映画「時をかける少女」感想

 昨日は、久々に名古屋駅前に出かけて、ゴールド劇場で映画「時をかける少女」を観てきた。
 原作はあらためて言うまでもない筒井康隆の作品、そして細田守監督が手がける初のアニメ映画化と言う事で、非常に期待していたのだが、その期待以上にいい映画だった。

 以下に、感想を書いておく。ネタバレはあまり入れないつもりだったが、結果として、今回の映画と原作のネタを割ってしまう部分がいくつかあるので、ご注意されたい。なお、私は原作小説は読んでいるが、これまで映像化された作品は一切未見なので、芳山和子についての言及は全て原作から受けた印象によっている。



 本作については、細田監督が手がける事と、主人公が代がわりしている事くらいしか予備知識がない状態だった、まずは冒頭の野球シーンで意表を突かれたのだが、まずこの場面から始める構成は非常に巧いと感じた。このシーンを観ただけで、主人公の真琴が芳山和子とは異なるアクティブな少女である事や、男友達二人と野球をして遊ぶ微妙な関係を保っている事などが、すぐに理解できて、自然に映画の世界に入り込めるようになっているのだ。

 上で、真琴をアクティブな少女と書いたが、特にタイムリープ能力を身につけてからは、暴走気味とも言えるような数々の行動が、非常に印象的だった。何しろ、タイムリープの方法からして、原作とはまるで異なる乱暴な手段なのだから。「時をかける少女」なので、当然何度もタイムリープの場面が描かれているが、全て真琴のキャラクターが上手く生かされており、特にカラオケボックスでのタイムリープの繰り返しには笑わせてもらった。
 とにかく、原作の芳山和子とは全く異なる、紺野真琴という主人公がいなければ、本作は成り立たなかっただろう。


 肝心のストーリーは、タイムリープによる事故の回避や、実は未来人だった同級生など、原作の要素を随所にちりばめながらも、現代の新しい「時をかける少女」と言える物語になっていた。進路の選択を迫られる時期の、一夏の青春物語として、観ていて恥ずかしくなるような場面もあったが、全編気持ちよく観る事が出来た。
 また、物語の肝となる「タイムリープ」に回数制限を付けた事で、ラストのどんでん返しが効果的になったと思う。「最後の一回」をくだらない事に使ってしまったので、後半は先の展開が読めなくなり、最後までだれることなく観る事が出来た。


 そして、本作を語る上で忘れてはならないのが、主人公の叔母として登場する「芳山和子」の存在だ。
 タイムリープについて主人公に語ったアドバイスを聞く限りでは、この人物だけは真琴のタイムリープによって影響を受けていない、超然とした存在であるように受け取れる。
 この芳山和子が、原作の芳山和子と同一人物であれば、タイムリープや、かつての友人の事は忘れているはずで、気になった部分だ。真琴のタイムリープを見守る存在として、あえて原作の芳山和子とは異なる設定にしたのかも知れないし、あるいは既にケン・ソゴルと再会して、タイムリープの事を思い出しているのかも知れない。
 いずれにせよ、謎めいた存在として印象的なキャラクターだった。


 そう言えば、ここまで特に触れてはいなかったが、もちろん作画や美術も素晴らしかった。
 キャラクターは皆生き生きと動いていたし、商店街や学校などの舞台は、よく描かれているというだけでなく、どこか懐かしくて、自分がその街にいるかのような感覚を覚えた。作品世界が魅力的に描かれていたからこそ、作品に深く入りこむ事が出来たのだろう。

 また、主人公を含め、声優経験のない新人が多く起用されていたが、本作については成功していたと思う。演技力の点に問題はなかったし、本職の声優にはない「若さ」が感じられた。
 出演者と言えば「落語天女おゆい」の原作者で声の出演もしていた桂歌若が真琴の父役だったのには驚いた。EDのテロップで一番びっくりした部分かも知れない。この人も、演技は問題なく聴けたが、なぜ選ばれたのかは非常に気になる。



 以上、色々と書いたが、ともかくいい映画だった。劇場で映画を観て「もう終わりか」と思ったのは、久しぶりだ。98分という長さを全く感じさせられなかった。
 とりあえず、もう一度くらいは上映中に観ておきたいものだが、8月は毎週、遠出する予定が入っているので、おそらく無理だろう。DVDは、ぜひ購入したい。


 なお、私の観に行った回では細田監督と美雪(真琴の妹)役の関戸優希の舞台挨拶も行われた。土曜日に行こうと思い立ったのは、他に行ける日がなかったためで、舞台挨拶の日になったのは全くの偶然だった。ちょっと得をした気分だ。その舞台挨拶では、監督はともかく、なぜ妹役が来るのかと不思議に思ったが、パンフレットを読むと関戸優希は愛知県出身だった。地元への凱旋だったのか。
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8/12 オフ会告知&藤子ネタ2題

 最近、忙しくてこのブログの更新が滞っている。
 なぜ忙しいかというと、すでにサイトの掲示板では告知しているのだが、来月の上京に合わせて8月12日に「ドラちゃんのおへや」オフ会を企画しており、現在その準備にかかっているためだ。
 これまでも、何度かオフ会を行った事はあったが、今回はある程度余裕を持って告知して、本格的なオフ会にしようと考えて専用の掲示板も用意した。私が名古屋在住なので、開催場所など、まだこれから詰める部分もあるのだが、普段はなかなか出来ない生の藤子話で盛り上がれる会にしたい。

 と、言うわけで、詳細については上記のオフ会掲示板の記事1番をご覧下さい。参加を希望される方は、掲示板への書き込み、もしくはオフ会専用メール off☆hanaballoon.com (☆を@に変えて下さい)まで、ご連絡をお願いします。ドラ・藤子ファンの方々の参加をお待ちしております。

(追記)8/9 23時をもちまして、オフ会参加募集は締め切りました。


 さて、オフ会の告知だけで終わってしまうのもどうかと思うので、藤子ネタを、いくつか取り上げておく。



・パワアコミックス「新オヤジ坊太郎」全4巻を入手

 「オヤジ坊太郎」はFFランドで初めて読んだのだが、藤子A流のナンセンスギャグがお気に入りの作品だ。FFランドでは2巻までしか出ていないが、他に単行本として大都社・スターコミックス全2巻および、双葉社・パワアコミックス「新オヤジ坊太郎」全4巻として刊行されている。今回は「新」を4巻セットで手に入れた。

 とりあえず第1巻を読んだが、第1話以外は全てFFランド未収録作品。目次を見る限りでは、2巻以降もFFランド未収録作品だ。まあ、わざわざ「新」とつけて刊行しているのだから、当然だろう。
 いずれの作品も面白く、つくづくFFランドで中途半端な刊行となった事が悔やまれる。「坊太郎」に限らず、「マボロシ変太夫」や「新 忍者ハットリくん」など、FFランドの後期刊行タイトルは既存の単行本より収録話数が少なくなった作品が多く、「全集」としては不完全だと言わざるを得ない。「新 プロゴルファー猿」は、てんコミ未収録分も入っていたが、FFランド後期としては奇跡的な事だ。

 それにしても、「オヤジ坊太郎」と言えば、坊太郎が大人に変身して財力で何でも解決する展開が固定パターンと言うイメージがあったが、「新」第1巻では、坊太郎が変身しない話もあって、新鮮だった。変身しなくても、坊太郎や少年ご三家がバカをやっているだけで面白いのだから、作品自体のパワーを感じる。個人的に、A先生のギャグものは1970年代の作品が一番好みに合っていると、再確認できた。

 これほどの作品が、現在入手困難であるとは、勿体ない。「ミス・ドラキュラ」の次は、変身3部作第2弾として「オヤジ坊太郎」完全版を刊行して欲しいものだ。まだ7票しか入っていないので、当面は無理だろうけど。




・7/23 NHKで「あの人に会いたい 藤子・F・不二雄」放送

 10分番組なので、あまり期待していなかったのだが、藤本先生の単独映像より、安孫子先生とお二人での映像の方が多く、また手塚先生も登場しており、「藤子不二雄」ファン兼手塚ファンとしては、嬉しい10分間だった。藤子作品だけでなく、お二人の藤子先生のファンなので、両先生が喋っている映像を観るだけで、幸せな気持ちになってしまう。

 ただ、いい内容であっても、気になる部分があれば突っ込みたくなるのもファン心理だ。
 コンビ解消後の両先生の活動を紹介したナレーションで「A先生はブラックユーモアを手がけるようになったが、F先生はずっと「ドラえもん」を描き続けた」と、いきなりお二人がまるで異なる道を歩み始めたように言ってしまうのは、どうかと思った。
 A先生のブラックユーモア作品は、ほとんどが昭和40年代に描かれており、コンビ解消後も「パラソルヘンべえ」「プリンス・デモキン」などの児童向け作品がある。また、F先生も晩年に「未来の思い出」「チンプイ」などの連載をこなしており、決して「ドラえもん」だけの漫画家ではなかった。短い時間だから簡潔にまとめた結果、あのナレーションになったのだろうが、誤解を招くような表現は止めて欲しい。

 少々けちを付けてしまったが、全体としては藤本先生のお姿を観られた事で、満足できた。贅沢を言えば、今回映像が紹介された元の番組を、オリジナルのままで再放送して欲しいものだ。
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2006年夏アニメ新番組感想

 7月も下旬となって、アニメ新番組もほぼ出揃ったので、感想を書いておく。4月期は視聴継続作品だけを取り上げたが、今回は観続けるかどうかにかかわらず、いい方にも悪い方にも感想を書きやすい作品を取り上げたので、一部では辛口な事も書いてしまった。その辺りをご了解の上で、お読み下さい。




ProjectBLUE 地球SOS(AT-X、7/2スタート・月1回放送)

 事前特番を観た時は、主人公のビリーが親しみにくそうなキャラに見えたので、ちょっと不安だったのだが、実際に観てみると、生意気なところも含めて味のあるキャラとなっていて、悪くはない。声が渡辺明乃なので「韋駄天翔」の山登翔が気取っているように聞こえてしまう。
 主人公以外のキャラクターもしっかり描かれているし、舞台となっている「西暦2000年」の世界は「昔の人が夢見た未来世界」であり、パラレルワールドとして魅力的だ。ストーリーにも謎の部分が多く、第2話以降どのように話が展開するのか、今後が楽しみだ。

 ところで、今回は初回放送を録画したのだが、これが無料放送だったため、大きなロゴの常時表示と宣伝テロップの頻繁な挿入が、非常に鬱陶しかった。無料でない再放送では、ロゴと宣伝テロップはなかったらしい。AT-Xと契約しているのにロゴ付きで観るのはバカバカしいので、来月からは再放送分を録るようにしなければ。




まもって!ロリポップ(キッズステーション、7/8スタート)

 第1話で既にかなりひどい出来だったが、作画の悪いアニメとしては、そんなに珍しくはないレベルだった。しかし、続く第2話は本当にダメだ。絵が崩れている以前にまともに動かず、パラパラ漫画状態。それに加えて、顔の崩れも多くて、見るに耐えない。特に、Bパートはひどかった。
 作品としては破綻しているが、どこまで酷くなるか底辺を見届けたいので、もう少し観てみることにする。

 しかし、私が観たキッズステーションでは、ひどい出来ではあるが、それでも修正されている部分があるそうだ。最速のテレビせとうちは、更にひどかったらしい。そう聞くと、地上波で観られないのが残念に思えてくる。最速から一日遅れの岐阜放送は、おそらくリテイク無しなのだろうが、名古屋市内のCATVは岐阜放送を再送信していないのだ。かと言って、リテイク前とリテイク後を比べるほどの暇もないが。




内閣権力犯罪強制取締官 財前丈太郎(名古屋テレビ、7/11スタート)

 「MUSASHI GUN道」にライバル出現とまで言われていたので、かなり期待していたのだが、第1話を観た限りでは、確かにひどい出来だとは思ったが、個人的には「MUSASHI」ほどのインパクトは感じなかった。
 「MUSASHI」は、ダメ作画・変なセリフ・声優の熱演などの要素が相まって「落ちながら戦う」「GUN道奥義 ケンジャの舞」などの名場面や名ゼリフがいくつも生まれているが、これは奇跡的な事なのだろう。「財前」は、作画の出来がどうこう以前に、演出・画面構成が致命的にヘタで、そのため「高速を走っていたはずの財前が、いきなり下にワープ」と言った珍妙な画面が生まれてしまっているが、こちらは観ていてなんだか悲しくなってしまう。

 ネタとしては面白くなかったので視聴は打ち切るつもりだが、今後は関東視聴組の評判をチェックして、すごそうな回があれば一応録画しておこう。




N・H・Kにようこそ!(三重テレビ、7/11スタート)

 原作小説は未読、漫画版は単行本5巻まで読んでいる。小説と漫画で途中から異なる展開になるようだが、アニメ版第2話までを観た限りでは、少なくとも漫画版には忠実な内容だった。
 アニメ版の佐藤は、外見も声も漫画に比べて微妙に格好良くなっていて、ちょっと違和感があった。牧野由依の岬ちゃんは少々不安だったが、今のところセリフもあまり多くないせいか、特に気にはならない。

 この作品がアニメ化されて一番インパクトが強かったのは、アパートの隣の部屋から四六時中アニソン(しかも萌えアニメ)が漏れ聞こえてくる状態が、リアルに表現されている点だった。自分の好きな事でも、興味のない人間にとってはどれだけ迷惑なのか、よく理解できた。こればっかりは、描き文字の歌詞で表現するしかない漫画版では伝わらない、嫌なリアリティだろう。私も、気を付けなければ。他には、宇宙人のキャラクターも上手く嫌な感じにデザインされている。

 ところで、この作品は1クール全12話とばかり思っていたのだが、公式サイトのDVDリリース情報を観ると、2話収録・全12巻なので全24話のようだ。道理で、展開がゆっくりだったわけだ。今後、ロリコンやドラッグ、マルチ商法に自殺オフなど危ない展開をどう処理するのか、結末はどうなるのか、非常に楽しみだ。火曜深夜は「財前」を切ってこちらに絞ろう。




つよきす Cool×Sweet(名古屋テレビ、7/12スタート)

 原作ゲームはプレイしていないが「ヒロイン全員ツンデレ」が売りと聞いて、ちょっと気になっていた。しかし、第1話を観る限りでは、主人公を初めとして、どのキャラクターもツンデレと言うよりは、単に性格がきつかったり、ただの変人だったで、ツンデレと感じたキャラは一人としていなかった。スタッフがツンデレを何か勘違いしているのではないか。
 キャスト入れかえやスタッフのずれた発言など、放映開始前から色々と火種を抱えている作品だとは知っていたが、そのような点を抜きにしても、単に学園物アニメの凡作と言う感じだ。原作を変えていても面白ければアニメ版のファンが付くだろうが、少なくとも私にとっては面白くない。まあ、トライネット作品としては標準レベルだろうか。




 今回は、ここまでで終わり。
 上で取り上げた以外にも、第1話からチェックしているアニメはいくつかあるが、感想の書きやすさを優先したので、普通に楽しんでいる作品は、かえって漏れてしまう事になった。

 それにしても、前世紀の終わりから言われ続けている気がするし、私自身、改編期の度に書いていることだが、どう考えてもテレビアニメが多すぎる。しつこいと言われようと何度でも書くが、そろそろ量より質に方針変更すべき時期だと思う。
 このような状況でも「涼宮ハルヒの憂鬱」のようなクオリティの高い作品も生まれてはいるが、これは特殊な例外だろう。このまま秋も放映本数が維持されてしまったら、また「MUSASHI GUN道」や「まもって!ロリポップ」のような作品が生まれる恐れもあるだろう。自分の好きな漫画原作のアニメがそんなことになってしまったら、目も当てられない。
 とは言え、現在わかっているだけでも、やはり秋も相当な数の新作が始まりそうで、不安は拭えない。いっそのこと最初から隔週放送にでもしてしまわないと、これ以上は乗り切れないのではないだろうか。



 ここで終わるつもりだったが、まだ「まじぽか」以外の6月終了アニメの感想を書いていなかった事に気付いた。と言っても、最終話を観てから時間が経つと、どうも書く気が薄れてしまう。
 とりあえず、最後まで観た作品は、どれもそれなりに楽しめたことは確かだ。だから、最終話まで完走した作品のタイトルだけを、順不同で挙げておく→「吉永さん家のガーゴイル」「西の善き魔女」「ひまわりっ!」「女子高生 GIRLS*HIGH」「涼宮ハルヒの憂鬱」。
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新作ドラ映画「のび太の新魔界大冒険」について

 14日のテレビ放送および公式サイトで、来年の「ドラえもん」新作映画のタイトル及びスタッフが、発表された。
 12日(水曜日)には、既に公式サイトで明らかになっていたので、今更取り上げても時期はずれの感は否めないが、「ドラえもん」ファンサイトの管理人がやっているブログで、この話題をスルーするわけには行かない。
 すでに、藤子・ドラえもん関係のブログの多くで取り上げられているので、どうしても内容の重複は避けられないが、出来るだけ自分なりの視点で書いてみた。


 まず、タイトルは「ドラえもん のび太の新魔界大冒険 7人の魔法使い」。7日放送の映像で予想していたとおり、「のび太の魔界大冒険」のリメイクとなった。
 来年もまたリメイクであろう事は、「もっと!ドラえもん」第5号の記事で既に予想していたが、具体的にどの作品になるかは、なかなか予想が難しかった。個人的には、旧作と同様に「のび太の宇宙開拓史」を持ってくるか、または興行成績がふるわなかった「のび太の海底鬼岩城」でリベンジを期すのではないかと思っていたので「魔界大冒険」とは意外だった。しかし、昨今のファンタジー物の流行を考えると、なるほどと頷ける選択だ。


 次に、監督と脚本家について。
 監督は、映画ドラえもん初登板となる寺本幸代。公式サイトでは「ドラえもん映画史上初の女性監督」と言う点が強調されているが、それよりも30歳という若さに驚いた。いちいち調べなくても、間違いなくドラえもん映画の監督としては最年少のはずだ。
 公式サイトでは代表作として「僕は妹に恋をする」「竹取物語」「万葉集」が挙げられているが、私はいずれも未見。観たことがある寺本演出作品は、昨年からのわさドラくらいだ。
 寺本監督がわさドラで手がけた作品を挙げてみると、「勉強べやの釣り堀」「思い出せ!あの日の感動」「(秘)スパイ大作戦」「ハロー宇宙人」「おかしなおかしなかさ」「まあまあ棒」「ころばし屋」「きこりの泉」「ああ、好き、好き、好き!」「出木杉グッスリ作戦」「タタミのたんぼ」「オーバーオーバー」「無人島の大怪物」など。玉石混合と言った感じだが、放映第1回の「勉強べやの釣り堀」「思い出せ!あの日の感動」を担当している点に注目したい。番組として大切な第1回を任されたのだから、この時点ですでに演出家としての手腕が評価されていたのだろう。
 あくまで、これらは30分枠内のテレビシリーズでの作品なので、1時間半を超える(はずの)劇場版で、テレビとは異なるスケールで繰り広げられる冒険をどう描くのかは未知数だが、私と同年代で「魔界大冒険」はリアルタイム直撃世代であるはずの若手監督に、期待したい。

 そして、脚本は小説家の真保裕一が担当。
 私は、今のところ真保作品を全く読んだことがないので、真保氏がどのような脚本を書くのか、全くわからない。以前は演出家としてシンエイ動画で「笑ゥせぇるすまん」を手がけており、藤子アニメにも縁がある人なので、その点で期待したいと思う。
 まだ、来年の映画までは半年以上あるのだから、これを機会に真保氏の小説を読んでみることにしよう。


 ところで、真保脚本についてはスポーツ報知の記事に詳しいが、これによると「脚本は原作にはなかった現実世界と魔界世界のリンクが描かれるなど“真保テイスト”が満載」との事で、後半の展開以外は原作に忠実だった今年の「のび太の恐竜2006」と比べると、かなり大きなアレンジが行われそうで、はたして「魔界大冒険」が、どう生まれ変わるのか楽しみだ。
 「のび太の恐竜」の場合、旧作映画公開後に原作が加筆されて「決定版」となった事情もあり、旧作の時点で原作・映画の相違点がかなりあったので、「のび太の恐竜2006」は、もう一度原作に立ち返るという意味で、基本的に原作に忠実で正解だったと思う。ただ、途中まで原作通りだっただけに、クライマックスの展開は賛否両論となった事も間違いないだろう。
 それに対して「魔界大冒険」は、1984年のオリジナル版映画が、ストーリーは原作に忠実で、しかも映画として非常に完成度の高い作品なので、仮に再び原作に忠実に作ったとしてもオリジナル版を超える作品は生まれにくいだろう。だから、今あえて「魔界大冒険」を映画化するのであれば、思い切ったアレンジで原作ファン・オリジナル映画のファンを驚かせるような作品にして欲しいと思うし、実際にそうなりそうなので、新たな「魔界大冒険」を観られると思うと、楽しみだ。


 まだ未知数の部分が多いが、とりあえずタイトルについては、正直なところ、ちょっとどうかと思ってしまった。
 今年が「ドラえもん のび太の恐竜2006」と非常にシンプルだっただけに、「新」が付いたりサブタイトルが付いたりしていると、ゴテゴテした印象を受けてしまう。

 ともあれ、ようやくまた映画「ドラえもん」が本格的に動き出したわけで、その点ではワクワクしてしまう。ただ、「のび太の恐竜2006」のような度を超した宣伝は、勘弁して欲しいものだ。と、思っていたらドラミのテレビ登場について、来週から1ヶ月以上かけてテレビで情報を公開していくそうだ。「魔界」にドラミが登場するためだろうが、原作での出番がそんなに多いわけでもないキャラクターの登場を煽る意味があるのか、非常に疑問だ。この件については、来週以降の放送を観て、あらためてここで書くことになるかもしれない。
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「タイムボカンシリーズ」サントラCDが完結

 昨年8月に、第1弾の「タイムボカン オリジナル・サウンドトラック」が出て以来、2ヶ月に1枚のペースで発売されてきた「タイムボカンシリーズ」のサウンドトラックCDシリーズが、7月5日発売の「逆転イッパツマン オリジナル・サウンドトラック」をもって、めでたく予定通りの6作全てがCD化された。
 当ブログでは、「ゼンダマン」以降は特に取り上げていなかったが、もちろん私は全て買い続けていた。今回、完結によってジャケット背のタイムメカブトンも完成したので、CDを並べて眺めているだけで、いい気分になる。


 せっかくだから、あらためて好きな曲をあげてみようかと思ったが、どう考えてもきりがないので、やめておく。ただ、個人的に、本編のラストシーン向けに作られたOP主題歌のアレンジ曲(「ヤットデタマン」81トラック(M-31)や、「逆転イッパツマン」97トラック(M-46)など)は特に印象的だったので、あらためてじっくりと聴くことが出来て、嬉しい。主題歌と同じメロディーにもかかわらず、哀愁のあるアレンジが心に強く残っており、曲だけを聴いていても、頭の中には自然とナレーターの名調子が聞こえてくる。
 他にも、ギャグ調の曲、アクションシーンの曲など、いずれも名曲揃いで、しかも本編を何度観たか分からないほど観ている作品なので、曲を聴いていて、本編の場面やキャラクターのセリフが、すぐに頭に浮かんでしまう。ここまで脳内にしっかり刻まれてしまったアニメBGMは、私にとっては本作と大山のぶ代版「ドラえもん」くらいだ。


 今回、タイムボカンシリーズのBGMがCD化されただけでも十分嬉しいのだが、「タイムボカン」から「逆転イッパツマン」までの6作は、本編で使われた曲はもちろんの事だが、未使用曲も音源が残っている限り全て収録されて「完全収録」にこだわっている点が素晴らしい。実際、「逆転イッパツマン」に付いてきた「総音楽リスト」を見ると、歌の入っていない純然たるBGMについては完全収録を達成しており、まさに壮観だ。

 さらに、最後のリリースとなった「逆転イッパツマン」は2枚組で、1枚が丸々ボーナスディスクとなっている。ここでは、これまでCD化されていなかった劇中挿入歌「アターシャ」や「嗚呼!三冠王」に加え、「逆転イッパツマン」のデモヴァージョンまで収録されている。他にも、放送用に編集された次回予告BGMもようやくフォローされており、単品売りしていないのが不思議なくらい非常に豪華な内容だ。


 さて、ここまで述べたように、「タイムボカンシリーズ」サウンドトラックは素晴らしい内容なのだが、残念な点もあった。それは、シリーズ第7作の「イタダキマン」BGMが単品で完全盤としてリリースされなかった事だ。
 「イタダキマン」はシリーズで唯一、本放送当時に音楽集がリリースされており、その音楽集が「タイムボカン ぶたBOXこれっきり」の1枚としてCD化されている。そして、前述のボーナスディスクには「音楽集」未収録BGMの大半が収録されているので、ほとんどの曲は聴けるのだが、OP主題歌「いただきマンボ」及び、そのアレンジBGMが未収録となってしまった。おそらく、作曲家が異なるための権利問題があったのだろうが、次回予告BGMや、前述の「本編のラストシーン向けに作られたOP主題歌のアレンジ曲」イタダキマンバージョン(「総音楽リスト」掲載のM-44か?)が入っていないのは痛い。最終話の空作が去っていくシーンでの使用が特に印象深く、シリーズ全体の締めくくりとしても重要な曲だと思うので、残念だ。
 また、テレビサイズ主題歌のうち「ヤッターマン」の「ヤッターキング」「ドロンボーのシラーケッ」、「タイムパトロール隊 オタスケマン」の「がんばれオジャママン」、「ヤットデタマン」の「ヤットデタマン ブギウギ・レディ」が収録されていない事も少々残念だが、こちらはその気になればDVDで聴けるから、まあいいだろう。

 このように、いくつか気になる点はあったが、それでも最善を尽くした結果なのだろう。「イタダキマン」にしても、「総音楽リスト」を見る限りでは、OP関連以外の曲は、ほとんど収録されている。少々面倒くさいが、「音楽集」と今回のボーナスディスクを合わせて編集すれば、オリジナルの「イタダキマン BGMほぼ収録サウンドトラック」を作ることも出来るのだ。
 だから、未収録曲が出たことを非難するよりも、むしろよくここまで入れてくれた、と言いたい。


 それにしても、今回のCDを聴いて、根強いファンが付いている旧作アニメのサントラCDやDVD-BOXなどを商品化する時は、その作品にこだわりを持ったスタッフを絶対に参加させるべきだと、つくづく思った。ライナーノートの解説を読めば、このCDに関わったスタッフが「タイムボカンシリーズ」と、そのBGMに惚れ込んでいる事はよくわかったし、安心してCD化を任せられると思ったものだ。
 もちろん、CDやDVDを発売する会社に、そのアニメに詳しい人間がいない方が普通なのだろうが、それならば外部からでも「わかっている」人間を招聘すべきだと思う。いちいち作品名はあげないが、いかにもやっつけ仕事という感じの残念なCDやDVDも、実際に存在する。個人的に思い入れのある作品であればあるほど、ショックは大きい。



 ともかく、この一年間、1枚発売される毎にタイムボカンシリーズの世界に浸り、また次のリリースが待ち遠しくて仕方がなかった。それが終わってしまって少々淋しいが、これで「タイムボカンシリーズ」ほぼ全ての曲を、いつでも好きな時に聴けるようになったのだ。あらためて、このCDを企画・制作されたスタッフの方々には、お疲れさまでした、ありがとうございましたと言わせて頂きたい。
 あとは、全巻収納BOXの到着が楽しみだ。まあ、これは早くても9月になるのだが。
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ドラの映画予告とアニメ雑文

 昨日放送された「ドラえもん」番組最後で「次回 来年春公開 新しいドラえもん映画 映像初公開!」と言いつつ、結局「今日はちょっとだけ」と、いわゆる「超額縁」的な小さい画面で数秒間の映像が流れたが、空飛ぶジュウタンに美夜子さんまで出てきて、どう観ても「魔界大冒険」だった(詳しくはMISTTIMES.com Blogをどうぞ)。

 ようやく、来年の映画が明らかになったので、言いたいことは色々とあるが、とりあえず来週の本格的な発表を待ちたい。それにしても、テレ朝は宣伝の仕方が下手だと、つくづく思う。以前から、新作映画情報は7月14日に公開すると予告していたのだから、前の週にこのような映像を見せる必要はないと思う。期待感を煽るためならば、テレビシリーズとは明らかに異なるが、内容までは推察できないような場面を流すべきだ。その後に「来週、いよいよ映画の映像を本格公開!」とすれば、翌週まで視聴者の興味を惹くことが出来たはずだ。
 しかし、実は今回流れた映像はダミーで、実は「海底鬼岩城」でしたとなったら面白いだろうな。まあ、これまでの映画宣伝戦略を見る限り、そんな気の利いたことはしないだろうが。

 さて、思ったよりも長くなってしまったが、ここまでは前振り。今回は、久しぶりに最近のアニメについての雑文を書いてみたい。今回は、三つほどネタを用意してみた。



・「魔法先生ネギま!」本放送版最後のチャンス?

 先週からAT-Xで「魔法先生ネギま!」の放送が始まった。
 「シスター・プリンセス」の前例があったので、今回の「ネギま!」も、てっきりDVDリテイク版を流すと思っていたが、意外にも提供・EDフリップが付いた地上波本放送版だった。よって、4話の終わりに流れた5話の予告は、プレゼント告知用の特別版のままだ。

 AT-Xの「ネギま!」は週2話放映なので、このままだと9月末で放映が終了する。そして、秋からはアニメ新シリーズ「ネギま!?」が始まるので、おそらく10月以降にAT-Xでリピート放映される可能性は低いだろう。また、仮にキッズステーションなど別のCSチャンネルで放映される事があったとしても、プレゼント告知や提供まで含めた本放送そのままの内容は期待できない。だから、今回のAT-Xでの放映は、地上波版「ネギま!」を観られる最後のチャンスである可能性が高い。

 もっとも、最後のチャンスだと言っても、それでわざわざ観るほどの作品ではないと思う。久しぶりにOPを観たが、やはり「あれはないだろう」と思ってしまった。私は、本放送当時は原作をろくに読んでおらず、後追いで単行本を読んだのだが、原作を分かった上で観ると、余計にひどく見えてしまう。
 しかし、とりあえずネタとしては貴重なので、あらためて今回の放送は保存しておきたい。火葬シーンで有名になった第24話は、提供でスポンサークレジットが出ずに10秒間真っ黒な画面が続くわけで、ある意味非常に楽しみだ。



・「sister×sisters」デビュー

 4日に放映された「ラブゲッCHU ミラクル声優白書」第13話を観て、その超展開に苦笑してしまった。
 桃子たちがアイドルユニット「sister×sisters」としてデビューする展開自体は、既にOPの歌手が高本めぐみのソロからsister×sistersに変わっており、CDのCMも流れていたので容易に想像が付いたが、妹と修道女のシスターを取り違えたあげく、両方を取り入れて「妹であり、シスター」なユニットになってしまうとは意表を突かれた。さすがに、こんなバカバカしい展開は予想できない。前回の第12話が、声優デビューでプロの厳しさを思い知る真面目な話だっただけに、ギャップが激しすぎる。

 とは言え、このアニメは真面目な声優成長物語とバカ話が一体となって全体のストーリーが進行している所が面白いのだ。おそらく、私は第1話のようなネタ話だけだったら観るのを止めていただろう。今回の第13話は思いっきりバカ方向で、突っ込みどころもありすぎて困るくらいだったが、次にどんな展開が来るか読めない分、余計に次回が楽しみになるし、実際に最近はこのアニメをかなり楽しみにしている。

 そんな本作だが、8月からAT-Xでの放映が決定した。しかし、AT-XではCMが入らないのが残念だ。このアニメは、本編もさることながら、人をバカにしたようなgalgame.jpのCMを一緒に観てこそ楽しめると思う。何しろ、いきなり「私たちの事が萌え~とか、お近づきになりた~い、とか思っちゃってるキミ! そう、そこのキミ!」などと言い出すのだから、最初はどう反応していいのか迷ったものだ。今は、毎回同じCMと分かっていながら、ついつい毎回観てしまう。
 ともかく、作りはかなりチープで、あまり真面目に観ているとバカにされたような気分になるかも知れないが、ネタとシリアスが一体となった独特の作風は、なかなか珍しい。地上波の放映エリア外でこれまで観られなかった人には、一応おすすめしておく。



・第2の「MUSASHI GUN道」現る?

 このブログで紹介されているが、関東では5日より放映スタートした「内閣権力犯罪強制取締官 財前丈太郎」が、凄まじい出来だったようだ。11日の名古屋テレビでの放映スタートが、俄然楽しみになった。何より「MUSASHI」とは違って、普通に地上波で観られるのが素晴らしい。

 普段は、他の地域(特に、関東地方)に比べて放映が遅れていると、ネットでネタバレを観てしまう恐れがあるなど、あまりいい気分はしないのだが、今回のようにノーマークだったアニメの情報が得られるという点では、遅れていて得なこともある。
 名古屋テレビの「財前丈太郎」は、三重テレビの「N・H・Kにようこそ!」と放映時間が被るので、評判を聞くまでは1話も観ずに切るつもりだったが、今は「N・H・K」と「財前」を、RDとS-VHSで、どう録りわけるか悩んでしまっている。まあ、決めるのは「N・H・K」先行視聴組の評判を聞いてからでも、遅くはないだろう。
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「こおろぎ'73 スーパー・ベスト」発売

 先週、コロムビアミュージックエンタテインメントから「TALIZMANスーパーベスト」「こおろぎ'73 スーパー・ベスト」「町田義人 スーパー・ベスト」「かおりくみこ スーパー・ベスト」と、渋めのラインナップでアニソン歌手のベスト盤が発売されたが、その中で「こおろぎ'73 スーパー・ベスト」を、買ってきた。

 個人的には、こおろぎ'73と言うとアニメソングの名脇役という印象が強く、メインで歌っている曲よりも「ぼくドラえもん」のようなバックコーラスを務めている曲の方が、先に頭に浮かぶのだが、今回のCDを聴いてみると、こおろぎ'73単独でも有名な曲・印象的は曲が多く、幅広い活動を行っていたグループだと再認識させられた。


 収録内容は、まずアニメソングが16曲で、「がんばれドカベン」「元祖天才バカボンの春」「おじゃまんが山田くん」などの有名曲から、「とびだせ!マシーン飛竜」のような、どちらかと言うとマイナーな曲までおさえられている。個人的に好きな「剣人・男意気」や「いつの日か」が入っているのは嬉しい。
 後半はドラマ主題歌・CMソング・子供知育番組の曲が収録されており、特にCMソングは初めて聴くものばかりだった。また「おべんとうばこのうた」も、よく知っている曲ではあったが、まともにフルコーラスで聴いたのは初めてだ。アニメソングにとどまらない、こおろぎ'73の活動を知ることが出来て、いい構成だと思う。

 再び、アニメ主題歌に目を向けると、「おじゃまんが山田くん」のEDテーマから「おじゃまむしの歌」が入っており、これは個人的にツボだった。「おじゃまむしの歌」は、アイキャッチの曲を発展させてED主題歌とした曲だったが、使われた期間が短くて、おぼろげに記憶に残っている程度だった。
 ぜひ、もう一度きちんと聴いてみたいと思っていたのだが、これまで「おじゃまんが山田くん」からは初代OP「おじゃまんが山田くん」・初代ED「今日も夕やけ」がセットでCDに収録されることが多く、唯一「おじゃまむしの歌」が収録されたCD「19XXシリーズ1981 僕たちの≪アニメ・特撮≫懐かしのメロディー」は入手困難になっていたので、今回の収録は非常に嬉しい。
 他にも「まんがこども文庫」のED「ふんすい」、「きかんしゃやえもん D51の大冒険」挿入歌「やえもんマーチ」は、初CD化曲。両方とも、今回初めて聴いた。単に有名曲を集めるだけでなく、このような埋もれた曲を発掘しようとする姿勢は好感が持てる。


 じっくりと、あらためて、こおろぎ'73の歌を聴いてみると、優しさと軽妙さが入り混じった歌声が、実に心地よい。しばらくは聴き続けることになりそうだ。
 今回のCDで有名曲はある程度フォローされているので、次は「ドラえもん」の「うきうきタイムトラベル」のような、あまり知られていない曲を発掘した第2弾を、ぜひ出して欲しい。
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藤子A先生の公開講座に初参加

 28日、大垣女子短期大学で行われた藤子不二雄A先生の公開講座に参加してきた。

 この公開講座は、基本的に毎年6月に行われており、今年で11回目となる。
 私は、2年前に初めての参加を思い立ち、実際に開催予定日に大垣女子短大に行ったのだが、信じられないことに、その日の午前中に静岡で起こった集中豪雨のために新幹線が止まってしまい、A先生が来られず中止になってしまったのだ。この時は、悪い冗談かと思ってしまった。
 結局、公開講座は延期となって秋に行われたのだが、仕事の都合で参加できなかった。また、昨年は6月に行われたが、こちらもスケジュールが調整できず、残念ながら参加を見合わせた。

 そんなわけで、今回は2年しの念願をようやく果たすことが出来た。ついつい、当日朝まで、雨は降らないでくれ、新幹線は止まらないでくれと祈ってしまった。



 さて、肝心の講座だが、1時間以上に渡って、たっぷりA先生のお話を聞くことが出来て、大満足だった。

 今回のテーマは「誰も描かない漫画を描こう!」であり、主にA先生のこれまでの作品の創作秘話が語られた。
 取り上げられた作品は、順に「わが名はXくん」「忍者ハットリくん」「オバケのQ太郎」「魔太郎がくる!」「プロゴルファー猿」「黒ィせぇるすまん」「愛ぬすびと」「愛たずねびと」「マグリットの石」「ワールド漂流記」「ミス・ドラキュラ」。
 このうち、「オバケのQ太郎」「魔太郎がくる!」「プロゴルファー猿」「黒ィせぇるすまん」などのエピソードは、「Aの人生」などの著書やトークショー等で既に語られた内容が中心だったが、細部で色々と異なる部分はあり、またA先生の独特の語り口はいつもどおり聴いていて心地いいので、楽しく聞くことが出来た。


 そして、今回私にとって初耳だったエピソードも、いくつかあった。特に、「週刊女性セブン」に連載された「愛ぬすびと」「愛たずねびと」「ミス・ドラキュラ」の3作についてのエピソードが印象的だった。
 「愛ぬすびと」は、初の女性誌連載だったが、人気がトップになるほど好評だった。しかし、当時のスタッフではリアルな絵を描くのが大変だったので、13回で終了となった。また、最後に出てくる優子の手紙(中公版では252ページ)が、A先生のお姉さんが書かれたもので、字が綺麗だから依頼した。続けて連載した「愛たずねびと」は、あまりうけなかった。「ミス・ドラキュラ」は、虎木さんの秘密を作中のキャクターが知らず、作者と読者だけが知っている設定にして、読者に優越感を抱かせるようにした、等々、非常に興味深かった。
 普段、あまり触れられることのないこれらの作品についてA先生が話されたのは、「ミス・ドラキュラ」の復刊が影響していたのだろうか。個人的に未読なので、いずれ「愛たずねびと」も、ぜひ復刊して頂きたい。中公から「愛ぬすびと」が出た時は、てっきり続けて出るものだと思っていたのだが。


 あまり語られない作品としては、「ワールド漂流記」から第7話「ファドの夜リスボン」が取り上げられたことにも、触れておきたい。この作品は、オチを含めて、かなりの部分がA先生の実体験に基づいたものであるとの事。さすがに、色々な国に旅行されているA先生ならではだろう。「ワールド漂流記」の他のエピソードにも、A先生の体験談が含まれているのではないかと想像すると、楽しい。
 ファドでの体験以外にも、A先生の海外旅行に関する思い出も語られたが、オーストラリア旅行で身分を偽って、現地の人に「自分は駐在員だ」と称していた話は、いかにもA先生らしくて面白いエピソードだった。


 ブラック短編からは「マグリットの石」が取り上げられていたが、今回は、個人的に以前から気になっていた「名古屋駅とナナちゃん人形の上に浮かぶマグリットの石」の絵を見ることが出来て、嬉しかった。これは、以前に名古屋市美術館にて行われたマグリット展記念講演会で発表された物だが、タイミング悪く私は関西の実家にいた時期で、参加できなかったのだ。


 また、イラストと言えば、今回はA先生がホワイトボードに、講座の内容に関連してキャラクターの絵を描かれていた。描かれたキャクターはハットリくん、魔太郎、Q太郎の三人。Q太郎は、実際の作品ではF先生の担当だっただけにA先生バージョンと言うだけで貴重なのだが、更に今回は頭の毛が多い初期バージョンであり、非常にレアな絵だった。



 講座は快調に進み、最後に「今日まで自分が漫画家としてやってこられたのは、自分が描きたい漫画を描いたから。漫画でなくても、自分の好きな事を実現していく事は、生きる上で大きな肥やしになる。このために生きているという目標を持って生きてください」と言う言葉で締められて、A先生の講座は終わった。

 これで全て終了かと思いきや、A先生と親交の深い「ウルトラジャンプ」伊藤編集長が登場して、漫画家と編集の相性などについての話が10分ほどあった。この中でも、A先生が「もし、最初に「週刊少年マガジン」で描いていたら、自分は大成していなかっただろう」と話されたエピソードが紹介されていた。「マガジン」では、車の裏側まできっちり描くように求められたとそうで、おそらく「きえる快速車」の事だろう。

 伊藤編集長の話も終わって、今度こそ講座は終了。最後に、抽選で10名にA先生のサイン入り「ミス・ドラキュラ」がプレゼントされたが、残念ながら当たらなかった。
 ともかく、A先生のお話はいつ聞いても楽しく、しかも初めて聴いたエピソードも結構あったので、話に引き込まれて、あっという間の1時間半だった。図らずも、私は2年間お預けとなってしまったが、本当に参加してよかったと。



 その後は、藤子ファン仲間で集まって、大垣駅前で飲み会が行われた。
 この場には、藤子ファンのみならず、長谷邦夫・篠田ひでお両先生も参加されて、藤子スタジオやフジオ・プロの秘話を、色々とお聞きすることが出来た。特に、両藤子先生とのつきあいが長い篠田先生のお話は、非常に興味深い物ばかりで、ここで初めて知ったエピソードもあった。私自身も、以前から疑問に思っていた事を一つお尋ねしてみたのだが、残念ながらその件については覚えておられず、答えを聞くことは出来なかった。
 それはそれとして、飲み会では藤子ネタもそれ以外の漫画の話も色々出来て、楽しい時間だった。参加された方々には、あらためて、ありがとうございました&お疲れさまでした、と申し上げておきます。



 それにしても、この大垣の公開講座は東海地方の人間にはありがたい。藤子関連のイベントは、たいてい東京かその近辺で行われるので、参加する時は前日の夜行か当日早朝の新幹線で出発するのだが、この大垣女子短大公開講座だけは、名古屋から大垣まで快速で30分という近さなので、朝は普段より長く寝ていられるほどだ。東海地区まで、わざわざA先生が来られる機会が年一回あると言うだけで、非常に幸せな気持ちになる。
 今回の講座の冒頭で、A先生は「僕ももう歳だから、今回が最後のつもりでやります」と、おっしゃっていたが、A先生がお元気な限り、来年以降もぜひ続けていただきたいものだ。
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