『ミクロイドS』『ジェッターマルス』サントラ発売

 6月24日に、「手塚治虫作品集」の冠を付けてコロムビアより「ミクロイドS ORIJINAL SOUNDTRACK」「ジェッターマルス ORIJINAL SOUNDTRACK」が発売された。
 この2枚のCDは、もともと4月発売予定だったが、6月に延期されていた。コロムビアは以前にアニメ版『どろろ』のサントラを実写映画公開にあわせて発売する予定だったのが発売延期になり、最終的に発売中止になってしまった前科があるので、今回も延期と聞いた時には心配したのだが、無事に発売されて何よりだ。



 2枚とも発売を楽しみに待っていたので、ここ2,3日はヘビーローテーションでずっと聴いている。
 『ミクロイドS』は、ちょうど東映チャンネルでアニメ本編を観ているところなので、すっかり耳に馴染んだ数々のBGMが聴けるのは嬉しい。前番組の『デビルマン』も含めて、三沢郷の音楽には独特の味がある。口で言い表しにくいが、たとえばOP主題歌「ミクロイドS」後半部分のように、非常にスケールが大きく盛り上がる感じが好きだ。

 今回のサントラでは、主題歌のバリエーションが数多く収録されている。中でもボーナストラックとして最後に入っている幻の「ミクロイドZ」バージョンは必聴だ。
 違いはOP・EDの歌詞のうち「ミクロイドS」と歌っている部分が「ミクロイドZ」になっているだけだが、「ミクロイドS」バージョンがすっかり耳に馴染んでいるせいもあってか、今になって「元々はこうでした」と「ミクロイドZ」バージョンを聴かされても、曲の流れに無理を感じてしまう。「エス」と「ゼット」では音が全然違うから当然なのだが。

 『ミクロイドS』が元々『ミクロイドZ』として企画され、アニメ放映開始直前になってタイトルが変更されたのは有名な話だが、『ミクロイドZ』で主題歌のレコーディングまで済んでいたのだから、よほどギリギリの変更だったのだろう。手塚先生も全集あとがきで「「ミクロイドZ」で連載第一回めをかいてしまったこっちにとっては、いい迷惑です」と書いているが、アニメの制作現場もかなり混乱したのではないだろうか。
 同じく全集あとがきによると、最初期に手塚サイドが出したタイトルは『ミクロイド』のみで、「「ミクロイド」だけでは軽い、というわけで、東映はかってに「Z」をつけました」「「なんとかZ」というタイトルのテレビ番組はよくあって、競合する」という理由で最終的に『ミクロイドS』になったそうだが、当時その「なんとかZ」の中で一番有名だった『マジンガーZ』を作っていたのは東映動画なのだから、わざわざ自社作品と競合するタイトルを付けるとは考えにくい。
 手塚先生の自作コメントには、明らかな誤りや矛盾するものも多く、あまり頭から信用すべきではないのだが、この『ミクロイドS』あとがきも、その一つではないだろうか。Wikipediaに記載されている「スポンサーの事情説」の方が、まだあり得そうな感じだ。こちらも確たる情報源はないようだが。

 話を戻すが、とにかく主題歌のバージョン違いが多い。基本は「ミクロイドS」「ヤンマだ、アゲハだ、マメゾウだ」の2曲だけなのに、「Z」バージョンも含めて各4種類、計8曲も入っている。これは、番組にキー局版(26分)とローカル局版(30分)の二種類のフォーマットがあり、それぞれの尺に合わせてテレビサイズが複数存在するためだ。
 ローカル局版のEDに至っては「ヤンマだ、アゲハだ、マメゾウだ」のフルコーラスを丸々流しているが、これは今までCD化されていなかった。多くのオムニバスCDではキー局版OPに合わせて再録音されたアップテンポ版が収録されており、また「TVサイズ!東映アニメーション主題歌集」に入っていたのはテレビサイズより微妙に短い編集版(間奏の一部をカット)だった。
 どうやらローカル局版EDはマスター音源が残っていないらしく、今回のCDでは映像フィルムの音声を使ったようだ。私の安物ラジカセでもはっきりわかるくらいに音質が悪い。これはちょっと残念だが、ようやく正しい「ローカル局版ED・テレビサイズ」がCD化されたのは喜ばしい。



 もう一枚の『ジェッターマルス』は本編は未見だが、主題歌は以前から好きな曲だったので、こちらも楽しみにしていた。
 今回のCDは、前半がソング・コレクション、後半がBGMコレクションで構成されている。本編を観ていないため、BGMは主題歌アレンジ曲以外は今ひとつピンとこないが、前半のソングコレクションは初CD化曲が満載で嬉しい。「メルチバカルチガンバルチ」には、お茶の水博士にしか聞こえないセリフが入っているが、これが川下博士なんだろうな。
 付属のブックレットには、結構詳しい作品解説が載っている。『ジェッターマルス』は以前から気になっていた作品だったが、この解説を読んで、ますます本編が観たくなってしまった。『ミクロイドS』に続けて東映チャンネルで放映してくれたらよかったのだが、『ミクロイドS』の後は『ゲゲゲの鬼太郎』の第1作が予定されている。もちろん大好きな作品だが、DVDを持っているから全然ありがたくない。
 『ジェッターマルス』もDVD-BOXが発売されたが、さすがに全く未見の作品のBOXを買うのはちょっと抵抗がある。懐に余裕があるならともかく、藤子・F・不二雄大全集やアトムのオリジナル版を買うので今は厳しい。『鬼太郎』の後にやってくれれば…と言っても、『鬼太郎』は全65話だから週2話ずつの放送でも半年以上先の話だ。何とかならないものか。



 それはともかく、CDは2枚とも聴き応え十分で満足した。
 コロムビアが音源を持っている作品で、「手塚治虫作品集」のシリーズを、ぜひ続けて欲しい。個人的には『ワンサくん』をお願いしたい。劇中で使われた挿入歌は名曲揃いなので、BGMと上手く組み合わせて本編の流れに沿うような構成でアルバムを出してくれれば非常に嬉しい。DVD-BOXやCS再放送ですらEDの音声が一部カットされるような状況では、難しいのかも知れないが。



7/5 追記

 「ヤンマだ、アゲハだ、マメゾウだ」のフルコーラス(ローカル局版ED)は、CDではすでに「手塚治虫の世界」に収録されていたらしい(私は未確認)。こちらもレコード盤起こしではなくモノラルだそうなので、今回のサントラと同音源の模様。
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大山版『ドラえもん』1997年分ダビングと前回の補足

 大山版『ドラえもん』VHS録画のDVD-RAMへのダビング作業を、久々に再開した。
 昨年、1996年分を全て移したところで中断していたが、この一ヶ月弱でようやく1997年10月分までが終わった。VHSテープは場所を取るので、当面はダビング作業を続けてなるべく早くテープを処分したい。


 昨年以来、作業再開までに時間が空いてしまったのは、1997年~1998年にかけて当時の自宅で名古屋テレビの受信状況が悪くてゴーストがきつく現れており、あまり観返す気になれなかったせいだ。
 それでも、この時期のエピソードは再放送分を含めて大部分がソフト化されていないし、前回のエントリで書いたように、シンエイ動画作品は本放送版のOP・EDが再放送されない事が多いので、可能な限り手元に残しておきたい。特に、新作+再放送の2本立てが当たり前だった『ドラえもん』が本放送通りの形で再放送される可能性は、ほぼ無いと思っておくべきだろう。



 12年前の『ドラえもん』をあらためて観返すと、EDクレジットでは「この人が参加していたのか」と思うような名前も出てくる。本放送当時は何気なく見ていただけに、新たな発見をしたような気分だ。
 アニメファン的には、ついつい京都アニメーションの作画担当回に注目してしまう。京アニが昔からシンエイ動画作品の下請けをこなしてきた事は知られているが、『ドラえもん』において具体的に誰がいつ関わっていたかについては、あまり情報がないようだ。Wikipediaの「京都アニメーション」の項目でも、「制作協力 ドラえもん(テレビ&劇場、1979年-2005年版)」と、非常におおざっぱに記載されている。
 おそらく、1990年代のテレビ版『ドラえもん』を毎回録画して、かつ現在京アニに興味を持っているような人が少ないのだろう。私も、今回のダビングのついでにEDクレジットを観直すまでは、「そう言えば昔から『ドラえもん』にも京アニが関わっていたな」程度の認識だった。

 1996年・1997年放送分に限って言えば、京アニの参加は5~6話に1回程度で、担当は原画・動画・仕上げまで。演出家と作画監督はシンエイ動画のスタッフなので、1話の制作を丸々担当する「グロス請け」ではない。その点では、Wikipediaの記載内容は、誤解を招きかねない。大山ドラで京アニが「制作協力」としてクレジットされたのは劇場版のみで、テレビ版では京アニに限らず「制作協力」として下請けの会社名がクレジットされた事はない。
 これに対して、「作画を丸々担当しているのだから、事実上の制作協力じゃないか」と反論されるかもしれないが、だとすれば、やはり動画を担当した『チンプイ』や『21エモン』が「仕上担当作品」にカテゴライズされているのもおかしい。
 結局、様々な工程の存在するアニメ制作の下請けを、「制作協力」「仕上」の二つだけに分ける事に無理があるのだろう。Wikipediaは誰でも編集できるので情報の集積という点で優れている面はあるが、その反面編集方針に一貫性が無く、データが大ざっぱで誤情報が多く含まれるのは問題だ。テレビアニメで作品ごとに情報量が違うのは当然としても、データの表記方法がバラバラで、見ていて気になる。
 修正したくなるような誤った情報の記載も多々見かけるが、手を出してしまうと自分のサイトを運営する時間が無くなりそうなので、スルーしている。Wikipediaは一見すると権威があるように見えるから、間違いを信じている人も多そうで、ちょっと怖い。

 話がそれてしまったが、1996年・1997年の京アニ担当回は、原画に現在の主力メンバーが多数参加しており、今となっては非常に豪華だ。一例をあげると、1997年3月14日放送「ナスカくん」は、こんなメンバーだった。





 当時の大山ドラでは、原画では会社名は出ない(動画・仕上では社名あり)が、名前を見れば一目で京アニ担当回とわかる。
 しかし、再放送分は脚本・コンテしか個人名が出ず、作画は原画・動画をひっくるめて「作画 ○○」と会社名しか出ないので、誰が参加していたかはわからない。更に、演出家(コンテではなく演出処理の担当)と作画監督の名前も出ないので、場合によっては下請け会社にグロス発注したように見えてしまい、紛らわしい。具体的には、この回など。





 この画面を見て、京アニがグロス請けで作った回だと思う人がいてもおかしくないが、この回も前述のように演出と作画監督はシンエイ動画の人間が担当している(演出/塚田庄英、作画監督/中村英一)。
 Wikipediaの「制作協力」への記載も、このあたりから生じた誤解のせいなのかも知れない。それにしても、この回の作画には誰が参加していたのか、気になる。

 結局、前回書いたのと同じ結論だが、シンエイ動画作品は何をおいても本放送の録画を確保しておくべきだ。『ドラえもん』の場合、DVDでも作画は会社名しか出ず、コンテ・演出・作画監督も名前がまとめて出るだけで担当回が表示されないので、やはりスタッフのチェックには役に立たない。ちゃんと1話ごとにスタッフを表示してくれれば、「ドラちゃんのおへや」のリストも埋められるのだが。



 ここからは、前回の補足として書いておくが、テレ朝チャンネルでは『エスパー魔美』『チンプイ』『21エモン』のEDは本放送版が流れているので、各話のスタッフを確認する事はできる。特に『21エモン』はOP・EDともに各話に対応した本放送版が付いており、テレ朝チャンネルのシンエイ藤子アニメの中では一番まともな状態だ。これで予告が付いていれば言う事無しなのだが。
 『エスパー魔美』の第27話まではEDが存在しないが、こちらはOPが本放送版となっており、各話のスタッフ・キャストも表示されている。第22話「ウソ×ウソ=パニック」ではOPでいきなり「スネ夫 肝付兼太」と出てくるので、最初に見た時は何事かと思ってしまった。

 「ウソ×ウソ=パニック」では『ドラえもん』世界のキャラが『エスパー魔美』にゲスト出演したが、逆パターンとしては『ドラえもん』の「なんでも空港」には、魔美・パーマン・ウメ星デンカが登場した。ただし、原作通りに魔美のセリフはないのは残念なところ。それどころか、原作でジャイアン・スネ夫と会話したオバQの出番が無くなり、ゲストキャラは誰一人としてセリフがないので物足りない。
 しかし、その後『ドラえもん』特番「秋だ一番!ドラえもん TV&映画20周年スーパースペシャル!!」(1998年10月11日放映)の新作ブリッジでは、魔美がパーマン1号とともにセリフ付きでの出演を果たした。





 ブリッジの作画監督はEDに表示されなかったが、絵柄から判断しておそらく富永貞義氏の担当と思われる。だから、魔美もパーマンも違和感なく描かれていた。
 一緒に登場しているウメ星デンカにはセリフが無くてバランスが悪いが、デンカもいるのは「ぼくたちのお話に出た事がある」と、前述の「なんでも空港」の件が紹介されたためだ。
 この特番ではモブで多くの藤子・Fアニメキャラが登場したが、『ドラえもん』と係わりのない声優が呼ばれたのはパーマン1号のみだった。魔美も、声のよこざわさんがドラミ役をやっていなければセリフがなかった可能性が高い。その点では、Q太郎・チンプイ・21エモンもセリフ付きで登場した15周年特番と比べると、見劣りする。

 そして、今年はアニメ『ドラえもん』30周年。秋にも特番があるようだが、さすがに今回は藤子・Fキャラとの共演はなさそうだ。
 大山ドラが続いているならともかく、4年前に始まったわさドラのメンバーに対して、それ以前に放映していた作品のキャラが「30周年おめでとう」と言うのは無理がある。
 20周年特番は、本放送時はゲストが少なくて物足りなかったが、今観返すと魔美とパーマンがオリジナルの声でしゃべっているだけでもかなり貴重に思える。パーマンは平成劇場版の公開時に再びドラ特番に登場したが、魔美はこれが最後の新作アニメ登場だ。
 このようなブリッジアニメも、ソフト化される機会がほとんど無いので、本放送版の録画保存は必須だろう。DVDに収録されたブリッジアニメは、今のところ『チンプイ』劇場版テレビ放映時のものくらいか。1980年代中盤の大晦日特番は多くの藤子キャラが共演しており、これらを観返す事が出来ないのは残念だ。ドラえもんの道具とハットリくんの忍法の対決が当たり前のように描かれていたのだから、いい時代だった。



 最後に、本当にしつこい繰り返しになってしまい恐縮だが、シンエイ藤子アニメは子供の頃に最も熱心に観ていたテレビアニメなので、ぜひ当時の形で観返したい。ブリッジアニメは本編とは別扱いで、素材が散逸しているものも多いようなので今後もソフト化は望み薄だろうが、日曜9時30分の枠で「藤子不二雄劇場」として放映された『忍者ハットリくん』『パーマン』『オバケのQ太郎』の30分版は何とかならないだろうか。
 正真正銘、30分番組として放映された『エスパー魔美』のOPが本放送と異なるような今の状態では、これも無理な願いなのかも知れないが。
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『エスパー魔美』DVD版のOP

 最初に断っておくが、今回の話題は、気にしない人にとっては全く「どうでもいい事」だと思う。
 まあ、このブログで扱う話題全体がそんな感じなのだが、特に今回はその傾向が強いので、以下の文章を読んで「何言っているんだ、こいつ」と思っても、生暖かい目でスルーして下さい。人それぞれ、「こだわる部分」は違うのです。



 わざわざ、こんな断りを入れて何を書くかというと、アニメ『エスパー魔美』のOPについてだ。

 アニメ『魔美』についてはDVDの次回予告未収録問題を当ブログでも取り上げたが、その甲斐あってか(?)、DVD-BOX下巻収録分には次回予告が付いた。その仕様は後に出た単品セル版とレンタル版でも同様で、全20巻のうち11巻以降は次回予告が収録されている。
 最近、ふと最終回の予告を観たくなって、レンタル版の第20巻を借りた。『魔美』DVDは地元のリアル店舗には全然置いておらず、ネットレンタルを利用せざるを得ないのが困った点だが、それはともかくとして、レンタル版20巻にはちゃんと予告が入っており、1990年代の再放送以来、久々に最終回の予告を観る事が出来た。
 「パパ、がんばって! みんな、がんばって!」…やっぱり、これがあると無いとでは大違いだ。テレ朝チャンネルで最終話を観た時の微妙な物足りなさが、ようやく補完できた。こうやってあらためて観ると、予告も立派な作品の一部なのだとよくわかる。
 最終話以外では、「とうとうコンポコの正体が判明するのか?」とだまされた「嵐に消えたコンポコ」の予告も懐かしかった。番組終了が近かったせいもあって、本放送時にこの予告を観た時は本気でそう言う話だと思って期待してしまったのだ。


 このように、DVD後半の巻は、次回予告については問題ない。それより、驚いたのはOPだ。
 DVD-BOXが出てから3年近くが経つが、これまで「OPがおかしい」と言った話を聞いていなかったので、てっきり本放送版のOPが収録されていると思っていたが、実際に収録されているのはテレ朝チャンネルと同じくスタッフクレジットを入れ直した捏造版OPだった。これにはガックリきた。
 「捏造」はよくない呼び方とは分かっているが、自分の愛着のある本放送版の映像とは異なるので、あえてこう書かせていただいた。この捏造版OPは、クレジット表示のタイミングと位置は本放送版に準じているが、フォントが明らかに本放送版と異なり、後から作り直したのが一目瞭然だ。本放送版のフォントは後番組の『チンプイ』とほぼ同じ物が使われている。

 DVD第20巻に収録されているOPは後期の「S・O・S」版のみ。それでは、「テレポーテーション ~恋の未確認~」版はどうなっているのか。それを確認する為に、今度は第15巻を借りてみた。それが昨日届いたのだが、やはりこちらも捏造版OPだった。
 15巻を選んだのは、テレ朝チャンネルで唯一本放送版らしきOP(原作者名が「藤子不二雄F」名義、フォントも当時のもの)が付いた特番用エピソード「マイエンジェル魔美ちゃん」が入っており、捏造版OPとの比較対象として妥当だと思ったから。せっかくテレ朝チャンネルで本放送版OPが付いた「マイエンジェル魔美ちゃん」も、DVD15巻では他の話と同じく捏造版OPに差し替えられている。



 ここまで読んできて「捏造版OPの何が問題なんだ」と思われる方もいるかもしれない。
 私自身が捏造版OPを嫌う理由は、二つある。一つはごく個人的な感情の問題で、「自分が見慣れた懐かしい映像ではない」こと。OPアニメ自体は変わらなくても、そこに被さるスタッフクレジットのフォントが変わると画面全体から受ける印象はかなり違ってくる。
 もう一つは、「スタッフの変遷が分からなくなってしまう」事であり、これは感情だけでは済まされない問題だ。後期OPの「S・O・S」版は使用期間が短かったのでスタッフの変化はないが、「テレポーテーション ~恋の未確認~」版は第28話から第107話まで長期に渡って使われたので、本放送時には途中でスタッフの変更があった。具体的に言えば、最初三人だったプロデューサーが、途中から一人増えて四人になっている。
 にも関わらず、捏造版OPはプロデューサー三人時代のスタッフクレジットを参考に作ったらしく、第107話まで一貫してプロデューサーは三人しか表示されない。「マイエンジェル魔美ちゃん」のOPで比べると、違いがおわかりいただけるだろう。




左・DVD(捏造版)、右・テレ朝チャンネル(本放送版?)



 このように、実際には「テレポーテーション ~恋の未確認~」版OPが使われていた時期にプロデューサーが一人増えているが、現状ではテレ朝チャンネルは「マイエンジェル魔美ちゃん」以外は捏造版OPなので、その時期は分からないし、それはDVDも同様だ。
 本放送版OPへのこだわりを「些細な事」と思う方もいるかも知れないが、大勢の人で作るテレビアニメにおいて、スタッフの移動、変化は見過ごせない要素だと思う。特に、この『魔美』の場合は、原恵一氏と長年にわたって監督、プロデューサーとしてコンビで作品を生みだしてきた茂木仁史氏が、プロデューサーに昇格した時期がわからなくなっているのだから、少し大げさに言えば日本のアニメ史を語る上で必要な情報が欠落してしまっている。

 『魔美』のように捏造版OPを使い回すパターンはあまり聞かないが、DVDにおけるOP素材の使い回しは他にも例がある。例えば『タイムボカンシリーズ 逆転イッパツマン』DVD-BOX1では、初期の未完成版OPを30話全てに付けてしまうミスを犯している。BOX2では完成版が使われたが、時既に遅し。
 現在『イッパツマン』の再放送等はDVD素材が使われているらしく、yahoo動画の無料配信で確認したら確かに第30話でも未完成版のままで、間の抜けた感じだった。
 この件でスタッフが反省したのか、私の持っている『タイムパトロール隊 オタスケマン』『ヤットデタマン』DVD-BOXは、OP映像・スタッフクレジットともに本放送に準じた内容になっているが、『イッパツマン』については残念だ。『魔美』の件といい、手を抜くとこんな事になってしまうのだろう。



 それにしても、『エスパー魔美』DVDに予告の件以外でも問題がまだあったとは。
 もうこの件は蒸し返さないつもりだったが、あまりに驚いたのであえて書かせていただいた。結局、もし下巻に予告が入らなかったら、DVDはテレ朝チャンネル用の素材をほぼそのまま使い回した内容になっていたわけか。今更ながら、あきれてしまった。
 続いて発売された『チンプイ』は、本放送版の前期・後期OPをきちんと対応する話数につけていて、次回予告も全話分収録されており申し分のない内容だったが、やはりこれは『魔美』DVDの失敗を踏まえた上で作られたものだったようだ。両作品とも好きなので、『魔美』が犠牲になった形なのは残念だ。



 しかし、捏造版OPとは言え『魔美』の場合は本放送版に準じたスタッフ表示なので、まだましな方だ。
 シンエイアニメシアターでは、明らかに本放送当時と表示位置も役職も名前も違っており突っ込みたくなる作品が多々ある。一番ひどいのは『パーマン』だろうか。音楽担当者の名前を間違え、本放送時にいたのかも怪しい「シリーズ構成」の役職があり、さらにEDで「ハル三」を「ハルミ」と誤植。いい加減にもほどがある。

 シンエイ動画作品の本放送がどれだけ貴重か、シンエイアニメシアターと『魔美』DVDで思い知らされた。
 子供の頃から親しんだ『ドラえもん』『怪物くん』『忍者ハットリくん』『パーマン』などなどの本放送版のOP・EDが観られる日は、今後果たして来るのだろうか。個々のソフト化でなくても、せめて「主題歌集」のような形で本放送版を観られる機会を作っていただきたいものだ。
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テレビアニメ版『21エモン』を最後まで観た

 ふと思い立って、ここのところテレビアニメ版『21エモン』の後半10話分を観ていた。
 2004年にテレ朝チャンネルで1話から始まった時に最初から観ていたのだが、第29話で何となく視聴を中断してしまい、そのままになっていた。
 それを今になって観る気になったのに、特に理由はない。強いて言えば、今年3月の『ドラえもん』特番で放映された「天の川鉄道の夜」でゴンスケが車掌として登場しており、声がテレビ版『21エモン』と同じ龍田直樹だったので、「『21エモン』は途中だったな」と、心に引っかかっていたような気がする。
 また、「ネオ・ユートピア」の会誌最新号で龍田直樹氏のインタビューがあり、その中でも『21エモン』について触れられていたので、それを読んだのも一つのきっかけだったのかもしれない。


 以前にも書いたが、『21エモン』は本放送時には、ほとんど観ていなかった。
 第1話は『チンプイ』から引き続きで観てみたが、キャラクターデザインが原作とかなり違っていたので「これは原作とはかけ離れている」と思ってしまい、それが気に入らなくて観なくなってしまった。
 それに、第1話のサブタイトルが「僕ドラえもん僕の友達 エモン君の宇宙大冒険!」と、ドラえもんの名前で売り出そうとしている感じなのも、気にくわなかった。藤子・Fキャラとしては21エモンの方がドラえもんよりも先輩なのに、ドラ人気に寄りかかるのはどうかと思ったのだ。たしか、新番組予告にもドラえもんが登場して「大変、ぼくの友達の21エモン君が、テレビに出ているよ」と言っていて、それを観て「これはやりすぎだろう」と思った覚えがある。
 その後、最終話はたまたま観たが、21エモンとルナが結婚して宇宙に出て「つづれ屋 大宇宙支店」開業と言う結末に「やっぱり原作とは違うところへ行ってしまったんだな」と思い、その後再放送もなかった(いや、一回はあったかも)ので、きちんと観直す機会もなかった。
 今にして思えば、本放送当時は完全に原作至上主義だったので、キャラの見た目からそて原作と違っていた事が、テレビアニメ版を受け入れられなかった一番大きな理由だったと思う。

 このように、あまりいい印象を持っていなかったテレビアニメ版『21エモン』だったが、テレ朝チャンネルであらためて第1話から観直してみたら、思っていたよりも悪くない。それどころか、原作を程良く現代風(と言っても1991年当時の「現代」だが)にアレンジしており、テンポがよくて結構面白かった。
 このように印象が変わったのは、『21エモン』本放送の後に『ポコニャン!』『モジャ公』など、オリジナルエピソードばかりでF作品らしさが感じられないアニメ化をたくさん観てきて、私の中での藤子・Fアニメ評価のハードルが下がったせいなのかも知れない。オリジナルがつまらない点では、今世紀に入ってからの大山ドラもかなりのものだった。
 中でも、特に『モジャ公』のアニメ版はひどかった。これまで「好きな漫画のアニメ化」は何度も体験してきて、その都度テレビの前で楽しんだり、つまらなくてがっかりしたりと感想は様々だったが、『モジャ公』はその中でも最もがっかりさせられた作品だった。どのくらい酷かったかを書いてみたいが、長くなるのでやめておく。今回は『21エモン』の話だ。



 その今回の本題、シリーズ後半の10話分について書いておきたい。
 原作の後半と同じく、21エモン・モンガー・ゴンスケの3人で宇宙の旅に出る展開が描かれていたが、これが非常に面白く、10話分を一週間で一気に観てしまった。これまで観ずに放っておいたのを、もったいなく思ってしまったほどだ。
 29話までにも宇宙に出るエピソードはあったが、主にアニメオリジナルエピソードがメインで構成されていたため、あまり際だって面白いと思える話はなかった。あえて挙げれば、第26話・第27話のサルガッソーのエピソードは冒険物としての盛り上がりがあり、スカンレーがいい味を出していた。

 第30話以降では主に原作後半のエピソードがアニメ化されており、自分にとって馴染みのある話であり、どの話も見応えがあった。
 第33話「7627番目の客 幸福の星はパッピーだらけ」は、デカンショ星のエピソードに相当する。原作は結構ハードな展開だったが、パッピー(原作の「ハッピー」)にとりつかれたら首を切断するしかないと言う点もちゃんと描いており、ゴールデンタイムのアニメでよくやったなと感心してしまった。さすがに「首無し人間」は刺激が強すぎるせいか、ダミーの首を付けている設定になっていたが。
 そして、第35話・第36話は『モジャ公』の「ナイナイ星のかたきうち」のキャラクターを入れ替えたエピソード。「空夫のはなくそが特効薬」は汚いせいか改変されたが、それ以外はほぼ原作通り。これで面白くならないわけがないが、アニメでは特にエモンたちを追い詰めるムエの姿が効果的に描かれており、その恐ろしさが上手く演出されていた。本家『モジャ公』のアニメ版があんな事になったのを観てしまった後だと、先にこちらでアニメ化しておいてよかったと思わせられる出来だった。

 何本かアニメオリジナルの話もあったが、こちらも原作付きの話と遜色のないエピソード群だった。
 第34話「太陽が復活する モアモア伝説モンガーの予言」は、モンガーが神とあがめられる展開だったが、これはテレビ版でアニメ化されなかったボタンチラリ星のエピソードを連想させられる(こちらはゴンスケが神になったが)。それはともかく、わずか20分ほどで一つの星の神話を描いてしまうのだから、贅沢な話の作りだ。
 事実上の最終話にあたる第37話・第38話もアニメオリジナルだが、原作で描かれていた「宇宙船内でイモが異常成長して、エモンたちが遭難する」展開が取り入れられている。この例に限らず、シリーズ全体を通して原作をかなり大きくアレンジしている話もあるが、根底では原作を尊重している部分がわかり、あくまで藤子・F作品『21エモン』をアニメ化なのだという姿勢が伺われるところが原作ファンとしては嬉しい。


 後半を観て思ったが、あきらかにシリーズ前半よりもスタッフ・キャストともにノっていて、かなりテンションが高い。テレビ版『21エモン』は宇宙冒険に重点を置いたシリーズと言えるだろう。
 どの話も出来がよく、この作品のスタッフに、原作に沿った形で『モジャ公』をリメイクしてほしいとまで思ってしまった。
 『モジャ公』と言えば、第29話で登場したモンガーの無限トランクの設定は、モジャ公の何でも飲み込める体質を連想させられる。この設定は、第30話以降の本編ではあまり活かされていたとは言い難い。放映がもっと続いた場合に『モジャ公』の他の話をアレンジする事も視野に入れて、モンガーにモジャ公的な体質を取り入れたのだろうか。そうだとしたら、3クールでの終了はもったいなかった。



 また、本作のキャラクターデザインについても、再度考えてみた。
 『エスパー魔美』『チンプイ』と、同じ枠で富永貞義・堤規至両作画監督(この場合はキャラクターデザイン・総作画監督的な立場)の手により原作に近いデザインが続いていたところへ、作画監督が高倉佳彦に交替して『21エモン』のあのデザインが登場したため、特に「原作と違う」点に違和感を覚えたのだと思う。
 しかし、『チンプイ』と『21エモン』では原作の執筆年代に大きな開きがあり、絵柄はかなり違う。『チンプイ』の後に『21エモン』を原作に忠実なキャラデザインでアニメ化したら、『チンプイ』までの路線から大きく方向転換する事になり、原作を知らない視聴者からは、かえって「イメージが違う」「絵が古臭い」と思われる可能性があったと思う。そのため、今までの路線を引き継ぎ、発展させる意味も含めてあのキャラデザインに決まったのではないだろうか。

 原作『21エモン』は、特に主人公の21エモンがあか抜けず野暮ったい顔をしているが、彼やその他の登場人物・宇宙人達が、一見ほのぼのとした雰囲気の中で巻き起こすドタバタ騒動がすっとぼけた味を出しており、それが原作の魅力だと思う。「ウッシシ密輸団」なんて、まさにあの時のF先生にしか描けず、また『21エモン』の作品世界でないと描けなかった話だろう。
 それに対して、テレビアニメ版はテンポの良さが売りになっており、その点で原作と雰囲気が異なる。あの作風であれば、あのキャラクターデザインでちょうどよかったのではないか。原作は原作、アニメはアニメで根は一つでありながら、それぞれが一つの作品世界として成立している。違いはあっても、どちらも『21エモン』なのだ。エモンの顔が『エスパー魔美』の竹長くんに見えてしまう(声も同じ)などの問題もあるが、見慣れればアニメ版のキャラデザも悪くない。



 私がそうだったように、テレビ版『21エモン』は「食わず嫌い」をしている人が藤子ファンの中にも結構いるのではないだろうか。またいずれテレ朝チャンネルで再放送するだろうから、機会があったらぜひ観ていただきたい。極端な話、原作を知っていれば途中からでも問題はないので、3クール目だけでも見ておく価値はある。
 とは言っても、藤子アニメとしてはかなり癖の強い作品だろう。原恵一監督の仕事としては、初監督作品だった『エスパー魔美』より、その前の『ドラえもん』演出時代に手がけたドタバタ味の強いエピソードに近い味がある。観る人を選びそうなので、キャラデザインの件を抜きにしても全然合わなくて駄目、と言う人もいるかもしれないが、それは好みの問題なので仕方がない。

 『エスパー魔美』『チンプイ』とDVD化されて、次は『21エモン』だろうと予想していたが、なかなかこれは出ない。『魔美』や『チンプイ』に比べれば、特番もないからDVD化しやすそうなのに、不思議だ。まさか、また次回予告が見つからないなどの問題があるのだろうか。
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『鉄腕アトム《オリジナル版》復刻大全集』刊行決定

 近年、手塚治虫作品の貴重な復刻版を出してきたジェネオン・ユニバーサル・エンタテインメントから、『鉄腕アトム《オリジナル版》復刻大全集』が発売される事になった。

 『アトム』は、現在の単行本では初出の原形をとどめていないことはファンにとっては有名で、以前からぜひ初出版の単行本は出して欲しいと思っていた。
 だから、この本が出ると知った時は「とうとう来たか、絶対買わなくては!」と思ったのだが、上のリンク先の商品ページで詳細を見て、びっくりした。全6ユニットで1ユニットが14,900円とは、想像以上の値段だ。
 てっきり潮出版社の『鉄人28号 原作完全版』のように普通に書店に並ぶ本かと思ったし、あのように出してくれれば一番集めやすいのだが。


 よくよく詳細を確認してみると、単に「少年」初出版を復刻して単行本にまとめ直すだけではなく、初出が付録だった回はその付録を丸々復刻してボックスに収納するなど、徹底的に「オリジナル版」にこわだっており、しかも部数は2,000部限定だ。
 3月に出た『手塚治虫 予告編マンガ大全集』(こちらも2,000部限定)は350ページで税込6,825円だった。それに対して、今回の『アトム』は各ユニットが1,000ページを超える。単純にページ数だけで比較はできないが、『予告編マンガ大全集』以外の過去の復刻本と比較しても、滅茶苦茶にふっかけた値段とは言えない。今回は1ユニットのボリュームが大きいから、こんな値段になってしまうのだろう。

 現実的に懐具合を勘定してみると、9月から三ヶ月毎の発売なので、一月当たり5,000円とすれば払えない値段ではない。それに、『アトム』の初出誌を、付録を含めてすべて自分で集めた場合の手間・費用と比較すれば、間違いなくお買い得だ。
 『アトム』ほどの有名タイトルとなれば、この復刻大全集を出した後に、前述の『鉄人28号 原作完全版』のような手軽に買える普及版が出ないとも限らないが、今のところはそのようなものが出る保証もない。買わないで後悔するよりも、思い切って買っておくべきか。問題は値段だけで、読んでがっかりと言う事はないのだし。
 こうなると、『藤子・F・不二雄大全集』の一括払いは見送らざるを得ない。当初の予定通り、近所の書店に注文して、毎月本と引き替えに払う事にしよう。



 なお、『鉄腕アトム』の初出版は、これまでにも部分的には復刻されている。

 光文社文庫『「少年」傑作集』には「気体人間の巻」「空飛ぶ摩天楼の巻」「コバルトの巻」「□□□□から来た男の巻」「1/2人間の巻」「火星から帰ってきた男の巻」(以上、第1巻)、「ゴメスの亡霊の巻」(原作のみ担当、絵は虫プロ)(第3巻)、「ロボット流しの巻」(第4巻)、「フランケンシュタインの巻」(小説・絵物語篇)が収録された。このシリーズの第5巻は『忍者ハットリくん』が300ページ近くにわたって復刻されているので、藤子ファンにもお薦めの本だ。
 1997年に出た『鉄腕アトム ORIGINAL』では増刊号掲載の作品を中心に9話が復刻され、カラーページも再現されている。セリフの一部に改変があるので初出の完全復刻とは言えないが、今までは貴重な本だった。

 他に、『鉄腕アトム Happy Birthday Box』にも別冊付録の復刻版が3冊入っているが、これは買わなかったので現物は読んでいない。ただ、『アトム大使』の初出版を完全復刻した「鉄腕アトム誕生!大全」だけは古書店でバラで入手できた。

 このように『アトム』の初出復刻は小出しにされていただけに、今回の復刻大全集はとうとう来たかと言いたい。
 『「少年」傑作集』では「□□□□から来た男の巻」で内野純緒の代筆回がそのまま収録されていたが、今回の復刻大全集では石森章太郎がかなり手伝った「電光人間の巻」や、大部分を桑田次郎が代筆した「アルプスの決闘の巻」も、そのまま復刻されるのだろう。これも初出版復刻ならではのもので、ちょっと楽しみだ。



 それにしても、『藤子・F・不二雄大全集』と刊行時期が被るとは、タイミングがいいんだか悪いんだか。7月からは毎月5,000円をF全集購入用、さらに9月からは毎月10,000円をF全集+アトム復刻購入用として、ちゃんと家計を管理しなくては。
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