる者たちが貧乏な警官で牛鍋屋にたむろしている設定が素敵。

おそらくまだこのシリーズは続くでしょうからしばらく楽しめそうだ。で、ふたつのシリーズ、実はちょっとだけリンクしてます(笑)。うれしい。

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「若様とロマン」 畠中恵著 講談社

2016-12-12 | 本と雑誌

若様組シリーズ第三弾。読者は勝手にみんなを美形に想像しながら読むことになる。まあ、実際に美形なんでしょうけれども。

それが嫌味にならないのは、旗本の生まれであることが明治では逆に不利にはたらき、安月給で警官をやらざるをえないあたり。しかも(たとえば主役の長瀬などは)使用人を馘首したくなくて、むかしの構えの生活を維持しているなど、さすが江戸っ子である。

今回は登場人物たちに軒並みお見合いをさせるという展開。強引だなあ。あるものは結ばれ、あるものは縁がない。そのあたりのバリエーションが読ませどころでしょうか。

わたしは「しゃばけ」シリーズをギブアップしてしまったので、畠中にはこちらに力を傾注してほしいんですけど。

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真田丸 第四十九回「前夜」

2016-12-11 | 大河ドラマ

第四十八回「引鉄」はこちら

あ、と思いました。

そうか最終回前にいろんな伏線を刈り込みまくった「前夜」で、三谷幸喜はこれをやりたかったのか。まるでスペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーン(彼らの不倫は誰もが知っていながら、誰もが彼らを尊敬していたために報じられなかった)のような、武骨な男と強気な女性のキス。

やられたなあ。男は信繁で女はきり。一年間、このふたりのラブストーリーでもあったとつくづく。視聴者みんなが(うぜーと最初は不評でもあったけれど)きりちゃんがんばれと応援してきた甲斐があったというものだ。

前回の視聴率は16.1%と、ついに「逃げ恥」に追いつかれた。三谷は朝日新聞の連載で、ようやくオンエア時だけの視聴率から、“総合視聴率”という、録画も含めた形での計測が行われたことを歓迎している。作り手の側はそれ言わない約束でしょ、と彼だって思っていたに違いないのに、言わずにおれなかったのだろう。彼がこのドラマに自信をもっていることの裏返し。

今日も素晴らしかった。伏線の数々とは……

・秀吉のためにずんだ餅をふりまいていた伊達政宗は、同じことを信繁の妻と子に行い、信繁へのリスペクトを示す。

・真の裏切り者が織田有楽斎ではなかったことで、「古畑任三郎」「オリエント急行殺人事件」の作家であり、ミステリがお手のものであることを証明。

・姉の松(木村佳乃)は、まさしく祖母のとり(草笛光子)の再来のように、信幸の言葉が聞き取れない。

・そして「黙れ!小童!」を、まさかまさか室賀の息子(西村雅彦にそっくり)に向かって叩きつけることになろうとは(笑)

あまりにおみごとなので、終焉前夜であるとつくづく。うー。今回の視聴率は、17%超えと強気に読みました。

第五十回「最終回」につづく

コメント (4)
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