ここのところ何度も書いているが、『藤子・F・不二雄大全集』の刊行開始が待ち遠しい。
今回のF全集に期待する事はたくさんあるが、細かい点を抜きにしても、大好きな漫画家の全集が長期間にわたって毎月発売され、その中には単行本未収録作品が多数含まれており、これまで読めなかった作品を読む事が出来るのだ。それだけで十分にワクワクする。
昔も、こんな気持ちになった事があったと思い出されるのは、1993年1月から刊行された『手塚治虫漫画全集』の第4期だ。
手塚全集第4期は、手塚先生の生前に刊行された1~3期300巻から漏れた作品と、第3期完結後に描かれた作品を対象に収録した「完結篇」であり、ここで初単行本化あるいは初復刻された作品も含まれていた(『アトムキャット』など)ので、当時第3期までの作品の大部分を読んでいた私にとっては待望の刊行開始だった。
と言っても、今のようにネットで事前に情報を得る事はなく、ファンクラブに入っていたわけでもないので、私が第4期の刊行開始を知ったのは、第1回配本が発売になってからだった。
それは、忘れもしない1993年1月17日。何の気無しに「週刊少年マガジン」を読んでいたら、広告ページに手塚全集第4期刊行開始の告知が出ているのを見つけた。「第1回配本 1月16日発売」の文字を見て「昨日じゃないか、もう出ているのか!」と慌てて本屋に急いだのを、よく覚えている。
そして買ってきた第1回配本の『MW』第1巻と『アトムキャット』を既刊の全集の横に並べると、当たり前だがこの2冊だけがきれいで、まさに新たなスタートという感じがして期待に胸が高まった。
第1回配本の2冊には、第5回配本までの予定と第4期全体の刊行予定作品を載せたチラシが挟み込まれていた。これは、今でも大切に取ってある。
縦長のチラシなので、一部をご紹介しておく。
刊行予定作品を見ると、初期単行本の『森の四剣士』『拳銃天使』『火星博士』や、初単行本化の『大地の顔役バギ』、第3期で中断して続きが気になっていた『魔神ガロン』第3巻以降など、読むのが楽しみなタイトルが満載だった。
中には、『ミッドナイト』『プライム・ローズ』『七色いんこ』『火の鳥』など既刊の単行本を持っている作品もあったが、「全集」なのだから収録内容が他社とダブるのは当然で、これは仕方がない。
ともかく、「(第3期までの)全集未収録作品が毎月読める」のだから、予定を見て期待に胸が高まった。
ちなみに、第1回配本の『MW』は、元々は第3期で刊行予定だった作品で、予定の前月に予告も出ていたのだが、なぜか『ブッダ』に変更となった経緯があった。『MW』と『ブッダ』じゃ作品の方向性が正反対だ。『ブッダ』で14巻も使ってしまったせいで、他にも第3期開始当初にラインナップに入っていたにも関わらず、出なかった作品は多い。
それを知っていたため、第4期の最初に『MW』が出たのは、これで仕切直しをして今度こそ第3期で出せなかった作品もちゃんと刊行するぞとのスタッフの意気込みのあらわれではないか、などと思ってしまった。
『手塚治虫漫画全集』第4期(第301~400巻)が完結したのは、1997年12月。実に、丸5年間にわたっての刊行だった。
月2冊配本だったから本来は4年で終わるはずだったが、途中からは1冊しか出ない月もあったため、刊行ペースが遅くなった。月1冊になった時に「このまま、ちゃんと続きが出るのだろうか」と、ちょっと不安になった覚えがある。
第4期の終盤には漫画作品以外を収めた「別巻」も17冊刊行されたが、これは当初の刊行予定にはなかったものだ。この別巻との兼ね合いもあって、刊行作品の編成を組み直す必要があり、そのため月1冊にペースを落として出さざるを得なかったかも知れない。別巻以外では、『冒険ルビ』『ロストワールド 私家版』『ワンサくん』は、刊行開始当初の予定にはなかった作品だった。
逆に、予定に上がっていながら第4期でも刊行されなかった作品もある。初期単行本『キングコング』『怪盗黄金バット』の2作だ。後者は国際児童文学館で名著刊行会の復刻版を読んでみたが、作中で「きちがい」を連発しているのがまずかったのだろうか。
黄金バットが正義の味方ではなく女賊という設定は面白く、特に発表当時としてはユニークだったのではないだろうか。それだけに、全集に入らなかったのは惜しい。ただ、絵はレベルの低い描き版なので、せっかくの手塚悪女キャラが台無しなのだが。
いずれにせよ、5年間にわたって手塚全集は毎月の楽しみだった。最初は刊行開始から一日出遅れたものの、ほぼ刊行期間の全てに付き合った。発売日に新刊で買い揃えた手塚全集は第4期だけなので、非常に思い出深い。
漫画の全集と言えば『藤子不二雄ランド』もあったが、これは刊行開始時に小学生だったので毎週380円出して買えるわけもなく、中学生になってから少しずつ集め出したので、リアルタイムで揃えた思い出はない。
『藤子不二雄Aランド』は毎月発売日に買っていたが、こちらは基本的にFFランドの復刻だったので、次は何が出るのかなどでワクワクさせられる事はなかった。
やはり、毎月買い続けて全巻揃えた全集としては、手塚全集4期に一番強い思い入れがある。
7月からのF全集は、手塚全集以上に「全集」としてF作品を網羅した内容になりそうなので、期待は大きい。久々に「全集を毎月揃えていく楽しみ」を味わう事が出来るのだ。繰り返しになるが、7月24日が待ち遠しい。
今回のF全集に期待する事はたくさんあるが、細かい点を抜きにしても、大好きな漫画家の全集が長期間にわたって毎月発売され、その中には単行本未収録作品が多数含まれており、これまで読めなかった作品を読む事が出来るのだ。それだけで十分にワクワクする。
昔も、こんな気持ちになった事があったと思い出されるのは、1993年1月から刊行された『手塚治虫漫画全集』の第4期だ。
手塚全集第4期は、手塚先生の生前に刊行された1~3期300巻から漏れた作品と、第3期完結後に描かれた作品を対象に収録した「完結篇」であり、ここで初単行本化あるいは初復刻された作品も含まれていた(『アトムキャット』など)ので、当時第3期までの作品の大部分を読んでいた私にとっては待望の刊行開始だった。
と言っても、今のようにネットで事前に情報を得る事はなく、ファンクラブに入っていたわけでもないので、私が第4期の刊行開始を知ったのは、第1回配本が発売になってからだった。
それは、忘れもしない1993年1月17日。何の気無しに「週刊少年マガジン」を読んでいたら、広告ページに手塚全集第4期刊行開始の告知が出ているのを見つけた。「第1回配本 1月16日発売」の文字を見て「昨日じゃないか、もう出ているのか!」と慌てて本屋に急いだのを、よく覚えている。
そして買ってきた第1回配本の『MW』第1巻と『アトムキャット』を既刊の全集の横に並べると、当たり前だがこの2冊だけがきれいで、まさに新たなスタートという感じがして期待に胸が高まった。
第1回配本の2冊には、第5回配本までの予定と第4期全体の刊行予定作品を載せたチラシが挟み込まれていた。これは、今でも大切に取ってある。
縦長のチラシなので、一部をご紹介しておく。
刊行予定作品を見ると、初期単行本の『森の四剣士』『拳銃天使』『火星博士』や、初単行本化の『大地の顔役バギ』、第3期で中断して続きが気になっていた『魔神ガロン』第3巻以降など、読むのが楽しみなタイトルが満載だった。
中には、『ミッドナイト』『プライム・ローズ』『七色いんこ』『火の鳥』など既刊の単行本を持っている作品もあったが、「全集」なのだから収録内容が他社とダブるのは当然で、これは仕方がない。
ともかく、「(第3期までの)全集未収録作品が毎月読める」のだから、予定を見て期待に胸が高まった。
ちなみに、第1回配本の『MW』は、元々は第3期で刊行予定だった作品で、予定の前月に予告も出ていたのだが、なぜか『ブッダ』に変更となった経緯があった。『MW』と『ブッダ』じゃ作品の方向性が正反対だ。『ブッダ』で14巻も使ってしまったせいで、他にも第3期開始当初にラインナップに入っていたにも関わらず、出なかった作品は多い。
それを知っていたため、第4期の最初に『MW』が出たのは、これで仕切直しをして今度こそ第3期で出せなかった作品もちゃんと刊行するぞとのスタッフの意気込みのあらわれではないか、などと思ってしまった。
『手塚治虫漫画全集』第4期(第301~400巻)が完結したのは、1997年12月。実に、丸5年間にわたっての刊行だった。
月2冊配本だったから本来は4年で終わるはずだったが、途中からは1冊しか出ない月もあったため、刊行ペースが遅くなった。月1冊になった時に「このまま、ちゃんと続きが出るのだろうか」と、ちょっと不安になった覚えがある。
第4期の終盤には漫画作品以外を収めた「別巻」も17冊刊行されたが、これは当初の刊行予定にはなかったものだ。この別巻との兼ね合いもあって、刊行作品の編成を組み直す必要があり、そのため月1冊にペースを落として出さざるを得なかったかも知れない。別巻以外では、『冒険ルビ』『ロストワールド 私家版』『ワンサくん』は、刊行開始当初の予定にはなかった作品だった。
逆に、予定に上がっていながら第4期でも刊行されなかった作品もある。初期単行本『キングコング』『怪盗黄金バット』の2作だ。後者は国際児童文学館で名著刊行会の復刻版を読んでみたが、作中で「きちがい」を連発しているのがまずかったのだろうか。
黄金バットが正義の味方ではなく女賊という設定は面白く、特に発表当時としてはユニークだったのではないだろうか。それだけに、全集に入らなかったのは惜しい。ただ、絵はレベルの低い描き版なので、せっかくの手塚悪女キャラが台無しなのだが。
いずれにせよ、5年間にわたって手塚全集は毎月の楽しみだった。最初は刊行開始から一日出遅れたものの、ほぼ刊行期間の全てに付き合った。発売日に新刊で買い揃えた手塚全集は第4期だけなので、非常に思い出深い。
漫画の全集と言えば『藤子不二雄ランド』もあったが、これは刊行開始時に小学生だったので毎週380円出して買えるわけもなく、中学生になってから少しずつ集め出したので、リアルタイムで揃えた思い出はない。
『藤子不二雄Aランド』は毎月発売日に買っていたが、こちらは基本的にFFランドの復刻だったので、次は何が出るのかなどでワクワクさせられる事はなかった。
やはり、毎月買い続けて全巻揃えた全集としては、手塚全集4期に一番強い思い入れがある。
7月からのF全集は、手塚全集以上に「全集」としてF作品を網羅した内容になりそうなので、期待は大きい。久々に「全集を毎月揃えていく楽しみ」を味わう事が出来るのだ。繰り返しになるが、7月24日が待ち遠しい。
3期までに未収録だった作品は『少年探偵ロック・ホーム』と『とんから谷物語』でけっこう回収されましたが、いわゆる「大人向け作品」はかなりの数が未収録のままなので、4期で出してほしかったですねえ。
わたしも講談社全集未収録作品を集めようと思い、現代コミックの手塚治虫集を入手しました(「大日本帝国アメリカ県」収録)。収録作品のラインナップなら『雑巾と宝石』に入っててもおかしくないと思うのですが、やはり内容がまずかったのか、とも思います。
この辺りの作品はほとんどが単行本にすら収録されてないようですね。『タダノブ』なんて個人的に幻の作品です。
ただ、ヒョウタンツギタイムスの珍復刻特集12、13には未収録作品がかなり入ってるようなのでぜひ欲しいのですが、なかなか見つかりません。
『異邦人』収録の『よろめき動物記』(奇想天外文庫)が某フリマサイトにあるのですが、文庫なので迷っています。
奇想天外社の単行本は『上を下へのジレッタ』や藤子不二雄『ヒゲ男』なども出てるのに、なんでわざわざ文庫で出したのか不思議です。
ちなみに『ヒゲ男』に関しては「内気な色言葉師」が衝撃でした。
「タダノブ」は『コミック伝説マガジン』の4号に全話復刻されていますので、そちらを探されてはと思います。
「大日本帝国アメリカ県」が入った手塚治虫集は私も入手しましたが、現代では精神病をネタにしている点がまずそうですね。精神病患者を主人公にした「どろだらけの行進」も未収録ですし。
「異法人」については、『ばるぼら』のオリジナル版に収録されましたので、そちらを買われた方がいいかもしれません。
今後も、未収録作品の単行本化は期待したいですが、なかなか難しいかもしれません。