マチンガのノート

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解離の構造 柴山雅俊 岩崎学術出版社

2017-11-19 09:23:42 | 日記
著者は短い診察時間の中でも患者の話す内容から、
その背景の成育歴、人生体験などを想定して、その症状を考え、
どのような投薬をするか、または投薬をしないかを判断し、
様々な対応をしているとのことだ。
しかしながらほとんどの精神科医の場合、患者の成育歴や体験などを
聞いて理解するための背景を想定したりするための知識や経験はないだろう。
解離性障害の場合、統合失調症の一級症状と同じようなものがある場合が
多いとのことで、かなりの場合で表面的に聞いて統合失調症と考え、
投薬している事が多いのではないだろうか。
表面的に統合失調症の一級症状と似ていても、体験の仕方が違うなどの
深いところまで認識できる医師はあまり居ないだろう。
そもそも患者の成育歴やそれまでの体験を想定したりするだけの
知識を得るだけの時間も余裕も無さそうであるし、
医学部での教育でもそのようなことは教わらないだろうし、
周囲の学生や教員も似たような恵まれた家庭が多いので、
それ以外の家庭の事は考えたこと自体がないであろう。
取り敢えず、何事も「脳が原因」として、胡散臭い自称「治療者」が
関わらない様に予防することで忙しいのではないだろうか。