『ユージーン・スタジオ 新しい海』 東京都現代美術館

東京都現代美術館
『ユージーン・スタジオ 新しい海』
2021/11/20〜2022/2/23



東京都現代美術館で開催中の『ユージーン・スタジオ 新しい海』を見てきました。

寒川裕人(1989年、アメリカ生まれ)によるアーティストスタジオであるユージーン・スタジオは、近年、国内外で展示を行うほか、能のインスタレーションや短編映画で評価されるなど幅広く活動してきました。

そのユージーン・スタジオの国内の美術館における初個展が『新しい海』で、平面から彫刻、また映像にインスタレーションなど新旧の作品が一堂に公開されていました。


『ホワイトペインティング』シリーズより

まず目に飛び込んでくるのが、『ホワイトペインティング』と名付けられた、一見何も描かれていないように思える真っ白なカンヴァスの連作でした。いずれも表面はフラットで特に絵筆の跡なども見られず、ただ白い面のみが広がっていました。

実際は世界各地のさまざまな都市にて、約40名、あるいは100名を超える人々に声をかけながら、カンヴァスに口づけをしてもらった作品で、そこには国や地域、また信仰を超えた人々の行為が蓄積されていました。現在はコロナ禍において、各国を自由に行き来することはおろか、人同士が接触すること自体も忌避されていますが、人間の本来のコミュニケーションのあり方を示すような作品といえるかもしれません。


『海庭』 2021年

続くアトリウムに出現したのが『海庭』で、鏡面に囲まれた中を一面の水が満たしていました。水の冷ややかな感覚を感じつつ、瞑想を誘うような静謐な空間を前にしていると、いつしかここが美術館であることを忘れるかのようでした。
 

『レインボーペインティング』シリーズより

『海庭』を抜けて白く明るい展示室へと進むと、淡いグラデーションによって色彩が描かれた『レインボーペインティング』シリーズがあり、その奥にはドラムやなどの楽器によって築かれた『あるスポーツ史家の部屋と夢 #連弾』と題したオブジェが展示されていました。


中央:『あるスポーツ史家の部屋と夢 #連弾』 2014年

そして周囲には、真鍮に特殊な加工を施した金属にオイルパステルや油絵具、鉛筆を用いたドローイングの『私にはすべては光り輝いて映る』が並んでいて、さも金色の無限の地平や花々が広がるような景色を見せていました。


『私にはすべては光り輝いて映る』より

それらは『レインボーペインティング』と同様、淡い光を空間へと放ちながら、観客の姿を取り込みながら姿を変えていくかのようで、表面の繊細な質感にも目を引かれました。一部の絵画においてはモネが晩年に描いた睡蓮の世界を思わせるかもしれません。


『私は存在するだけで光と影がある』より

こうした繊細な質感表現は『私は存在するだけで光と影がある』でも見られて、淡い緑色と白の面が奥行きを伴いつつ絶妙なコントラストを描いていました。


中央:『この世界のすべて』 2021年

これは紙へ翠色の水性染料を塗り、折り曲げて多角柱にしたのち、太陽光に曝して退色させたもので、影の部分が翠色に保たれることでグラデーションが生み出されました。いわば光によって生じた環境や状況そのものを表現として示した作品かもしれません。


『善悪の荒野』 2017年

今回の個展で最も目立っていたのが、映画『2001年宇宙の旅』のラストシーンに現れる部屋を再現した『善悪の荒野』としたインスタレーションでした。


『善悪の荒野』 2017年

ここではテーブル、椅子、油彩が、燭台、大理石の柱などの調度品がガラスケースの中に納められていて、映画とは異なり、すべては破壊、焼失されたものとして再構成されていました。


『善悪の荒野』 2017年

一面に白く壊れたオブジェの広がる光景は、近未来の世界というよりも、人の生きた痕跡はほぼ失われた古代の遺跡のようにも見えるかもしれません。モノリスこそ存在しませんが、映画のショッキングなラストシーンを彷彿させるものがありました。


『ゴールドレイン』 2019年

金箔と銀箔の粒子が流砂のように舞い降りる『ゴールドレイン』も美しい作品ではないでしょうか。暗闇の中、強弱を繰り返しながら落ちる粒子はかげろうのようで、しばらく目にしていると有機物が象られていくような錯覚に囚われました。


『ユージーン・スタジオ 新しい海』会場風景

平成生まれの作家としては、東京都現代美術館で初めての個展でもあるそうです。アトリウムの水盤、また連続する白を基調とした展示室など、統一感のある全体の空間構成も印象に残りました。

会場内、一部の撮影が可能でした。2月23日まで開催されています。

『ユージーン・スタジオ 新しい海』 東京都現代美術館@MOT_art_museum
会期:2021年11月20日(土)〜2022年2月23日(水・祝)
休館:月曜日。但し2022年1月10日、2月21日は開館。年末年始 (12月28日〜1月1日 )、1月11日。
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1300円、大学・専門学校生・65歳以上900円、中高生500円、小学生以下無料。
 *予約優先チケットあり。
 *MOTコレクションも観覧可。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分。都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー

ギンザ・グラフィック・ギャラリー
『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』
2021/12/10~2022/3/12



ギンザ・グラフィック・ギャラリーで開催中の『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』を見てきました。

1914年にルーマニアで生まれたソール・スタインバーグは、イタリアのミラノで建築を学ぶと、同地で風刺新聞に関与するも、ファシスト政権の反ユダヤ政策を逃れてアメリカへと渡りました。

そして戦後はニューヨークに居を構えて『The New Yorker』誌の仕事に携わり、グラフィックや漫画の世界で幅広く活動しました。

そのソール・スタインバーグの日本初の個展が『シニカルな現実世界の変換の試み』で、会場にはニューヨークのソール・スタインバーグ財団より寄贈されたポスターやリトグラフをはじめ、ドローイングの複製など約280点もの作品が展示されていました。



まず目を引くのが、まるで線が遊ぶように連なるドローイングで、人や図形的なイメージ、それに文字などを交え、絵自体が動くように展開していました。



またコラージュとしても面白い作品が少なくなく、例えば『グラフ用紙の建築』では、建物の街並みの一部を文字通りグラフ用紙で表していました。



『The New Yorker』の表紙を飾った『鼻』では、机の前で椅子に座る男性が左手で鼻を顔から外すような仕草を描いていて、シュールともいえるような光景を生み出していました。まるで顔の一部をスパッと切り取っているようにも見えるかもしれません。



いずれも一見、シンプルなドローイングでありながらも、ものの形やあり様、さらには固定観念を覆すようなイメージが生み出されていて、意外性や不条理といった要素も作品の魅力として感じられました。



地下の展示室にて並んでいたポスター類も面白いかもしれません。そのうち音楽に関するポスターでは五線譜を用いてドローイングを展開していて、まさにモチーフそのものが音楽を奏でていくようなリズムも得られました。



子どもの絵からクラシック、表現主義、構成主義など、あらゆる領域を行き来したスタインバーグの作風はまさに変幻自在といえるかもしれませんが、一転して写実的とも受け止めるような作品がある点も見逃せませんでした。これほど「引き出し」の多いアーティストもなかなか存在しないかもしれません。


予測不能で変幻自在なイメージ。アメリカの”描く文筆家”、ソール・スタインバーグの日本初個展が開催中。|Pen Online



会場内の撮影もできました。3月12日まで開催されています。

『ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み』 ギンザ・グラフィック・ギャラリー@ggg_gallery
会期:2021年12月10日(金)~2022年3月12日(土)
休廊:日曜・祝日。年末年始(12月28日〜1月5日)
時間:11:00~19:00
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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「佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在」 水戸芸術館

水戸芸術館 現代美術ギャラリー
「佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在」
2021/11/13~2022/1/30



水戸芸術館 現代美術ギャラリーで開催中の「佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在」を見てきました。

現代美術家の佐藤雅晴は、カメラで撮影した日常の風景をパソコン上のペンツールを用い、なぞるようにトレースしたアニメーションの映像で知られ、かねてより国内外の展示にて作品を発表してきました。

2010年からは茨城県取手市に拠点を構えながらも、その直後より癌が発覚し、闘病生活を送りながら制作を続けてきましたが、2019年に惜しまれつつも45歳の若さで亡くなりました。

その佐藤の創作の全体像を紹介するのが「佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在」で、初期の映像から亡くなる直前まで描き続けた『死神先生』シリーズなど、映像26点と平面38点の計64点の作品が公開されていました。

まず冒頭の展示室にて展示されていたのは、1990年代後半から2010年頃までの比較的早い時期の作品で、とりわけ佐藤が実際に見た夢をモチーフにしたという『TRAUM』に目を引かれました。


『TRAUM』 2004-2007年

ここではドイツのデュッセルドルフを舞台に1人の青年が展望台に辿りつつ、そこから開ける街の光景と無意識下の情景が交錯するように展開していて、昆虫が重要な役割を果たすなど、シュールとも呼べる映像が築かれていました。


『I touch Dream #1』 1999年

大学卒業後に渡独した佐藤は、国立デュッセルドルフ・クンストアカデミーに研究生として在籍し、約10年間同地にて滞在していて、最初期の『I touch Dream #1』などドイツ時代の作品も興味深いものがありました。


『calling(ドイツ編)』 2009-2010年

『Calling(ドイツ編)』とはデュッセルドルフで撮影した日常の光景を素材とした作品で、無人の駅のプラットホームなど、誰もいない空間に電話のベルが鳴り響く12の場面をアニメーションとして表現していました。


『calling(日本編)』 2014年

この『Calling』はのちに日本を舞台とした映像も『日本編』として制作され、和室の一角やカラオケボックス、それにオフィスなどを背景に、同じように電話のベルのみがまるで空間を割くように寂しく鳴っていました。


『東京尾行』 2015-2016年

ドビュッシーの「月の光」を奏でる自動演奏のピアノを囲むように映されていたのが、12チャンネルの映像に90の光景を映した『東京尾行』の連作でした。


『東京尾行』 2015-2016年

そこには公園や厨房、またレストランで食事をする人、さらには国会前の交差点の光景などが映されていて、いずれも実写を交えてモチーフのみがアニメーションとして表現されていました。一部の作品においてはアニメと実写との関係は曖昧で、どこがアニメでリアルなのかを探りながら見ていくのも面白く思えました。


『東京尾行』 2015-2016年

佐藤は初期の映像はすべてトレースにて制作していましたが、『東京尾行』からは部分のみをアニメーション化する方法をとっていて、それがむしろ現実と虚構の間を彷徨うような独特の情景を生み出していました。


『福島尾行』 2018年

この『東京尾行』に続くのが、東日本大震災後の福島を舞台としたのが『福島尾行』で、原発事故に伴う帰宅困難地域やフレコンバッグが積み上がる横を常磐線の特急が走る光景を描いてました。


『福島尾行』 2018年

また『福島尾行』においても同じく自動演奏のピアノが置かれていましたが、一切の音は発せずに、ただ無音の鍵盤のみが動いていました。


『ダテマキ』 2013年

佐藤は震災後の福島をたびたび取材していて、津波の被害を受けて再建したいわき市の蒲鉾工場の製造ラインをモチーフにした『ダテマキ』を制作しました。


『ダテマキ』 2013年

かき混ぜ、わけ、ならし、焼いてはうつわから出すといった、ダテマキの自動製造工程を7つのチャンネルで映していて、無機的な光景ながらも終始見入ってしまうような独特の魅力が感じられました。


「死神先生」シリーズ

ラストに並ぶのが、佐藤が生前最後の個展作品として公開した『死神先生』の連作で、9点のアクリル画と時計のオブジェにて構成されていました。


「死神先生」シリーズから『ガイコツ』 2018年

これは闘病生活において映像制作が困難になったものの、創作意欲こそ失わなかった佐藤が、自宅のチャイムやスイッチ、それに寝室から見上げた夜空などを描いたもので、すべての作品に佐藤本人がコメントを添えていました。それらは穏やかな語り口ながらも、半ば死を悟った佐藤の内面がにじみ出ているようで、何ともやるせない気持ちにさせられました。


『バイバイカモン』 2010年

代表的な『東京尾行』や『福島尾行』、それに『ダテマキ』のみならず、ドイツ時代から亡くなる前の作品を追うことで、佐藤の幅広い制作を俯瞰できるような内容だったかもしれません。


『バインド・ドライブ』 2010-2011年

暗がりの中、電話のベルや『月の光』などを耳にしつつ、それぞれの作品を見ていくと、いつしか佐藤が映像で描いたパラレルワールドへと引き込まれるような錯覚に囚われました。


『SM』2015年

また鑑賞ガイドに佐藤を知るためのキーワードとして「ループ」や「トレース」、それに「シンクロ」とともに、佐藤本人も好きだったという「ホラー」が挙げられていましたが、どことない寂寞感や一抹の恐怖感を覚えるような展示でもありました。


会場内は一部の作品を除いて撮影が可能でした。1月30日まで開催されています。

「佐藤雅晴 尾行-存在の不在/不在の存在」 水戸芸術館 現代美術ギャラリー@MITOGEI_Gallery
会期:2021年11月13日(土)~2022年1月30日(日)
休館:月曜日。年末年始(12月27日~1月3日)、ただし1月10日(月・祝)は開館し、1月11日は休館
時間:10:00~18:00 
 *入館は17:30まで。
料金:一般900円、団体(20名以上)700円。高校生以下、70歳以上は無料。
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
交通:JR線水戸駅北口バスターミナル4~7番のりばから「泉町1丁目」下車。徒歩2分。
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『フランソワ・ポンポン展』 群馬県立館林美術館

群馬県立館林美術館
『開館20周年記念 フランソワ・ポンポン展』 
2021/11/23~2022/1/26



20世紀前半のフランスの彫刻家フランソワ・ポンポンは、50歳を過ぎてから動物の彫刻を手がけると、形態を単純化した革新的な作品として評価され、亡くなるまでの10数年間に渡ってさまざまな彫刻を作り続けました。



そのポンポンの日本初の回顧展が群馬県立館林美術館にて開かれていて、初期から晩年までの石彫、ブロンズ、石膏、デッサン約90点に加え、同館の所蔵する関連作品などが公開されていました。

まず最初は若きポンポンが手がけた作品で、ヴィクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」に登場するコゼットを象った彫刻などが並んでいました。1855年にブルゴーニュに生まれたポンポンは、20歳にしてパリへ出ていて、ロダンの工房では大理石の下彫り職人として活動しました。

この頃のポンポンは『コゼット』に見られるように、ロマン主義的とも写実的ともいえる彫刻を作り出していて、後年の丸みを帯びた動物彫刻とは作風が大きく異なっていました。



ポンポンが動物をモチーフにした作品を手がけたのは、1895年に彫刻家のルネ・ド・サン=マンソーの助手を務め、ノルマンディー地方の田舎で多くの時間を過ごすようになってからのことでした。そしてパリでも動物園に通いながら動物の絵葉書などを購入していて、1906年には初めて動物の彫刻を発表しました。

当初、具象的ともいえる彫刻を作っていたポンポンは、野外の逆光に照らされた動物の輪郭線に美しさを見出したと伝えられていて、古代エジプトや日本美術、また中世の頭頂彫刻などの影響を受けながら、細部を省略した動物の彫刻を手がけるようになりました。


ポンポンが一躍脚光を浴びたのは、長さ2.6メートルもの『シロクマ』を出品した1922年のサロン・ドートンヌでした。当時、毛並みなど写実的な表現が多かった動物彫刻の中、流麗なフォルムと滑らかな質感を特徴としていて、世の中から大きく称賛されました。古典的でありながら、アール・デコの要素を感じさせつつ、のちのモダニズム彫刻の観点も垣間見える点に、ポンポンの動物彫刻の魅力があるのかもしれません。

会場でも『シロクマ』や『ヒグマ』、それに『キリン』などのブロンズ像が並んでいて、どこかかわいらしくも映る中、例えば『シロクマ』では地に足をつけてのっしのっしと歩くような重厚感も感じられました。



さて今回のポンポン展は、昨年の京都を皮切りに、名古屋、そして館林にて開かれてきた全国巡回展ですが、私が館林で見ようとしたのは理由があります。



それはそもそも同館がポンポンの作品を多くコレクションしている上、ポンポンのアトリエの雰囲気を当時の写真の元に表した「彫刻家のアトリエ」が公開されているからでした。



「彫刻家のアトリエ」には、ブルゴーニュ地方の一般的な農家の納屋の雰囲気が模されていて、ポンポンは20歳から亡くなるまでパリを拠点にしていたことから、入って右側の部分にはパリの芸術家向けの住宅の部分の様子が示されていました。



中にはポンポンの関連資料から選ばれた塑像台、道具箱、机などが置かれていて、レプリカやアンティーク品とともに、ポンポンが実際に使ったものもありました。*「彫刻家のアトリエ」は撮影可。



この他、道具類の実物や彫刻作品の製作プロセスを追う展示も充実していたのではないでしょうか。日本初の回顧展とするに不足はありませんでした。



1月26日まで開催されています。なお館林での展示を終えると、千葉県の佐倉市立美術館(2022年2月3日~3月29日)へと巡回します。

『開館20周年記念 フランソワ・ポンポン展』(@pompon_ten) 群馬県立館林美術館@gunmatatebi
会期:2021年11月23日(火・祝)~2022年1月26日(水)
休館:月曜日(ただし1/10は開館)、12/29(水)~1/3(月)、1/11(火)
料金:一般900(720)円、大高生450(360)円、中学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) 
住所:群馬県館林市日向町2003
交通:東武伊勢崎線多々良駅から徒歩約20分。東武伊勢崎線館林駅からバス多々良巡回線にて「県立館林美術館前」からすぐ。バス停「多々良公民館南」からは徒歩約15分。
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『RED 堀清英 写真展』 シャネル・ネクサス・ホール

シャネル・ネクサス・ホール
『RED 堀清英 写真展』
2022/1/19~2/20



シャネル・ネクサス・ホールで開催中の『RED 堀清英 写真展』を見てきました。

愛知県に生まれ、ニューヨークで写真を学んだ堀清英は、ファッションやカルチャー誌などで活動し、ライブ写真からポートレートと幅広く作品を発表してきました。

その堀の新旧の写真から構成されたのが『RED』と題した展覧会で、初公開の『RED』をはじめ、1990年以降の写真や手製のフォトブックなどが展示されていました。



まず目に飛び込んでくるのが鮮烈なまでに赤く染まった空間で、そこには今回の表題作である35点の『RED』が展示されていました。



いずれも赤いワンピースを身につけた1人の女性を写していて、ほとんどは手で顔を隠すように鏡を持っているため、表情を伺うことはできませんでした。



それは堀本人こそ写されていないものの「自分自身を投影した、セルフポートレート」とされていて、まさに神出鬼没ならぬ、街中や公園、水が抜かれたプールやバーと思しき店内などを瞬間移動するように行き来していました。



また左右から視点を変えることで異なったイメージが浮かび上がる作品もあり、まるで人が分身しているようなシュールな雰囲気も感じられるかもしれません。



続くのが「WHITE」と題した純白のスペースで、モノクロとカラーを問わず、1990年以降に撮影された比較的小さな写真が100点ほど並んでいました。



そこには人物から戸外の光、また舞台の一場面を思わせるような光景が写し出されていて、顔でリンゴを隠すように持つ女性など『RED』を連想させる作品もありました。



その「WHITE」を進むと「GRAY」と名付けられた行き止まりのスペースが広がっていて、額装された写真からフォトブック、さらに映像作品などが展示されていました。



「RED」から「WHITE」、それに「GRAY」と変化する空間構成からしてドラマテックで、あたかも堀の仕事を時間をさかのぼるようにして追うことができました。



「自身の写真作品はサイコロの眼のように偶発的に導かれたピクチャーポエムである」堀清英



予約は不要ですが、混雑時は入場が制限される場合があります。



会期中は無休です。2月20日まで開催されています。

『RED 堀清英 写真展』 シャネル・ネクサス・ホール
会期:2022年1月19日(水)~2月20日(日)
休廊:会期中無休。
料金:無料。
時間:11:00~19:00。 
 *最終入場は18:30まで。
住所:中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅A13出口より徒歩1分。東京メトロ有楽町線銀座一丁目駅5番出口より徒歩1分。
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『白井晟一 入門 第2部/Back to 1981 建物公開』 渋谷区立松濤美術館

渋谷区立松濤美術館
『開館40周年記念 白井晟一 入門 第2部/Back to 1981 建物公開』
2022/1/4~1/30



渋谷区立松濤美術館で開催中の『開館40周年記念 白井晟一 入門 第2部/Back to 1981 建物公開』を見てきました。

1905年に京都で生まれ、京都高等工芸学校(現、京都工芸繊維大学)図案科を卒業後、ドイツで哲学を学んだ白井晟一は、帰国後の建築家の道へ進んだだけでなく、装丁や書家としても幅広く活動しました。

白井が晩年に手がけたのが、赤みの帯びた花崗岩の外観でも知られる『渋谷区立松濤美術館』で、1981年に開館して以降、多くの展覧会を開いては地域を超えた人々に親しまれてきました。

その松濤美術館の開館40年を期して行われているのが『白井晟一 入門 第2部/Back to 1981 建物公開』で、白井が蒐集した調度や美術品とともに、白井がイメージした当初の姿に近づけて建物が公開されていました。



正面からエントランスを抜け、まず姿を見せるのが4階層を貫く吹き抜けのブリッジで、下には噴水の泉が水をたたえ、見上げれば楕円形の空を望むことができました。



当初はブリッジを渡って展示室へと入るように構想されましたが、建築の途中にて変更されたため、ブリッジの先は基本的に閉鎖された状態にありました。



それを今回は開放していて、ブリッジを渡り、扉から地下1階の第1展示室を見下ろす回廊へと進むことが可能でした。また現在、回廊から展示室へ降りることはできず、左側のドアがロビーへと通じていますが、最初の案では階段を設置して、第1展示室へ行くことができるように計画されていました。



今でこそエントランスから小さな窓が見えるロビーを経由し、階段、もしくはエレベーターで展示室へ行くように動線が築かれていますが、ブリッジから回廊、展示室へと至るように構想された当初案とは大きく異なっていたようでした。



手すりや曲線が特徴的な螺旋階段を経由し、地下へと降りると主陳列室である第1展示室が広がっていて、通常、覆われている噴水側の仮設壁面が取り外されて公開されていました。



天井高が6.4メートルある展示室は楕円形の構造をしていて、一般的なホワイトキューブとは大きく違っていました。私自身、何度も地下の展示室で作品を鑑賞したことがありますが、普段と異なって外の光が差し込むゆえか、開放感があるように思えました。



再び螺旋階段へと戻って地下2階へと降りると、水屋を備えて茶室として使用できる和室が公開されていました。



これは白井自身が気に入り、度々訪ねてはくつろいでいたスペースとされているものの、開館後に茶室と使われたことはありませんでした。



白井のデザインによる照明が灯る螺旋階段を上がり、今度は2階へ進むと「サロンミューゼ」と「特別陳列室」の2室に分かれた第2展示室が広がっていました。



「サロンミューゼ」は松濤美術館で最もユニークな展示室で、白井が選んで配置した革製のソファが置かれ、邸宅の居間のような雰囲気が築かれていました。また手前にカウンターがあり、かつて喫茶スペースとして用いられていました。



そして白井の書や愛蔵品、またスタンドやタレストリーなどの調度があしらわれていて、よりプライベートな空間が築かれているように思えました。ソファに腰かけては「サロンミューゼ」の重厚な雰囲気を楽しむのも良いかもしれません。



今回の建物公開展を通じて感じたのは、ブリッジや窓を多用して、外部空間を内部へと取り込んでいることでした。また湾曲しながら引き込む正面のアプローチと、吹き抜けのある内部は有機的に連なっているようで、中へ入ると建物に包まれるような雰囲気が感じられました。



また随所に設置された鏡の存在が建物内部の空間に変化を与えているようで、鏡に写り込む景色が殊更に印象深く思えました。それに螺旋階段の白井による照明が生み出す影も独特な雰囲気を醸し出していたかもしれません。



入館についての情報です。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、土・日曜日、祝日、 および最終週(1月25日〜30日)は日時指定制が導入されました。



私も事前に予約して1月11日の祝日の夕方に出かけましたが、入館時に改めて確認するとすでに予約の上限に達していました。今後、土日から会期末に向けて予約が早々に埋まる可能性があります。



一部エリア(事務室やトイレなど)を除き、ほぼすべての撮影ができました。


1月30日まで開催されています。

『開館40周年記念 白井晟一 入門 第2部/Back to 1981 建物公開』 渋谷区立松濤美術館@shoto_museum
会期:2022年1月4日(火)~1月30日(日)
休館:月曜日。但し1月10日は開館。1月11日(火)。
時間:10:00~18:00 
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1000(800)円、大学生800(640)円、高校生・65歳以上500(400)円、小中学生100(80)円。
 *( )内は渋谷区民の入館料。
 *渋谷区民は毎週金曜日が無料。
 *土・日曜、祝日は小中学生が無料。
場所:渋谷区松濤2-14-14
交通:京王井の頭線神泉駅から徒歩5分。JR線・東急東横線・東京メトロ銀座線、半蔵門線渋谷駅より徒歩15分。
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『ミヤケマイ×華雪 ことばのかたち かたちのことば』 神奈川県民ホールギャラリー

神奈川県民ホールギャラリー
『ミヤケマイ×華雪 ことばのかたち かたちのことば』
2021/12/20~2022/1/29



神奈川県民ホールギャラリーで開催中の『ミヤケマイ×華雪 ことばのかたち かたちのことば』を見てきました。

伝統的な美意識や工芸的手法を用いた作風で知られるミヤケマイは、展覧会を開くだけでなく、企業とのコラボレーションや執筆を行うなど幅広く活動してきました。そして書家の華雪は、ライブパフォーマンスや書籍の題字などを手がけながら、文字を使った表現の可能性を探りつつ作品を作り続けてきました。

その2人の芸術家が邂逅したのが『ミヤケマイ×華雪 ことばのかたち かたちのことば』で、書や舟を用いたインスタレーションなどの多様な作品が展開していました。


ミヤケマイ『天の配列』 2020年

まず冒頭に展示されていたのは、石やガラスによる『天の配列』と題した作品で、水の入ったガラス玉からは白く眩い光が放たれていました。



重く不透明な石と透明で繊細なガラスは美しいコントラストを描いていて、まるで石からガラス玉が吹き出しては生成しているようにも見えました。そもそもガラスの硝石は石からできるために親子のような関係にあるのかもしれません。


ミヤケマイ『呉越同舟』 2021年

これに続く大展示室では、水と舟を用いた大規模なインスタレーション『呉越同舟』が展開していて、海に見立てた暗がりのスペースの中、金属箔を帆に貼った三隻の小舟が置かれていました。



そして帆にはさまざまなことばが断片的に浮かび上がっていて、実際に舟へ乗って読むことができました。また舟に乗ると波のせせらぎやカモメの鳴く音、それに子どもたちの遊ぶ声などが聞こえてきて、しばらくことばを読みながら音に耳を傾けていると、いつしか舟に乗って別の世界へと誘われていくかのようでした。



展示室のいくつかの柱のそばには水の入れられたバケツが置かれていて、水の影が柱に反射しながら穏やかにたゆたう波のような光景を生み出していました。それこそ月明かりの中、小舟に乗りながら、静かに波打つ海へと身を委ねているような感覚に近いかもしれません。


華雪『木』 2021年

華雪による書のインスタレーション『木』も迫力があったのではないでしょうか。東日本大震災以降、各地のワークショップに招かれたという華雪は、参加者が心に残った「木」を表現した書を振り返りながら、改めて自ら会場で「木」を書いていて、まさに個々の木が連なっては森を築き上げていました。



また震災の津波で残った木に関するエピソードなどもテキストで紹介されていて、一本一本の木に込められた人々の思いを垣間見ることもできました。



こうした『木』を制作する華雪を映した映像も公開されていて、まさに一心不乱、あたかも何かが憑依したように全身を動かしながら書を記す姿を目の当たりにできました。それこそ紙と筆、また華雪本人とが一体となって書が生み出されていると言っても良いかもしれません。

今回の展示で私が特に興味深かったのは、ラストのミヤケマイの『オラクル』と『検眼機』と名付けられた作品でした。


ミヤケマイ『オラクル』 2014年

まず『オラクル』とは壁に大小さまざまなシャーレを設置した作品で、手前にはペンライトが吊るされていました。ただその状態ではシャーレのみしか見ることはできず、一体何が表現されているのか分かりませんでした。


ミヤケマイ『検眼機』 2021年

一方の『検眼機』とは、古いレンズを収納したキャビネットに、検眼に用いられる眼鏡を模した液晶ディスプレイを2つ並べた作品で、眼鏡は白く発光していたものの、やはり肉眼では何も見ることができませんでした。また手前には4つのルーペが置かれていました。



これらはともにペンライトをシャーレに照らし、ルーペで眼鏡をのぞき込むことで初めてことばが浮かび上がる作品で、はっきりと見えないからこそ、かえって一言一句のことばの重みが感じられるかのようでした。



書と現代美術が「ことば」を通して響き合いながら、詩的で瞑想を誘うような展示といえるかもしれません。ゆったりした時間の流れを感じつつ、ことばを噛み締めながら作品に見入りました。


予約は不要です。1月29日まで開催されています。

『ミヤケマイ×華雪 ことばのかたち かたちのことば』 神奈川県民ホールギャラリー@kanaken_gallery
会期:2021年12月20日(月)~2022年1月29日(土)
休館:木曜日、12/28(火)、年末年始(12月30日~1月4日)
時間:10:00~18:00 *入場は閉場の30分前まで。
料金:一般800円、学生・65歳以上500円、高校生以下無料。
住所:横浜市中区山下町3-1
交通:みなとみらい線日本大通り駅3番出口より徒歩約6分。JR線関内、石川町両駅より徒歩約15分。横浜市営地下鉄関内1番出口より徒歩約15分。
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『横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」』 ポーラ ミュージアム アネックス

ポーラ ミュージアム アネックス
『横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」』
2021/12/10〜2022/1/30



ポーラ ミュージアム アネックスで開催中の『横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」』を見てきました。

現代美術家の横溝美由紀は、かねてから国内の美術館にて場所を活かしたインスタレーションを手がけ、近年はキャンバスのシリーズにも取り組んで作品を発表してきました。

その横溝の新作を含む作品で構成されたのが『Landscape やわらかな地平のその先に』で、キャンバス11点と彫刻のインスタレーションが展示されていました。



まず会場中央にて目を引くのが『aero sculpture』で、約4000個にも及ぶ半透明の箱が煉瓦のように積み上がっていました。



いずれもセロハンテープとプラスチックシートを用いて作られていて、触ることこそ叶わないものの、薄い皮膜のような弾力を帯びているようでした。また周囲の光を取り込んでは白く瞬いているように見えるのも美しいかもしれません。



この『aero sculpture』を囲むようにして壁に展示されたのが、キャンバスを用いた平面の作品でした。



そのうち『landscape S040.001.2021-study for Clumps of Glass by Vincent van Gogh』には、細かい傷のような色の線が全体を覆うように広がっていてオール・オーヴァーの抽象画を連想させるものがありました。

とはいえ、これは例えばポロックのようなドロッピングの技法ではなく、油彩を施した糸を無数に指で弾くことによって描いていて、それぞれの線は織物のように重なりながらイメージを築いていました。また重なり合う線は刻み込まれた彫刻の痕跡のようで、絵具の飛沫や色の重なりは半ば偶然性に委ねられていました。

それにタイトルに『Gogh』とあるように、ゴッホの描いた絵画の色彩を思わせる面もあって、抽象の向こうに草むらなどの自然の景色が見え隠れしているようでした。



1本1本、無数の線を弾いていく作業には途方もない集中力や労力が込められているようで、長い時間の蓄積も感じられました。


予約は不要です。1月30日まで開催されています。

『横溝美由紀「Landscape やわらかな地平のその先に」』 ポーラ ミュージアム アネックス@POLA_ANNEX
会期:2021年12月10日(金)〜2022年1月30日(日)
休館:年末年始(12月29日〜1月4日)。
料金:無料
時間:11:00~19:00 *入場は18:30まで 
住所:中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階
交通:東京メトロ有楽町線銀座1丁目駅7番出口よりすぐ。JR有楽町駅京橋口より徒歩5分。
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『クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]』 東京都現代美術館

東京都現代美術館
『クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]』 
2021/11/20~2022/2/23



東京都現代美術館で開催中の『クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]』を見てきました。

1955年にアメリカのカルフォルニアに生まれたクリスチャン・マークレーは、サンプリングやコラージュの手法で作品を手がけ、音楽や美術の分野を横断しながら活動してきました。そして『ザ・クロック』にて第54回ヴェネチア・ビエンナーレ(2011年)金獅子賞を受賞するなど評価を得ると、近年はロンドンを拠点に世界各地の美術館にて展示を行ってきました。


『リサイクル工場のためのプロジェクト』 2005年

まず冒頭の『リサイクル工場のためのプロジェクト』では、都市の廃棄物がリサイクル工場で金属片に分解される光景をモニターなどで映していて、終始、聴覚を揺さぶるような金属音が鳴り響いていました。


『リサイクルされたレコード』 1979〜1986年

続く『リサイクルされたレコード』では、レコードをパズルのように切り貼りしてはコラージュしていて、本来的に量産品であるレコードを一点ものオリジナルな作品へと改変していました。マークレーにとってサンプリングとは、既存のイメージや音を抽出して再構成するもので、異なる領域を翻訳するように行き来しながら、作品を生み出してきました。


『架空のレコード』 1988〜1997年

また複数のレコードジャケットを埋め込んだりして操作した『架空のレコード』は、既存のレコードジャケットを変容させた作品で、クラシック音楽などのジャケットが思いも寄らないイメージへと転化していました。なおマークレーは学生時代に路上で落ちているレコードを見かけたことから、DJとしての活動をはじめたとしていて、レコードを素材とした作品が多く見られました。


『マンガ・スクロール』 2010年

日本のマンガから引用したオノマトペに着目した作品も面白いかもしれません。『マンガ・スクロール』とは、漫画のオノマトペを切り抜いて横へ繋げたコラージュの作品で、絵巻のように連なるモチーフは図案楽譜として機能するように作られていました。


『サラウンド・サウンズ』 2014〜2015年

そのオノマトペを引用した無音の映像インスタレーションが『サラウンド・サウンズ』で、コミックからスキャンされたさまざまな文字が、音響的な特性を伴うアニメーションとして4面の壁へ映し出されていました。


『サラウンド・サウンズ』 2014〜2015年

それらはまるで生き物のように変容しながら、スピーディーに展開していて、無音の空間ながらもオノマトペの洪水の中へと巻き込まれていくかのようでした。スケールが次々と変わる光景が音の強弱のように感じられるのも楽しいかもしれません。


『叫び』 2018〜2019年

同じくマンガのイメージをコラージュしたのが『叫び』で、ムンクの絵画ならぬ人が叫ぶ様子を木版にて表現していました。いずれも大きく口を開けたキャラクターが、無数の断片的な線を背景に力強く浮き上がっていて、まさに叫びが視覚化されていました。


『フェイス』 2020年

『フェイス』もコミックを切り抜いた小さなコラージュの作品で、オノマトペを顔の輪郭や髪の毛になぞらえながら、叫び声をあげる人間の姿を作っていました。これらはコロナ禍の中での2020年に制作されたとのことでしたが、それこそマスクに隠れてしまった怒りや不安といった多様な感情が巧みに表現されていたかもしれません。

今回の個展にてハイライトを飾っていたのは、4チャンネル・ビデオによる約15分弱の映像作品、『ビデオ・カルテット』でした。


『ビデオ・カルテット』 2002年

ここでは古今東西の映画から音にまつわるさまざまなシーンがコラージュされて映されていて、ロック、オペラ、ミュージカルなどの映画の断片が音の素材として扱われつつ、まったく新しい音楽として築かれていました。


『ビデオ・カルテット』 2002年

その中には楽曲のみならず、例えば何かを倒したり壊す音までも盛り込まれていて、ジャンルを横断しつながらハプニング的に展開する光景は予測不可能な魅力に満ちていました。


『ビデオ・カルテット』 2002年

これぞ視覚と聴覚を交差させながら、新しいイメージを作り上げるマークレーの傑作と呼べる作品なのかもしれません。ワーグナーのマイスタージンガーの前奏曲や銅羅との意外な邂逅や、オペラのアリアと人の叫びなど、思わずにやりとさせられるようなウイットに飛んだ展開も見逃せませんでした。


新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、都立文化施設の一部休止の方針により、1月12日から「MOTコレクション Journals 日々、記す vol.2」が休室となりました。一方で企画展『Viva Video! 久保田成子展』、『クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]』、『ユージーン・スタジオ 新しい海』については通常通り開室しています。

一部の撮影も可能でした。2月23日まで開催されています。

『クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]』 東京都現代美術館@MOT_art_museum
会期:2021年11月20日(土)~2022年2月23日(水・祝)
休館:月曜日。但し2022年1月10日、2月21日は開館。年末年始 (12月28日~1月1日 )、1月11日。
時間:10:00~18:00
 *入館は閉館の30分前まで。
料金:一般1800円、大学・専門学校生・65歳以上1200円、中高生600円、小学生以下無料。
 *予約優先チケットあり。
 *MOTコレクションも観覧可。
住所:江東区三好4-1-1
交通:東京メトロ半蔵門線清澄白河駅B2出口より徒歩9分。都営地下鉄大江戸線清澄白河駅A3出口より徒歩13分。
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2022年上半期に見たい展覧会5選

2022年を迎えて、さまざまなWEBメディアや美術雑誌を中心に、今年注目したい展覧会の特集が組まれています。



そのうち『「Pen」が選んだ、2022年上半期「必見の展覧会」5選』に寄稿しました。

「Pen」が選んだ、2022年上半期「必見の展覧会」5選
https://www.pen-online.jp/article/009776.html

ここで取り上げたのは以下の5展です。

1.『ミロ展―日本を夢みて』 Bunkamura ザ・ミュージアム【2/11~4/17】
2.『空也上人と六波羅蜜寺』 東京国立博物館【3/1~5/8】
3.『開館記念特別展 モディリアーニ』 大阪中之島美術館【4/9~7/18】
4.『東北へのまなざし1930―1945』 岩手県立美術館【4/9~5/15】
5.『ゲルハルト・リヒター展』 東京国立近代美術館【6/7~10/2】

いずれも話題を呼びそうな展覧会ばかりですが、日本との意外な接点を探る『ミロ展―日本を夢みて』や、新たにオープンする大阪中之島美術館の『開館記念特別展 モディリアーニ』は、多くの西洋美術や絵画ファンの人気を集めるのではないでしょうか。


また2005年から翌年にかけて金沢21世紀美術館とDIC川村記念美術館で開催されて以来、16年ぶりとなるドイツの現代美術家、ゲルハルト・リヒターの個展も、60年にわたる創作の全貌を明らかにする展覧会として注目されそうです。


ゲルハルト・リヒター『シルス・マリア』 2003年 東京国立近代美術館「MOMATコレクション」展より

さてこの他にも今年の上半期は期待したい展覧会がいくつもあります。そこで「Pen」にて取り上げられなかったものの中で、6月までに開催される展覧会をいくつかピックアップしてみました。(巡回展を含みます)

『シダネルとマルタン展』 SOMPO美術館(3/26〜6/26)
『メトロポリタン美術館展』 国立新美術館(2/9〜5/30)
『上野リチ:ウィーンからきたデザイン・ファンタジー』 三菱一号館美術館(2/18〜5/15)
『フランソワ・ポンポン展』 佐倉市立美術館(2/3〜3/29)
『ミケル・バルセロ展』 東京オペラシティアートギャラリー(1/13〜3/25)
『Hello! Super Collection 超コレクション展 ―99のものがたり―』 大阪中之島美術館(2/2〜3/21)
『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』 東京都美術館(1/22〜4/3)
『生誕110年 香月泰男展』 練馬区立美術館(2/6〜3/27)
『浅田政志展(仮称)』 水戸芸術館(2/19〜5/8)
『森村泰昌:ワタシの迷宮劇場』 京都市京セラ美術館(3/12〜6/5)
『没後50年 鏑木清方展』 東京国立近代美術館(3/18〜5/8)
『カラーフィールド 色の海を泳ぐ』 DIC川村記念美術館(3/19〜9/4)
『サロン!雅と俗-京の大家と知られざる大坂画壇』 京都国立近代美術館(3/23〜5/8)
『大蒔絵展ー漆と金の千年物語』 MOA美術館(4/1〜5/8)
『モネからリヒターへ 新収蔵作品を中心に』 ポーラ美術館(4/9〜9/6)
『生誕100年 清水久兵衛/七代六兵衛』 千葉市美術館(4/13〜7/3)
『北斎 大英博物館所蔵作品を中心に』 サントリー美術館(4/16〜6/12)
『ボテロ展 ふくよかな魔法』 Bunkamura ザ・ミュージアム(4/29〜7/3)
『特別展 琉球』 東京国立博物館(5/3〜6/26)
『自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』 国立西洋美術館(6/4〜9/11)
『ガブリエル・シャネル展』 三菱一号館美術館(6/18〜9/25)

2021年はコロナ禍によって、いくつかの展覧会が中止、もしくは休止に追い込まれたり、会期の短縮などを余儀なくされましたが、世界的な新変異株の爆発的感染拡大により今年も影響が出ています。


そのうち1月22日から東京都美術館にて開催予定だった『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』が、展覧会の準備を予定通りに行うことが困難になったため、開幕日の延期が決まりました。また東京都は上野動物園などの都立施設の休館を独自に決定し、美術館においても東京都現代美術館の『MOTコレクション』などが当面の間休室となります。(企画展については通常通り開催。)


ともかくすべての展覧会が無事に開幕されることを願うばかりですが、最新の開催情報は各美術館などのWEBサイトにてご確認ください。
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『144人のクリエイターと豊橋の職人がつくる 百年前掛け』 クリエイションギャラリーG8

クリエイションギャラリーG8
『144人のクリエイターと豊橋の職人がつくる 百年前掛け』
2021/12/9~2022/1/22



クリエイターと豊橋の職人が協働して作った前掛けを展示、販売し、収益金をチャリティーとして寄付するイベントがクリエイションギャラリーG8にて開かれています。

会場には1つ1つを職人たちが手作りした前掛けが並んでいて、それぞれにデザイナーらが創意工夫を凝らした意匠が施されていました。



愛知県豊橋市は古くから前掛けの生産地として知られていて、1950年から70年にかけては多い日に1日1万枚もの前掛けを出荷していました。



今回はチャリティーに参加した有限会社エニシングは、2005年から豊橋にて前掛けの企画販売を手がけていて、100年使える前掛けを実現するため、最高級の生地を用い、100年前のトヨタ製のシャトル織機によって作りあげました。



いずれの前掛けの絵柄もプリントではなく、一度染め上がった生地から絵柄の部分の色を抜く「染め抜き」と呼ばれる技法を用いていました。こうすることでプリントとは異なり、柄の部分の劣化がなく、表面がゴワゴワすることがないそうです。



ともかく前掛けは1つとして同じものがなく、かわいらしい動物の絵柄などのお気に入りを探して歩いていると、しばらく時間を忘れてしまうほどでした。また各デザイナーが前掛けに際して寄せた短いコメントも面白いかもしれません。



こうしたデザイナーと並んで目を引いたのが「クリエイション・キッズ・ラボ」と題し、子どもたちがオンラインのワークショップで作った前掛けの展示でした。グラフィックデザイナーの佐々木俊が講師を務めたもので、子どもたちは花や動物、また文字などを駆使しながら多様なデザインを展開していました。



なおクリエイションギャラリーG8と同じ銀座に位置するガーディアン・ガーデンでも同時に展示が行われています。それぞれ出品作家はクリエイションギャラリーG8が106名、ガーディアン・ガーデンが38名で、2つの会場で異なった前掛けが公開されていました。



なお前掛けは完全受注生産のため、会場での販売は一切ありません。すべてオンラインショップ「ポンパレモール」(https://store.ponparemall.com/rcc-gallery/)での予約注文販売となります。発送は3月末を予定しています。

オンライン販売のため、銀座に出向くのが難しい方も参加可能なチャリティーイベントです。一度公式サイトをチェックしてみてはいかがでしょうか。


WEBメディア「イロハニアート」でも展示の様子を紹介しました。

100年使っても大丈夫?!クリエイター×職人のコラボレーション。チャリティーイベント『百年前掛け』展が開催中(イロハニアート)

年末年始のお休みを経て、年明けは6日より開館しました。1月22日まで開催されています。*写真はすべて『144人のクリエイターと豊橋の職人がつくる 百年前掛け』展示風景より

『144人のクリエイターと豊橋の職人がつくる 百年前掛け』 クリエイションギャラリーG8@g8gallery
会期:2021年12月9日(木)~2022年1月22日(土)
休館:日・祝日。 
時間:11:00~19:00。
料金:無料。
住所:中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
交通:JR線新橋駅銀座口、東京メトロ銀座線新橋駅5番出口より徒歩3分。
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2022年1月に見たい展覧会【ミケル・バルセロ/ポンペイ/松岡コレクションの真髄】

お正月もあっという間に三が日を過ぎてしまいました。私は2日に東京国立近代美術館へと出向いて『民藝の100年』展を見てきましたが、さすがに去年の年明けに比べると人出も多く、思いの外に盛況でした。

1月も興味深い展覧会が目白押しです。見ておきたい展覧会をリストアップしてみました。



展覧会

・「アイヌプリ―北方に息づく先住民族の文化―」 國學院大學博物館(2021/11/18~2022/1/22)
・「開館20周年記念 フランソワ・ポンポン展」 群馬県立館林美術館(2021/11/23~2022/1/26)
・「ミヤケマイ×華雪  ことばのかたち かたちのことば」 神奈川県民ホールギャラリー(2021/12/20~2022/1/29)
・「佐藤雅晴 尾行―存在の不在/不在の存在」 水戸芸術館(2021/11/13~2022/1/30)
・「矢萩喜從郎 新しく世界に関与する方法」 神奈川県立近代美術館 葉山(2021/11/27~2022/1/30)
・「ザ・フィンランドデザイン展 自然が宿るライフスタイル」Bunkamuraザ・ミュージアム(2021/12/7~2022/1/30)
・「開館40周年記念 白井晟一 入門 第2部/Back to 1981 建物公開」 渋谷区立松濤美術館(2022/1/4~1/30)
・「大林コレクション展 安藤忠雄 描く/都市と私のあいだ/Self-History」 WHAT(2021/9/25~2022/2/13)
・「絵画のゆくえ 2022」 SOMPO美術館(2022/1/14~2/13)
・「生誕160年記念 グランマ・モーゼス展 素敵な100年人生」 世田谷美術館(2021/11/20~2022/2/27)
・「池内晶子 あるいは、地のちからをあつめて」 府中市美術館(2021/12/18~2022/2/27)
・「北斎で日本史 ―あの人をどう描いたか」 すみだ北斎美術館(2021/12/21~2022/2/27)
・「徳川一門 ―将軍家をささえたひとびと」 江戸東京博物館(2022/1/2~3/6)
・「ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵」 千葉市美術館(2022/1/12~3/6)
・「未来へつなぐ陶芸―伝統工芸のチカラ展」 パナソニック汐留美術館(2022/1/15~3/21)
・「ミケル・バルセロ」 東京オペラシティアートギャラリー(2022/1/13~3/25)
・「季節をめぐり、自然と遊ぶ~花鳥・山水の世界~」 大倉集古館(2022/1/18~3/27)
・「よみがえる正倉院宝物―再現模造にみる天平の技―」 サントリー美術館(2022/1/26~3/27)
・「ロニ・ホーン:水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?」 ポーラ美術館(2022/9/18~2022/3/30)
・「ポンペイ」 東京国立博物館(2022/1/14~4/3)
・「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」 東京都美術館(2022/1/22~4/3)
・「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」 東京都庭園美術館(2022/1/15~4/10)
・「はじまりから、いま。 1952ー2022 アーティゾン美術館の軌跡―古代美術、印象派、そして現代へ」アーティゾン美術館(2022/1/29~4/10)
・「再開記念展 松岡コレクションの真髄」 松岡美術館(2022/1/26~4/17)
・「21_21 DESIGN Future SIGHT」 21_21 DESIGN SIGHT(2022/12/21~2022/5/8)

ギャラリー

・「ささやきを聴く」秋山泉 展 日本橋三越本店コンテンポラリーギャラリー(2022/1/5~1/17)
・「冨安由真 個展 : The Doom」 アートフロントギャラリー(2021/12/17~2022/1/23)
・「Landscape やわらかな地平のその先に」 ポーラ ミュージアム アネックス(2021/12/10~2022/1/30)
・「ドヴァランス_デザインのコモンセンス」 GYRE GALLERY(2021/12/10~2022/2/13)
・「石川直樹―STREETS ARE MINE」 ギャラリー エー クワッド(2021/12/10~2022/2/17)
・「RED 堀清英 写真展」 シャネル・ネクサス・ホール(2022/1/19~2/20)
・「クリスチャン・マークレー Voices[声]」 ギャラリー小柳(2021/11/24~2022/2/26)
・「妹島和世+西沢立衛/SANAA展 環境と建築」 TOTOギャラリー・間(2021/10/22~2022/3/20)
・「転移のすがた」アーティスト・レジデンシー10周年記念展 銀座メゾンエルメス(2021/12/17~2022/4/3)

まずは現代美術です。スペインの美術家、ミケル・バルセロの個展が東京オペラシティアートギャラリーにて開かれます。



『ミケル・バルセロ』@東京オペラシティアートギャラリー(2022/1/13~3/25)

1957年に生まれたミケル・バルセロは、絵画を中心に彫刻、陶芸など幅広い作品を手がけ、近年はマジョルカ島の パルマ大聖堂の内部装飾や、ジュネーブの国連欧州本部人権理事会大会議場の天井画を制作するなど、建築プロジェクトにも参加してきました。


今回の展覧会はバルセロの仕事を日本で初めて紹介するもので、約90点の作品にて40年にも及ぶ芸術家の活動を追っていきます。なお本展は国立国際美術館、長崎県美術館、三重県立美術館にて開かれてきた巡回展で、東京オペラシティアートギャラリーが最後の開催地となります。

過去に何度か開かれてきたポンペイに関する展示の決定版となるかもしれません。特別展『ポンペイ』が東京国立博物館にて行われます。



『ポンペイ』@東京国立博物館(2022/1/14~4/3)


これはポンペイ出土の膨大な遺物を収蔵するナポリ国立考古学博物館の協力のもと、壁画、彫像、工芸品や食器、調理具といった日用品など約150点の資料が公開されるもので、一部における当時の遺跡や生活空間も再現されます。平成館の余裕のある展示室を用いてのスケール感のある展覧会となりそうです。

ラストは改修工事や作品調査による休館を終え、2年8ヶ月ぶりに再開する松岡美術館の展覧会です。『再開記念展 松岡コレクションの真髄』が開かれます。



『再開記念展 松岡コレクションの真髄』@松岡美術館(2022/1/26~4/17)

1975年に開館した松岡美術館は、日本や東洋の陶磁器、またはフランス近代絵画やガンダーラの彫刻といったコレクションで知られ、2000年より現在の白金へと移っては作品を公開してきました。


その松岡美術館の再開を期したのが「再開記念展 松岡コレクションの真髄」で、東洋陶磁、日本画、また古代ギリシャやローマの大理石彫刻などが公開されます。落ち着いた佇まいで知られる松岡美術館にて久しぶりに名品を愛でる機会となりそうです。

WEBメディア「イロハニアート」でも1月のおすすめ展覧会をご紹介しました。

お正月は美術館や博物館へ行こう!1月に見たいおすすめ展覧会5選(イロハニアート)

それでは今月もよろしくお願いします。
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謹賀新年 2022

新年明けましておめでとうございます。
今年も皆さまにとって素晴らしい一年になりますよう、心からお祈り申し上げます。


円山応挙『遊虎図』 1787年

お正月はいかがお過ごしでしょうか。年明けから東京と近郊で新たに開幕する展覧会は以下の通りです。(20日まで)

・「博物館に初もうで 今年はトーハク150周年!めでタイガー!!」 東京国立博物館(1/2~1/30)
・「徳川一門 ―将軍家をささえたひとびと」 江戸東京博物館(1/2~3/6)
・「江戸の恋」 太田記念美術館(1/5~1/30)
・「小倉擬百人一首」 川崎浮世絵ギャラリー(1/5~2/6)
・「壬寅の吉年に―新春吉祥画―/暁斎が描いた能狂言版画展―狂言つくしを中心に」 河鍋暁斎記念美術館(1/5~2/25)
・「体感! 日本の伝統芸能―歌舞伎・文楽・能楽・雅楽・組踊の世界―」 東京国立博物館(1/7~3/13)
・「美の標準―柳宗悦の眼による創作」 日本民藝館(1/10~3/20)
・「ジャポニスム―世界を魅了した浮世絵」 千葉市美術館(1/12~3/6)
・「ミケル・バルセロ」 東京オペラシティアートギャラリー(1/13~3/25)
・「ポンペイ」 東京国立博物館(1/14~4/3)
・「未来へつなぐ陶芸―伝統工芸のチカラ展」 パナソニック汐留美術館(1/15~3/21)
・「奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリスム」 東京都庭園美術館(1/15~4/10)
・「季節をめぐり、自然と遊ぶ~花鳥・山水の世界~」 大倉集古館(1/18~3/27)

それでは毎年恒例の新春にちなんだイベントの情報です。東京国立博物館では実に19年目を迎える「博物館に初もうで」が1月2日より開催されます。


「博物館に初もうで 今年はトーハク150周年!めでタイガー‼」@ 東京国立博物館(1/2~1/30)
 
今年は「トーハク150周年!めでタイガー‼」と題し、干支にちなんだ虎をモチーフとした作品が展示されるほか、「新春吉祥作品紹介」としてともに国宝の『松林図屏風』や『古今和歌集(元永本)下帖』などの名品が公開されます。また館内ではいけばなが飾られ、ミュージアムショップでのグッズプレゼントも行われます。ただし獅子舞や和太鼓の演舞は中止となりました。

江戸東京博物館にて正月特別開館「お正月は江戸博へ」が1月2日より行われます。


「正月特別開館 お正月は江戸博へ」@江戸東京博物館(1/2〜)

1月2日と3日は常設展示室の観覧料が無料になるほか、2日から5日にかけては各日先着順による来場者プレゼントが行われます。江戸博のお正月開館もすっかり定着しましたが、同館は4月より大規模改修工事によって2025年度まで休館するため、もうしばらくで見納めとなりそうです。


「年末年始の開館日について」:東京都写真美術館
「年末年始の開館日についてのお知らせ」:東京都現代美術館

この他では東京都写真美術館は2日に開館し、同日と3日はすべての展覧会が無料で観覧できます。また東京都現代美術館も2日のみお正月開館し、「MOTコレクションの観覧料が無料となります。さらに「Viva Video! 久保田成子展」の来場先着100名に「開運干支石けん」がプレゼントされます。


「年末年始開館スケジュールのご案内」:山種美術館

3日より開館する山種美術館はお正月限定企画を行い、同日限定にてプチギフトが先着100名に配布されるほか、ミュージアムショップにて「新春福袋」が限定50個販売されます。またCafe椿にてお正月限定和菓子も提供されます。(7日までの5日間限定)

昨年は以前から寄稿している「Pen」オンラインに加え、WEBメディア「イロハニアート」にもいくつか展覧会の紹介記事を書きました。今年も変わらずに続けていくつもりでいます。

それでは今年も「はろるど」をどうぞよろしくお願いいたします。
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