2009年は長すぎた一年だった

 2009年も、あとわずかで終わろうとしている。
 振り返ってみると、今年は本当に色々な事があった。いや、私としては色々「ありすぎた」と言いたい気分だ。嬉しい事、悲しい事、つらい事…思い返すと、なんという激動の一年だったのだろうと、溜息が出てしまう。

 とは言っても、この中で「つらい事」は、ごくプライベートな問題だったのでこのブログでは触れていない。わざわざ人様に知らせるような事ではないと思ったからだ。その気持ちは今も変わらないので、この件についてはここまでとさせていただくが、嫌な意味で一年が「長かった」と感じる原因だったとだけ書いておく。
 もちろん、嬉しい事や楽しい事もたくさんあったのだが、今年一年に限るとそちらの印象は薄くなってしまう。


 その「嬉しい事」の筆頭は、何と言っても『藤子・F・不二雄大全集』の刊行開始だ。3月に発表されてから7月に刊行が始まるまでの4ヶ月半、こちらは「つらい事」とは逆に、いい意味で時間を長く感じて7月24日をまだかまだかと待ち望んだものだった。
 このブログでもいくつか触れているように、この全集にも注文を付けたくなる部分はあるが、そのような問題点があってもなお「決定版」と言える充実した内容となっており、毎月25日が楽しみで仕方がない。以前、『藤子不二雄ランド』の復刻がA作品のみになった時点で、F先生の全集は半ば諦めていただけに、現状はまさに夢のようだ。
 さらに、A先生に関しては、私も参加させていただいた『藤子不二雄Aファンはここにいる Book1 座談会編』が発売された事が一番大きかった。A先生の作品についての自分の発言が活字となって全国の書店に並んだのだから、これもまた夢のごとく嬉しい。なお、このシリーズは12月に続けて第2弾の『Book1 Aマンガ論序説編』も出ており、こちらは稲垣高広さん単独の著著となっている。

 また、今年は手塚治虫作品の復刻も充実していた。『新寶島』『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』と、手塚作品の中でもこれほどビッグタイトルの初出版復刻が一年のうちに実現するとは、生誕80年記念とはいえ豪華すぎるラインナップだ。もっとも『鉄腕アトム』は一部セリフの変更があるので厳密な意味での初出版完全復刻とは言えないが、それでもわざわざ本誌と付録に分けて連載当時の状態を再現した事は素晴らしい。
 『漫画少年版 ジャングル大帝』は数日前刊行されたばかりだが、50年以上前の雑誌からの復刻とは思えない鮮明な印刷で初期手塚作品らしい緻密な絵が再現されている。『新寶島』復刻もよかったが、復刻の技術としてはこちらのほうが更にがんばっているのではないだろうか。年の瀬の素晴らしい贈り物だ。

 こんな具合にたくさん本が出たものだから、今年は例年に比べて新刊本に使った金額がかなり高くなった。高価な絶版単行本や雑誌を買わなくても名作に気軽に触れられるようになったのだから、これは喜ぶべき事だ。


 次に、今年のアニメについても触れておこう。
 今年もテレビアニメでは色々な作品があったが、この一年で完結した作品の中では『大正野球娘。』が一番面白かった。あまりに気に入ったので、テレビアニメでのBD初購入作品となったくらいだ。池端隆史監督作品らしく、魅力的なキャラクターと画面の隅々までこまかく行き届いた演出で作られており、今も繰り返し観て楽しんでいる。この作品について、ブログでこれまで触れる事が出来なかったのは残念だ。最終回後にまとめ感想くらいは書いておきたかったのだが、時期的にその余裕がなかった。
 逆に、期待はずれだった作品となると、これはもう『涼宮ハルヒの憂鬱』(新作)を挙げるしかない。「笹の葉ラプソディ」まで、いや「エンドレスエイト」の2回目までは楽しく観ていたのだが、その後はすっかり白けてしまった。「エンドレスエイト」8回は京アニの無駄遣いとしか思えない。来年公開の映画『涼宮ハルヒの消失』で、ぜひとも巻き返してくれる事を期待している。

 アニメと言えば、『ゲゲゲの鬼太郎』の不可解な放映終了は、いまだに納得が行かない。「オトナアニメ」Vol.12によれば昨年11月になって急に決まったそうだが、一体どんな「大人の事情」があったのか、ぜひとも知りたいものだ。テレビシリーズも劇場版も面白くて、「100.5話」に位置づけられる劇場版の次の展開を楽しみにしていただけに、終了が決まった時のショックは大きかった。
 『鬼太郎』のようなメジャータイトルですらこのような仕打ちを受けるのだから、フジテレビの全日帯アニメは本当に厳しい状況のようだ。10年前なら枠移動して関東ローカルで放映が続いてもおかしくはなかった。その一方で、テレビ東京はゴールデンタイムで『ヒカルの碁』を再放送するくらいに枠が余っており、局によって状況が違いすぎる。だからと言って今さら『鬼太郎』がテレ東に移るわけにはいかないのだろう。世の中はままならないものだ。



 このように振り返ると、この一年も悪い事ばかりではなかったと思えてきた。いくつか参加したアニメイベントも、それぞれ楽しかった。やはり、人が生きていく上で心から楽しめる娯楽は必要だし、そのような作品に今年も出会えたのは、よかった事だと思う。
 その一方で、その「娯楽」の一つである藤子不二雄作品を通じて知り合った、あるばたいんさんとの別れは、特に悲しい出来事だった。今後は「藤子アニメだいすき!」を残していく事に微力ながら協力していくつもりだ。それは、あるさんの生きた足跡を残す事でもあるのだから。

 ともかく、この「激動の一年」は大晦日をもってリセットして、2010年は気持ちを切り替えて、新たな飛躍の年となるようにしたい。
 これで、今年の当ブログの更新はおしまい。アクセスして下さった皆様、ありがとうございました。よいお年をお迎え下さい。
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『ひだまりないと2』に行ってきた

 東京ビッグサイトでは、本日よりコミケが開催されている。
 ここ何年かは私も冬コミには参加していたのだが、今年は諸般の事情で年末年始は自宅で過ごす事となった。コミケだけでなくオフ会にも行けず非常に残念な気持ちなのだが、致し方ない。

 その代わりと言うわけではないが、26日に新宿ロフトプラスワンで開催された『ひだまりないと2』に参加してきた。
 これは、来年1月からの『ひだまりスケッチ×☆☆☆』放送開始を記念したトークイベントで、タイトルに「2」が付いているのは、すでに昨年6月に1回目の『ひだまりないと』が開かれているため。こちらは、シリーズ2期『ひだまりスケッチ×365』の開始を記念したものだった。
 1回目の『ひだまりないと』には行けずに悔しい思いをしたので今回はぜひ参加したいと、かなり無理をしてチケット入手&スケジュール調整を行い、無事に行く事が出来た。


 当日の会場の様子は、アニプレックスのツイ氏がtwitterを使って実況しており、こちらをご覧になれば大体の内容と流れはおわかりいただけると思う。
 なので、私は思いつくままに自分なりの感想を書いておく。


 まずは、会場のロフトプラスワンの狭さにびっくりした。ここで夜な夜なトークイベントが行われている事は知っていたが、行ったのは今回が初めてだったので、店の構造やシステムなどは全然知らない状態で、独特の雰囲気と人口密度の高さにとまどってしまった。こんなところで飲食の会計はどうするのだろうと心配したが、これは入場時に渡された札の番号でちゃんとコンピュータ管理されており、なるほどと感心した。
 18時に入場してから、ワクワクしつつさんざん待たされて、19時に『ひだまりないと2』スタート。司会はアニプレックスのゆまこと高橋祐馬氏。今年のTBSアニメフェスタでも司会をしており、この人は一宣伝マンと言うだけでなく、ある意味『ひだまり』の「顔」になりつつある感じだ。
 出演は、メイン声優陣から阿澄佳奈・新谷良子のご両名に加えて、その時々の話のテーマに合ったゲストが加わると言う趣向で、TBS田中プロデューサー、marble、ランティス斉藤氏、ひだまりラジオ担当の長田氏が登場したが、今回のテーマが「忘年会」だったせいなのか、みな妙にテンションが高かった気がする。あ、marbleの菊池さんはいつもどおりに無口だったか。
 今、「テーマが忘年会」と書いたが、本当にその通りで、誰かが出てくるたびに何度も乾杯したり出演者も飲み食いしたりと、まさに会場は宴会の雰囲気で包まれており、特に奥の座敷に座っていた人達はよく食べていた(ここは伏線)。

 イベントは3部構成で、第1部では『ひだまりスケッチ×☆☆☆』新PV初公開(冒頭に「コミックマーケット用PV」と堂々とタイトルが出て会場爆笑)、OP主題歌初披露(TVサイズだと思ったらフルコーラス版で、太っ腹だなと思っていたら、ゆま氏も知らなかったらしく2番に入ってから慌てて止める事に)、アフレコ風景についてのトークなど。
 新キャラの乃莉・なずなの声優については「放送で聞いて下さい」との事でガードが堅く、酒が入っているから誰かうっかり口を滑らせないかと期待していたのだが、結局名前が発表される事はなかった。実は、一部のテレビ情報誌には、それらしき名前が二人分すでに掲載されているのだが、もしかしたらゲスト声優の名前を載せているだけかも知れず、確定ではない。
 まあ、TBSの放送まであと10日ほどなので、第1話で登場するならそこで分かるだろう。30~40人が参加したオーディションで選ばれたそうだから、スタッフの人選を信頼して待つとしよう。
 また、第1部では各キャラクターの設定画も披露されて、これが一番印象に残っている。特に、乃莉・なずなの二人についてはノーマル×3・半へちょ・へちょ絵とたくさん見せてくれたが、「この絵で動いたらいいだろうな」と放映開始への期待が高められる出来だった。そう言えば、どのキャラにも野球着の絵があったのが、ちょっと気になった。アニメオリジナルで野球の話があるのだろうか。

 第2部は、marbleのライブで、「芽生えドライブ」「流星レコード」「幸せは365日」、そして新ED「さくらさくら咲く ~あの日君を待つ空と同じで~」の4曲が演奏された。さすがにこの時間は忘年会ムードから離れて、会場が歌に聴き入っていた。
 ただ、marbleの二人の後ろの壁にはアクの強い絵が描かれていて、歌の雰囲気と合っていなかったのはちょっと惜しかったか。新EDはテンポが速くて今までの2曲とは異なるイメージだが、作中で「進級」イベントのある今回のシリーズにはぴったりの詩で、こちらも放送への期待が高まった。

 第3部は、「『ひだまりスケッチ×365』戦略会議」と題して、「会場の客からお知恵を貸していただく」という名目のコーナーだったが、蓋を開けてみれば、ほぼ「サプライズ発表コーナー」だった。
 ここで分かった事:「今回のシリーズからHD制作=BD発売が濃厚」「BD・DVDの特典は巻ごとに各キャラのCD(キャラソンなどを収録予定)」「2月20日にパシフィコ横浜でイベント」「コメンタリーはこれまで通りらしい」と、新キャラの声優が発表されないモヤモヤを吹き飛ばすかのごとくの怒濤の発表の数々だった。あくまで建前は「会議」なので「会場の反響で判断する」と言う事になっていたが、BD発売やイベント開催は会場のほぼ全員が興奮して大歓迎状態。これでDVDしか出さなかったり、イベントが中止になったら暴動が起きそうな勢いだった。と言うか、私自身かなり興奮してしまった。BDはぜひお願いします。
 他に、セルソフトのジャケット(ウメス描き下ろし予定)のキャラクター順をどうするかと言う議題もあり、これについてはゆま氏が真剣にメモを取って10個くらいのアイディアを聞いた上で絞り込み、最後は多数決も取っていた。どうも、本気でアイディアを欲しがっていたようだ。キャラの順番の決め方で「中の人」ネタが続いたので、思わず「胸の大きさ」と言いたくなったが、これは自重しておいた。多分、他にもこれを思いついた人はいたのではないか。結局このネタを挙げる人はいなかったから、ひだまらーは紳士ばかりと言う事なのだろう。

 そして、最後はプレゼント抽選会。
 この抽選のクジは飲食物の追加注文ごとに1枚貰えるシステムだったので、当然ながらたくさん食べたり飲んだりした人ほどクジが多く貰えて、当選確率が上がるという寸法。賞品はサイン入りの「ひだまとめ」、番宣ポスター、超ひだまつりポスター、年賀状だったが、奥の座敷の集団が3,4回連続で年賀状を当ててしまい、「どれだけ食べたの」と突っ込まれていたのが印象的だった。
 また、番宣&超ひだまつりのポスターを2枚ともゲットした人もおり、運のいい人はいるものだとうらやましくなった。ちなみに私はハズレ。クジを2枚しか持っていなかったから仕方がないか。なお、抽選とは別に「サイン無し」の番宣ポスターは「お土産」として全員に配布された。これは嬉しいが、飾る場所が部屋に無いなあ。


 抽選会も終わり、これにて『ひだまりないと2』も終了…と言うところで、ポニーキャニオンの宣伝マン・エコロジ氏が乱入して、1月に行われる「えころじないと」の宣伝をするというハプニング(?)もあり、最後まで笑って楽しめたイベントだった。
 今回、冒頭にも書いたようにかなり無理をして参加したのだが、来てよかったと素直に思える、あっという間の3時間半だった。久々に「楽しい時間は短く感じる」を、身をもって体験できた。本当に、いい「忘年会」だった。アスミスから「ハードひだまらー」認定して貰ったのも嬉しかった。いや、会場の客全員がと言う事ですが。


 東海地区では、『ひだまりスケッチ×☆☆☆』は来年1月14日開始予定。TBSから一週遅れだが、昨年の『ひだまりスケッチ×365』が最終的に3週遅れになりBSにも抜かれた事を思い返すと、今回は実に早く感じる。開始まであと2週間と2日、本当に待ち遠しい。
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年末年始のテレビチェック・2010年東海版

 普段は、テレビ番組表の確認はネットで済ませているのだが、年末年始は編成が大幅に変更になって特番もたくさん入る。なので、やむを得ず今月は月刊テレビ雑誌を買ってきた。これで、少なくとも年内の放送枠変更については大体対応できるだろう。年明けは、「都合により未定」枠があったり、後から番組表自体が変わったりする事があるので、参考程度にみておくべきか。


 とりあえず、番組の変更や特別編成で個人的な注意点を挙げておこう。


・CBCは来週から特別編成で二週間深夜アニメは休み。水曜深夜の2本は、年明けに2話連続放映がある。
・テレビ愛知『夏のあらし! 春夏冬中』は最終回のみ月曜日に放映。自分が観ている範囲では、これ以外の番組は曜日変更は無し。また『ジュエルペット』は1月3日のみ10時30からの放送。
・東海テレビでは夏休みに引き続き『ゲゲゲの鬼太郎』の再放送あり。今回はほぼ穴埋めな不定期放送で、年内は23・28・29・30日、年明けは6・7日に放映予定。それぞれ時間が違う。
・中京テレビ『君に届け』は年明けより水曜深夜に移動。初回は1月6日の第10話。番組最後の「キミトド」コーナーで「やらかしてしまった」回なので、コーナーの放送がどうなるか要注目。


 と、地上波に関してはこんなところか。
 他にも、年をまたいで来年も続く番組は休止をはさむものがあるが、いちいち書いていたらきりがない。レコーダーの毎週録画設定はそのまま放ったらかしで問題ないだろう。
 年末年始は色々な特番がある割に、東海地区ではアニメ特番はほとんどないのが残念だ。ローカルでは三重テレビが元旦にOVA版(多分)の「GATCHAMAN」をやるくらいか。あとは、テレビ愛知が「冬のお楽しみ劇場」として『フランダースの犬』を再放送しているが、個人的には「年末」に合うイメージの作品と思っているので、年が明けておめでたい中で放映されるのはちょっと違和感がある。


 それにしても、年明けの深夜テレビ欄を見ると、しみじみ「アニメが減ったなあ」と思ってしまう。あのテレビ愛知ですら、週に6本しか放映しないのだから、これは相当の激減だ。東海地区全体でも地上波民放の深夜アニメは12本しかない。
 新作アニメが減ったのは東海地区だけでなく、関東でも関西でも減少傾向には変わりはない。まあ、今までみたいに週に20本も深夜アニメをやっていたのが異常だったのかも知れない。個人的には、年明けの来期くらいの本数だとチェックするのにちょうどいい。アニメを視聴する時間が減った分、他に自分にとって有益な事をする時間が増えるのだから、いい事だ。時間は、有限なのだから。
 BSを入れれば「名古屋とばし」の作品も観られるが、しつこく書いているようにまだ受信環境を整えていない。だが、地デジへの対応も含めて、そろそろデジタル受信環境を真剣に考える時期にきているようだ。いつまでも両端が微妙に切れた状態で『ドラえもん』を観ているのも気持ちが悪い。年の暮れに、そんな事を考えてしまった。
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『手塚治虫漫画全集』第3期の迷走?

 『手塚治虫漫画全集』については何度か当ブログで取り上げてきた。今回は、これまで触れられなかった部分の補遺のためのエントリとお考えいただきたい。


 まずは、以前に「『手塚治虫漫画全集』第4期の思い出」を書いた時に本文中で触れた『MW』の第3期での刊行予告をようやく発見したので、ここに載せておく。





 これは『人間昆虫記』第2巻の巻末に載ったもので、この時刊行された4冊のうち次回配本予告が載ったのはこの1冊だけだった。これを探し出すのには随分と手間がかかった。ともかく、これをご覧いただければ、発売一ヶ月前の段階まで第3期で『MW』が出る予定だった事はおわかりになるだろう。
 それが、実際に翌月になってみると『MW』ではなく『ブッダ』の第1巻になっていた。これが1983年4月14日発売だが、驚くべき事にこの時点ではまだ『ブッダ』の連載は完結していない。連載終了はこの年の『コミックトム』12月号であり、もちろん終わらせる目途は付いていたのだろうが、それでもかなり思い切った措置だ。

 では、なぜそこまで無理に(と言っていいだろう)、ギリギリのタイミングで『ブッダ』全14巻をねじ込んだのだろう。それを考察する前に、これをご覧頂きたい。





 これは、全集第2期完結時に『すっぽん物語』の巻末に載った第3期100巻の内容予告だが、実際に刊行された第3期の内容とはかなり異なっている。
 まず、『大空魔王』や『拳銃天使』をはじめとする初期単行本の多くは刊行されないままに終わった。他にも、『MW』『大地の顔役バギ』『流星王子』『とんから谷物語』などは未刊だし、『ブラック・ジャック』は当初の予定から4冊減らされている。『魔神ガロン』は全3巻予定となっているので、おそらく単行本未収録の代筆部分を描き直して収録する予定があったと思われるが、結局第3期では従来のサンデー・コミックスに入っている部分までしか収録されなかった。

 『魔神ガロン』の件はともかくとして、他の多くのタイトルが出なかったのは『ブッダ』に取って代わられたからなのだろう。
 全集最終巻の『手塚治虫講演集』巻末に掲載されている森晴路・手塚プロ資料室長の言葉によると、全集のラインナップは半年ごとに手塚先生ご自身が決めていたそうなので、第3期後半のこの変更も、手塚先生の意向である可能性が高い。
 全集の最後をちょうど完結しそうな大長編で締めくくりたかったのか、それともよほど初期の作品群を出したくなかったのか(『森の四剣士』のトレスなんてひどいからなあ。あれは誰が見ても素人レベル)、真意は今となっては分からないが、第3期では未刊に終わったこれらの作品群に手塚先生ご自身によるカバー絵と「あとがき」が付されなかった点は非常にもったいないと思う。もちろん、代わりに『ブッダ』のあとがきは書き下ろされたが、『ブッダ』一作よりはもっとたくさんの作品の裏話を書いて欲しかった。ほとんどの作品は第4期で刊行されたが、そこに書き下ろしの「あとがき」は無い。まあ、これはファンの勝手なわがままなのだが。

 『ブッダ』の件は極端な例だが、この全集は第2期まではほぼ前月の予告通りに出ていたのに、第3期は予告と微妙に違う本が出る事が他にも何度かあった。たとえば『鉄腕アトム 別巻』全2巻は当初一冊で『鉄腕アトム』第19巻として予告が出ていたし、『SFアラベスク』は『ショート・アラベスク』に取って代わられて、あとから改めて『時計仕掛けのりんご』として刊行された。
 2期までとは違って、第3期は当初の予定だった全300巻を完結させなければいけないために、細かい調整が色々と必要だったのだろう。『鉄腕アトム 別巻』の件などは、単に「小学二年生」版の存在を忘れていただけのような気もするが。

 ともかく、手塚先生と編集部の苦労の跡がうかがえて、第3期の次回配本予告を追っていくと非常に面白い。以前に「初版本へのこだわりと悩み」のエントリで、「初版にこだわる「きっかけ」があった」と書いたが、これが実はこの全集の次回配本予告の有無だったのだ。
 手塚作品を読み進めていき、自分でも書店で新刊本を買うようにもなったが、手塚全集の増刷分では次回配本予告は削除されている。それを知った時、何としても手塚全集は全部初版で集めようと思い、いつしかそれが他の本にも波及してしまったと言うわけだ。
 なお、手塚全集は現在いよいよ完集まで残り2冊となった。全巻揃ったら並べてこのブログに晒すとするか。



 他にも以前のエントリの補遺として、「『手塚治虫漫画全集』の「言葉狩り」」を書いた時に気になっていた点について触れておこう。
 それは、作者死後の言葉の改竄の具体例を挙げられなかった事だ。一応、死後に全集入りした作品として『ブラック・ジャック』の「木の芽」を挙げておいたが、これはおそらく秋田書店の少年チャンピオン・コミックスの方で先に改竄されており、はっきりとした時期が分からない。

 できれば、第4期で初単行本化された作品での「言葉狩り」を紹介しておきたいと思っていたのだが、ようやく一例見つかった。
 それは『ピロンの秘密』で、この作品は手塚治虫ファンクラブ京都の出した「ヒョウタンツギタイムス」に再録されており、そちらでは初出そのままの状態で読める。全集版の85ページでブーメランの説明をするコマがあるが、全集では「武器さ」なのに対して、初出版では「土人の武器さ」となっている。やはり、手塚作品であっても「土人」などの単語はタブーであり、作者不在であっても改竄されてしまうのだ。迂闊にも、この「ヒョウタンツギタイムス」は前から持っていたのに見落としていた。
 第4期では他にも『地球大戦』あたりは、いかにも改竄されていそうな箇所が散見されるので、機会があれば調べてみたい。



 こんな感じで、今回は『手塚治虫漫画全集』について、またまたダラダラと書いてしまった。
 手塚作品については、私などよりもっと詳しい人がたくさんおられるだろうから、今までのエントリも含めて何かおかしな事を書いていたら、ぜひご教授願います。
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あるばたいんさん追悼オフ会に参加

 去る11月29日、東京・新宿にて、あるばたいんさん追悼オフ会が開かれた。
 時期が中途半端なせいか参加の申し込みが芳しくなく、途中までは開催が危ぶまれていたが、最終的には私を含めて9人が集まり無事に開催された。


 このオフ会では、あるさんを追悼すると共に、残されたサイトとブログをどうするかの話し合いが重要な目的だったので、普段のような飲み屋でのダベりではなく、喫茶店の会議ルームで昼からの会となった。このような形式でオフ会を行うのは、3年前の夏の「ドラちゃんのおへや」オフ会以来になる。会話メインのオフ会はいつかまた開きたいと思っていたが、それがこのような機会での開催になるとは夢にも思っていなかった。
 今回は、あるさんと親交のあった人はもちろん、ネットだけでのお付き合いだった方も来られていて、初対面の人もいた。その点では新鮮さがあったが、会の趣旨が趣旨なだけに、あまり素直には喜べない。もちろん、新たな藤子ファンの方と知り合う事が出来たのは、非常に嬉しい事だったのだが。中でも、現在高校生のT君のキャラクターは強烈で、非常に今後が楽しみ(心配?)な人材(?)だと思った。

 会は11時30分から17時30分まで、6時間の長丁場。なのだったが、私が新宿を甘く見て迷ってしまったため、着いたのは12時過ぎになってしまい、皆さんにご迷惑をおかけしてしまった。新宿は東京に来てもあまり訪れないので、こう言う時に土地勘の無さが露呈してしまう。
 それを差し引いても、5時間以上の長丁場だった。参加者は9人もいたので、今後のサイト保存について話し合うだけではなく、それぞれがあるさんとの思い出を語ったり、あるさんと会った事の無かった人とも藤子トークで盛り上がり、あっと言う間に時間が過ぎてしまった。あるさんの思い出は尽きる事が無く、あらためて皆に愛されていた人だったのだなと思った。
 あるさんを追悼するという意味でも、サイトをどうしていくかの方針決定の面でも、十分に充実したオフ会だったと思う。サイトの今後に着いては、これから具体的に動く事になるので詳細は伏せさせていただくが、残していく方向で進める予定となっている。


 なお、この会は私ではなくMiSTTiMES Blogのケデラッタさんが幹事となって進められた。つつがなく会が進行したのは、ひとえにケデラッタさんの手腕あっての事だ。それを、ここに書いておきたい。
 ともかく、参加された皆さん、ありがとうございました。
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