「灯油」という商品の販売をキーにして全国を飛び歩いてみると、地域や企業規模や経営者の資質などいろいろな条件で本当に多様な考え方があるものだと感じます。『逆もまた真なり』という言葉がありますが、販売力がある経営者や企業には必ず一般企業や常識とは異なる『基本の型』というものを個々に持っているようです。たとえば、「安売り大量販売指向型」、「顧客管理、地域囲い込み型」、「システムによるコストダウン指向型」、経営者の考え方も「元売系列ベッタリ、マニュアル型」、「インディペンデント系(独立系)野人型」、「創業型」経営者は自分で工夫努力します。「二世型」経営者は他社を見る研修や、本で読んだりして「勉強」することで安心します。それぞれにみんな「物差し」を持っていて考え方も十人十色なのです。われわれのビジネスはソリューションシステム販売ですが、実態としては「提案型」のコンサルティング業ですから、クライアント(お客様)の考え方を理解して有効な提案ができないと販売には結びつきません。中国や台湾の漢方薬の店に行くと店のバック棚に多数の「引き出し」があって、お客の症状や要望などを聞きながら幾つもの「引き出し」から、ヤモリの黒焼きやらタツノオトシゴやらいくつもの薬草やらを取り出して粉砕したりして、飲み方を教えて売っています。高いものもあれば安いものもあり、お客の風体や顔色を見ながら値段も違うような気がします。我々のビジネスは中国の漢方薬屋と似たようなところがあって、企業規模が小さくとも一生懸命に取り組んでいる経営者に対しては、たとえ安くとも是非使ってもらいたいと思う時があります。貧しい子供が仕事で稼いだと思われるしわくちゃな金を握り締めて、病気の親のために薬を買いにきたらつい安くしてしまうようなものです。人間は生きて、いろいろな経験を重ねるごとに「引き出し」が増えてきます。他人の苦しみや悩みも理解できるようになるようです、もちろん、人間の甘さなどに対するの厳しさも備わってきます。「やさしさ」と「厳しさ」の両方が備わらないとなりません。自己満足や視野の狭い考え方で自分だけに都合のよいような理屈を言ってみてもビジネスはできません。都合が悪くなったら、狭い地域性やマイホーム主義のような理屈を盾にした話題で逃げるような商売をしていたらうまくいくはずも無いわけです。最近、人生は「視点」や生きるための「物差し」や「価値観」で大きく変化するものなんだということを強く感じています。自分にとって「生きるための価値観」探しはまだまだ続きそうです。