真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 さて、“ピンク映画は観ただけ全部感想を書く”とやらで、相も変らずひたすらに虚空を撃ち続けてゐたりなんかする昨今である。目安といふかキリがいいところまでとでもいふか、兎も角、実は千本感想を書くといふ目標を目指してゐる。何の為に、だとかそれでどうなるのか等々といつた他愛もないのかあるいは至極全うな問ひを発するのは、男に対しては禁止だ。と、思ふ。ところで、現況はといふとどうにか再来月には七百本を通過、したい。ともあれ、俺が先にデスる分には別に構はぬがさうともいつてゐられない逼迫した、もしくは風前の灯ともいへる状況以前に、別種の、より恐ろしい困難に直面するに至つてしまつた。現実問題として、近隣各小屋のプログラムの中に、必ずしも未見ではなくとも少なくとも感想は書いてゐない、ピンクが少なくなつて来たのだ。今週の地元駅前ロマンは、二週目となる友松直之の「闇のまにまに 人妻・彩乃の不貞な妄想」(2009/厳密にはピンクではないが)と、Vシネ二本。殆ど毎週のやうに遠征を展開してゐる八幡の前田有楽は、月例番組表を確認した時点で不出撃を決定してゐたゆゑ詳細は押さへてゐないものの、兎に角既に感想を書いてゐる三本立て。一方天神シネマはといふと、新田栄の「痴母の強制愛撫 止めないで!」(2007)、浜野佐知の「魔乳三姉妹 入れ喰ひ乱交」(2007)の福岡市初上陸ではある2007年作二本と、AVがもう一本。かうなつたら仕方がない、電話の応対が暴力的に横着なので基本的には気が進まないが、背に腹は代へられぬと小倉名画座に目を向けてみれば、坂本礼の「いくつになつてもやりたい不倫」(2009)に、来月前田有楽に出撃決定済である坂本太の旧作改題。
 小倉まで含めたらどうにかなるかとも思つたが、甘かつた。されど、まだだ、まだ終らんよ。ピンクを観ないピンクスなんぞ概ね、個人的には間違ひなく、ピンクを観ないピンクスなんぞただの社会不適応を拗らせたダメ人間だ。諦めるな、最後の切り札、プロジェク太上映とはいへども未踏のフロンティア・久留米スバル座があるぢやないか!といふ訳で、電話して訊いてみた久留米の番組は国沢実の「美人歯科 いぢくり抜き治療」(2008)、佐藤吏の「本番オーディション やられつぱなし」(2009)と、AVがもう一本・・・・万事もここまで休すると最早鮮やかだ。といふか、八つ当たりするつもりもないが百万歩譲つてVシネならばまだしも、小屋でAVをかける意味がサッパリ判らん。特に天珍なんて、ハッテンすら許容しない強硬な姿勢を取つてゐるのに。別に潔く二本立てで、問題ないやうな気しかしない。
 
 五つも小屋があつて、全部機能しないとなると流石にもうどうしやうもないよな。といふか、内三つはプロジェク太上映ながら、県内に五館もピンク映画上映館の現存してゐることに、改めて驚くべきでもあるのであらうか。ここのほんの一週を、後々悔やむやうな無様な醜態を曝すくらゐならば、頑強にどうにかしたかつたところなのだが、流石に逃げ場なく万策尽きた。仕方がないので、今週は不貞腐れて無駄に体を休める。


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 「不倫《秘》公園 人妻たちの濡れ場」(1997/製作:旦々舎/提供:Xces Film/脚本・監督:山﨑邦紀/企画:稲山悌二《エクセス・フィルム》/撮影:小山田勝治・新井毅・市川修/照明:上妻敏厚・新井豊/編集:酒井正次/音楽:中空龍/助監督:矢野敏夫/制作:鈴木静夫/スチール:岡崎一隆/協力:高田宝重/録音:シネキャビン/現像:東映化学/出演:立花杏子・篠原さゆり・柳東史・杉本まこと・山本清彦・青木こずえ)。
 デザイナーの諏訪久作(柳)と、夫とは処女のまゝ結婚した妻・加世子(立花)の夫婦生活。諏訪は何故だか無闇に、自分以外の男を求める希望の有無の確認と、太く硬く大きなモノをねだる痴語を連呼するやう加世子に強ひる。翌朝、デザイナーといふよりは完璧にサラリーマンのやうな風情で加世子に見送られ仕事に出た諏訪は、こちらも配偶者の靖子(篠原)に見送られちやうど浜野佐知の自宅から出て来たところの、大手企業の部長職・弦巻孝之(杉本)に声をかけられる。以前、諏訪は弦巻からスワッピングの申し出を受けてはゐたものの、未だ加世子にも言ひ出せずに逡巡してゐた。その道の熟練者なのか、そんな久作に上から目線で余裕の笑みを浮かべる弦巻の傍ら、靖子も妖しく微笑む。篠原さゆり全盛期の、重量級の浮遊感が爆裂する。一方、日課なのか加世子が河原をジョギングする。開巻から既に顕著でもある、立花杏子の心身とも隈なく健康的な様子が爽やかに麗しい。この頃のエクセスにしては画期的ともいへるレベルでの、綺麗な主演女優ぶりを咲き誇らせる。話を物語に戻して公園の脇を通りかゝつた際、ムームーを着た地獄の軍団調のお人形さんのイメージを伴なふ幼少期の苦い記憶を甦らせつつ、加世子は薮の中で細い小瓶に入れられた手紙を拾ふ。手紙の主は地下生活者のやうだとかいふ孤独を訴へ、そんな自分に対する、呼応を求めてゐた。よくよく考へてみると、ラインに繋がつてゐるか否かの違ひだけで実は今世紀の私達は、殆どどころかほぼ全く進歩などしてゐないやうな気がして来た。
 その夜、諏訪が弦巻夫妻との夫婦交換について妻におずおず切り出したところ、案の定大喧嘩になつてしまふ。更に翌朝、すつかり情けなく悄気返る諏訪の肩を、ニマーと笑みを浮かべた青木こずえが「ポン!」と勢ひよく叩く。町内会の役員を務めた縁で諏訪と知り合つた鷹取亜紀(青木)は、原因はどうあれ夫に逃げられたのち、軽やかに諏訪と不倫関係にあつた。そんなことは露知らず、孤独のメッセージに返事を書いてみた加世子は、手紙を書いた男・酒々井千晶(山本)と出会ふ。酒々井は白衣を着た研究者風の、繊細さを感じさせる男だつた。酒々井との逢瀬を重ねるうち加世子は何時しかよろめき、諏訪以外初めての男を知る。他方、常時口にする何某かの飲み物を入れた魔法瓶を手放せない靖子も、ボトルメールを介して酒々井と遭遇する。ただ靖子に対する際の酒々井は、よく判らない説明だがゲイ風味もまぶした頓珍漢なバイカーの如き、兎にも角にも加世子と接する時とはまるで別人のやうな風体とパーソナリティーとであつた。とまれともに酒々井を相手とした加世子と靖子、何れの青姦も亜紀が目撃する。野外でばかりぢやそりや見られるぜ、といふツッコミは自重すべきだ。
 自らを、他人の欲望を映す鏡だと不遜に称する怪人・酒々井を中心に、加世子と靖子、そして妻の不貞といふ事実に動揺する―己を上げた心の棚に関しても、一旦さて措け―諏訪も含め、翻弄される心に隙間を抱へた者達の物語。といふ主題に関しては、実はそれほど堅牢に構築されてある訳ではない。主人公だけあつて加世子に関しては、最後の背中の一押しまで、現在に影響を及ぼす過去からそれを超えた未来への足取りへと、酒々井につけ込まれる要因としては実は明確ではない点にさへ目を瞑れば、固有の心的外傷がほぼ磐石に描かれる。対して、煮ても焼いても喰へぬ諏訪の自信不足の源は、短小疑惑が概ね匂はされかけもする反面、最終的には明示されない。靖子が依存症に溺れる契機あるいは理由に至つては、最早開き直つたかのやうに清々しく一欠片も描かず綺麗に通り過ぎる。壊れるなら壊れるで、強く壊れることの出来る篠原さゆりが靖子役であるだけに、ここは大きく心を残しも、した筈なのだが。
 必ずしもメイン・プロットが十全に機能を果たすとはいへない反面、代つて前面に飛び込んで来るのが酒々井V. S. 亜紀、即ち山本清彦×青木こずえといふ、史上最強級のエリート変態同士による頂上決戦。そもそも、加世子や靖子の不安定な火遊びを観察する亜紀の視点が、実に山﨑邦紀らしい。常々この人は、顕在的な変幻怪異あるいは倒錯奇抜の奥底で、実は冷徹な論理性をその核に持つ映画作家であると目してゐるものなので、冷静な観察者としての亜紀の立ち居地には、万象に相対する山﨑邦紀自身の姿をも想起される。そしてここからの展開も、強靭な論理を発条に跳躍の高い一流のスラップスティック。加世子・靖子においならず、近隣の主婦連を喰ひ散らかしてゐるらしき酒々井と、見かねた亜紀は遂に対決を決意する。亜紀も亜紀で、手前も他人の旦那を寝取つておいて、藪から棒に義憤に駆られるといふのも如何な相談かといふ話につき、ここは同類ともいふべき性の冒険者に対しての、性差を超えたライバル意識を読み取るのが相当であらう。それは一体どういふアイテムなのか、上半身にはデニム地のブラジャーのやうなものを当てただけの酒々井を、矢張り露出過多なワンピース姿の亜紀が呼び止める、「何々よアンタ」。格好は十二分に異常な癖に「僕ですか?」と平然と惚けてみせる酒々井に対し、亜紀は思ひつ切り指差しながら「そ、あんた」。山本清彦と青木こずえ、当時の旦々舎常連の中でも屈指の二大飛び道具を並べての、亜紀と酒々井のシークエンスはファースト・コンタクトから箍を外して爆走し続ける。二人のボケとツッコミの塩梅が震へる程に豊潤で、可笑しくて可笑しくて仕方がない。正体を加世子らに暴露するぞと恫喝されるや、豹変した酒々井は猛然と亜紀に襲ひかゝる。一応形だけは亜紀も逃げ、草叢の中をそれとなく元々大して着てもゐない衣服を脱ぎ捨てつつチェイス。頃合を見計らひ亜紀も応戦に転じると、例によつてその場でファックといふ濡れ場には性的な煽情性といふよりも、寧ろスペクタクルを前にした興奮の方が先に立つ。更にはその壮観を、適宜敷設済みの伏線も頼りに、軸足を失ひかけた主人公がオーソドックスな落とし処に納まる誘因として作用させてみせる、大胆かつ堅緻な舵捌きは比類ない。魔神やまきよを野に放ち恣に奔放な無茶もし倒しておいて、最後には最初から何事もなかつたかのやうに一組の危機を迎へた夫婦を修復させ、ケロッと画楽映画を畳み込む。その曲芸を可能ならしめる所以こそが揺るぎない論理ともうひとつ技術とで、正しく山﨑邦紀の映画といふべき、抜群に面白い一作である。
 諏訪からの返答は保留された晩に、弦巻が「今夜は、代理チンポとスワッピングするか」と靖子の秘裂にビール瓶を捻じ込む件には、旦々舎ここにありを轟然と叩き込む桃色の実用性が唸りを上げる。ピンク映画としての全方位的な素晴らしさに脱帽せざるを得ないこのカットに際しては、とめどなく零れてしまはないのを窺うふにさうではない筈なのだが、絶妙なテクニックでどう見ても実際に入れてゐるやうにしか見えない。絆を再確認する妻と夫がゐる一方、他方の夫妻関係は完全に崩壊する対照には、遠目の勧善懲悪も認められる。木に竹を接ぐ感のなきにしも非ずといへなくもないが、ここで山本清彦と青木こずえに続く第三の矢に火を噴かせる隠し玉でショットを固定するダイナミズムも、山﨑邦紀の主力兵装のひとつに数へられよう。

 ここからは、狭義の感想からは全く離れる。(義理とはいへ)親戚の不幸といふどうしやうもない世間一般的な逆風をどうにか潜り抜け、遮二無二出征した遠征にて拾つて来た一作である。この一本は、どうしても観ておきたかつた。期待を裏切らず、絶好に恵まれたロケーション同様晴れやかな快作であつた。例へば古本屋にて出会ふ古い書物と同じやうに、とでもいへば御理解も頂けようか、DVDを借りて来れば見るだけなら見られる一般映画とは異なり、たとへどんなルーチンワークであつたとてピンクの世界は一期一会であると、常々私は思ふ。


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ピンク映画の感想のインデックスです。
当該タイトルを踏んで頂ければ、別ウインドウで表示されます。

監督別五十音順に整理、同一監督内は製作順。
(製作年/V)は、正確にはピンクではなくVシネ。

薬師寺光幸
愛人 悦楽の午後」(昭和60/買取系ロマンポルノ)

安田健弘
エロ三姉妹 濡れ続け」(1996/旧題:『濡れる美人三姉妹 乱れ乱れる乱れろ』)

矢竹正知
若妻売春の罠」(1989)
本番狂ひ」(1990)
新妻・衝撃の夜」(1990)
凄絶・監禁レイプ」(1990)
OL生撮り本番」(1992)
高級秘密クラブ ザ・秘書室」(1993)

山内大輔
破廉恥願望 丸見え下半身」(2002/旧題:『夢野まりあ 超・淫乱女の私性活』)
背徳義母とふしだら娘 狂喜乱舞」(2003/旧題:『疼く義母と娘 猫舌くらべ』)
便利屋家政婦 鍵の穴から」(2004)
絶倫義父 初七日の喪服新妻」(2005)
喪服不倫 黒足袋婦人」(2005)
エプロン寮母 からみつく痴態」(2005)
女子寮の好色親爺 屋根裏の覗き穴」(2005)
喪服レズビアン 恥母と未亡人」(2006)
美姉妹レズ 忌中の日に…」(2006)
レンタルお姉さん 欲望家政婦」(2006)
老人と美人ヘルパー 助平な介護」(2007)
厚顔無恥な恥母 紫の下着で…」(2007)
性執事 私を、イカして!」(2007)
美熟女姉妹スワッピング 貞淑な姉と淫乱な妹」(2010/Vシネ)
色恋沙汰貞子の冒険 私の愛した性具たちよ…」(2010)
スナック桃子 同衾の宿」(2013)
黒い団地妻 妊娠したい入居者」(2013)
欲望に狂つた愛獣たち」(2014)
痴漢電車 悶絶!裏夢いぢり」(2015)
情炎の島 濡れた熱帯夜」(2015)
性辱の朝 止まらない淫夢」(2016)
淫暴の夜 繰り返す正夢」(2016)
人妻漂流 静寂のあへぎ」(2016)
ぐしよ濡れ女神は今日もイク!」(2017)
ももいろ絵本 イッてみよう、ヤッてみよう!」(2017)
女いうれい 美乳の怨み」(2017)
ひまはりDays 全身が性感帯」(2017)
変態家族 碧い海に抱かれて」(2018)
再会の浜辺 後悔と寝た女」(2018)
スナックあけみ 濡れた後には福来たる」(2018)
若妻トライアングル ぎゆつとしめる」(2019)
変態怪談 し放題され放題」(2019)
はめ堕ち淫行 猥褻なきづな」(2020)
つれこむ女 したがりぼつち」(2020)
淫靡な女たち イキたいとこでイク!」(2021)
ペッティング・モンスター 快楽喰ひまくり」(2021)
いんらん百物語 喜悦絶叫!」(2022)

山岡隆資
三十路秘書 太股ご接待」(1995/旧題:『人妻秘書 肉体ご接待』)

山﨑邦紀
《生》異常性体験 淫婦たちの群れ」(1990/山崎邦紀名義/旧題:『超アブノーマル・ペッティング 異常快楽』/実は浜野佐知監督作らしい)
濡れる秘書室 淫らな匂ひ」(1993/山崎邦紀名義/旧題:『いんらん秘書 スペシャルONANIE』)
獣欲魔 ちぎれた報酬」(1993/水元はじめ名義)
夜泣き喪服妻 -女臭い寝床-」(1994/山崎邦紀名義/旧題:『超いんらん 貞操帯夫人』)
道具責め ONANIEナース」(1994/水元はじめ名義)
痴漢飼育 女尻いぢり」(1994/山崎邦紀名義/旧題:『痴漢マニア 女尻丸出し』)
欲しがり令嬢 くはへて飲む」(1994/山崎邦紀名義/旧題:『いんらん令嬢 野外逆レイプ』)
ナマ本番 淫乱巨乳」(1994/山崎邦紀名義)
痴漢電車 覗いて嗅ぐ!」(1995/山崎邦紀名義)
巨乳飼育術・監禁」(1995/山崎邦紀名義)
スワッピング狂ひ ‐山の手和服夫人編‐」(1995/山崎邦紀名義)
令嬢玩具 淫乱病」(1995/山崎邦紀名義)
蜜まみれ変態家族 ~いぢりあひ~」(1995/山崎邦紀名義)
《秘》盗撮 素人穴場さぐり」(1995/山崎邦紀名義)
変態プレイ 私はおもちや」(1996/山崎邦紀名義/旧題:『変態願望実現クラブ』)
性感治療 いぢり泣く」(1996/山崎邦紀名義)
痴漢電車 潮吹きびんかん娘」(1996)
全国変態妻 ‐どスケベ三昧‐」(1996)
超淫乱 愛田るか くはへたら放さない」(1997)
セクハラ就職面接 女子大生なぶり」(1997)
痴漢まん淫電車 エッチな匂ひ」(1997)
痴漢電車 人妻ストーカー」(1997)
不倫《秘》公園 人妻たちの濡れ場」(1997)
憧れの英語の先生 ‐監禁バイブ地獄‐」(1997)
痴漢電車 指で濡らします」(1998/旧題:『痴漢電車 おさはり多発恥帯』)
人妻チャイナドレス 欲情むき出し」(1998)
フェチな女たち ‐恥づかしい下着‐」(1999)
巨乳編集長 やはらかな甘み」(1999)
和服夫人の身悶え -ソフトSM編-」(1999)
爆乳風俗 お気に召すまま」(2000)
変態肉濡れバイブ」(2000)
監禁悪戯 悲鳴のあへぎ」(2000)
視線ストーカー わいせつ覗き」(2001)
淫女乱舞 バトルどワイセツ」(2001)
愛人秘書 美尻蜜まみれ」(2002)
お灸快楽 若草いぶり」(2002)
理由あり未亡人 喪服で誘ふ」(2003/旧題:『変態未亡人 喪服を乱して』)
変態熟女 発情ぬめり」(2003)
禁断姉弟 女肉のぬくもり」(2004)
究極性感 恥穴ゑぐり」(2004)
処女花嫁 初めての悦び」(2004)
変態体位 いやらしい性生活」(2005)
べんり屋熟女 ~変態性癖24時~」(2006)
催眠エクスタシー 覗かれた性交癖」(2007)
社長秘書 巨乳セクハラ狩り」(2007)
変態穴覗き 草むらを嗅げ」(2007)と、一応残しておく不完全版@感想が
セクハラ洗礼 乱れ喰ひ」(2008)
絶倫老年 舐めねばる舌」(2008)
ハレンチ牝 ひわい変態覗き」(2009)
美尻エクスタシー 白昼の穴快楽」(2010)
奴隷飼育 変態しやぶり牝」(2011)
人妻の恥臭 ぬめる股ぐら」(2012)
異常飼育 ワイセツ性交」(2012)
淫行フェチ 変態うねり尻」(2013)
SEX実験室 あへぐ熟巨乳」(2013)
変態観測 恥穴むき出し!」(2015)
変身人形 肢体を愛でる指先」(2015)
変態芸術 吸ひつく結合」(2016)
巨乳vs巨根 ~倒錯した塔愛~」(2016)
性器の大実験 発電しびれ腰」(2017)
痴漢電車 変態の夢と現実」(2017)

大和屋竺
愛欲の罠」(昭和48/買取系ロマンポルノ)

山本淳一
マジカル・セックス 淫ら姫の冒険」(2018)
ギャル番外地 シメさせてもらひます」(2019)
ギャル番外地2 またシメさせてもらひます」(2019)

山本晋也
ドキュメントポルノ 続 痴漢」(昭和48/買取系ロマンポルノ)
ドキュメントポルノ 女 ひも 紐」(昭和48/買取系ロマンポルノ)
ドキュメント・ポルノ トルコテクニック大全集」(昭和49/買取系ロマンポルノ)
ポルノだョ!全員集合《秘》わいせつ集団」(昭和49/買取系ロマンポルノ)
セミドキュメント オカルトSEX」(昭和49/買取系ロマンポルノ)
痴漢地下鉄」(昭和50)
残虐女刑史」(昭和51)
それゆけ痴漢」(昭和52/買取系ロマンポルノ)
ポルノ チャンチャカチャン」(昭和53/買取系ロマンポルノ)
痴漢との遭遇」(昭和53/買取系ロマンポルノ)
赤塚不二夫のギャグ・ポルノ 気分を出してもう一度」(昭和54/買取系ロマンポルノ)
好色透明人間 女湯覗き」(昭和54/買取系ロマンポルノ)
愛染恭子の未亡人下宿」(昭和59/買取系ロマンポルノ)
小松みどりの好きぼくろ」(昭和60/買取系ロマンポルノ)

横山翔一
絶倫探偵 巨乳を追へ!」(2018)
激マブ探偵なな 手淫が炸裂する時」(2021)

吉岡昌和
三次元透視 SEXウルトラアイ」(昭和59/買取系ロマンポルノ)

吉行由実
熟女調教 発情の目覚め」(1996/旧題:『まん性発情不倫妻』)
姉妹どんぶり 抜かずに中で」(1997)
発情娘 糸ひき生下着」(1998)
新妻不倫 背中で感じる指先」(1999)
せつなく求めてⅡ ‐人妻編‐」(2000)
不倫妻 愛されたい想ひ」(2003)
シングルマザー 猥らな男あさり」(2003)
憧れの家庭教師 汚された純白」(2004)
年上のOL 悩ましい舌使ひ」(2005)
ミスピーチ 巨乳は桃の甘み」(2005)
巨乳な姉妹 谷間に吸ひつけ」(2006)
未亡人アパート 巨乳のうづく夜」(2007)
不倫中毒 官能のまどろみ」(2007)
裸身の裏顔 ふしだらな愛」(2008)
アラフォー離婚妻 くはへて失神」(2009)
喪失《妹》告白 恥ぢらひの震へ」(2010)
新婚の寝室 身悶え飼育」(2011)
不倫密会 ふしだら狂ひ尻」(2011)
抱きたい人妻 こすれる感触」(2012)
新婚妻の性欲 求める白い肌」(2012)
ねつとり秘書 吸はれる快感」(2012)
義父の愛撫 くひ込む舌先」(2013)
妹の匂ひ よろめきの爆乳」(2014)
お天気キャスター 晴れのち濡れて」(2015)
お昼の猥談 若妻の異常な性体験」(2015)
浮気妻 寝室の覗き穴」(2015)
女教師の秘密 縛つてあげる…」(2016)
恋するプリンセス ぷりんぷりんなお尻」(2016)
股間の純真 ポロリとつながる」(2017)
人妻ドラゴン 何度も昇天拳」(2017)
誰にでもイヤラシイ秘密がある」(2018)
姉妹事件簿 エッチにまる見え」(2019)
小悪魔妻 美乳で誘ふ」(2020)
同棲性活 恥部とあなたと…」(2020)

米田彰
本番ONANIE 指戯」(昭和63)

代々木忠
ドキュメント・ポルノ 痴漢《秘》レポート」(昭和48/買取系ロマンポルノ)
ドキュメントポルノ 発情族を剥ぐ」(昭和48/買取系ロマンポルノ)
セミドキュメント スケバン用心棒」(昭和49/買取系ロマンポルノ)
《秘》追跡レポート 初夜の性態」(昭和49/買取系ロマンポルノ)
セミドキュメント 《秘》女肉市場」(昭和51/買取系ロマンポルノ)


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 「触らせる女 恥淫のドレス」(1998『痴女電車 さはり放題』の2009年旧作改題版/製作・配給:新東宝映画/監督:友松直之/脚本:大河原ちさと/企画:福俵満/撮影:中尾正人/照明:中元文孝/助監督:藤原健一/演出助手:石川二郎・佐々木直也/撮影助手:奥野英雄/ヘアメイク:久保田かすみ/スチール:本田あきら/キャスティング:寺西正己 アクトレスワールド/編集:酒井正次/録音:シネキャビン/現像:東映化学/協力:田村孝之・斉藤一男・長谷川プロ・HIRO'S CAR/制作協力:《有》幻想配給社/出演:松沢菜々子・風間今日子・江東夏海《新人》・隆西凌・平正義《子役》・久保新二・大塚浩史《新人》・倉兼由貴・横塚明・マサシ《コントD51》・沢田徹・小原理沙・瀬戸将哉・高倉亜紀・勝虎未来)。出演者中、平正義と横塚明以降は本篇クレジットのみ。因みに今作は2002年に、「人妻痴女 またがる」といふ新題で既に一度新版公開済み。 
 混み合ふ通勤電車の車中、寺西徹を縦に引き伸ばしたやうなサラリーマン(横塚)に、ウィッグと大きなサングラスとで顔は隠した赤いドレスの女が近付く。女は自ら男の体に接触すると痴女行為を展開、受けた男が盛り上がつたところで、鋏で相手のスーツを切り裂き姿を消す。我に帰つたサラリーマンは大恥をかく、といふ寸法である。テレビのニュースが昨今都内に出没する赤いドレスの不審者の事件を伝へ、五才の幼稚園児の息子・正義(平)はお人形さんを鋏で突(つゝ)いて遊ぶ傍ら、高田陽子(松沢)は怯えながら夕食の支度に追はれる。そこに、公務員でもあるのか毎晩六時半には家にゐる夫(隆西)帰宅。ところで隆西凌といふのは、イコール稲葉凌一。仕事に関する鬱積からか、高田は料理が不味いといつては陽子に暴力を振るふ。その夜、手の平を返すやうに謝りながら体を求めて来る高田に対し、弱い陽子は自らの非を詫びることしか出来なかつた。陽子の体には高田のDVによる生傷が絶えず、見かねた看護婦の和江(風間)から、ルームメイトが男を作つて出て行つたゆゑ空いてゐるといふ自室に転がり込むやう勧められる。一方、教へ子の夏海(江東)と男女の仲にある淫行教師・木島(多分大塚浩史)は、夏海を教頭(久保)に売る。夏海の若い肉体に驚喜する教頭の、「この鮫肌のやうな餅肌☆」とかいふ小台詞は、絶対に大河原ちさとが書いたものではなく久保チンのアドリブに違ひない、リップシンクも清々しく合つてねえし。電車内で痴漢に遭つた夏海は、逃げられさうになつたオッサンの痴漢(マサシ)を陽子・正義親子と一緒の和江が足を引つ掛けて仕留めたことから、坊やは兎も角二人と仲良くなる。四人連れで入つた居酒屋にて、夏海が教頭から巻き上げた金を軍資金に盛り上がる。昨今世間を騒がせる赤い切り裂き魔に触発された和江と夏海は、教頭・木島に高田、女を蔑ろにする男達に対する逆襲を決意する。ここで、正義くんは勿論のこととして、酒が飲めないのか陽子もオレンジジュースを飲んでゐたりするさりげないディテールが、何気に秀逸だ。といふか子供が居ることも考へると、ここは酒場ではなくファミレスかマックでも良かつたやうな一般的な疑問は残る、撮影させて呉れないか。
 バタバタしてゐる内に結局ほぼ軒並拾ひ損ねてしまつたが、ピンク映画にしては妙に大勢出演者としてクレジットされる。他に勝虎未来が、和江と立ち話する看護婦同僚。倉兼由貴は、和江に喰はれるギブスで長髪の大学生・中山君。
 劇中鍵を握る赤いドレスの女の正体に関しては、実際に今作を前にした場合、一欠片の説明も要しまい。女達の復讐物語と、暴力夫からの陽子の解放と再起。二本立てのメイン・プロットは一応形式的な起承転結はひとまづ形作つてゐるものの、全体的な一本の映画としての強度は然程強くない。明後日には飛び抜けたアクティビティを誇りつつ、ヒロインたるべき陽子が大ボスの高田に対しては最後まで力無い点が、最大の敗因か。和江と夏海、最終的には正義にまで頼りきりで、自身は高田に対して置手紙を残し家を出たほかは、徹頭徹尾平身低頭しかしてはゐない。ただ正義が母を庇ひ高田の前に立ちはだかる場面は、平正義のシークエンスとしてはエモーショナル。子役が一番美味しいところを持つて行く成人映画といふのも、画期的に珍しいとは思ふ。ただ正義が、母親は微妙に逡巡する家の鍵を川に投げ関係を完全に清算してしまふ件に関しては、そこは陽子かでなければ和江が、川にゴミを捨てたりしてはいけないと一言叱るべきではなからうか。深夜の公園にて仁王立ちで待ち伏せする隆西凌が、金属バットを一閃夏海を撃墜するバイオレンスなショットには、ピンク映画らしからぬセンスが光る。

 クレジットには載らないが、アリスセイラーの楽曲が開巻から全篇を通して今作を彩る。


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 「年上のOL 悩ましい舌使ひ」(2005/製作:オフィス吉行/提供:オーピー映画/監督:吉行由実/脚本:吉行由実・本田唯一/原題:『センチメンタル・メロンソーダ』/撮影監督:清水正二/編集:鵜飼邦彦/音楽:加藤キーチ/助監督:小川隆史/監督助手:三浦麻貴/撮影助手:葛西幸祐・花村也寸志/照明助手:広瀬寛巳/協力:岩村翔子・有限会社アップリンク/出演:谷川彩・関本真矢・華沢レモン・鏡野有栖・平川文人・吉行由実・野村貴浩)。ブタさんがトコトコ歩いて来るオフィス吉行のカンパニー・ロゴが、2004年の薔薇族映画「せつないかもしれない」(脚本:吉行由実・本田唯一/主演:千葉尚之/当然未見)がさうでなければ、本作に於いて初めて使用される。
 アップリンク・ギャラリーに勤める姫宮ナリコ(谷川)は、大量の資料をペラペラの紙袋に詰め込み8時26分の通勤電車に急いでゐたところ、案の定負けた袋が裂けてしまひ往生する。自転車通学の途中その様子を見てゐた近所の名門校・落合高校生徒の天上タカシ(関本)が、散らばつた荷物を拾ふのを手伝ふのに加へ、学校指定の鞄も貸し助けて呉れる。タカシがかつてからナリコを注視してゐたらしいことはその場の勢ひでさて措き、二人は親しくなる。妻も居るといふのに、画廊のオーナー・鳳リュウジ(野村)がナリコを狙つてゐると思しき件につき同僚の篠原サキ(吉行)からは釘も刺されつつ、ナリコには既に男女の仲にある彼氏・桐生(平川)が居た。尤も、二人の交際に関して万事にルーズな桐生と、ナリコは微妙な状態にあつた。遡つてみるならば、平川文人は薫桜子に遡り、谷川彩も役柄上満足させられなかつたことになる、不遇な役者さんだ。桐生とのことに頭の痛いナリコは若く快活なタカシと過ごす時間に居心地の良さを覚え、二人してズル休みし遊びに行つてみたりと、あくまで何となくではあつても次第に関係を深めて行く。約束の海外旅行をキャンセルした、穴埋めの中華料理にも更に大遅刻する桐生と、ナリコは終に別れる。鳳に連れて行かれた一週間の京都出張から帰京後、ナリコはお化け屋敷をやると誘はれてゐた文化祭を訪れてみるが、そこにタカシは現れなかつた。以来、タカシはナリコの前から姿を消す。
 時は流れ、ナリコの彼氏居ない暦と、この一年のサキの体重増加とを互ひに揶揄し合ふ中、ナリコはギャラリーに荷物を配達しに来た運送会社のアルバイトといふ形で、タカシと再会する。当時タカシはナリコが東京を離れてゐる間に、父親の急な転勤で転校したとのこと。そして元の家の近くの大学に進学したタカシは、東京に戻つて来てゐたのだ。二人は以前の如き、仲のいい姉弟のやうな関係を再開させる。一方、タカシには同級生の彼女・高槻リカ(華沢)も出来る。ある夜ゲームをしながらグダグダとタカシの部屋に結局一泊してしまつたナリコは、翌朝訪ねて来たリカと鉢合はせる。論を俟たず緊迫した空気の中、ナリコはリカに一応詫びるとタカシの部屋を後にし、以後距離を取る。見知らぬ年上の女に剥き出しの敵意を行儀悪く暴発させる荒れ芸は、華沢レモンの綺麗な持ちキャラといへよう。
 仕事は兎も角男には悩む働く女が、イケメンの弟のやうな若い男との出会ひにそれとなくといふかそれはそれとしてといふか、兎に角胸をときめかせる。昼寝中のワーキング・ウーマンとやらの寝言をそのままプロットに採用したかのやうな、量産される四コママンガの如き一作である。逆方向から攻めると、ムチムチの絶品ボディを誇りおまけにフットワーク抜群のカワイコちやんが、周囲のダメ男達皆を幸せにして下さる。女の都合のいい願望を形にするのも、男の怠惰な欲望であつても本質的に大差ないではないか。と、いつてしまへば確かにさうなのかも知れないが、ここは残念ながらピンク映画といふフィールドである、といふ限りなく実質的な形式的前提を勿論のこと等閑視しないならば、そもそも巨大な疑問は矢張り解消されない。加へて“女帝”浜野佐知のやうに、例へば頑丈な桃色方面の威力で男客をも捻じ伏せるといつた、力技による回避にも決して成功を果たしてゐるとはいへまい。よしんばピンクに名を借りた女性映画で御座いと堂々と開き直つてみせるにしても、なほのこと今作は三つの穴を抱へてしまつてゐる。順番を前後して二つ目の穴は、一旦は離れてしまふも思はぬ局面でナリコがタカシと再会するギミックを、しかもそのタカシは彼女つきといふ要件まで含めて二度繰り返してみせる芸の欠如。サキの引越しを手伝はされてゐたナリコは、遅れてやつて来るといふ男手がタカシであつたことに驚く。コッテリした人妻といふには如何せん苦しいが、ホンワカした―多分―女子大生役にはジャスト・フィットする鏡野有栖は、その際タカシが連れて来る新しい彼女・高槻若葉。タカシは実はサキの従兄弟であつたといふことだが、それもそれで劇中世間の狭さ以前に、些か不自然ではないか。ナリコとサキとは職場で親しく、となると必ずしも狭義の彼氏ではなくとも若いハンサムとの自慢話の一つや二つナリコも当然しさうなもので、さすればその彼氏未満のディテールから、サキは従兄弟との類似も通り越した近似を想起して不思議はない筈だ。タカシの隣の若葉の存在にしても、三人目の裸を見せる女優の要―俺としては、吉行由実御当人で全然構はないのだが―ならばいふまでもなく酌めるが、それにしても別に桐生なり、鳳に任せるといふ選択肢もあつたのではなからうか。三番目が、あるいは吉行由実といふ人を考へる上で重要なのかも知れない、最大の展開上の無理。ナリコはリカに対して身を引きタカシのことを忘れようとした上で、鳳と不倫関係を持つ。ものの不倫は所詮不倫、後に袋小路に陥つた鳳との関係も清算すると、サキの部屋に雪崩れ込み、酔ひ潰れる。その時点でナリコと従兄弟とのことも、そして従兄弟には現在若葉といふ彼女が居ることも知るサキが、処置に困つたナリコの回収に、選りにも選つてタカシを呼んでしまふのは猛烈に如何なものか。あれやこれやの力も借りればかなりの高確率で、二人が焼けぼつくひに火を点けてしまひかねないことは容易に予想される。たとへそのベッド・シーンが映画のハイライトであつたとしてもここでサキの採つた選択に、自身の非常識な悪意が透けて見えもするやうな気がしてしまふのは、純然たる小生の下衆の勘繰りであらうか。それにしても幾ら何でも、面白がるにせよ相手は他人ではなく親戚だぞ、といふ話である。
 序盤から全篇を貫くといふ意味では、顕在的にも致命的といへる第一の大穴は、締めのナリコとタカシとの濡れ場に際しては“好きだから、といふ一言をいふのが怖かつた”等々といふ次第で、一々のナリコとタカシ二人の他愛のない心情や時には状況描写を、のうのうと他愛もない言葉のままに谷川彩と関本真矢とに語らせてしまふモノローグ。吉行由実の、本来は地味に堅実な腕に拠れば特にそのやうな不格好な手数は必要ないのではないかといふことに重ね、始末に終へぬ水準で谷川彩も関本真矢も独白がたどたどしくて清々しく頂けない。女学生の書いた惰弱な詩のやうな代物をしかも甚だ直截にいへば下手糞に振り回されては、映画が完全に壊れてしまふ。次作にして盟友・林由美香の遺作「ミスピーチ 巨乳は桃の甘み」にあつては、性込みの女映画は女映画ながらに王道の娯楽映画をモノにしてみせた吉行由実も、今回は派手に仕出かしてしまつたと首を横に振らざるを得ない。原題は最高なのだが、感傷的であることは兎も角大体メロンソーダが小道具として登場する訳では別にない、チリドッグも。

 ところでウィキペディアのさとう樹菜子の項には、何故か出演作として今作の名前も並ぶものの、自信を持つて断言するが出て来はしない。


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 「ノーパン痴漢電車 -そつとして-」(1999/製作:フィルムハウス/提供:Xces Film/監督:勝利一/脚本:国見岳志/企画:稲山悌二/プロデューサー:伍代俊介/撮影:創優和/照明:小野弘文・堀江遊/助監督:羽生研司・増田庄吾・入江広明/製作担当:真弓学/編集:金子尚樹/出演:藤咲美穂・佐々木基子・相沢知美・竹本泰史・平川ナオヒ・久須美欽一)。三人並ぶ助監督に気をとられ、撮影助手以降を取り零す。
 旅行会社勤務時代の先輩で、現在は独立して代理店「サニーサイドトラベル」を経営する酒井美保(佐々木)と映画か演劇を観に行つた久田真知子(藤咲)は、産休の福田さん(全然登場しない)の代りに三ヶ月の期間限定で、サニーサイドトラベルに経理として勤めることを求められる。専業主婦生活に物足りなさも覚える真知子自身に望まぬ話ではなかつたが、夫の茂雄(竹本)は絵に描いたやうに封建的な男で、女房が家の外で仕事を持つことになど、とても首を縦に振りさうにはなかつた。とはいへ旦那には内緒で要請を受け容れることにした真知子は帰りの電車の車中、平川ナオヒに痴漢されると満更でもないどころではなく感じてしまふ。主演の藤咲美穂を画期的に大雑把に評すると、メガネを外して見ればオッパイの大きくない少しキツ目のまいまちこ。それ、殆ど髪型だけだろ。翌朝御近所の世間話から流して、外で働きでもした日には離婚だと清々しく言ひ放ち家を出た茂雄を適当に送り出すと、真知子もそそくさと出勤する。戯画的な亭主関白ぶりを振り撒く反面頼まれるままにゴミは出して呉れる茂雄が、ブツクサいひながらも他の人の出したゴミ袋が乱れてゐるのを直したのに、背中を向け歩き始めるや再びゴミが散らかつてしまふギャグに際しては、羽生研司か増田庄吾か入江広明がフレームの外から引く、袋につけられた紐に竹本泰史が引つ掛かりさうになつてしまふお茶目が見られる。それはそれとして通り過ぎるとしても、普通に考へると撮り直せば?
 今度は朝の電車で久須美欽一の痴漢に遭ひつつ、とりあへず初出社した真知子は目を丸くする。気を利かせて職場の新しい仲間にお茶を出した営業の守谷誠一(平川)が、きのふの夜に自身を痴漢した男であつたのだ。真知子がひとまづその場を何となく誤魔化すと、守谷は逃げるやうに外回りに、美保も愛車の水色のオープンカーを駆り華麗に出撃する。ともあれ真知子が溜つてゐた伝票の整理を始めると、殊勝にもお詫びのケーキを持参した守谷がコッソリ戻つて来る。そのままお気軽に破廉恥にも、互ひの体にケーキを塗りたくり致してゐたところに、客からの電話がかかつて来る。真知子が取ると驚くことに得意客らしく、電話の主は茂雄だつた。連絡を受け茂雄が勤務する山之上商事の応接室に出向いた美保は、日帰りの大阪出張のチケット販売と引き換へに、こちらも抜群に敷居の低い枕営業を展開する。茂雄に対してもツッコんでおくと、面識の有無に関らず、通常客からの電話に対しては「お世話になつてをります」といふぢやろ。御多分に洩れずなどといつてしまつては実も蓋も無いが、今作の劇中は感動的に狭く、滅茶苦茶にもストレス発散の為の電車痴漢を部下に説く茂雄の上司・津川慎一(久須美)こそが、何のことはないその日の朝現に真知子相手に痴漢を働いてゐた。茂雄も茂雄で美保の肉弾セールスを上役に吹き込むと、津川はポップに鼻の下を伸ばす。何とフリーダムな社会なのか、ある意味ユートピア映画だ。
 相沢知美は、この男もこの男で性懲りもない守谷が後日痴漢する、職業は看護婦の木暮玲奈。後に職場にまで押しかけた守谷によると、「僕は、白衣の天使が好きなんだ!」とのこと。平川ナオヒ(現:平川直大)の突進力でさういはれると、申し訳ないがウッカリ納得してしまはざるを得なくなる。玲奈は後述するが後に今作の頂点を極める完成度を誇る、画期的に鮮やかな手続きの片翼、の更に半分を担ふ。
 物語の本筋が集約されることは別になく、今作に於ける電車痴漢はあくまで味つけ程度に止まりこそすれ、真知子が間違つても向かひたくはなかつた、茂雄の職場に向かふ羽目になる段取りに、ピンクと同時に娯楽映画の肝たるべき、論理性が完璧に輝く。“完璧”と称したのは滑らせた筆ではない、無い知恵を幾ら絞つて如何に検討してみても、瑕疵が見当たらない。自身も美保の美肉に与らうと、津川がサニーサイドトラベルに電話を入れる。真知子はすぐさま連絡を取るが、生憎美保は車がエンストし立ち往生してしまつてゐた。それならばここは守谷の出番だといふ話になつたその時、当の守谷はといふと少し前の場面から引き続く、病院にて玲奈との濡れ場を大絶賛奮戦中。仕方なく、真知子は山之上商事への突入を決意する、といふシークエンスであるのだが、美保の足をそれまでに印象づけておく地味に強靭な伏線に加へ、いはば三人目の濡れ場要員ともいふべき玲奈のだけれども、否だからこそ必須の絡みを、ヒロインの命運の左右に利するアイデアが決定的に素晴らし過ぎる。局面が目まぐるしく変化する、カット割のテンポも抜群。女の裸と物語、女の裸だけだといふならば、それはそれで構はない。健康でストレートな―別にバイでもいいか―男ならば、映画だの何だのといふ以前に、当然女の裸は好きだらう。他方、女の裸はノルマごなしの刺身のつまで、主眼はあくまで物語といふ場合には、逆に概ね鼻持ちならない出来であることが多い。さうではなく、女の裸があつて動く物語、女の裸があつて初めて完成する起承転結。それこそが、ピンクで映画なピンク映画といふものの、矢張り理想形であるのではなからうか。茂雄が津川に振られた出鱈目な推奨から、オーラスを締める主人公の夫婦生活に導く流れも渋い。最終的には他愛もない世界観の中で繰り広げられる、のんべんだらりとした艶笑譚でしかないのかも知れないが、なほのこと圧倒的な強度を何気なく煌かせる、全く以てプロの仕事といふべき感動的に麗しい一作である。もうひとつ細かな点で目を引いたのが、昨晩の夫婦の営みに於ける騎乗位のグラインドを、翌朝の食卓、焼き上げた食パンを射出するトースターに繋げるカットのスマートさ。人の善意に水を差すかの如く転がるゴミ袋のギミックを、真知子にも再度使用する意図は判らなかつたが。

 ところで潤沢に配置される乗客要員の中に一人ショートカットの、主演女優よりも美人が居る。ビリングのトップにはこの頃のエクセス感が炸裂する一方、残りの配役はこちらも超絶に磐石なのだが、この辺りはもう、御愛嬌と捉へるべきであらう。


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 「密室の美女 責める」(昭和63『冴島奈緒 監禁』の2010年旧作改題版/製作:ユープロビジョン/配給:新東宝映画/演出:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/企画:剣持哲也/プロデューサー:中村幻児/撮影:稲吉雅志・秋葉清功/照明:吉角荘介・金子高士/録音:辻健太郎・田村亥次/音楽:藪中博章/編集:金子編集室/助監督:鬼頭理三・小笠原直樹/記録:宗廣達男/ヘアメイク:木村たつ子/スタイリスト:冴島奈緒/録音スタジオ:ニューメグロスタジオ/現像:東映化学/協力:ランジェリーショップ「てぃんかーべる」・下着専門誌『魅惑のランジェリー』《光彩書房》/出演:冴島奈緒・西条希美・藤谷奈々子・池島ゆたか・平地宏二・日比野達郎)。当時の配給はミリオンフィルム(=ジョイパック、現:ヒューマックス)?jmdbのデータには尺が83分とあるのは一体何なのか、普通に一時間である。
 新進下着デザイナーの玖里原まり菜(冴島)が、ファッション関係の大きな賞を受賞し脚光を浴びる。授賞式の模様を伝へるテレビ映像を、「男」(日比野)が注視する。後に式の会場で、下らない質問をぶつけるマスコミに対しまり菜は“FUCK YOU”と実はいつてやりたかつたと、下着モデル兼同性愛の関係にもある沙希(西条)に語る件には、冴島奈緒の自キャラがさりげなく反映されてある。話を戻してこゝは清々しく飛躍も大きいが、プレゼントとして贈つたルームモニター子機を、まり菜が住居で使用する電話機として何時の間にか送り込んでゐた「男」は親機を駆使し、まり菜居室のモニタリングに成功する。「男」は会計士といふ表の顔を持ち、細君(藤谷)もゐながら、まり菜の逐一を追ふことに歪んだ情熱を燃やす。まり菜と沙希との遣り取りから、「男」はまり菜に遅れて部屋を出る沙希が配電盤の裏に鍵を隠して行く情報をキャッチ、一時拝借した鍵より、合鍵を作製する。留守の頃合を見計らふと、「男」は部屋に侵入し憧れるカリスマの日々の息吹に触れると同時に、まり菜がデザインした女物の下着を身に着け倒錯した愉悦に耽つた。
 今となつては金を貰つても着たくない、出鱈目なPERSONZのブルゾン(?ジャケットかも)とキャップ―何だその、“P”印の黄色い野球帽は!―とで壮絶に恥づかしくコーディネートされた可哀相な池島ゆたかは、まり菜のアトリエにも気軽に出入りする、まり菜シンパを自認するエッセイスト。繋ぎ程度の短い対まり菜ビアン戦以外に、下着姿でウロウロはしつつも西条希美唯一の濡れ場は、東京コレクションの審査員でもある池島ゆたかに対し上昇志向を燃やした沙希が、尺八を吹く場面のみ。池島ゆたかの求めに応じ、自デザインの下着を取りに自宅へ戻つたまり菜が折悪しく「男」と鉢合はせてしまふと、そのまゝの勢ひで監禁生活に突入。こゝまででエポック・メイキングでは勿論ないが、ある意味微笑ましくすらあり猛烈にユニークなのが、端々で“「男」暗証番号を解読、ルームモニターが盗聴器に。”だとか、“まり菜、監禁状態になる。”等々と刻々の状況を、一々黒地に白文字のみのクレジットで懇切丁寧に教へて呉れる点。特に難解な状況でもなく、なほかつ既に十分に確かな浜野佐知の演出力も具はれば、別に黙つて観てゐるだけで普通に理解出来るのだが。
 尺もほぼ半分地点で状態が成立してしまつてから以降が、目新しい手数に欠いた場合に最終的にはどうしても間延びしてしまふ、監禁映画といふジャンルに際してしばしば見られる弱点は、今作も必ずしも回避出来てゐるとはいへない。とはいへ全盛期冴島奈緒の正しく超絶の肢体と、妙に生々しいまり菜が「男」に対し見せる恐怖と嫌悪演技とは尺をそれなりにもたせる反面、粘着質といふ面に於いては全く完璧であるものの、ここは個人的な嗜好にも依らうが不細工な一重瞼とリファインの余地を太、もとい大幅に残す肉の厚みの一方で、当人は妙にシティでライトな感覚を気取つてゐる風も透けて見えるのが憎々しい日比野達郎の画面(ゑづら)は、矢張り如何せん汚い。少々現実味を失つてでも、「男」役にはもう少し色男を連れて来て欲しかつた希望は残る。それとこの人の口跡は、どうしても映画ではなくアダルトビデオのそれに聞こえる。ところが、何処でどういふ形で姿を現すのかといふのも通り越して、本当に出演するのか否か半信半疑にすらなりかけた平地宏二(=マグナム北斗)の、非常に短いながらに鮮烈な登場シーンから、特段の新味は無いにせよ静かな、然し猛然とした力技で綺麗に映画を畳んでみせた終盤のスパートは光る。平地宏二の極々僅かな、シーンといふよりは寧ろ登場カットの、極短のスローモーションには昭和の映画の肌触りも感じられる。現在の浜野佐知に頑強に顕著な、ピンク映画としてのジャンル、乃至は商品的要請からは決して軸足を外さないままに、なほのこと一貫する女性主義をオーラスを切り取るスラッシュに認めるのは、必ずしも適当ではなからう。あれはよくある、着地の一類型に過ぎまい。

 池島ゆたか(の衣装)も大概だが、弐号機のプラグスーツを東映が適当に実写化したかのやうな、まり菜着用のボディコンもヴィヴィッドに酷い。あんまりだ、八十年代。そして概ね二回り、五輪でいふと六回分にもならう現在にあつて、男優勢三人がいづれも業界で現役であるといふ点は、何気に実は稀有なことでもあらう。


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 「さびしい人妻 夜鳴く肉体」(2005/製作:小川企画プロダクション/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:小松公典/プロデューサー:小川欽也/原題:『待人物語』/撮影:創優和/照明:野田友行/助監督:山口大輔/監督助手:佐藤竜憲・山川環/撮影助手:原伸也/照明助手:吉田雄三/音楽:篠原さゆり/協力:ゴジラや・加藤映像工房/出演:倖田李梨・谷川彩・篠原さゆり・瀬戸恵子・松浦祐也・サーモン鮭山・城定夫・柳東史)。タイトルを拾ひ損ねる。
 スクランブル交差点の真ん中、正に昇り詰めるかのやうに卒倒した倖田李梨を、通りがかつた交通警備員(サーモン)が助け起こす。そのまゝ女の方から貪る形で、薄い掏りガラス扉一枚向かうは手放しに激しい往来が行き交ふロケーションにて、二人は情を交す。女の左手薬指に結婚指輪を見付けた警備員が、「アンタ、人妻なんだ・・・・」と洩らした声に合はせてタイトル・イン。
 夫が三年前に蒸発した瀬戸暁美(倖田)は、今は保険外交員の母・蜂谷圭子(瀬戸)、大学生の妹・杏子(谷川)と共に実家で暮らしてゐた。一切登場しなければ語られもしない姉妹の父親の去就も、全く不明。谷川彩は兎も角、倖田李梨の母親役は幾ら何でもあんまりに思へなくもない瀬戸恵子には、今回サービス風のショットすら別に設けられない。全部食べてしまふと喪失感を覚えるだとかで、配偶者の失踪後暁美には料理を残す変な癖のついたことが、瀬戸恵子の説明台詞で語られる。現在進行形の交際が順調な杏子は姉に、姿を消したきりの旦那のことになど踏ん切りをつけ、新しい人生を摸索することも勧めてみるが、暁美には実は秘かに焦がれぬでもない相手が既に居た。人当たりのよく穏やかな笑みを絶やさない、レトロ玩具店「ゴジラや」の店長・大槻健太(柳)である。そもそも、暁美が健太を見初める契機から清々しく通り過ぎられもするのだが。
 篠原さゆりは、商店街育ちである健太の幼馴染で出前も運ぶ蕎麦屋の女主人・石野孝美。健太と孝美はかつて付き合つてゐたが、互ひの家業を継ぐ為に、結婚を断念してゐた。今も未婚の健太に対し既に結婚してゐながら孝美は、日常的にゴジラやに立ち寄つては関係を持つ。健太は困惑する一方、孝美には、二人が別れたつもりすらなかつた。ところで孝美が健太に見せるために買つたといふ紫の下着は、どうも体にフィットしてゐるやうには見えない。松浦祐也は、クールに杏子を調教する法学部の彼氏・近藤道郎。暁美がゴジラやに通ふ内に、二人の関係は仄かではあつても次第に確かなものへと変化して行く。ストレートな嫉妬心を燃やす孝美は、わざわざ捕まへた暁美を誘(いざな)ふと、健太との情事を見せつける。城定夫は、ショックを受け飛び出した後、思ひ出したやうに開巻から久方振りに発情してみせた暁美が、衝動的に買ふティッシュ配り・滝太志。配つてゐるものを、買つた訳ではない。倖田李梨を相手に腰も振るものの、流石に本職の役者のやうに手慣れてはゐない。残された写真の中にのみ姿を見せる、サーファー風の暁美の夫と、健太ファースト・カットに見切れる、ゴジラやで探してゐたお宝を手に入れた若い男、更には杏子が健太と二人の姉の姿を目撃する際の、傍らの女友達は不明。
 世評はさうでもないやうだが、2004年即ちデビュー年の、今となつては実は少なくとも現時点に於いての頂点を極めてしまつた感もなくはない、超絶のスタート・ダッシュを通過して、2005年の竹洞哲也―と小松公典のコンビ―は全く停滞しきつてゐたとの評価を、憚ることもなく個人的には持つものである。この度リアルタイムぶりに2005年第一作を再見してみた上で、重ねていふが、さういふ認識を改める要は認めなかつた。杏子と道郎のSM趣味の木に竹を接ぎつぷりに関しては、濡れ場のバラエティといふ側面からさて措くにしても、肝心の暁美と健太のドラマが終始決め手を欠きモッサリモッサリするばかりの、力無い惰弱な恋愛映画であるとの印象が強い。端的にいふと、他愛もないラブ・ストーリーにはのんびりと無闇に尺が割かれる反面、抜け落ちた部分も多い。サーモン鮭山と城定秀夫相手には暴発気味に解き放たれる、暁美の精神の平定も欠いた淫蕩が、健太の前ではまるで借りて来られた猫か奥手の女学生のやうに、何故か綺麗に雲散霧消してしまふのも都合のいい方便にしか思へない。行方知れずの夫への未練と、健太への新しい情、そして苛烈な肉の悦びへの飢ゑ。三つの要素が、暁美といふ主人公の中におよそ満足な統合を果たしてはゐない。対孝美に関しては兎も角、暁美に接する際の健太は一貫して不自然にイイ人であり続ける。底意地の悪さを露呈するやうだが、これでは釣り上げた魚に、餌を呉れてやらなくなつた以降が思ひやられる。オーラス健太から手渡される半分こにした中華まんを、最初は躊躇しつつも暁美はペロリと頬張る。満足気な笑みを浮かべたことに健太が注意を留めると、暁美は「何でもない・・・・」。残し癖も解消され、人生の新しい一歩を歩み始めた暁美の姿をさりげなく描かうとした企図は酌めぬではないが、流石にさりげなさ過ぎやしないか。暁美の奇癖に劇中触れられるのは、遠い冒頭のたどたどしい一場面限りである。よしんばベタであらうと泥臭くあらうとも、引き換へに手に入れた力強さの方を、娯楽映画には尊びたい。好きな女優である篠原さゆりの不遇に臍を曲げた、といふ仕方もない情緒が物語世界への移入なり理解を妨げただけではないのかと、いふ気がしないでもないが。大体が、今作中最も過不足なくその心情を描かれるのは、暁美ではなく孝美でもあるまいか。


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 「ざんげ 懺悔M」(製作年不明『懺悔M』の2009年旧作改題版/製作:雄プロダクション/配給:新東宝映画/監督:伊集院剛/撮影:遠藤政史・倉本和人/協力:愉芽企画・JAP工房《SM小道具》/出演:秋川ひろみ・橘美恵子・舞礼奈・志摩紫光)。当時の配給はミリオンフィルム(=ジョイパック、現:ヒューマックス)。
 まづ最初に、作品データに関する外堀を埋めておくと、本篇クレジットに―基本的にポスターにも―載るのは撮影・協力・出演・監督のみで、恐ろしいことに脚本家の名前がない。製作の雄プロダクションは、新版ポスターにさうあるだけで、なほかつ出演者の志摩紫光(=伊集院剛)には、“(調教師)”といふ特記が付く。逆に協力のJAP工房の“(SM小道具)”は、撮影の倉本和人と同様エンド・クレジットのみ。挙句に凄まじいのが、本篇タイトルは旧題の「懺悔M」のままといふ始末。幾ら何でもそこは横着し過ぎだろ、新東宝。
 ビルの一室にて、志摩紫光(本人、以下全員同)が秋川ひろみの立体マン拓を取る。カットが物凄く変り、ロープに吊つた網の中に捕らへた秋川ひろみを山川の急流に曝すなどといふ、最早それを見て愚息が勃つだとか勃たないだとかといふのとは殆ど違ふ、ポルノといふか寧ろスペクタクルに近い別の次元に突入した滅茶苦茶な責めも敢行しつつ、ビリングがトップの筈の秋川ひろみは、それだけでいとも容易く素通りしてしまふ。続いて白昼の街中を、志摩紫光が四年来の愛奴とかいふ舞礼奈(23才)を、絶賛公然猥褻の堂々とした緊縛露出状態で連れ回す。アナーキー過ぎるぜ、東京。以降はそんな―どんなだよ―舞礼奈と、彼氏を伴なひ志摩紫光の事務所を訪ねた橘美恵子(23才)とに対する脈略のない調教が、何処ぞの山ん中で延々延々繰り広げられる。因みにその際には彼氏も一緒に調教されるのだが、可哀相なことに、結構酷い目に遭ふにも関らずカレシ君の名前は出演クレジットの中に欠片もない。
 さあて、何となく事前の予想もついたとはいへ、繰り返したくはなかつた一言を繰り返すぞ、

 何だこりや(´・ω・`)

 簡単にいふと、半分程度も作つてはゐない劇映画をSMビデオで水増しした「縄女」(昭和63/監督:剣持哲也)よりも、単なるAVを短く再編集しただけの「犬小屋の妻 発情しました」(2004/監督:川崎軍二)になほ近い、といふか殆ど全く同一である。新撮されたものなのかありものなのかもこの際どちらでも構はぬ、志摩ビデオを薄汚いキネコにした上で小屋にかけてみました、といふ次第でしかない。責めの最中に何事かゴチャゴチャ話してもゐるやうなものの、脚本に加へ全うな録音も存在しないたmで、清々しく聞き取れない。脚本家が不在なのに、録音技師など居るものかといふ話でしかないのかも知れないが。映画館で上映されてゐれば、PRフィルムであつてもテレビCMであつてさへも映画である、などといふそれはそれとして頑強な形式論に与さないならば、天婦羅うどんがガンダムではないのと同様に、こんなものは映画ではない、百歩譲つたとて劇映画では絶対にない。全方位的に時代を越えられない点に目を瞑れば―どうすれば瞑れるのか、俺は知らないが―それなり以上にハードなプレイが展開されてはゐるやうだが、画面全体を覆はんばかりの勢ひの巨大なボカシがスクリーンを埋め尽くすのを前にしては、興奮するしないの以前に力の抜けた馬鹿馬鹿しさの方が勝りもする。その意味では、「こんなことが昔はあつたんだね」といふ限りの文脈に於いていはゆる“珍作”といふカテゴリーの中に、無理矢理捻じ込んで捻じ込めないこともないやうな気も機嫌と体調とが抜群によければしないでもなからうが、端的には、SMと懐古趣味、この二つが揃へば御飯何杯でもイケる。さういふ筋金入りの御仁以外には、間違つてもお薦め致しかねる代物である。実は大半を占める舞礼奈+橘美恵子with彼氏のパートにあつて、どういふ訳でだか部分的に画質が回復して見える箇所もあるのだが、そこいら辺りの詳細も、とうに別にどうでもいい。

 清々しい唐突感が爆裂するラストは、廃屋の窓から外に向かつてM字開脚に座らされた舞礼奈と橘美恵子が、豪快に放尿し放心状態になる。といふショットで一応は締め括られるとはいへ、正直途方に暮れたいのはこちらの方だ。


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 「女将三十五才 染みだすシーツ」(2001『熟女温泉女将 うまのり』の2009年旧作改題版/製作:サカエ企画/提供:Xces Film/監督:新田栄/脚本:岡輝男/撮影:千葉幸男/照明:渡波洋行/編集:酒井正次/音楽:レインボー・サウンド/助監督:竹洞哲也/監督助手:北村隆/撮影助手:池宮直弘/照明助手:川名和宏/効果:中村半次郎/出演:仁科夕希・林由美香・佐倉萌・なかみつせいじ・水島栄一・入江浩治・丘尚輝・八戸清二・松任谷竜也)。出演者中、丘尚輝以降は本篇クレジットのみ。
 実名登場秩父の温泉旅館「一柳閣」、亡き夫から旅館を継いだ女将の宮坂双葉(仁科)が、再婚相手で支配人の勇(なかみつ)、仲居の竹下邦子(林)と切り盛りする。ある日双葉は土産物店を、これ見よがしに難しい顔で覗く水島栄一を見かける。後に一柳閣に現れた水島栄一は、辛口旅行ライターとして名を馳せる五味千万太(ごみ ちまた)であつた。五味に取り入り一柳閣を褒める記事を書いて貰はうと、双葉は明後日にハッスル。志を包んだり近隣を女将自らが案内するまではいいとして、ここは新田栄の温泉映画だぜといふ次第で、風呂に一緒に入るは部屋に戻つては野球拳から最終的には本番接待と、過剰な破廉恥サービスを展開する。ものの、一夜明けると五味を通した「紅葉の間」はもぬけの殻。そこに勇が、近隣に出没する詐欺師の手配写真が観光協会から送られて来たと、水島栄一が見たこともないくらゐ綺麗に出力されたカラーFAXを持つて飛び込んで来る、双葉はまんまと騙されたのだ。ところで双葉と偽五味の長瀬観光の件、荒川のライン下りを楽しむ二人をロングで押さへるショットでは、完全に一般の旅行客に埋没し、なかなか実際に仁科夕希と水島栄一が乗船してゐるのに気付けなかつた。といふか、カメラ自体からが迷つてゐないか?
 ほとぼりが冷める間もなく、一柳閣を次なる激震が襲ふ。何時もお願ひしてゐたコンパニオンの皆さんが、食中毒で全滅してしまつたといふのだ。さりとて予約客は入つてゐる、折悪しくフットワーク抜群の客も居ない。対偽五味戦も鑑みるに案外尻も軽いのか、双葉は仕方なく再び自ら出撃することを決意する一方、邦子は当然一旦は固辞する。ところが、実は双葉を蹴落とした上で勇と一緒になり一柳閣女将の座を狙ふ、といふ直截には非現実的とすら思へなくもない野望を抱く邦子も、勇の懇願を受け容れるといふ形で、丘尚輝と名義は不明だが新田栄、更にもう一名の助平客を迎へ撃つ。
 そんな一柳閣に、今度は佐倉萌が訪れる。遠藤いづみ(佐倉)は双葉を捕まへるなり女将の邦子の所在を尋ね、首を傾げさせる。その頓珍漢な遣り取りを物陰から見てゐた邦子は、頭を抱へる。いづみは邦子が東京で馘になつた会社の元同僚で、邦子はいづみに支配人と結婚し一柳閣の女将になつただなどと、仕方のない嘘をついてゐたのだ。入江浩治は、いづみはいづみで外資系の商社員と邦子に偽る、フリーターの彼氏・高橋猛。
 本職はストリッパーとの仁科夕希はそこそこ以上に美人ではあり、俄コンパニオンとして新田栄ともう一名(確か、『未亡人旅館 ~肉欲女体盛り~』での佐山初夫と同一人物なのだが)の前で踊つてみせるカットに於いては貫禄も見せつつ、いざお芝居の方はといへば、矢張りといふか何といふか何処まで行つても御愛嬌レベル。双葉に身の丈も弁へぬ敵意を勝手に燃やし、チープでもあつてもキュートな姦計を燃やす林由美香の小悪魔ぶりはエターナルだが、物語の方も「偽五味酒池肉林篇」、「スクランブル発進温泉芸者篇」、「いづみ急襲湯煙旅情篇」の、尺の配分もほぼ三等分な綺麗な三部構成を採つてゐるほかは、特筆すべき何物かが然程ある訳でもない。とはいへ、テンポラリー女将と並行して、矢張り緊急回避パニオンとして奮戦する姿をいづみに目撃されてしまつた邦子を、双葉が啖呵を切り擁護するいづみ篇のハイライトには、王道の人情映画への着地を志向した節が確かに窺へる。ひとまづ一柳閣が平安を取り戻したラストに、初めて双葉と勇の夫婦生活を漸く締めとして持つて来る構成も磐石。新田栄&岡輝男コンビの仕事にしては、まあまあ良心的な部類にも入るのではなからうか。いよいよエンド・マークが入るオーラスのカットに至つて、ドラスティックに画面のルックが変つてしまふ無頓着さは相変らずだが。

 然し仕方のない繰言をいふやうだが、そんなのんべんだらりとした新田温泉映画も、今となつては最早新しく撮られることもあるまいと思へば、何故だか急に、訳も判らないほどに愛ほしい。そんな風であつたからこその、現況といへるのかも知れないが。

 以下は再見に際しての付記< 助平客要員は新田栄・丘尚輝(=岡輝男)・竹洞哲也の三名。恐らく青森出身の竹洞哲也の変名が八戸清二で、新田栄が松任谷竜也か


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 「《秘》バイブ責め 糸を引く恥悦」(1989『名器ひとすじ』の2009年旧作改題版/製作:メディア・トップ/配給:新東宝映画/脚本・監督:深町章/企画:伊能竜/撮影:稲吉雅志/照明:守田芳彦/編集:酒井正次/助監督:笠井雅裕/監督助手:小原忠美/撮影助手:中松俊裕/照明助手:小田求/出演:川奈忍・南崎ゆか・早川瞳・加賀恵子・池島ゆたか・山本竜二)。企画の伊能竜は、向井寛の変名。
 車道の真ん中を馬鹿騒ぎしながらスキップする、便利屋の山本祐太(山本)が当然車にクラクションを鳴らされるのを、吃驚するくらゐの闇雲なロングから捉へた開巻。
 徒にジョイトイを濫用した、祐太とセフレのカナ(南崎)の情事。カナから実家に帰つて結婚することを告げられた祐太は一旦はポップに落胆するものの、代りに女子大生の友人を紹介するといふ言葉に、コロッと手の平を返し驚喜する。そんなこんなで、祐太と城南大学文学部学生の進藤ルミ(川奈)が、昼間に普通の公園にてランデブーを果たす。変つた芸をするといふギミックを目印に待ち合はせた祐太は、「桃とバナナ」と称して、ルミに対し尻と一物とを交互に露出する。直截にいふと、終始リミット・ブレイクに狂騒的な祐太の人物造形は、凡そ正常な人間には見えない。そこでおとなしく喰ひつく、ルミもルミだが。カナから自身のプレイ傾向に関し伝へ聞いてゐたルミに、祐太は過去を告白する。以前撮影所で助監督を務めてゐた経歴のある祐太は、“男女の機微を描かせたら日本一”とかいふ巨匠監督・進藤豊造(池島)の下につく。ところが豊造が性具マニアの男色家で、その為祐太は現在の性癖を仕込まれたといふのだ。といふ訳で、決して薔薇族ではなくピンク映画を観に来てゐる筈なのに、山本竜二と池島ゆたかの濡れ場を一通りタップリと見させられるとは思はなかつた。色々観てゐれば、色んなことがあるもんだ。早速祐太を部屋に招き致したルミが、事後看病する床に臥せる育ての親は、何と豊造だつた。登場順に早川瞳と加賀恵子は、便利屋兼張形マニアといふ祐太にルミが紹介する、欲求不満を奔放に持て余す主婦AとB。
 二十年前といふことも踏まへると、川奈忍から加賀恵子まで四人並ぶ女優が何れも外れなしといふ粒の揃ひぷりは驚異的とすらいへさうな気もしつつ、満足に体を成した物語が意外に存在する矢張りしないといふ以前に、終始暴れ倒した山本竜二が万事をガチャガチャにしてしまふ。祐太が騒がし過ぎて、折角の女の裸もおちついて吟味出来ない。無理矢理なのに妙にシックリと来るのが不思議なオチは、拘束した加賀恵子をローターとバイブを併用して責める以前の愛弟子の姿に、ドキュメンタリー・タッチの最後の映画だなどといふことでスタッフとルミとを引き連れた豊造が、窓の外の狭い庭からメガホンを振る。オーラスを締め括るのはルミの「今宵はこれまでね☆」といふシャウトに、豊造が「んだ!」と合はせる、真昼間なのに。どうでもいいが豊造の設定は、頼むから自己紹介ではあるまいな。

 まあそれにしてもこんな一作に、思はせぶりな新題をつけたものだ。そもそも元題にしてから、明示された名器の持ち主が登場する訳でも別にないのだけれど。


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 「浴衣妻の興奮 我を忘れて!」(2002『三十路浴衣妻 からみつく』の2009年旧作改題版/製作:フィルム・ハウス/提供:Xces Film/監督:佐々木乃武良/脚本:奥渉/撮影:創優和・佐藤文男/照明:野田友行/助監督:奥渉/監督助手:城定秀夫・小島健太郎/撮影助手:宮永昭典/照明助手:藁部幸二・山本真吾、他一名/ヘアメイク:パルティール/制作担当:佐藤文彌/出演:結城マリア・葉月螢・ゆき・坂入正三・千葉誠樹・なかみつせいじ)。
 澄子(結城)は夫・漆原康彦(坂入)が経営してゐた会社を潰してしまつたため、母親の没後六年間放置してゐた実家に越して来る。開巻から目を引くのが、兎にも角にも主演女優。よくあることではあるがエクセスの作るポスターは販促物のくせにどうしてかうなのか、漫然としたポスター写真は馬鹿にしてゐるのかとさへ思へるくらゐに、実際にスクリーンの中で動く結城マリアが何となく譬へるならば松嶋菜々子にも似た、結構高レベルの正当派美人。松嶋菜々子が、正当派美人の範疇の中に含まれるのか否かに関してはどうやら議論も分かれてゐるやうだが。加へて、ブラウスを超絶に悩ましく盛り上げるオッパイの大きさも申し分ない。何はともあれ、以降に対する期待が膨らむところではある。失業以来すつかり不貞腐れ無気力な康彦が、片付けも手伝はずに家を空ける中、澄子は古箪笥に懐かしい浴衣を見付ける。袖を通すべく澄子が裸になつたタイミングで、麗し過ぎるタイトル・イン。何事か込入つた様子で公衆電話をかける康彦の姿に、通りを挟んでゆきが目を留める。
 その夜の漆原家を、澄子の同級生の美子(ゆき)と、美穂の夫で、澄子にとつても剣道部の先輩である皆川明(千葉)とが訪ねる。澄子の結婚式には赤いドレスで出席した美子が、日中見かけた康彦の顔を覚えてゐたのだ。高校時代、澄子と明は両思ひ成就寸前の状態にすらあつたが、マネージャーを務めてゐた美子に奪はれた形にあつた。来客だといふのにまるで陰気な康彦は早々に床に就き、近況を慮つた明の提案で、澄子は美子のパート先で働いてみることになる。
 ハンサム且つ卑劣な好色漢を好演するなかみつせいじは、そんな訳でのパート先、ビル清掃の(有)エバラビルサービス社長・江原敏雄。かつて吉田祐健と葉月蛍も情を交した男子便所を掃除する澄子に手を出しかけるが、何のことはない、美子とは以前から継続した関係を持つてゐた。そんな目に遭ひながらも女房が懸命に慣れぬ仕事に汗を流してゐるといふのに、何する気力もなく日がな縁側でタバコを吹かしてゐやがる康彦を急襲する葉月螢は、康彦の過去の不倫相手・美穂。康彦の子供を堕ろしたとかいふ難癖で、当然振る袖など欠片もない無心に訪れる。澄子は目撃した美子の不貞を、何かと気にかけて呉れる明に告げたものかどうか気に病んでゐたりなんかする内に、二人は焼けぼつくひに火を点けてしまひかねなくなる。
 腑抜けの癖に体だけは無闇に求めて来る始末に負へぬ夫と、パート勤務先でのセクハラとに苦しむ主人公。主人公が戻つた郷里で再会した高校の部活憧れの先輩は、今は同級生の夫だつた。ただその同級生は現在、夫を裏切つてゐた。結局待ち合はせの場所に何故だか主人公が行かなかつたものの、高校時代に一度は受け取つてもゐたラブレターに導かれるやうに、思ひ出の場所で再会した主人公と先輩は終に一線を越える。縁側で康彦にライターを差し出す美穂と、神社の境内で明にタオルを手渡す澄子の姿との類似は、そこにシンメトリーを発生させる要など別にない以上、単なる工夫の不足か。話を戻して男と女は、全てを捨てて駆け落ちる決意を固める。と、そこまでは新味の欠片もないとはいへ、結城マリアの強力な色気にも加速され水準以上のオーソドックスなメロドラマであつたのだが、(昼の)十二時に駅前で落ち合ふといふ約束が江原の横槍で無惨にも反故になつてしまつてからが、佐々木乃武良御乱心。殆ど悪趣味の領域で無体な目に見舞はれ続けた澄子が終に完全に壊れてしまふラストに至つては、映画本体も劇中主人公の辿る悲運と命運を共にする、といふか直接にいへば共倒れる。確かソープ・オペラであつた物語が気が付くとまるで豪快なサイコ・スリラーと化す展開自体がスラッシュな結末を前にしては、万歳とは百八十度真逆の意味にて、諸手を挙げるばかりである。

 ひとつ猛烈に解せないのが、淫具も駆使して江原が澄子を陵辱する、全体的なドラマが破綻してゐる以上桃色方面を差し引いても今作のクライマックスたる濡れ場に際して、何故だか急になかみつせいじが足を引き摺つてゐる点。それまでのシーンでは別に普通に歩いてゐたやうに思へるのだが、一体何があつた、あるいは逆に治つたのか?ともあれ振り切れた澄子の裸がふんだんに拝めるこの一幕に、観る側としてはこの際エモーションを一点集中するほかない。


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 「裏令嬢 恥辱の花びら」(2005/製作:ナベシネマ/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治/撮影:飯岡聖英/照明:小川満/編集:酒井正次/助監督:小川隆史/監督助手:三浦麻貴/撮影助手:末吉真/照明助手:八木徹/効果:梅沢身知子/下着協賛:ウィズコレクション/出演:愛葉るび・林マリア・なかみつせいじ・堀本能礼・西岡秀記・瀬戸恵子)。
 女流ポルノ作家・吹雪亜里沙(瀬戸)がJR高山本線を高山駅で下車すると、そこまでの山奥にも見えなかつたが、携帯は圏外だつた。やりすぎに薄気味悪い管理人・間宮(堀本)の運転する、送迎車にしてはあんまりなオンボロの軽トラに乗せられた亜里沙は、愛人関係にもある出版社社長・高田(なかみつ)に宛がはれた社の保養所であるペンションへと向かふ。目下亜里沙は絶賛スランプ状態にあり、高田の勧めで、新作執筆の為の要は山篭りといふ寸法であつた。着替へをしてゐる頃合を見計らひ部屋に現れる、間宮の剥き出された下心に眉を顰めながらも、ともあれ亜里沙が一息ついた頃に現れた、高田は礼服姿だつた。近隣に六年前に他界した、“あいつの菩提寺”があるのだといふ。とりあへず一発キメると、そそくさと高田は一旦東京に戻つてしまふ。風俗嬢上がりの新人作家・杏樹(林)の姿が最近高田の周囲にちらつくことに、亜里沙は忸怩たる思ひを隠さない。その夜、自分と間宮としか居ない筈なのに、邸内に流れるピアノの音に亜里沙は咄嗟にペーパーナイフを掴み警戒する。ピアノは、父親には無断で遊びに来てゐたといふ高田後妻の連れ子・美咲(愛葉)が弾いてゐた。美咲の母親は一向に止まぬ夫の女性遍歴に疲れ精神を病み、そのことから、美咲は高田のことを憎んでゐた。翌日間宮と、出入りする「くらしのパートナー」オオクラフーズの配送員・杉浦(西岡)とを、美咲が殆ど半裸のウィズ衣装でピアノを演奏し底抜けに誘惑する一方、案の定杏樹を伴なつた高田が再び宿に到着する。
 あいつ以外にも更に一手間二手間、此岸に敷設された伏線も欲しいところではあるものの、いはゆる“衝撃の結末”といふどんでん返しに際して、渡邊元嗣の狙ひ澄まされた大技がひとまづ綺麗に決まる一作である。ネタとして正直既視感は激しく感じられ、その為蓋が開いてしまへば呆気ないといへぬでもないが、亜里沙と美咲の愛憎、そして早期退場する憎まれ役に留まるとしても杏樹の即物性、女優三本柱の心理のベクトルを、ともあれ十全に描いた当たり前の堅実さが光る。後々の要は酌めるとはいへ、杉浦が小娘とのデート場所に、自殺の名所を選んでしまふのはそれはどうなのよといふ話でもあれど。確かにオッパイの見事な馬鹿デカさは兎も角、それにも増して全体的な太さが目についてもしまふ林マリアに関しては、微妙に評価も分かれさうな気が個人的な嗜好としてしないではないが、概ね濡れ場は何れも攻撃的で破壊力が高い。愛葉るびの硬質な可愛らしさを、正しく陶器のやうに捉へたショットの緊張感すら漂はせる強い美しさは、突発的な深い映画的興奮を刻み込む。それだけに、ネタの落とし処としては然程画期的な新機軸ともいへない分、裸場面以外に於いての撮影にももう少し凝つて欲しかつたやうな物足りなさは残る。登場人物の扱ひとして、間宮が何時の間にかフェイド・アウトしてしまつた件については一抹の疑問も感じつつ、小道具の扱ひとしてレターオープナーを律儀にも三度使用してみせたラストは、展開としての蓋然性はさて措き一本の娯楽映画のフィニッシュとして据わりがいい。

 ところで今作、意表を突かれ美咲に唇を奪はれた杏樹が返す台詞の中に、翌年の「盗撮サイト 情事に濡れた人妻」に先駆けて“ビアン”といふ用語が使用される。「貴女、ビアン?」、「いいよ、私もバイだから」。


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 「熟女乱交 獣のあへぎ」(1994『熟女スワップ 獣のやうに』の2009年旧作改題版/製作:プロダクション鷹/配給:新東宝映画/企画:中田新太郎/監督・脚本:珠瑠美/撮影:伊東英男/照明:石部肇/美術:衣恭介/編集:井上和夫/助監督:小林豊/音楽:MGC/効果:協立音響/現像:東映化学/録音:ニューメグロスタジオ/出演:珠瑠美・二階堂美穂・松下英美・真央元・羽田勝博・神戸顕一)。
 女御大・珠瑠美の自ら出陣する役どころは、祖父の代から続く人形屋「寿屋」の女社長・高嶋千歳。女優珠瑠美を簡単に譬へてみるならば、リファインした愛染恭子とでもいつた風情か。あるいは珠瑠美が先であるゆゑ、塾長が量産型珠瑠美になるのか。どうでもいゝけれど開巻から飛ばしてみせるのが、人形屋の店舗に堂々と秀月の看板を抜いてみせる大胆さが晴れやかだ。それは時代が許した大らかさなのか、それとも単なる珠瑠美固有の無頓着か。子宝にも恵まれなかつた夫は早くに亡く、経営はこちらも三代続く番頭家系の相川真一(神戸)に任せた千歳は、気儘な有閑マダム生活を桃色かつ高圧的に謳歌してゐた。
 ミサトな屋敷に同居する松下英美は、バニーガールをしてゐたところ、両刀に目覚めた千歳に金で買はれ養女となつた真由美。真由美が千歳と寝てゐるのも知らず、指笛を合図に邸内に忍び込まうとする真央元は、真由美の彼氏・純次。まるで津田寛治のアテレコかのやうに声色の酷似した羽田勝博は、千歳が何となく再会した昔の愛人・吉田。どういふ訳だか満足な台詞の欠片も与へられない二階堂美穂は、吉田の三人目の新妻・百合。吉田に対する千歳の頑強な上から目線が、腹立たしくて腹立たしくて仕方がない。後、腋はキチンと処理すべきではないか。不精と性的な訴求とを履き違へた悪弊に関しては、こゝは私的な性癖に止(とど)まるやも知れないがどうにも度し難い。
 敵が珠瑠美である以上、満足な起承転結が描かれはしない破壊された作劇など、端から求めても仕方がない。寧ろ、期待するのがお門違ひだとくらゐに弁へてゐた方が、まだしも傷が浅からう、諦めるともいふ。洋ピン志向を想起させる闇雲なイメージ・ショットの挿入は珍しく影を潜めた今作の特色は、兎にも角にも無茶苦茶な劇伴。濡れ場に突入する毎に、あたかも古いホラー映画の如きおどろおどろしいオーケストレーションや、不協和音の嵐が吹き荒れるのは、悪い冗談でなければ一体如何なるセンスの選曲か。相川の婚約祝ひと称して、本人の希望の如何は正しく問答無用に考慮されない上で千歳を抱かせられる件なんぞ観てゐると、このディストラクティブな背景音楽も、いつそ開き直つたのかとすら思はされかねない。千歳の下着を脱がせさせられた相川が病的に平伏すのは、単に代々仕へる人形屋の女主人に対し恐縮したものなのか、千歳の観音様が激越な異臭を放つてゐるからなのかが正直皆目判らない。吉田との焼けぼつくひに火を点けるに際しても際してで、千歳が出し抜けに百合も交へたスワッピングを提案。さりとて夫は既に没してゐるのにどうするのかといふと、適当な強弁もとい方便で真由美から純次を強奪。千歳の、といふか珠瑠美当人のといふべきなのかが甚だ微妙な、全篇を通して唸りを挙げるジャイアニズムが最早清々しい。ラブホテルを舞台とした最終決戦、千歳が純次から更に百合を奪つたところで、気づくとそこで尺が満ちたのか、赤地に白抜きのゴシック体でENDマークが無理から映画を畳む強制終了に、素直に呆気にとられてはこちらの負け。今作は単なる暴力的にいゝ加減なやつゝけ仕事などではなく、ここは珠瑠美が画期的な荒業として、共に担ふ主演女優と監督兼脚本二者の自由奔放を、シンクロさせた実は高度なコンセプチュアル・アートだとでもいふことにしてしまへ。事こゝに至ると牽強付会どころか、負け惜しみにすらならぬ。

 そんな負け戦にあつて殆ど唯一の収穫は、基本的にはなかつたことにされてゐる風なものの出演したピンク映画が少なくとも四本はある、ハル・ハートリーのカミさん。最終的にはメイク次第でもあらうが太い眉がアクセントの整つた顔立ちに、一見細身ながら要所は押さへた肉付きも素晴らしい。今作にあつては勿体ないことに二番手も三番手も殆ど変らないぞんざいな扱ひであつたが、どうやらエクセスで、主演作が一本―「バイブONANIE -ブルセラ篇-」(1993/監督・脚本:珠瑠美/未見)―あるやうだ。俄然旧作改題に、網を張つておきたいところではある。我ながら、業を深めるにもほどがある。


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 「痴漢電車 女が牝になる時」(2009/制作:ネクストワン/提供:Xces Film/監督・脚本:工藤雅典/企画:亀井戸粋人/プロデューサー:秋山兼定/撮影:井上明夫/照明:小川満/助監督:永井卓爾/監督助手:関谷和樹/撮影助手:橋本彩子/照明助手:八木徹/応援:広瀬寛巳・大西裕・高橋周一/スチール:MAYA/音楽:たつのすけ/編集:田辺賢治/出演:鈴木杏里・藍山みなみ・倖田李梨・柳之内たくま・なかみつせいじ・清水大敬・平川直大・甲斐太郎・岡田智宏・村上仁史)。出演者中、村上仁史は本篇クレジットのみ。なかみつせいじ(ex.杉本まこと)が、ポスターにはすぎもとまこと、フリーダムすぎる。
 心身とも草臥れた夜の通勤電車、内藤ミキオ(柳之内)は暖色のカーディガンを羽織つた、幸薄さうな藍山みなみに目を留める。すると一人の乗客(清水)が、あらうことか藍山みなみに痴漢を始めた。こゝでいきなり、ファースト・カットと痴漢スタート時とで、藍山みなみの位置が概ね車輌半分分左に移動してゐる。実車輌パートと、セットパートの繋ぎのぞんさいさによる粗忽と思はれる。ミキオは痴漢男の左腕を掴み制止するが、駅に着いた電車が停止し藍山みなみが降車した隙に、エルボーを受け清水大敬も取り逃がす。夜道をホテホテ歩くミキオの携帯に、叔母の玲子から電話が入る、ミキオを訪ね東京に出てきてゐるといふ。ミキオが帰宅すると、部屋の前にはトランクに腰掛けた、胸の谷間も思ひきり露な女が、玲子(鈴木)だつた。親戚中を敵に回し勘当同然に結婚した、藍原康治(一切登場せず)とは別れて来たとのこと。清水大敬に打たれた右の唇の端が切れてゐるのに気づき、不用意に距離を近づけて来る美しい叔母に、ミキオはどぎまぎする。後に改めて事の顛末を聞いた玲子は呟く、藍山みなみは「アタシが探してるコかも知れない・・・・」。人事部に勤務するミキオは、上司・石井健太郎(なかみつ)の小宮伸子(倖田)に対するリストラ宣告に、ナイーブな心を苦しめる。その夜泥酔した状態で電車に揺られるミキオは、再び清水大敬が藍山みなみに痴漢してゐる現場に遭遇。ミキオは清水大敬を再度取り押さへ何故か駅員には突き出さず駅の外へと連れ出すと、思ふがまゝ殴りつけついでに、男の正体が坂口淳之介といふ大学教授であるのを落とした身分証から知る。坂口の電車痴漢も兎も角、ミキオもそれでは少なくとも暴行罪でしかない。藍山みなみが痴女である、といふ坂口の言葉に動揺したミキオを突き飛ばし、坂口はまたしても逃げた。帰宅後諸々の鬱屈に箍の外れたミキオは酔ひの勢ひにも負け、相変らず露出過多でしかない格好の叔母を、玲子も玲子で大して抵抗もしないゆゑ衝動的に抱いてしまふ。翌日、通勤途中石井の隣に立つ玲子の、尻を坂口が撫でる。すると何がどう転んだのだか玲子は左から触られたのに右に立つ石井に痴漢されたと主張し、そこに唐突の火に油を注いで登場した伸子が、自分も目撃しただなどと追ひ討ちをかける。玲子と坂口に挙句に伸子、百歩譲つてもその時点まで全く接点のなかつた三者を並べての、石井陥落の件は幾ら何でも藪から棒どころの騒ぎではない。上司の不始末―勿論、冤罪である―に警察署に呼び出され、そこに玲子と伸子がゐるアメイジングに当然目を丸くするミキオに対し、広瀬寛巳と馬鹿に服装の軽いパーカ刑事に取調室に連れて行かれる石井が、お前もこいつらとグルなのかと叫ぶ。幾らリストラ役の冷血漢とはいへ、あまりに粗雑なシークエンスを前にすると石井が不憫としか精々思へない。最終的に、これでは以降の展開が観る側の心理としても満足には成立し得まい。直帰するつもりなのか、玲子と帰路に就くミキオの前で、藍山みなみが坂口に物陰に連れ込まれる。白昼堂々大胆にもほどがある破廉恥教授であるだとか、そもそもちやんと出勤してゐやがるのかこのオッサンはといふ以前に、頼むからこの煌かない展開の無造作さはどうにかならぬものか。段々と、一見したところの明示された差異は何ら見当たらないとはいへ、全く別の世界での出来事を描いたお話のやうにすら思へて来た。かうなるともつとルーズであつて呉れたなら、逆に救はれたのに。坂口を撃退し助け出した藍山みなみは、矢張りといふべきなのか正直何が何だかよく判らなくもなつて来るが、玲子が行方を探す、康治の妹で同じく家を飛び出してゐた清香であつた。三人で帰宅し、一旦酒を買ひに出たミキオは仰天する。戻つてみると、玲子と清香が情熱的に交はつてゐた。女同士でといふ以前に人の部屋だろ、少しは辛抱しろよ。
 失職後家族にも去られ、茫然自失と公園の一角に生活するホームレスの姿に目をやる可哀相な石井の前に現れる平川直大は、かつて石井から首を切られたのち、公園デビューを果たした山下。平川直大にも増した、超絶のリアル感を加速させる甲斐太郎と岡田智宏は山下の、都会の片隅でのアウトドア生活仲間。村上仁史は二度目のヒロポン刑事登場時、傍らに映り込むパッと見今野元志似の同僚刑事。劇中見切れるのは乗客要員のほか、復讐に燃える石井が伸子を犯す、コンビニエンスストア店員。因みにこのコンビニは、撮影用のセット物件。商品は普通に並んでゐるものの、什器が幾分安つぽい。
 一言で片づけてしまふと、最早工藤雅典の名前は忘れ腰から下でのみ観るのが、今作に対する最も相当な接し方であるのかも知れない。ゲリラ実車とセット撮影とを併用する電車痴漢、義理とはいへ姉妹百合、コンビニ強姦、雇つた山下らを引き連れた石井による、クライマックス怒涛の電車姉妹輪姦。表面的な煽情性の種には事欠かず、その限りに於いて下賤に楽しむ裸映画としては一定以上の水準をクリアしてもゐるものの、いざ劇映画としての検討を冷静に試みるや、実はともいはずまるで体を成してはゐない。ミキオのドロップアウトも、断片的な台詞でのみ語られる清香の罪と罰とやらも描き込みが感動的に足らず、物語に背骨が全く通らない。更には積み重ねられた適当極まりない場面場面の数々が、元より軸足の定まらない映画に止めを刺す。工藤雅典本来の硬質が、底の抜けた飛躍に対しては出鱈目さを際立たせる悪い方向にしか作用しない。劇中十全に描かれてあるのは、無体な運命にある意味大人しく壊れて行く石井と、坂口といふか要は清水大敬の粘着質な変質漢ぶりくらゐか。簡単に要約すれば好色で身勝手な叔母と叔母の義理の妹とに、無闇に振り回された末主人公が事実上人生を詰まされ、とばつちりで一人の男も完全に社会的に抹殺された風にしか映らない、両義的に悲劇のやうな一作。いつそのことワン・カットで振り逃げるオーラス、公園の隅に張られた薄汚れたテント、平川直大・甲斐太郎・岡田智宏をカメラが舐めるとその最後には新たに仲間入りした柳之内たくまが。さういふ無常観が爆裂するフィニッシュの方が、まだしも映画を据わらせ得たのでもなからうか。

 起承転結を一応は締め括る電車―セット―陵辱の直前に、時空が二度目に歪む。石井が陥れられる件も加へると、あるいは三度目か。ミキオ・玲子・清香、三人で乗る電車。玲子に清香と二人にして欲しいと乞はれ、ミキオは画面手前に、左右でいふと左から右に隣の車輌へと移る。直後のカットでは、ミキオが次の車輌内を右から左に歩いて来る。戻つて来たのか、玲子と清香は消滅してゐるが。最も単純な素人考へだと、そこは単に、カメラ位置を動かし柳之内たくまが左から歩いて来るのを撮れるやうにすれば済む話ではないのか。あからさまなルーチンワークであるといふ訳でもないのだが、斯様な次第で、工藤雅典らしからぬへべれけさが終始散見される。


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