TVおじさん

世相の鏡であるテレビから学び、時として批判も。メディア表現にも触れる。まだ元気、散策の想い出も綴りたい。

埋め尽くす石仏群

2012-10-29 | 散策

東近江の石塔寺を訪ねた。

道中雨に見舞われ、“見送りか”とも考えたが、仲間の1人の強い懇請で足を向けた。

寺に着いたときにはほぼ雨もあがっていた。

五木寛之の『百寺巡礼』に記された視覚的な文章のまま、

ずらり並んだ五輪塔や石仏群は、その形容どおり“石の海”だった。

住職の話では、五輪塔と石仏はざっと1万体に上るという。凄い迫力だ。

『百寺巡礼』五木 寛之

こういう寺はこれまで一度も見たことがなかった。

門前から158段の急階段をのぼりきる。すると、風景が一変する。

最初に視界に飛び込んできたのは、巨大な石の三重塔だ。

・・そのまわりを小さな石の五輪塔や石仏が、

境内を埋め尽くすようにとりまいている。

いったい全部でどれくらいの数なのだろうか。まるで“石の海”だ。

『かくれ里』白洲 正子

近江には古いものが、古いままの形で遺っており、それが私の興味をひく。

未だに多くの謎を含んだ歴史上の秘境、

それが近江の宿命であり、魅力ではないかと私は思っている。

・・石塔寺へ最初に行ったのは、ずいぶん前のことだが、

あの端正な白鳳の塔を見て、私ははじめて石の美しさを知った。

 

『寂聴古寺巡礼』瀬戸内寂聴

 思わず声をあげた自分に気がつき、雨の降りかかるのも忘れて、

塔の方へ駆けよらずにいられなかった。