マチンガのノート

読書、映画の感想など  

ことばと知に基づいた臨床実践:ラカン派精神分析の展望 河野一紀

2017-11-05 01:14:38 | 日記
発達障害の治療に関しては、患者は治療者に対し、
何らかの知を想定した主体としてとして見ないので、
治療者も患者と並行して、発話そのものを受け取る対話者として
始めることが必要になるとのこと。
そのことでうまく話せない、聴けないということをそのまま認め、
そうしたつまずきに開かれた発話の場を維持することが必要とのこと。
そのことで回避されている欠如やそこから由来する不安を喚起することによって、
患者の発話に関する分裂を露にさせ、意味へとは回収されない
次元に作用することが目指される必要があるとのこと。
そのことにより、患者の「葛藤」とでも呼ぶべきものを構築する
ことにつながるとのこと。
そこから患者は治療者を他者として意識し始めるとのことである。
治療者と患者の非対称性ではなく、対称性からはじめ、
患者の支えとして位置づけられる他者としてあらわれる
ことを目指すことが必要とのことである。

労働者階級の反乱 ブレイディみかこ

2017-11-05 00:43:12 | 日記
イギリスのEU離脱に関しては、排外主義、人種差別が原因との
言説が多いが、著者の周囲の労働者階級の人々に関しては、80年代の
インド系、アフリカ系の移民と当初は摩擦があったが、
今ではそれ程ではないとのことで、それが大きな原因ではないとのこと。
今回のEU離脱も、中流以上の保守派の行う緊縮財政への反感から、
保守党政権などへの反感により賛成した人が多いとのことだ。
しかしながらメディアの駐在員、日系企業の駐在員、留学生などは
それらの労働者階級の人びととの接点が暮らしの中ではないので、
反移民、無知な人々の差別意識が原因との考えを持つ人が多く、
それが日本国内などでの意見の多数を占めているのだろうとのことである。
実際に労働者階級の配偶者やその周囲の人々の中で暮らしてきた
著者だから見えるものだろう。