田谷山瑜伽洞(たやさんゆがどう)と称し、元鶴ヶ岡二十五坊の修禅道場です。
鎌倉時代初期開創と伝えられ、江戸時代に至るまで適時拡張されて上下三段、
総延長一キロ余の壮大な規模になりました。洞内には本尊一願弘法大師をはじめ
四国・西国・坂東・秩父各札所本尊、両界曼荼羅諸尊、十八羅漢等数百体のみ仏が
行者の手により壁面に刻まれ今も無言の説法をつづけています。
地質は粘板岩の巨大一枚岩で幾度かの大地震にも見事に絶えています。また、合
理性を備えた構造からは往時の土木技術の一端がうかがわれ、その点からも貴重な
存在とされています。静寂の洞内にいまなお残る無数のノミ跡は往時の久修練行を
物語りつつ巡拝者の心奥にひそむ淨菩薩心の開花を願っているようです。
たづね入る 心深くば み仏に あいなむ ここは 観法の祠 とあります。
(写真Mr麹町)