先日、「手塚治虫作品集」(文民社)の第6巻(児童まんが1)を買ってしまった。
今まで集めていなかったこのシリーズに手を出したのは、『ガムガムパンチ』全50話が一挙に収録されていると某所で聞いたから。さらに、カラー原稿はほぼ全てカラーのまま収録されており、ほとんど文句のつけようがない本だ。
『ガムガムパンチ』は、講談社版全集でも刊行されているが、こちらは全50話のうち22話しか収録されていない。過半数のエピソードが未収録なのだからひどいものだ。全集第3期の終盤に刊行されたので、数合わせのため1巻のみにしたのではないかと勘ぐりたくなる。実際、第3期開始時に出た刊行予定では、2巻まで出ると書かれていたのだ。
中途半端な全1巻といえば、藤子不二雄ランド版の『ビリ犬』を思い出すなあ。こちらも末期の刊行(全301巻中の第300巻)で、不十分な収録内容だった。というか、『ビリ犬』はまともに作品を網羅した単行本が一回も出ていないから、扱いはもっと悪い。せめて旧作の完全収録版が欲しいところだ。
話がそれてしまったが、手塚作品の中での『ガムガムパンチ』の知名度はどの程度の物だろうか。
掲載誌は「小学一年生」「小学二年生」で、1967年4月号から1969年9月号まで連載された幼年まんがだ。何でも作る事が出来る魔法のガムによる騒動の数々を描いた作品で、全集あとがきによるとアニメ化も視野に入れていたそうだ。アニメ化は実現することなく終わったので、それほど広く知られてはいないと思う。その割には何度も単行本化されており、一番最近では「ぴっかぴかコミックス」でもカラーで2巻まで刊行された。ぴっかぴか版は第1巻が丸々全集未収録分なので手軽に読みたい人にはお薦めだ。もっとも、もうすでにぴっかぴかコミックス自体が手軽には手に入らなくなりかけている気もするが。
私は『ガムガムパンチ』の単行本は講談社全集、文民社作品集、そしてぴっかぴかコミックスを持っているが、三種類とも収録内容が異なるのだからややこしい。いずれ「手塚治虫文庫全集」でも刊行されるのだろうが、こちらはどうなる事やら。
この作品は、学年誌の掲載にも関わらず読者に合わせて掲載誌が進級する事がなかった(「小一」→「小二」はあり。「小三」以上には上がらなかったと言う事)ので、ストーリーの流れに三つの系統が存在する。
読者が入れ替わる4月号で話がリセットされるので、ガムの神様(または博士)が魔法のガムをパンチにあげる場面が繰り返し描かれている。文民社版作品集では、異なる年度の連載をまたぐ話で設定の矛盾がないようにセリフが改変されており、全話収録のための苦労が偲ばれる。三系統で区切って収録すれば、読者も別に気にしなかったと思うのだが、単行本は単行本として一つにまとめることに手塚先生のこだわりがあったのだろう。
今回、初めて全50話を読んで、全集未収録の中には結構異色と言えるエピソードもあって驚いたのだが、これについて書いてみたら思ったより長くなったので、いずれまた別のエントリで紹介したい。
ともかく、『ガムガムパンチ』を読むのなら、文民社版作品集がサイズ・カラー・収録話数のいずれについても決定版と言っていいだろう。講談社版全集もこの仕様だったらもっと素晴らしい全集になったのではないだろうか。まあ、文民社版は全8巻しか出さなかったからこそ、一冊一冊の内容にこだわって作る事が出来たのかも知れないが。
さて、冒頭でも書いたように、今まで文民社版作品集は一冊も持っていなかった。
その理由は、一冊でも買ってしまうと、結局全部欲しくなってしまう恐れがあると思ったからだ。実際に一冊買ってみたら、思った通りで残りの巻も欲しくなってしまった。他の巻も全集未収録作品やカラー収録がたくさんあるようなのだ。とりあえず、後半の第5巻「少女まんが」、第7巻「児童まんが2」、第8巻「カラー作品集」の三冊が欲しい。いずれも、カラーが映えそうなのに全集ではモノクロで残念だった作品群だ。
と、こうなってしまう事が分かっているから今まで手を出さなかったのだが、もう手遅れだ。『ガムガムパンチ』全話収録と聞いては我慢できなかった。サイズの大きい文民社版作品集は、全8巻とは言え結構な場所をとってしまう。また、収納スペースを確保するための苦難の道が続くのか。
今まで集めていなかったこのシリーズに手を出したのは、『ガムガムパンチ』全50話が一挙に収録されていると某所で聞いたから。さらに、カラー原稿はほぼ全てカラーのまま収録されており、ほとんど文句のつけようがない本だ。
『ガムガムパンチ』は、講談社版全集でも刊行されているが、こちらは全50話のうち22話しか収録されていない。過半数のエピソードが未収録なのだからひどいものだ。全集第3期の終盤に刊行されたので、数合わせのため1巻のみにしたのではないかと勘ぐりたくなる。実際、第3期開始時に出た刊行予定では、2巻まで出ると書かれていたのだ。
中途半端な全1巻といえば、藤子不二雄ランド版の『ビリ犬』を思い出すなあ。こちらも末期の刊行(全301巻中の第300巻)で、不十分な収録内容だった。というか、『ビリ犬』はまともに作品を網羅した単行本が一回も出ていないから、扱いはもっと悪い。せめて旧作の完全収録版が欲しいところだ。
話がそれてしまったが、手塚作品の中での『ガムガムパンチ』の知名度はどの程度の物だろうか。
掲載誌は「小学一年生」「小学二年生」で、1967年4月号から1969年9月号まで連載された幼年まんがだ。何でも作る事が出来る魔法のガムによる騒動の数々を描いた作品で、全集あとがきによるとアニメ化も視野に入れていたそうだ。アニメ化は実現することなく終わったので、それほど広く知られてはいないと思う。その割には何度も単行本化されており、一番最近では「ぴっかぴかコミックス」でもカラーで2巻まで刊行された。ぴっかぴか版は第1巻が丸々全集未収録分なので手軽に読みたい人にはお薦めだ。もっとも、もうすでにぴっかぴかコミックス自体が手軽には手に入らなくなりかけている気もするが。
私は『ガムガムパンチ』の単行本は講談社全集、文民社作品集、そしてぴっかぴかコミックスを持っているが、三種類とも収録内容が異なるのだからややこしい。いずれ「手塚治虫文庫全集」でも刊行されるのだろうが、こちらはどうなる事やら。
この作品は、学年誌の掲載にも関わらず読者に合わせて掲載誌が進級する事がなかった(「小一」→「小二」はあり。「小三」以上には上がらなかったと言う事)ので、ストーリーの流れに三つの系統が存在する。
読者が入れ替わる4月号で話がリセットされるので、ガムの神様(または博士)が魔法のガムをパンチにあげる場面が繰り返し描かれている。文民社版作品集では、異なる年度の連載をまたぐ話で設定の矛盾がないようにセリフが改変されており、全話収録のための苦労が偲ばれる。三系統で区切って収録すれば、読者も別に気にしなかったと思うのだが、単行本は単行本として一つにまとめることに手塚先生のこだわりがあったのだろう。
今回、初めて全50話を読んで、全集未収録の中には結構異色と言えるエピソードもあって驚いたのだが、これについて書いてみたら思ったより長くなったので、いずれまた別のエントリで紹介したい。
ともかく、『ガムガムパンチ』を読むのなら、文民社版作品集がサイズ・カラー・収録話数のいずれについても決定版と言っていいだろう。講談社版全集もこの仕様だったらもっと素晴らしい全集になったのではないだろうか。まあ、文民社版は全8巻しか出さなかったからこそ、一冊一冊の内容にこだわって作る事が出来たのかも知れないが。
さて、冒頭でも書いたように、今まで文民社版作品集は一冊も持っていなかった。
その理由は、一冊でも買ってしまうと、結局全部欲しくなってしまう恐れがあると思ったからだ。実際に一冊買ってみたら、思った通りで残りの巻も欲しくなってしまった。他の巻も全集未収録作品やカラー収録がたくさんあるようなのだ。とりあえず、後半の第5巻「少女まんが」、第7巻「児童まんが2」、第8巻「カラー作品集」の三冊が欲しい。いずれも、カラーが映えそうなのに全集ではモノクロで残念だった作品群だ。
と、こうなってしまう事が分かっているから今まで手を出さなかったのだが、もう手遅れだ。『ガムガムパンチ』全話収録と聞いては我慢できなかった。サイズの大きい文民社版作品集は、全8巻とは言え結構な場所をとってしまう。また、収納スペースを確保するための苦難の道が続くのか。
自分がそのコメント書きましたw
第7巻「児童まんが2」、第8巻「カラー作品集」
は全集未収録作品が載っていますか?
第5巻・第7巻には未収録はありませんが、第8巻「カラー作品集」には、かなり未収録がありますね。そのせいか、古書価も第8巻だけ高いです。
詳しい収録作品は、こちらのサイト(↓)に載っています。ご参考までに。
ttp://www.phoenix.to/bunmin/list.html
さっそく8巻を探してきます(笑)
とてもよくわかります (^^)
私はドイツに住んでおりますが、いま一時帰国して、実家の手塚漫画に読み耽っております。おおはたさんの書かれた記事に刺戟されて、書き換え履歴なども探しています。文民社版作品集は3、5、8を持っていたのを再発見しました。当時高校生だった私にはこれだけ買うのが精一杯で、「ジャングル大帝」を買おうか買うまいか散々悩んだのを思い出しました。「手塚漫画はこれからも何度も出るさ」と買い控えたのが運の尽き。たしかに何度も手を替え品を替え改めて出版されているとはいえ、言葉狩りの餌食にされたり、高価になったり。
今回、古本屋を覗いて、見つけたら買ってしまおうと思います。
「ジャングル大帝」も、他の単行本とはバージョン違いの内容になっているようですね。もっとも、「ジャングル大帝」は出るたびに内容が変わっていったわけですが。
私も、余裕が出来たら、他の巻も買えるところから集めていきたいと思っています。ただ、置き場所をどうするかという問題はありますが。
ぴかコミ版は2007年に出てるので手塚先生が手を入れることは出来ないし、かといって第三者が勝手に名前をいじることもないと思うので、こちらか初出版の名前で、ぴかコミ版で名前を初出に戻した、ということなのかな、とは思っていますが、じゃあなぜ手塚先生は全集を出す際にガムガムに変えたのか…単にタイトルに合わせただけかも知れませんが、けっこう大胆な改変なので驚きました
おそらく、元々は複数の学年での連載だったためにそれぞれ設定が異なるのを、全集でのバージョンで統一したとかそういう事なんだろうとは思いますが、初出を確認してみたいとは思っています。
それにしても、いろいろな単行本が出ていて「全集」がいちばん収録エピソードが少ないのはいただけませんね。
文民社版にはキャプテンウルトラが登場する回などもあって、当時の流行りなどが分かる楽しい内容になってますね。
あと、これは時代の影響でしょうか、やたらと怪獣が出てくるのも興味深いですね。
それにしても講談社全集版とは1話からまったく内容が違うのは、今更ながらびっくりします。