「『三井家が伝えた名品・優品』第1部 東洋の古美術」 三井記念美術館

三井記念美術館
「開館15周年記念特別展 『三井家が伝えた名品・優品』第1部 東洋の古美術」 
2020/7/1~7/29



三井記念美術館で開催中の「開館15周年記念特別展 『三井家が伝えた名品・優品』第1部 東洋の古美術」を見てきました。

2005年10月、東京・日本橋の三井本館7階に開館した三井記念美術館は、今年で15周年を迎えました。それを期して行われているのが「三井家が伝えた名品・優品」で、現在の第1部では、中国絵画や墨跡、陶磁器、ないし中国の碑拓法帖(ひたくほうじょう)など東洋の古美術品が出展されていました。

冒頭の立体展示室の茶道具からして充実していました。ここではいずれも重要文化財である「粉引茶碗(三好粉引)」や「玳皮盞(鸞天目)」などの朝鮮や中国のうつわが並んでいて、とりわけ前者の「粉引茶碗(三好粉引)」のかけ残した釉薬の箇所が、あたかも笹の葉がひらりと舞い降りたような表情をしているのに心を惹かれました。まただだ1点のみ展示された「唐物肩衝茶入 北野肩衝」を正面から眺めると、ちょうど梅の枝が左右に伸びつつ、花を咲かせているような景色が思い浮かびました。何とも味わい深い茶入ではないでしょうか。

中国の書画では沈南蘋の「花鳥動物図」が圧巻でした。ここでは11幅の全てが公開されていて、写実的でかつ緻密な描写による、可愛らしくも、いささか艶かしく、ともすれば妖しげな動物や植物などを存分に見やることができました。私自身、この作品にかつて接して、印象深かったことを覚えていますが、数枚での展示だったため、全てが揃って並んでいるのを見たのは初めてでした。

今回の展示で思いがけないほどに魅力を感じたのは、中国の古拓本(碑拓法帖)でした。いずれも新町三井家九代である三井高堅の収集した古拓本が20点近くも並んでいて、戦国から後漢、そして隋から唐へ至った篆書、隷書、楷書などの様々な書法を見比べられました。なかなか普段馴染みがなく、見る機会も少なかったただけに、特に興味深かったかもしれません。

ラストの工芸においても中国や朝鮮の陶磁や金工、それに漆器の優品が多数出展されていて、まさにお宝揃いとも言えるような内容でした。改めて三井記念美術館のコレクションの奥深さを思わせるような展示だったかもしれません。


「三井家が伝えた名品・優品」展は第1部と第2部の2部制です。第1部「東洋の古美術」を終えると、全ての作品が入れ替わり、第2部「日本の古美術」が行われます。

開館15周年記念特別展 『三井家が伝えた名品・優品』
第1部:東洋の古美術 2020年7月1日(水)~7月29日(水)
第2部:日本の古美術 2020年8月1日(土)~8月31日(月)

同館では開館以来、5年ごとに節目の特別展を開催してきましたが、15年目の今回は初めて東洋と日本の美術に分けて紹介したそうです。一期一会の機会と言えるのではないでしょうか。



最後に三井記念美術館の新型コロナウイルス感染症対策に伴う情報です。入館に際してはマスクの着用が求められ、検温、手指の消毒の他、任意で連絡先の電話番号の聞き取りがあります。但し事前予約制は導入されていないため、開館時間内であればいつでも入場できます。



また開館時間を11時から16時までと短縮していて、金曜のナイトミュージアム、及び団体での受付を中止しています。(入館は閉館の30分前まで。)お出かけの際はご注意ください。



7月29日まで開催されています。おすすめします。

「開館15周年記念特別展 『三井家が伝えた名品・優品』第1部 東洋の古美術」 三井記念美術館
会期:2020年7月1日(水)~7月29日(水)
休館:月曜日。1月27日(日)。年末年始(12/26~1/3)。
 *但し12月24日(月・休)、1月14日(月・祝)、1月28日(月)は開館。
時間:11:00~16:00
 *短縮開館を実施。
 *毎週金曜のナイトミュージアムを中止。
 *入館は閉館の30分前まで。 
料金:一般1300円、大学・高校生800円、中学生以下無料。
 *団体受付を中止。
 *リピーター割引:会期中、一般券、学生券の半券を提示すると、2回目以降は団体料金(一般200円引、大学・高校生100円引)を適用。
場所:中央区日本橋室町2-1-1 三井本館7階
交通:東京メトロ銀座線・半蔵門線三越前駅A7出口より徒歩1分。JR線新日本橋駅1番出口より徒歩5分。
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