聞くも涙の物語です。昔、猫を大層可愛がっていた魚屋さんが、病気になって商売が出来な
くなって生活に困っていました。すると猫が何処からか二両のお金をくわえて来て魚屋を助け
たといいます。ところが或る日その猫が姿を見せなくなりました。ある商家で猫が二両をくわ
えて逃げようとしたところを見つかって奉公人に殴り殺されたのです。
それを知った魚屋は、商家の主人に事情をはなしたところ、主人も猫の恩返しに感銘を受け
て、遺体を回向院に丁重に葬ったと言うことです。江戸時代の本に紹介されている話といいま
すが、本によって人名や地名に相違があるといいます。江戸っ子の間に広まった話として貴重
な文化財の一つに挙げられています。
