画家、佐伯祐三の回顧展が東京ステーションギャラリーにて開かれています

大正から昭和にかけて活動し、わずか30歳の若さで世を去った佐伯祐三は、主に大阪、東京、パリを拠点とすると、それぞれの街の風景を熱量をもって描き続けました。



その佐伯の東京での18年ぶりの回顧展が『佐伯祐三 自画像としての風景』で、展示の内容についてイロハニアートに寄稿しました。

佐伯祐三の歩みを回顧展とともにたどる|『佐伯祐三 自画像としての風景』 | イロハニアート

今回の回顧展では最初に佐伯の残した自画像が展示されていて、とりわけ同じ年に描きながらも大きく画風を変えた『パレットをもつ自画像』と『立てる自画像』に目を引かれました。

佐伯は1924年1月よりパリへと渡るとフォーヴィスム運動を率いた画家のヴラマンクと面会していて、裸婦を描いた作品を見せるも「このアカデミック!」と一蹴されたことから、独自の表現を模索しはじめました。

それに続くのが佐伯が国内で描いた風景画などで、特に2度の渡欧期に挟まれた一時帰国時代と呼ばれる時期の作品をまとめて展示していました。

佐伯は一時帰国時代において、アトリエに近かった東京の「下落合風景」と大阪の「滞船」の2つの風景に強い関心を抱いていて、それぞれ電柱や電線、また帆柱やロープといった中空に伸びる線を描きこみました。



ハイライトを飾るのは佐伯がパリで描いた風景画で、とりわけ2度目における石造りの壁や石畳が連なる街並みを猛烈な勢いで描いた作品には大変な迫力が感じられました。

最晩年の佐伯が新たに見出したのが、パリから東へ40キロほどの位置にある小さな村、ヴィリエ=シュル=モランで、パリとは異なった素朴な田舎の佇まいを力強く太い線と構築的な構図によって捉えました。



パリの石造りの建物や壁を描いた絵画を、佐伯の生きた時代に建てられた当時のれんが壁の残る展示室で鑑賞できるのも嬉しいところかもしれません。代表作を含む約140点もの作品が並んでいて、質量ともに不足はありませんでした。

4月2日まで開催されています。なお東京での展示を終えると大阪中之島美術館へ巡回します。*会期:2023年4月15日(土)〜6月25日(日)

*冒頭の展示室風景の写真は、プレス内覧会の際に主催者の許可を得て撮影しました。

『佐伯祐三 自画像としての風景』 東京ステーションギャラリー
会期:2023年1月21日(土) 〜4月2日(日)
休館:月曜日(3月27日は開館)。
料金:一般1400円、高校・大学生1200円、中学生以下無料。
 *オンラインでの日時指定券を販売。
時間:10:00~18:00。
 *金曜日は20時まで開館。
 *入館は閉館の30分前まで。
住所:千代田区丸の内1-9-1
交通:JR線東京駅丸の内北口改札前。(東京駅丸の内駅舎内)
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
« 『六本木クロ... 『動物会議 ... »
 
コメント
 
 
 
Unknown (nonnonnowaqwaq)
2023-02-14 21:44:39
佐伯祐三大好き❤
 
 
 
Unknown (genkidase)
2023-02-14 23:17:40
この絵画懐かしいです
中学校の美術の教科書にありました
30歳で若いですね
コメント失礼しました
 
コメントを投稿する
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。