ゆきんこブログ

月刊ガソリンスタンド誌
『変化と試練が、人と企業を強くする』
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灯油販売業者のための拡販戦略の現実

2011年12月27日 04時53分00秒 | Weblog

SS店頭ビジネスとは裏腹に、今年は、灯油ビジネスが活況を呈しています。
ここにきて、冷え込んできましたので、地域差はあるものの荷動きも活発化しているようです。

やはり、一概に石油流通ビジネスとはいっても、ガソリンスタンド業者にとっては、「車」を中心とする「カーライフ部門」と灯油やガスを中心とする「ホームライフ部門」は別物だと再認識させられる昨今です。
「底堅い消費需要」に支えられている分野は、適正な値取りも可能ですから配送灯油価格も例年より安定しているようです。
「値取り」というよりも、「乱売傾向が少なくなる」といったほうが正しいのでしょうね。

同じ商品でありながら、「灯油」という商品は「店頭販売」と「配送」で「商品としての特性」が全く変化します。
確かに、『灯油』は、電気や都市ガスのように電線やパイプを経由してなにもしなくても供給されるエネルギーではありません。

消費者としては、エネルギーとしての灯油を調達する方法は需要形態やボリュームによっていくつかあるわけです。
①.ポリ缶をぶら下げて、セルフSSやホームセンターまで自分の車の燃料と時間を使って購入のために出かけていく。
②.車のない老人世帯などは、「灯油巡回販売」などを利用する。
③.必要な時に電話をして、配達をしてもらう。
④.定期配送により、安定した供給を確保する。

それぞれの立場によりいろいろな、調達方法があるわけですが、それぞれの消費者の立場や地域性、感性によって購入する条件や環境なども異なります。

①のケースは、最近では消費者のコスト意識の高まりで一時のような勢いはなくなったようですが、
ポリ缶などでの少量購入では、地域によって必要な時に配達してもらえないという現実もあるようです。
最近になって、消費者はやむなく寒空の下を灯油購入のために出向いているということが鮮明になっており、ホームセンターや大手ショッピングセンターなども「灯油配送」に着手しています。

②のケースは、一部の消費者にとってはありがたいものなのですが、
地域によっては騒音条例などの規制強化により、今後、販売業者にとっても難しい課題発生を想定しておく必要がありそうです。
これから、年末にかけて、夜間に及ぶ場合も想定すると時間的な販売制約もあります。

③のケースは、
販売業者にとって、配送効率の課題が発生しています。
まるで、「モグラ叩きゲーム」のように一日に同じエリアを何回も往復するような配送では、コスト倒れしてしまいます。
なにより、多発する緊急注文に対して消費者の満足を得ることも大変ですね。

④のケース
そこで、最近は顧客管理データベースを構築しての受注体制、さらに配送効率を向上させる手法が中心となっています。
やはり、問題は配送業務コストの改善ということになるわけですが、
これらの課題について、最近灯油ビジネスを積極展開する大手企業では、非常に細かい業務内容の分析と企画を立てています。

具体的に内容については、とても紹介しきれないないくらいの情報ボリューム内容であり、スタッフも、まさに新たな業態を創出していくという気概に燃えています。
夏場の灯油閑散期における新たなビジネス創出。有効な商品、付随するサービス内容の開発検討などに取り組んでいる企業が多いわけですが、この分野は従来のSS店頭販売オペレーションとは「目の付け処」も全く違います。

別に灯油に限らず、
「宅配ビジネス」や「サービス」については、現在では多岐な業界で模索されている有望なビジネスマーケットですから、ガソリンスタンドという業態の既成概念を超えた思考回路も求められているということです。

当然、「雪ん子」ユーザー様はそれらの課題に積極的に取り組んでいる企業様が多いわけですから、現在でも本当に多岐多様なアイデアや具体的な要望が寄せられています。
「守秘契約」や「ビジネス特許」の問題もあり、簡単に先走った情報公開はできないのですが、現場実務を知っている私のようなシステム開発者としては非常に興味がもてる可能性が高いアイデアも多数寄せられています。

そんな現状に直面しながらのシステム開発。
これから数年で、灯油ビジネスは大きく変化することになるはずだと強く感じている昨今です。

灯油配送を起点とする、ガソリンスタンド業界の新規業態開発については、
それぞれ地域性や企業特性を織り込みながら進んでいくはずですから、企業としての創造性も問われることになるわけで、今までのような与えられたビジネスモデルや人真似では通用しないように感じます。

そんなことから、今シーズンは最盛期ですが、データベース構築を前提とする灯油システム構築が増えており、年末もプレゼンテーションが続いています。

先日、蔦屋の社長がテレビで、「既存業態の課題やポイントを合わせながら、新たな業態開発を進める。」と力説していましたね。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
騒音公害問題 (矢部 雄二)
2012-11-05 23:04:50
灯油の巡回販売については、難しい課題も何も、そもそも現行の条例に違反しているのだから即刻やめろと言いたいです。住宅街でスピーカーを使わないでください。ものすごく簡単な話です。

環境省の統計を見ると、今拡声機に係る苦情は右肩上がりで年々増えていますし、総務省も、移動販売の取り締まりは公害防止条例の適切な執行のために必要という認識だそうですよ。いつまでもこんな乱暴な販売方法がまかり通るはずがありません。
Unknown (矢部 雄二)
2012-11-05 23:08:45
軽く検索をかけたら出てきた行政の文書ですが、どちらも灯油の巡回販売名指しです。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000172253.pdf
> 商店街での固定スピーカーによる商業宣伝放送や灯油の移動販売車・廃品回収車などの自動車による宣伝放送、さらには、最近では都市部で増えてきたLED画面の宣伝放送など、拡声機騒音に係わる苦情が増えています。 これらの拡声機騒音に対する規制は、多くの都道府県公害条例によって行われていますが、最近は、移動販売車による拡声機騒音の苦情対応に苦慮していると自治体職員から聞くことが多くなりました。
(略)
> この様な自動車による拡声器騒音の規制は、各自治体の適正な公害関係条例の執行に必要なものであることから、都道府県単位で所管する運輸支局に状況を申し入れ、各市町村からの紹介に対して回答するルールを確立することが必要と考えています。

http://www.city.yachiyo.chiba.jp/material/kankyo-hakusho-h21/04_souon.pdf
> 灯油の移動販売や電化製品の回収車、店舗からの呼び込みや音楽など、拡声機を使用する商業宣伝について苦情が増加しています。市の条例を遵守するよう、音量の低下、時間の制限などの措置を指導しています。

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