「福富太郎コレクション 近代日本画にみる女性の美」 そごう美術館

そごう美術館横浜市西区高島2-18-1 そごう横浜店6階)
「福富太郎コレクション 近代日本画にみる女性の美 - 鏑木清方と東西の美人画」
2/24-3/21



鏑木清方を中心に、近代の日本画による女性像を展観します。そごう美術館で開催中の「福富太郎コレクション 近代日本画にみる女性の美 - 鏑木清方と東西の美人画」へ行ってきました。

定評のある福富太郎氏の近代日本画コレクションをまとめて拝見出来る展覧会です。タイトルにもあるように日本画の中から「女性の美」に焦点をあて、東京と京都・大阪で活躍した画家たちによる美人画を約70点ほど紹介していました。

冒頭は鏑木清方の名品展です。ずらりと15点ほど清方が並ぶだけでも美人画ファンには嬉しくなってしまいますが、サントリー美術館の回顧展でも圧巻だった「妖魚」(1920)に再会出来たのは感無量でした。


鏑木清方「妖魚」1920年

強烈なエロスが発露する、一種の危な絵とも言えるスタイルこそ、今回の福富太郎コレクションの美人画に共通する要素ではないでしょうか。


鏑木清方「刺青の女」1913年

そしてもう一点、刺青をした女性を描いた「刺青の女」(1913)も、そうした妖しき清方の魅力を味わえる作品に他なりません。乳房を露に、背中から腕にかけて蝶や草花の入った刺青を見せる姿は、まさにゾクゾクするような艶やかさをたたえています。実はこの作品は前述のサントリーの回顧展では出なかっただけに、今回横浜へ出かけた甲斐があったというものでした。

展示では東京と関西で活躍した画家を分けて紹介していますが、比較的知名度の低い画家の作品に魅力がある点も見逃せません。中でも私がおすすめしたいのは6~7点ほど展示されていた池田輝方です。

彼は清方、そして鰭崎英朋の設立したグループ「鳥合会」に参加し、浮世絵的画風の日本画を多数描きましたが、ともかく半ば乱れた女性の姿に何とも言えない色気を感じます。虚ろな表情をして、地べたに崩れ落ちるように座る女性を描いた「お夏狂乱」(1914)などには強く惹かれました。


北野恒富「道行」1913年

後半はデカダン色の濃い関西の画家たちが待ち構えています。お馴染みの北野恒富ではともかく「道行」(1913)が圧巻の一言です。二曲一双の屏風の右隻には、寄り添いつつも何か覚悟を決めたように彼方を見やる男女の姿が登場しています。そして興味深いのは左隻に描かれた二羽のカラスです。一面の余白を背景に、あたかもバタバタと音を立てるかのように翼を広げる様子は、どこかこの男女に不吉な気配を与えていました。本作こそ今回のハイライトと言えるかもしれません。


甲斐庄楠音「横櫛」1918年

最後にはデロリの甲斐庄楠音の「横櫛」(1918)も控えています。その不気味な微笑みを見ていると何やらモナリザを思い出してしまいました。

「甲斐庄楠音画集 ロマンチック・エロチスト/甲斐庄楠音/求龍堂」

照明が今ひとつであるのと、リストがないのは残念でなりませんが、見終えた後、久々に美人画を見てめろめろになった自分に気がつきました。またミュージックホールの楽屋を群像表現的に表した伊東深水の「戸外は春雨」(1955)など、既知の画家の思いもよらない作品も見どころの一つです。

「美人画の系譜 鏑木清方と東西の名作百選/内山武夫/青幻舎」

展示替えはありません。3月21日まで開催されています。おすすめします。

*開館日時:会期中無休 10:00~20:00(入館は閉館の30分前まで)
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「琳派芸術 第2部 転生する美の世界」 出光美術館

出光美術館千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9階)
「酒井抱一生誕250年 琳派芸術 第2部 転生する美の世界」
2/11-3/21



生誕250年を迎えた酒井抱一の詩情あふれた絵画空間を展観します。出光美術館で開催中の「酒井抱一生誕250年 琳派芸術 第2部 転生する美の世界」へ行ってきました。

主に光悦・宗達から光琳までを追った第1部より展示替えを挟み、現会期の第2部での主役は愛すべき抱一に他なりません。宗達・光琳らの絢爛豪華な金の世界より新たに転化したのは、朧げな月明かりを連想させる銀の世界でした。

展覧会の構成は以下の通りです。(出品リスト

1章 琳派の系譜
2章 薄明の世界
3章 抱一の美
4章 其一の美


初めに宗達を含む、伊勢、もしくは源氏物語を主題とする絵画で琳派の変遷を辿った上で、抱一、其一らの江戸琳派の作品を紹介していました。


「風神雷神図屏風」 酒井抱一 江戸時代 出光美術館

宗達、光琳、そして抱一を結ぶ作品として必ず挙げられる「風神雷神図屏風」も久々にお出ましです。今回は抱一作一点のみの展示でしたが、宗達画の神々しい世界を一転した、人懐っこい、また飄々とした様の風神雷神の姿からは、まさに抱一ならではの諧謔味と軽妙洒脱な画風を見ることが出来ます。

そもそも抱一は宗達画を知らなかった上、モデルとなった光琳作の風神雷神に対してはあくまでも夏秋草図屏風で返答したため、この3点を並べて云々するのは適切ではないかもしれませんが、宗達と光琳画を頭の中で思い浮かべながら、改めてそれぞれに全く異なった絵師の性格に見入るものがありました。

よく知られている通り、抱一は畢竟の大作「夏秋草図屏風」を光琳の「風神雷神図屏風」の裏に描きましたが、それと同じような裏絵の体裁をとる屏風が一点紹介されています。それが六曲一双の白銀の中で梅が対峙する「紅白梅図屏風」でした。


「紅白梅図屏風」 酒井抱一 江戸時代 出光美術館

紅白梅図屏風と言えば光琳作の国宝が名高いところですが、そちらにおける緊張感のある構図とは一転、この抱一作は白梅と紅梅があくまでも穏やかに語り合うかのようにして並んでいます。ちなみにこの屏風の表は具体的な作品こそ分かっていないものの、金屏風であったことが推測されているそうです。

さて今回、私が抱一で一番気にいったのは、小品の「四季花鳥図屏風」でした。同名の作品というと大琳派展でも出ていた陽明文庫所蔵の大作屏風が挙げられますが、こちらはいわゆる雛屏風で、サイズも縦横で21×72センチほどの大きさに過ぎません。

表には金をあしらい、細密な筆にて花鳥を描く一方、裏には得意とする銀地に波のたゆたう様子を描いています。少しかがんで下から見上げると、月明かりに煌めく波の描写が仄かに浮きあがってきました。小品ながらも抱一らしい繊細な感性を伺い知れる佳作ではないでしょうか。何度も表と裏を行き来してしまいました。


「蔬菜群虫図」 鈴木其一 江戸時代 出光美術館

最後に待ち構えているのは、抱一の弟子でもあり、後に近代日本画を予感させる新たな境地を切り開いた鈴木其一の諸作品です。其一は抱一の画風を越えると断然に面白くなりますが、まるで虫や植物の表現に若沖画の影響を思わせる「蔬菜群虫図」や、代表作「夏秋渓流図」にも近い、アクの強い極彩色の世界が光る「四季花木図屏風」など、出光ではお馴染みの作品を楽しむことが出来ました。

また順序が逆になりますが、其一では展示冒頭の第一作、「三十六歌仙図」も見逃せません。ひしめきあう歌仙たちのコミカルな描写も興味深いところですが、この作品の表具は実は其一が直接描き込んだ、いわゆる「絵表装」です。

そう言えば文化村のだまし絵展にも絵表装の其一画が出ていましたが、最近彼に俄然人気が高まっているのも、こうした遊び心があるからなのかもしれません。

春に根津美術館のKORIN展でお披露目がある光琳作を模した、抱一の「八ツ橋図屏風」も登場していました。


「八ツ橋屏風」 酒井抱一 江戸時代 出光美術館蔵

なお会場には光琳作との違いについて触れたパネルも用意されています。全体的に花群を整理して余白を広げ、たらしこみも瑞々しい橋の連なる光景は、どこか牧歌的な風情を醸し出していました。

ちなみに先日、根津美術館のKORIN展の詳細が同館のWEBサイトでアップされました。



KORIN展 - 国宝「燕子花図」とメトロポリタン美術館所蔵「八橋図」@根津美術館 
会期:2011年4月16日(土)~5月15日(日)


こちらも当然ながら琳派ファン待望の展覧会となること間違いありません。

第二部は其一の「芒野図屏風」を除き全て館蔵品ということもあってか、やや新鮮味に欠けたのも事実ですが、「夏秋草図屏風」の草稿など、マニア心をくすぐる作品もあって楽しめます。

また第一部の感想でも触れましたが、作品の配置もなかなか秀逸です。伊勢物語の主題をとった乾山の「色絵能絵皿」から目を上に向けると、正面に抱一の「八ツ橋図屏風」が見えることなど、イメージを膨らませる仕掛けも巧みでした。

今年は抱一のおかげで琳派イヤーです。上に触れた根津美術館の「KORIN」展、そして今秋に千葉市美術館で開催される「酒井抱一と江戸琳派の全貌」と楽しみな展示も控えています。もちろん昨日のエントリにもあげた畠山記念館の「酒井抱一 琳派の華」もお見逃しなきようご注意下さい。

「酒井抱一 琳派の華」(後期) 畠山記念館(拙ブログ)

館内は予想以上に賑わっていました。ひょっとすると会期末に近づくにつれて混雑してくるかもしれません。

「すぐわかる琳派の美術/仲町啓子/東京美術」

3月21日までの開催です。第一部同様におすすめします。

*関連エントリ
「琳派芸術 第1部 煌めく金の世界」 出光美術館

*開館日時:火~日(月休。但し3月21日は開館。) 10:00~17:00(入館は16:30まで) 毎週金曜日は19:00まで。(入館は18:30まで)
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「酒井抱一 琳派の華」(後期) 畠山記念館

畠山記念館港区白金台2-20-12
「生誕250年 酒井抱一 琳派の華」(後期展示)
1/22-3/21



展示替えを経て会場はより華やかになったかもしれません。畠山記念館で開催中の「生誕250年 酒井抱一 琳派の華」(後期展示)へ行ってきました。

何せ抱一の展覧会ということで前期も早々に拝見してきたところですが、2月19日より作品が入れ替わり、後期展示が始まっています。

「生誕250年 酒井抱一 琳派の華」 前期:1/22~2/17、後期:2/19~3/21(一部作品は異なります。)

なお工芸に関しては2~3点を除き、通期での展示となっています。ご注意下さい。 (出品リスト

まもなく迎える雛祭りの主題など、時候に合った作品が季節感を高めます。すくっと立つ雛人形を描いた抱一の「立雛図」の隣には、原在明の「春秋雛屏風」とともに、立派な江戸期の雛人形が展示されていました。

また季節感といえば抱一の「十二ヶ月花鳥図」も年の後半、つまりは7月から12月の6幅に入れ替わっています。


「十二ヶ月花鳥図(12月) 酒井抱一

風を取り込んで仄かに靡く草花を描いた8月をはじめ、淡い彩色による水鳥と墨の力強いタッチによる竹の対比が面白い12月と、さりげなくも時に大胆な抱一の画業を堪能することが出来ました。

今回のハイライトは抱一の三幅対の「月波草花図」かもしれません。


「月波草花図」 酒井抱一

右から「野花蟷螂図」、「波上明月図」、そして「水草蜻蛉図」の順に並ぶ情緒溢れた作品ですが、それぞれの描写がまた抱一の代表作とを連想させる面はないでしょうか。

つまり「野花蟷螂図」における秋草の絡み合う描写は「夏秋草図屏風」を、また「波上明月図」の粘り気を帯びてうねる波の表現には「波図屏風」を、そして「水草蜻蛉図」では菖蒲の上にひょいとのる蜻蛉に「燕子花図」に通じるように思えてなりません。

また「波上明月図」では波の内側の彩色にも要注目です。白い波頭と対比させるような青も塗られていました。

ちょうど同じく抱一のメモリアルを記念して琳派展を開催中の出光にも「風神雷神図屏風」が出ていますが、ここ畠山にももう一つ別種の風神雷神が登場しています。


「風神雷神図」 酒井抱一

それがこの「風神雷神図」です。大画面の屏風とは異なり、いかにも地味な掛軸の小品ですが、それこそ屏風作では分かりにくい抱一独自の表現を見ることが出来ます。

ともかくここで感心するのは抱一一流の卓越した空間構成力です。左上に雷神を、また右下に風神を配することで空間を縦に広げたばかりか、さらに吹き上げを吹き下ろしの風を加えることで、それぞれに力強いまでの動きを与えることに成功しています。

いわば光琳作の模写的な性格を持つ屏風とは異なり、ここでは先人たちの画風にはない抱一のオリジナルのスタイルが確立していました。

抱一作の他にも注目すべき作品があるのは言うまでもありません。前期では光悦の「扇面月兎画賛」に心奪われましたが、後期では光琳のセンスが光る「紅葵花蒔絵硯箱」が展示されています。

その奇抜なまでの造形はかの名作、「八橋蒔絵硯箱」にもひけをとりません。まさに前衛的でした。

「もっと知りたい酒井抱一/玉蟲敏子/東京美術」

前期の感想でも触れましたがともかく狭いスペースです。これ以上の量は望むべくもありませんが、久しぶりに畠山の抱一作をある程度見られて満足しました。

「酒井抱一/仲町啓子/別冊太陽」

大勢の人出で賑わう出光美術館とは地下鉄を経由しても30分とかかりません。(三田乗り換えの浅草線高輪台駅が便利です。)こちらにも一歩足をのばしてはいかがでしょうか。

3月21日まで開催されています。

*関連エントリ
「酒井抱一 琳派の華」(前期) 畠山記念館

*開館日時:火~日(毎週月曜日、及び2/18は休館。但し3/21は開館。) 10:00~16:30(入館は16時まで。) 
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「第5回 shiseido art egg 今村遼佑」 資生堂ギャラリー

資生堂ギャラリー中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階)
「第5回 shiseido art egg 今村遼佑 - ひるのまをながめる」
2/4-27



本年のアートエッグ第2弾、今村遼佑個展「ひるのまをながめる」へ行ってきました。

展示概要については同ギャラリーWEBサイトをご参照ください。

Shiseido art egg Vol.5

なお作家、今村遼佑氏はご自身でHPもお持ちです。

今村遼佑ウェブページ

2007年に京都市立芸術大学大学院(彫刻専攻)の修士課程を修了後、主に関西にて個展を開催してきました。

さてこれまでにも様々な展示が資生堂ギャラリーで開催されていきましたが、言わば今回ほど何もない空間が生み出されたのは初めてだったかもしれません。いつものように1階入口から階段を降り、ふと地下のスペースに目を向けると摩訶不思議、ただ単にがらんとしたホワイトキューブだけがあるようにしか見えません。それこそ一般的な展示の設営前のような「無」のスペースが、一見するところ味気なく待ち構えていました。

もちろんその甘い先入観は、会場内をしばらくうろうろと歩いていると見事に覆されます。実は「無」は作家今村によって巧妙に仕掛けられた「無のような」空間に過ぎず、そこには僅かな小道具を手がかりにしての、見る者の想像力を引き出す世界が作り上げられていました。

素材は全て小さなオルゴール、LED、ハンマー、糸巻き、そして紐などです。それらは空間に隠れるように、また逆に空間を妨げるように、それでいて限りなく控えめに設置され、そして微かに運動しています。あえて細々した点にはここでは触れません。是非とも目を凝らし、耳を澄ませてそれらの気配をそっと汲み取ってあげてみてください。



「第5回 shiseido art egg」スケジュール
藤本涼  1月7日(金)~30日(日)
今村遼佑 2月4日(金)~27日(日)
川辺ナホ 3月4日(金)~27日(日)

27日まで開催されています。おすすめします。

*開廊日時:火~日(月休) 平日11:00~19:00 日・祝11:00~18:00
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「タムラサトル - 100の白熱灯のための100のスイッチ」 B GALLERY

B GALLERY新宿区新宿3-32-6 BEAMSJAPAN 6F)
「タムラサトル - 100の白熱灯のための100のスイッチ」
2/5-2/23



B GALLERYで開催中のタムラサトル個展、「100の白熱灯のための100のスイッチ」へ行ってきました。

作家、タムラサトルのプロフィール、もしくは展示概要については同ギャラリーWEBサイトをご参照下さい。

タムラサトル個展「100の白熱灯のための100のスイッチ」@B GALLERY

1995年に筑波大学の芸術専門学群を卒業後、近年ではさいたま市のプラザノース(2008年)や小山市立車屋美術館(2009年)などで個展を重ねてきました。

タイトルの通り、会場にはそれぞれ100の白熱灯とスイッチが登場していますが、作品はそれらを繋ぎ合わせての一つのインスタレーションに他なりません。ようは一点勝負の展覧会です。ゆっくりと動く回転棒によってオンオフに変化する100のスイッチの力は、さながら川のように束となった電源コードを経由し、ゆらゆらとぶら下がる100の電灯に光の息吹きを与えていました。

金属棒によってバタバタと動くスイッチの群れはまるで昆虫のようです。また滝のように溢れ落ちる電源コードや、人魂のようにも点滅する白熱灯など、本来的には機械である作品は、あたかも有機体のような様相をとっていました。

元々、白熱灯とスイッチを100ずつ使うというアイデアから出発し、B GALLERYの空間を見定めた上にて、今回の新作の発表という流れになったそうです。決して広いスペースではありませんが、計200の光とスイッチが各々にピカピカ、そしてザワザワと運動する姿は見ていて楽しめました。

B GALLERYは新宿のビームスの6階の店内にあります。残り3日となりましたが、お買い物などの際にでも立ち寄ってみては如何でしょうか。

Tamura Satoru EXHIBITION「100の白熱灯のための100のスイッチ」(作家インタビュー)


23日まで開催されています。

*開廊日時:会期中無休。 11:00~20:00
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「TOKYO FRONTLINE」 3331Arts Chiyoda

3331Arts Chiyoda千代田区外神田6丁目11-14
「TOKYO FRONTLINE」
2/17-2/20



秋葉原の地から新たな「アートコレクターを開拓」(*)します。3331Arts Chiyodaで開催中の「TOKYO FRONTLINE」へ行ってきました。

ともかくこの時期のアートフェアと言うとやはり六本木のG-Tokyoが挙げられますが、ここ3331でも今年から新しいフェアがスタートしました。

ディレクターは各地で様々なアートイベントを仕掛ける編集者の後藤繁雄です。氏によれば単なる「見本市」(*)に留まらず、例えばアワードをスタートさせるなど、「開発型」(*)のフェアに仕上げたとのことでした。

会場は3331の1階と2階のフロアです。1階には「注目すべきアーティストを紹介する」(*)FRONTLINEと、海外のアート組織の他、出版関係のブースの揃うEXCHANGE、そして2階では約20のギャラリーが1つずつブースを提供するGYMと、計3部のセレクションで展開されていました。

明日までのイベントでもあるので手短かにいきますが、全体としては『見せる』ということにもこだわったフェアだという印象を強く受けます。画廊の枠を取っ払っておすすめの作家を紹介するFRONTLINEは、それこそ一つの最新の現代アートの動向を知るのに好都合なグループ展としても差し支えありません。

タロウナスの個展が圧巻だった薄久保香をはじめ、厚地朋子、小西紀行、桑久保徹、長井朋子、大野智史、田幡浩一らの新作を見るだけでも十分に楽しめました。またプライスが非常に分かりやすい位置に掲示されているのも好印象です。また特に「GYM」など、比較的求めやすい価格帯の作品があるのも印象に残りました。

東恩納裕一の蛍光灯を用いたオブジェの他、ホンマタカシの写真を紹介するコーナーなど、いくつかの見せ場も用意されています。3つのセクションをあわせてもさほど会場は広くないので、全体を見るのにもそう時間はかからないかもしれません。



3331の強みは同施設内の他のギャラリーの展示も楽しめるところです。1階の3331ギャラリーでの西尾美也展や、同じく同ギャラリーの特設会場でのグループ展、また2階island MEDIUMでの「井出賢嗣/苅谷昌江」展なども楽しめました。

余談ですがお酒好きの方には朗報です。エントランスでの「酒と水」と題したブースにて利き酒セットなどが手軽にいただけます。私としてもツボでした。

1F・FOODCOURT「酒と水」(FRONTLINEブログ)

最終日の明日には締めくくりのトークショーなども予定されています。

amana photo collection project
Awarding Review and Talk
 2.20 Sun 17:00~

篠山紀信(写真家)
ホンマタカシ(写真家)
南條史生(森美術館館長)
中島英樹(デザイナー)
マルース・クライネン(『Foam』ディレクター)


フェアの入場料は500円ですが、こちらは無料だそうです。



3331でのアートフェアというと前身の施設での101のフェアのことを思い出します。そちらはどういうわけか2回で終了してしまいましたが、FRONTLINEは息の長いフェアになればと思いました。なお主催者によれば第1期として、少なくとも5年間は毎年開催し続けるそうです。

@TF2011(FRONTLINEアカウント)

明日、17時までの開催です。(開場は11時。)

*印はFRONTLINEのWEBサイトより引用しました。
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「New Vision Saitama 4(ニュー・ヴィジョン・サイタマ 4)」 埼玉県立近代美術館

埼玉県立近代美術館さいたま市浦和区常盤9-30-1
「New Vision Saitama 4(ニュー・ヴィジョン・サイタマ 4) - 静観するイメージ」
1/29-3/21



埼玉県ゆかりの現代アーティストの活動を紹介します。埼玉県立近代美術館で開催中の「ニュー・ヴィジョン・サイタマ 4」へ行ってきました。

ニュー・ヴィジョン云々と聞いても馴染みの薄い方が多いかもしれませんが、この展覧会は同美術館が93年より不定期で開催してきた現代アートのグループ展で、今回で計4回を数えるまでに至っています。

実は埼玉県美の恒例企画です。実は私も前回(3回目)に初めて伺ったに過ぎませんが、意外にも他所では少ないご当地作家のみの展示ということでとても印象に残っていました。

なお今回は前回の2008年以来、約3年ぶりの開催です。同館の学芸員が各1名ずつ推薦した7名のアーティストが、写真や彫刻、そしてインスタレーションなど思い思いの表現を繰り広げていました。

出品作家は以下の通りです。

樋口恭一:1959年東京都生まれ、埼玉県鶴ヶ島市在住
秋元珠江:1971年埼玉県旧・浦和市生まれ、さいたま市在住
市川裕司:1979年埼玉県嵐山町生まれ、東京都町田市在住
塩崎由美子:1954年埼玉県旧・浦和市生まれ、スウェーデンとさいたま市に在住
榮水亜樹:1981年埼玉県春日部市生まれ、春日部市在住
荻野僚介:1970年埼玉県川越市生まれ、東京都練馬区在住
町田良夫:1967年埼玉県旧・浦和市生まれ、神奈川県横浜市在住


前回までは特にテーマなどがありませんでしたが、今回は初めて各作家を繋ぐ緩やかなキーワードとして「静観するイメージ」が設定されました。


樋口恭一 「祭りの火」 2010年 黒御影石、鉄粉による彩色

さて静観ならぬ静謐なオブジェで見る者の心を洗うのは展示冒頭、それぞれが寄り添うように並びたつ樋口恭一の黒御影石の作品でした。樋口は天然石をカット、時にそのまま用いて組み合わせ、例えば古代に使われた祭祀具のような独特の彫刻を作っています。

作品はいわゆる抽象ですが、そのモニュメンタルな造形を見つめていると、例えば楽器などの何らかの道具に思えてくるのが不思議でなりません。表面を覆う鉄粉など、石でありながらもどこか温かみのある質感も魅力的でした。

ご当地埼玉色が最も色濃く反映されているのは、まさに美術館のある北浦和公園で撮影した風景を取り込んだ、秋元珠江のインスタレーションに他なりません。


秋元珠江「1ミクロン(葉の線)」2010年 インクジェットプリント

彼女は泡に写り込んだような小さな景色を大きく引き延ばし、あたかもガラス玉を覗きこんで見たかのような七色に染まる世界を写真で表現しています。

写された泡の表面に注視すると美術館の建物などの見慣れた景色が確かに浮き上がっていました。 埼玉県美を訪ねる魅力としてこの北浦和公園の存在もありますが、それを改めて感じさせる作品と言えるかもしれません。

ちなみにこのインスタレーションは同館で唯一、外の景色が望める部屋に展示されています。窓の外の実景との対比も巧みでした。


塩崎由美子「シリーズ恢復より」2011年 発色現像方式印画

展示としてとりわけ完成度が高いのは塩崎由美子の写真、もしくは映像によるインスタレーションです。彼女は北浦和公園ではなく、現在住んでいるストックホルムの景色を不思議なブレのあるイメージで多様に写し出しています。

また興味深いのはホログラムを取り込んだ手法です。北欧の森は蝋燭の炎とホログラムに揺さぶられ、幻想的な祈りの地へと変化していました。

絵画で見逃せないのは出品作家中最年少で、2008年にMA2ギャラリー(恵比寿)のグループ展の印象も鮮やかな榮水亜樹によるアクリルと油彩画です。まるで白いレースの目地のように繊細なタッチにて、何らかの物語世界を連想させる心象風景を描いています。


榮水亜樹「センチメンタル」(部分)2007年 油彩、綿布パネル

折り重なる白い点と面はキャンバスや綿布に沈みこみ、小さな光となって仄かに灯っています。作品の前に立ち、三次元的な広がりを持つイメージを頭の中で散歩しているとしばし時間を忘れました。


市川裕司「archeocyte」(参考図版)2010年 方解末、典具帖紙、スチール、アクリル板

その他にも随所にユーモア感覚に溢れながらも、全体としてはミニマル音楽を聞いているような心地良さを覚える荻野僚介の絵画や、一点勝負のインスタレーションで木漏れ日に満ちた空間を生み出す市川裕司なども見応えがありました。特に一度、まとめて拝見したいと思っていた荻野の展示は私にとって良い機会となりました。


荻野僚介「W727×h910×d27」2009年 アクリル絵具、キャンバス

[今後の関連企画]
・出品作家と学芸員によるギャラリートーク
 2月19日(土)15:00~16:00 ゲスト:塩崎由美子、町田良夫
 3月5日(土)15:00~16:00 ゲスト:市川裕司、荻野僚介
・町田良夫ミニ・ライブ 「スティールパン・アコースティック」 2月19日(土)16:00~16:30
・町田良夫コンサート 「スティールパン・エレクトロニクス」 3月6日(日) 15:00~16:00


決して華々しい展覧会ではありませんが、あくまでも地元にゆかりのある作家にこだわり、こうした企画を地道に続ける埼玉県立美術館には拍手を送りたいと思います。次回にも期待したいです。

3月21日まで開催されています。

*開館日時:火~日(月休。但し3/21は開館。) 10:00~17:30(入館は閉館の30分前)
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「青木豊 マルチプライム」 ヒロミヨシイ

ヒロミヨシイ江東区清澄1-3-2 6階)
「青木豊 マルチプライム」
1/21-2/26



ヒロミヨシイで開催中の青木豊個展、「マルチプレイム」へ行って来ました。

作家、青木豊のプロフィールについて同画廊サイトより引用(一部)します。

1985年 熊本生まれ
2008年 東京造形大学卒業
2010年 東京造形大学修士課程修了

グループ展としては2010年の東京五美術大学連合卒業・修了制作展、もしくは同ギャラリーでの二人展の他、2008年のULTRAにも出品がありました。

さて展示はホワイトキューブの空間全体を使ってのインスタレーションです。細く高い透明のアクリル・タワーにはカラフルなおもちゃのブロックが詰め込まれてグラデーションを描き、奥には上記DMの通り大きなベンチがオレンジ色の棒に支えながら宙でひっくり返っています。

また壁面に目を転じると一面真っ白なキャンバスやボーダー状に線の入ったいわゆる絵画がおもむろに展示されていました。一見、それらの間には何かの脈絡があるようには見えないかもしれません。

しかしながら会場内をぐるぐるを歩いていると、椅子を支える棒の向きや色、そして菱形に配置されたキャンバス、さらにはアクリルタワーなどが交錯することで、立体と平面を超えた一つの刺激的な空間が生み出されているように思えてなりません。

何気ない既存の空間がシンプルな仕掛けで未知の世界へと変化する様子は痛快です。とてもスリリングな体験をしました。

2月26日まで開催されています。密かにおすすめします。

*開廊日時:火~土(日月祝休) 12:00~19:00
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「福永大介 - 何かを味方にすること」 小山登美夫ギャラリー

小山登美夫ギャラリー江東区清澄1-3-2 6階)
「福永大介 - 何かを味方にすること」
1/22-2/26



小山登美夫ギャラリーで開催中の福永大介個展、「何かを味方にすること」へ行ってきました。

作家、福永大介のプロフィール、及び展示概要については同画廊WEBサイトをご覧ください。

福永大介展 何かを味方にすること@小山登美夫ギャラリー

2004年に多摩美術大学美術学部絵画科を卒業後、2009年にはVOCA展に出品、また同年には第1回絹谷幸二賞を受賞しました。

ともかく私の中で福永というと、2008年の同画廊での個展で見た『モップ』の絵画の印象が強く残っていますが、今回は打って変わっての人物をモチーフとした作品が展示されていました。

登場するのは一見、何気ない日常の光景、例えばフェンスに手をかけて自転車を漕ごうとする男や、白いベットの前でメイドの格好をした立つ音ア、またヘルメットを被って木陰に座る男たちなどでした。

タッチと色遣いは心なしか以前より穏やかに、また淡くなったかもしれません。時に大きく歪んだ風景、また人物の描写は何やらシャガールともシュールレアリスムとも言えるような独特なものでしたが、パステルカラーに包まれたその姿からはかつて見た時のようなギラギラとした生命感はあまり感じられませんでした。

ここに描かれた人物たちは福永によると、「空虚なとき、無目的なとき、辛いときやどうにもならないとき、自分を慰めるために行う、人それぞれが拠り所にしている領域での振る舞い。(略)」なのだそうです。彼ら彼女らのどこか孤独を思わせるような寂しさはそうした面にも由来するのかもしれません。

2月26日までの開催です。

*開廊日時:火~土(日月祝休) 12:00~19:00
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「イメージの手ざわり展」 横浜市民ギャラリーあざみ野

横浜市民ギャラリーあざみ野横浜市青葉区あざみ野南1-17-3 アートフォーラムあざみ野内)
「あざみ野コンテンポラリーvol.1 イメージの手ざわり展」
2/5~2/20



「映像」をテーマに、6組の現代アーティストが多様な展示を繰り広げます。横浜市民ギャラリーあざみ野で開催中の「あざみ野コンテンポラリーvol.1 イメージの手ざわり展」へ行ってきました。

本展に出品の作家は以下の通りです。(作家略歴については公式WEBサイトをご参照下さい。)

川戸由紀(かわどゆき)、志村信裕(しむらのぶひろ)、田村友一郎(たむらゆういちろう)、plaplax(ぷらぷらっくす)、松本力(まつもとちから)、横溝静(よこみぞしずか)

単純に「映像」を前にするだけでなく、それこそ「手ざわり」ならぬ触覚までを通して、体感的に楽しめるような作品が展示されていました。

なおこの日は志村信裕、田村友一郎、plaplaxの3組のアーティストトークが開催されました。ここではそのトークの内容を踏まえ、展示の様子をご紹介したいと思います。

plaplax

そのまさに「手ざわり」そのもので楽しめるのは、展示冒頭のplaplaxのインスタレーションです。あえてネタバレは避けますが、何気ない日用品に触れ、そして森をイメージした装置の前で踊ると、あたかも絵本を開いてみるような物語的なイメージがいくつも飛び出してきます。子どもたちにも大人気の様子でした。


plaplax「Tool's Life」2001年

実はこのplaplaxは計4名のアートユニットですが、現在は会社化して、パブリックアートや公共空間の演出の他、映像コンテンツの技術開発などの幅広い活動を繰り広げています。


plaplax「Glimmer Forest」2007年

その一例として2005年の愛知万博での環境省主催の展示や、名古屋ルーセントタワーの地下歩道のデザイン全般、そして近場では豊洲駅前に出来た豊洲フロントの光を用いた屋外常設作品などが挙げられます。

plaplaxのテーマは一に「インタラクティブ」です。タッチセンサーなどで人が作品に関係し、そこからこれまでにはない情報やイメージを引き出し、さらには人の空間認識を変化させていくような装置を展開しているとのことでした。


plaplaxアーティストトーク

また会社としての活動を続けることで、単純にアートだけでなく、もっと開けた世界、つまりはデザインや科学、そして何よりもビジネスへの関わりをも強く志向しています。なお現在、彼らの手がけた「キッズワンダーランド ミッフィーはどこ?」が箱根の彫刻の森美術館で開催中(4月3日まで)です。そちらでもplaplaxならではのインタラクティブな展示が楽しめるかもしれません。

田村友一郎

さて今回の展示で最も「体験」色が強いのは、田村友一郎の大掛かりなインスタレーション、「TAIL LIGHT」です。ともかく展示室に足を踏み入れた途端、驚かれた方も多いのではないでしょうか。三面スクリーンを前にドーンと鎮座するのは何と正真正銘本物のタクシーでした。


田村友一郎「TAIL LIGHT」2011年

この作品、いわゆるアトラクション形式です。実際に車へ乗り込み、あざみ野の地よりスタートするセレクトした世界各地の街角のパノラマ映像を見ながら、しばし周遊旅行という流れになりますが、その映像にも重大なポイントがあります。

風景が何やらカクカクと動くのでしばらく見ていると気がつくかもしれませんが、これは田村が手作業でgoogleのストリートビューから収集した画像を編集したものでした。

田村はあざみ野の地、横浜とその世界の姉妹都市から風景を収集しながらも、決して観光名所ではなくどこにでもあるような郊外の風景を出来るだけ無作為に選択し、作家が述べるには『テンションの低くどこか冷めた風景』のスクリーンショットを繋げて動画化しています。


田村友一郎アーティストトーク

そもそも作品名、「テールライト」の由来の一つに星座のおおくま座があるそうですが、そうした本来ならバラバラにあるような星を結びつけて一つにするイメージを、今回の作品の風景にも当てはめているそうです。言わば単にネットから収集された素材が、あたかも現実に作家が撮ったようになる奇妙な瞬間こそ作品の醍醐味ではないでしょう。それのズレを提示するのも田村の狙いとのことでした。

そしてさらにこの作品にはもうひとつの奇妙な仕掛けがあります。それも風景と同じくあえて『奇妙なほどの居心地の悪さ』を狙ってのことですが、こちらも是非体験してみてください。ヒントは運転手さんです。

志村信裕

さて元々、武蔵野美術大学大学院で映像を学んだ志村信裕は、言わば映像を超えた新たな空間表現に挑戦しています。同ギャラリー最大の吹き抜け空間を用いての2点、「クラウド」と「モザイク」は、そのいずれもが映画の『銀幕』をテーマとした作品でした。


志村信裕アーティストトーク

作品では素材にも要注目です。床一面に広がる銀色のミラーフォルムは、作家が某大手100円ショップで何と1000袋も発注して手に入れたというプレゼント用の梱包素材に他なりません。それをクッション状に敷き詰め、中には四角い板を何枚か置き、あたかも日本庭園のような独特の空間を作り出しています。もちろん板の上にのって散策することも可能でした。


志村信裕「クラウド」2011年

それにしてもこの投影されたゆらゆらと動く白い光が、まさかたばこの煙を映したものとは思いもよりませんでした。身近な素材が未知の美感を引き出す瞬間をここで味わうことが出来ます。

もう一点の「クラウド」はアートサポーターとの共同制作の作品です。実はこの展覧会自体、横浜市民ギャラリーあざみ野のアートサポーターが深く関わっていますが、この作品に用いられたアルミや映像も作家とサポーターが一緒になって集めたものだそうです。志村の「特別な場所ではないものから面白いものを撮る。」というコンセプトは、それこそ特別ではない一般のサポーターの大きな力を借りて実現しました。


松本力「山へ」2001年 他

さてこの日のトークに出席した以外の3名の作家も見逃せません。2階展示室では空間いっぱいにアニメーション映像を投影する松本力の他、森美の六本木クロッシング展でもお馴染みの横溝静、また自らの見た映像の記憶をひたすらに絵に起こすという川戸由紀の三者三様の展示も印象に残りました。


横溝静「Flow」2007年/「Forever」2003年

なおこの展覧会は二本立てです。出品の6組の作家以外にも、アニメーション作家の山村浩二が選出した新鋭の13名の作家の作品上映会が予定されています。

山村浩二セレクション「現代アニメーションの世界」上映会
2011年2月19日(土)・2月26日(土) 各回14:00~(開場13:30)
横浜市民ギャラリーあざみ野 レクチャールーム
入場料:当日200円(高校生以下、障がい者手帳をお持ちの方および同伴者1名は無料)

[出品作家]
一瀬皓コ(いちのせひろこ)、植草航(うえくさわたる)、大川原亮(おおかわらりょう)、奥田昌輝(おくだまさき)、クリハラタカシ、
銀木沙織(しろきさ おり)、新海岳人(しんかいたけと)、中田彩郁(なかたあやか)、早川貴泰(はやかわたかひろ)、
平山志保(ひらやましほ)、横田将士(よこたまさし)、 和田淳(わだあつし)、山村浩二(やまむらこうじ)


2回目の26日については展示が終了しているので注意が必要ですが、こちらを目当てにという方も多いかもしれません。

先にも触れましたが、ともかく今回は同ギャラリーのアートサポーターの方が展示のかなりの部分を作り上げていると言っても過言ではありません。その一人が@butainunana2さんです。ツイッター上において展示のリアルタイムな情報も多くつぶやかれています。公式のアカウント(@artazamino)と一緒に是非ご覧になってみてください。

決して大きな規模の展覧会ではありませんが、体験型など楽しめる要素も盛りだくさんでした。おすすめします。

あざみ野コンテンポラリーvol.1 イメージの手ざわり展


会期中無休にて20日まで開催されています。

*開館日時:無休 10:00~18:00

注)写真の撮影と掲載は主催者の許可を得ています。(トークショー写真については主催者より拝借しました。)
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「松井亜希子 - 冬の水 うつろう光影」 INAXギャラリー

INAXギャラリー2中央区京橋3-6-18 INAX:GINZA2階)
「松井亜希子 - 冬の水 うつろう光影」
2/1-2/24



INAXギャラリー2で開催中の松井亜希子個展、「冬の水 うつろう光影」へ行ってきました。

作家プロフィールについては同画廊WEBサイトをご参照下さい。

松井亜希子「冬の水 うつろう光影」@現代美術個展GALLERY2

2008年に京都市立芸術大学美術学部を卒業後、主に京都や大阪で個展を重ねた他、町田市立国際版画美術館のグループ展などにも出品していました。(2010年、同大学大学院美術研究科絵画専攻を修了。)

さて今回の個展では、タイトルの如く水や光の影の移ろいを取り込んだ水辺、及び街角の風景を描いた作品を展示していますが、ともかくその技法を知って驚くものがあります。



モノクロームの画面を前にすると、ペンや鉛筆画などを連想させるかもしれませんが、何とそれは全て銅版画でした。しかしながらともかく質感、また感触はなかなか銅版画とは気がつきません。水のたゆたう様子や飛沫などは、どこか水墨のような独特の味わいもあります。建物の窓に差し込む光の陰影などが、細密でありながらも時に大胆なまでのタッチにて表されていました。

また必ずしも実景ではなく、自身で撮影した写真を何枚も組み合わせるなどしてシュールな光景を生み出している点も見逃せません。人影のない不在の景色はどこか儚気でした。

その両面の併せ持った複層的な表現はやはり版画だからこそ可能なものなのかもしれません。水やガラスに写り込む風景は、あたかも全て溶け出すように揺らいでいました。

2月24日までの開催です。おすすめします。

*開廊日時:月~土(日祝休) 10:00~18:00
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「20世紀のポスター タイポグラフィ」 東京都庭園美術館

東京都庭園美術館港区白金台5-21-9
「20世紀のポスター タイポグラフィ - デザインのちから・文字のちから」
1/29-3/27



古今東西、20世紀のポスターを華やかに彩った文字のデザイン、「タイポグラフィ」の世界を紹介します。東京都庭園美術館で開催中の「20世紀のポスター タイポグラフィ - デザインのちから・文字のちから」のプレスプレビューに参加してきました。



今までもポスターデザインに欠かせないタイポグラフィですが、今回はその最も発展を遂げた20世紀に焦点を定め、優れた表現を持つ欧米と日本のポスター作品を計110点ほど紹介しています。

構成は以下の通りです。

第1部:読む文字から見る文字へ「タイポグラフィの革新」(1900~30年代)
第2部:タイポグラフィの国際化「モダンデザインの展開と商業広告の拡大」(1940~50年代)
第3部:躍動する文字と図像「大衆社会とタイポグラフィの連結」(1960~70年代)
第4部:電子時代のタイポグラフィ「ポストモダンとDTP革命」(1980~90年代)


20世紀初頭に起きたモダン・タイポグラフィを起点に、商業広告や今に至るPC時代の作品を見る流れとなっていました。



展示冒頭に登場するのはお馴染みの分離派です。初期にはフェルディナント・ホードラーの「オーストリア造形芸術家協会第19回分離派展」など、絵画的要素の濃いタイポグラフィもいくつか展示されています。分離派の言えば松屋銀座の「アール・ヌーヴォーのポスター展」の記憶も新しいところですが、まさかタイポグラフィ展でもこうした作品が見られるとは思いませんでした。

またこの1930年代までのタイポグラフィは構成主義やシュルレアリスムなどの芸術運動とも密接です。シュルではお馴染みのマックス・エルンストの「シュルレアリスム国際展」など、絵画ファンには嬉しい作品も展示されていました。


ヤン・チヒョルト「構成主義者展」1937年

絵画と言えば展覧会の告知ポスターが多数出ているのも注目すべき点ではないでしょうか。例えば1966年のチューリッヒ美術館で開催されたダダ回顧展の他、タイポグラフィにも強い影響を与えたバウハウス回顧展のポスターなども紹介されていました。



さらに芸術面において私がお勧めしたいのは音楽関連のポスターです。なかでも目につくのはチューリヒのトンハレ協会の演奏会用ポスターでした。


ヨーゼフ・ミュラー=ブロックマン「ストラヴィンスキー、べルク、フォルトナー」1955年

中でもヨーゼフ・ミュラー=ブロックマンの「ストラヴィンスキー、ベルク、フォルトナー」は必見の一枚と言えるのではないでしょうか。深いブルーを背景に交差する白い幾何学平面の様相はリズミカルで、まさに音楽を思わせるようなデザインが展開されていました。


亀倉雄策「ニコンSP」1957年

展示は何も海外のポスターだけではありません。亀倉雄策や浅葉克己らをはじめとする国内のデザイナーの作品もかなり多く出品されています。とりわけ五十嵐威暢のつくば万博のポスターなどは実際に目にされた方も多いのではないでしょうか。

そう言えば今回のチラシのポスターもグラフィックデザイナーで多摩美術大学教授の佐藤晃一によるものです。タイポグラフィの頭文字のTが力強く押し出されていてインパクトがありました。


カリ・ピイッポ「ウィリアム・シェイクスピア「ハムレット」1993年

私の一推しはハムレットの公演告知のカリ・ピイッポのポスターです。鮮明な赤の下で横たわるハムレットのHは、まさに彼の死すべき運命を暗示させているように思えてなりません。胸に響きました。



図録も秀逸です。そもそも展覧会に出品されたポスターは全て竹尾のコレクションですが、図録からもメーカーの紙に対するこだわりがひしひしと感じられます。その抜群の手ざわり感は他の図録からなかなか得難いものがありました。

ちなみに竹尾主催のお馴染みの展示、TAKEO PAPER SHOWが今年も開催されます。先日、リリースが発表されました。あわせてご覧ください。

TAKEO PAPER SHOW 2001「本」@丸ビルホール(4/22~24) *5月には大阪へ巡回。



タイポグラフィと重厚なアール・デコ様式の庭園美の建物とのせめぎ合いも見どころの一つです。互いに特徴的な幾何学的デザインが一種の緊張感をもって対峙していました。いつもとは異なった希有な空間が実現しているのは間違いありません。



巡回はありません。3月27日まで開催されています。

*開館日時:第2、第4水曜以外開館。 10:00~18:00(入場は閉館の30分前)

注)写真の撮影と掲載は主催者の許可を得ています。
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N響定期 「ベルリオーズ:幻想交響曲」 ミョンフン

NHK交響楽団 第1694回定期公演 Aプログラム2日目

ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品61
ベルリオーズ 幻想交響曲 作品14

管弦楽 NHK交響楽団
ヴァイオリン ジュリアン・ラクリン
指揮 チョン・ミョンフン

2011/2/6 15:00~ NHKホール



ミョンフンがN響と共演するのは2008年以来、3年ぶりのことです。N響の第1694回定期公演を聞いてきました。

前半のベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲からして歌心満載です。音楽を大きな視点から捉え、なおかつ個々のフレーズではオーケストラから繊細な響きを引き出すミョンフンの指揮に対し、ソロのラクリンはそれに全く逆らうことなく朗々としたヴァイオリンの響きをホールいっぱいに広げていきます。

その様子はまさにオペラの伴奏に乗って歌う歌手に例えられるかもしれません。ミョンフンの個性もあるのか音楽は緩急自在で、時にためとうねりを伴うからか、あたかもヴェルディのオペラのようにドラマチックな表情を持っていました。

こうなるとミョンフンとラクリンの独擅場です。シンフォニックなベートーヴェンの音楽はあたかもイタリアの情熱を帯びるかのように歌い始めました。私はもっとインテンポで小気味よいベートーヴェンが好きだったりするわけですが、彼らの強い個性を前にするとそうした好み云々もどうでも良くなってしまいます。ここは素直に堪能しました。

後半の「幻想交響曲」は名演と言って差し支えないかもしれません。作曲者ベルリオーズ自身の失恋経験を元にしたというこの長大な全5楽章の夢物語を、ミョンフンはまさに「音色画家」(解説冊子から引用。)に相応しい力量でもって、それこそ画家がキャンバスに色をつけるかの如く音楽に豊かな彩りと情景を与えていました。

ミョンフンの最大の魅力はこうした巧みな情景描写にあるのかもしれません。私の中ではどこか取っ付きにくかったこの曲のオーケストレーションが親しみやすく聞こえて来たのには驚かされました。

「ベルリオーズ:幻想交響曲/チョン・ミュンフン/ユニバーサル」

N響もミョンフンの渾身のタクトに力いっぱいこたえます。この曲において重要な木管楽器をはじめ、とりわけコントラバスなどの低音部の弦楽器群、そしてティンパニと、充実した演奏を聞かせていました。

ミョンフンは明日、明後日のCプロではマーラーの第三交響曲を指揮します。(チケットはほぼ完売状態ですが、明日11日に限ってはC席などが若干残っています。)

第1695回定期公演 Cプログラム マーラー:交響曲第3番 指揮:チョン・ミョンフン
2月11日(金) 開演19:00
2月12日(土) 開演15:00


この音楽も一時、マーラーが標題をつけたほど物語的要素が強いだけに、ミョンフンのドラマテックな語り口でまた名演となるやもしれません。
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「『日本画』の前衛 1938-1949」 東京国立近代美術館

東京国立近代美術館千代田区北の丸公園3-1
「『日本画』の前衛 1938-1949」
1/8-2/13



1930年代後半、日本画に革命を起こそうとした画家たちの軌跡を辿ります。東京国立近代美術館で開催中の「日本画の前衛 1938-1949」へ行ってきました。

いわゆる一般的な日本画展として行くと良い意味で期待を裏切られるかもしれません。ここにあるのは伝統的な花鳥画や風景画ではなく、何やら抽象やキュビズム、それに構成主義を思わせる、おおよそ『日本画らしからぬ日本画』でした。

展覧会の構成は以下の通りです。(出品リスト

1. 「日本画」前衛の登場
2. 前衛集団「歴程美術協会」の軌跡
3. 「洋画」との交錯、「日本画と洋画」のはざまに
4. 戦禍の記憶
5. 戦後の再生、「パンリアル」結成への道


主に第二次大戦前夜の1940年前後、日本画から新たな表現を目指す運動に取り組んだ「歴程美術協会」の画家による計90点弱の作品が紹介されていました。


山崎隆「象」1938年 京都国立近代美術館蔵

率直なところ、歴程云々やパンリアルといった聞き慣れない言葉に少し戸惑いを覚えてしまいましたが、会場冒頭の一枚、山崎隆「象」を見て俄然その世界に引込まれたのは私だけでないかもしれません。

そもそもこのような抽象的な日本画があったこと自体驚きですが、白い地に黒の色面と帯状の赤の交錯するこの姿はまさにマレーヴッチの世界に他なりません。

またモチーフそのものは当然のこと、あたかも油彩を塗り込めたような分厚い画肌には、日本画らしからぬ質感が実現されています。ここは是非とも肉眼で確認していただきたいところです。


山岡良文「シュパンヌンク」1938年 個人蔵

またもう一点、冒頭の作品で挙げておきたいのが山岡良文の「シュパンヌンク」です。この幾何学的構成はそれこそカンディンスキーを彷彿させはしないでしょうか。(実際にタイトルもカンディンスキーに由来しています。)

日本画はこれまでにない要素を取り込んで大きく変化します。その有り様にはただただ驚く他ありませんでした。

とはいえ、決して伝統を全てかなぐり捨てて新たな表現を目指したわけではありません。ここで注意すべきは当然ながら素材は日本画の顔料であること、そしてモチーフそのものにも過去の日本美術よりインスパイアしたのが少なくないということでした。


船田玉樹「花の夕」1938年 個人蔵

そこで挙げておきたいのがチラシ表紙を飾る船田玉樹の「花の夕」です。それこそポロックでも思わせるような花を象る乱れたタッチなどは前衛的ですが、無数の花をつけて立つ木の姿自体は実にオーソドックスで、画像ではわかりにくいものの、木の下方に灯る満月の様相は琳派的でもあります。

また琳派と言えば同じく山岡良文の「矢叫び」も忘れられません。二曲一双の屏風に乱舞する矢と扇はそれこそ宗達画を連想するものがあります。

また山岡は伝統的な袋戸の小襖に抽象的なモチーフをはめこんだり、同じく襖ながらも今度は計数メートルにも及ぶ面に波打つ海を朧気な曲線のみで表現するなど、伝統を意識させる作品を数多く描きました。


田口壮「季節の停止」1938年 大分県立芸術会館蔵

前衛はただ単に過去の否定から生まれたわけではありません。むしろ伝統と革新のせめぎあう間、そして危うさにこそ、表現としての独特な魅力あるのではないでしょうか。

展示中盤に入ると「洋画との交錯」と題し、一部洋画作品もいくつか登場します。日本画と洋画との関係を探るテーマは最近、他の展覧会でもよく見られますが、ここで意外なのは著名な靉光の名画が前衛的な日本画の文脈に沿っても違和感がないことでした。 (実際、彼は歴程美術協会展に出向き、会員たちとの親交があったそうです。)

またミロを連想する長谷川三郎の「蝶の軌跡」や、鮮やかな色面がモンドリアン風に並ぶ村井正誠の「CITE」、さらにはモネ晩年の混沌とした蓮池のイメージを屏風に仕立てた丸木位里の「池」と、古今東西の入り交じった多様な表現は、日本画の更なる可能性を引き出してとどまりません。それが必ずしも成功をおさめていたかは議論がわかれるかもしれませんが、言わば1940年前後のきな臭い時代に起きた絵画史の一事件はそれこそ衝撃的の一言に尽きました。


丸木位里「馬」(部分)1939年 財団法人原爆の図丸木美術館蔵

戦争が始まると、こうした前衛的活動にも陰りが生じます。画家らは従軍画家として戦地に赴くなど、今までとは異なった制作を余儀なくされました。結果、「歴程美術協会」は活動を終え、戦後は「パンリアル」という次の世代を見据えた芸術活動が始まりました。私の好みはそれ以前、つまりは1940年前後にありますが、戦後の展開を知る上でも一連の作品は重要なのかもしれません。

見終えた後にずしりとした余韻がのし掛かるような気にさせられるのはその時代性に由来するからかもしれません。たとえ主流でなかったとしても、1940年前後の僅か10年あまりの日本画の展開がまさかこれほど鮮烈なものとは思いもよりませんでした。

会期が迫っていますが、もしご覧になっておられないようでしたが、次の三連休、是非とも竹橋へ足を運ばれることをおすすめします。知られざる日本画家の格闘の痕跡が示されていました。

2月13日までの開催です。なお東京展終了後、広島県立美術館(2/22~3/27)へ巡回と巡回します。

*開館日時:火~日(月休) 10:00~17:00(金曜は20:00閉館) 入館は閉館30分前まで。
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「再生」展 GALLERY MoMo 両国

GALLERY MoMo 両国墨田区亀沢1-7-15
「再生」展 
1/15~2/26



新ギャラリーモモ両国のスペースをギャラリーアーティストの作品で彩ります。開催中の「再生」展へ行ってきました。

旧スペースの一部がマンション建設により解体されたため、もう一方の敷地内に新たなスペースを増設、新装オープンした同ギャラリーですが、今回はそのお披露目展として所属のアーティスト約30名の作品が一同に紹介されています。出品作家は以下の通りでした。(画廊WEBサイトより引用)

Prat 1 : 2011年1月15日(土)-2月5日(土)
大坂秩加・大谷有花・奥田文子・小橋陽介・坂本真澄・佐藤栄輔・篠原愛・中矢篤志・早川知加子・人見元基・平子雄一・福島淑子・吉田和夏

Prat 2 : 2011年2月8日(火)-2月26日(土)
池田幸穂・石庭美和・大久保如彌・小野さおり・加藤俊介・木原千春・阪本トクロウ・重田美月・中井章人・深海武範・水谷一・早川克己・室井公美子・吉田晋之介・TETTA

なお会期は2期制です。本日8日よりpart.2が始まりました。


入口。南向きに変わりました。

あくまでも同じ場所での新装とのことで、住所こそ旧スペースと同じですが、入口は大きく変わっています。従来の建物はちょうど江戸博の向かい、つまりは清澄通りに面した箇所に入口がありましたが、新たなモモはその少し裏手、総武線の高架下沿いにのびる路地に設けられました。


天井から自然光も差し込みます。明るい空間でした。

以前は狭い間口より奥へと進む細長い空間が印象的でしが、リニューアルで様相は一変、ちょうど四角い箱が2つ組み合わさったようなスペースが出来上がりました。どちらかと言えば前よりも空間に一体感が生まれたかもしれません。


新スペース部分。

また天井の採光、そして何よりも建物自体が南向きになったからか、ともかく画廊内が明るくなったという印象を強く受けます。実際、オーナーさんのお話によると想定していたよりも光が差し込むため、後になってガラス窓にブラインドを設置したとのことでした。


こちらは旧スペースと同じです。

展示作品の殆どが直近の新作というのもまた見逃せないポイントです。part.1では今秋には同ギャラリーで個展も予定されている大坂秩加をはじめ、一際異彩を放つ佐藤栄輔、またその後ろ姿に趣は異なりながらも一瞬ハンマースホイを連想させる永山真策など、印象深い作品はいくつもありました。


清澄通り方向から見るギャラリー。この光景も手前の空き地にマンションが建つため見納めとなります。

というわけで本日開始のpart.2も是非伺いたいと思います。2月26日まで開催されています。

*開廊日時:火~土(日月祝休) 11:00~19:00
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