事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

追悼森光子。

2012-11-14 | 芸能ネタ

森光子の死は悲しい。彼女こそ日本の芸能史を象徴していたのだし、彼女しか語れないことがたくさんあったはずなのに、もうリアルにその声を聞くことができない。

冷たい言い方になるけれど、各紙、各誌の“予定稿”の出来がためされるいい機会だ。おそらくは、というよりもう「放浪記」「時間ですよ」関係の決まり切った報道がなされているようだけれど、そこからどれだけ芸能への言及がなされるかでレベルが測られることになるだろう。

まさかジャニーズとかでんぐり返りでしか語らないメディアはないだろうけれど……ないだろうと思います。油断できないか。

わたしは東芝日曜劇場で

「こんちわーパンツ屋ですー」

と声をはりあげていたのが忘れられない。なんてタイトルだっけな……こんなときはネットよね。
そうだっ。「天国の父ちゃんこんにちは」だ。これ実話だったのかあ。

このドラマに代表されるように、彼女の一種のあざとさは日本の芸能界を文字どおり代表していた。あざといことに衒いのない人だった。良くも悪しくも。あとは倉本聰の「2丁目3番地」で、微妙な脇を演じていたのが印象に残っている。

偶然けさ読んでいた本にこうある。

「あたしはね、三益愛子にはがんばればなれるかもしれない。でも山田五十鈴には絶対になれない」

頭のいい人だったのだと思う。実はシニカルに芸能界を俯瞰していたのが垣間見えもしたのだった。ミヤコ蝶々のダークさとはちょっと違う、業界人との距離のとり方は彼女ならではだったのではないか。だからこそ、妙にべたついた哀悼のコメントは彼女には似合わない。でも言いそうだなあ和田アキ子とか美川憲一とか。

本当にコメントをきいてみたい久世光彦や杉村春子にはもうすでに天国であいさつしているだろうしなあ。

「こんちわ。がんばって芸能人をやってきましたよ」と。

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YouTube: ビリー・バンバン/目覚めた時には晴れていた

コメント (2)
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「重蔵始末(七) 逆浪果つるところ」 逢坂剛著 講談社

2012-11-14 | 本と雑誌

51jjeu7cbl_sl500_aa300_ 前巻までの特集はこちら

おそらく近藤重蔵と最上徳内の蝦夷地行の資料が面白すぎて、そちらをもっともっと描きたいのに、逢坂さんは作家としての性で

「はっ、物語を書いてない!」

と強引に熊や悪女とのバトルにもっていっているみたい。いいのにもっと歴史小説で(笑)。

重蔵の癖の強い性格も資料どおりなのかな。だとすると壮年の重蔵、晩年の重蔵を描いてくれるとうれしいけどな。そうなると単なる偏屈じじい物語になっちゃうんだろうか。高田屋嘉兵衛、遠山金四郎(お父さんの方)もさりげなく登場し、ますます面白くなっている。

領土問題が非常に微妙な時期なので、露西亜人やネイティブとの関係性など、ほんと読ませるわあ。最上徳内がアイヌと“同じものを食べ”“同じ言葉をしゃべる”ことの重みは参考になる。山形県人として、うれしいです。単なるスパイじゃなかったのね。徳内まつり、行こうかな。

逆浪果つるところ 重蔵始末(七)蝦夷篇 逆浪果つるところ 重蔵始末(七)蝦夷篇
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-09-20
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