いやあ、今週は圧倒されました。なにに圧倒されたといって、主人公黒田如水の人生の中クライマックス、もっとも盛り上がる場面を、ここまでつまらなくできるということに。誰がどう腕によりをかけたらこうなったのか。金と時間と豪華キャストを惜しみなく使って、見せ場中の見せ場を、とことんつまらなくできるってマジですごい。別の意味で。なにか、大河ドラマの新たな可能性の地平を見たような気がします。
なので今週はあらすじをまとめるのもバカバカしい気分で、パスしようかとも思いましたが、とりあえずかいつまんで、ツッコミどころにだけツッコんでおきたいと思います。
第23回「半兵衛の遺言」
秀吉はそういうキャラなのか…?
有岡城の地下牢から救出された官兵衛(岡田准一)に、さっそく秀吉(竹中直人)が、その日のうちにすっ飛んで会いに来ます。この時間空間の扱いも謎なんですよね。官兵衛救出の報せが播磨に届くのと、秀吉が支度して有岡までやってくるのに、合計どのくらい日数がかかるもんなんでしょう。そこんとこの時差がまったく無視されているのですが、まあそこにツッコミだしたらキリがないです。
官兵衛に再会した秀吉は、「おお官兵衛…よくぞ無事で生きていてくれた…」とかいって、官兵衛とたっぷりとスキンシップをします。これがまた、先週の半兵衛先輩の臨終場面ほどではないけど、やっぱり肌をスリスリ、首から唇までコッテリ撫でまわす念の入りようで、さすがにちょっとキモかった…。竹中さんも冗談かセルフパロディでやってるとしか思えんね(笑)。
官兵衛に謝れ
そして秀吉は、まだ意識朦朧としてフラフラな状態の官兵衛を、仏さんみたいな帷子を着せたまま、輿にのせて信長(江口洋介)のところに運びます。
ちょ…どういう罰ゲームなんだこれは。ここでも有岡から安土までの距離感も時差は完全に無視され、官兵衛を救急車に積んで名神道を疾走してきたとしか思えない時間感覚なんだけど、これもツッコミだしたらきりがない。
そんで、まだ半分死んでいるような官兵衛を信長に引見させ、官兵衛はこの通り生きて1年も幽閉されていました、けっして上様を裏切ってなどおりません、どうか官兵衛をお許し下さい、と秀吉は信長に平伏します。
これもねえ…。いつもそうなんだけど、信長があまりにも安っぽすぎるせいか、秀吉の過剰に大袈裟なペコペコぐあいが、あからさまに信長をバカにしているみたいなんだよね。この場合も、もとから「お許しください」って筋合いの話じゃないし、露骨に「官兵衛に謝れよ、オメエがよ」と言っているようにしか見えません。
さらにそこに、実は生きていた松寿丸がフェイントで乱入し、信長の目の前で父子涙の再会を実演するので、もうどうしたって「オレが悪かった、許せ」というしかないじゃないですか。
実際これは「オレが悪かった」でいい場面なんですけど、今回の場合、言っても話の通じないバカ殿に反省させて謝らせるために、秀吉が念の入った演出を施したみたいに見えちゃいましたね。
さあ泣いてくださいませ、涙涙の再会ショー
まあ、官兵衛の監禁イベントをほんとにアッサリ切り上げてしまったので、涙涙にまた涙の再会ショーの連続も、だんだんシラケていきました。とくに光(中谷美紀)と官兵衛の再会シーンに松寿丸が乱入して親子三人で号泣するシーンなど、ドッチラケのピークでしたわな。もうそういうのは人目につかないところでやってくれ、みたいな。
わたしって捻くれてますかねえ…。こういう、ここぞという場面でウルウルできないのは、せっかく毎週大河をみて、感想文まで書いてるのに時間の無駄みたいな気もしますけど、とにかく(これは今年の「官兵衛」が初めてではなく、ここ何年もそういう傾向なんですが)感動の結末にいたるドラマチックな緊迫をショートカットして、安上がりに感動場面ばっかりコテコテに盛るので、ホント白けるんだよね。こういうのは重大な脚本力の欠如と思います。
入浴もシーンありました。
別にサービスとも思わなかったけど、官兵衛・善助(濱田岳)・太兵衛(速水もこみち)の入浴シーンがありました。官兵衛の傷養生のために、三人で有馬温泉に浸かってました。
まあ、湯帷子とかフンドシとかまとった着衣入浴だったとか、そんなことを責める気はないですが(おい)なんで九郎衛門(高橋一生)が湯に入らなかったのかしら。そこんとこの面子を入れ替えるだけでずいぶん違ったと思うけど(何が)。
突然ですが、去年の「八重の桜」前半の、西島秀俊と長谷川博已の、あの「まったく不必要な温泉入浴シーン」って、ほんとに今思うとありえない僥倖というか、大河ドラマに脈絡なく現れた一幅の名画のような珠玉のシーンだったんだわね。などと、三人風呂入ってる場面見ながら、来し方を思い遠い目をしていました。
茶道具問題。
有岡城から尼崎城に逃亡し、立てこもっている荒木村重(田中哲司)は、信長の逆鱗に触れ、尼崎城の鼻先で、主だった家臣の妻女を磔にするのを見せられます。さらに追ってもたらされた、美人妻・だし(桐谷美鈴)と子供たち(って子どもばっかりゾロゾロいたけど、村重とどういう関係の子たちなのかよくわかんなかった)が、京都の六条河原で処刑されたと聞きます。
これがサヨナラ公演のクライマックス。村重はコテコテにキレてキレてキレまくります。雨の中庭に飛び出して、水たまりの中にひっくり返って手足をバタバタさす赤ちゃんプレイなど。
こういうわかりやすいぶっ壊れた狂気演技さすなよ…「平清盛」じゃないんだからよ、とたいがいゲンナリしたんですけど、それ以上にやめてほしかったのは、村重が、有岡城から持って出てきた自慢の名物茶器を、キレてぶちまけて蹂躙したことですね。
まあ、わたくしは怠惰このうえない弟子で、エラソーに語れることなどなにもないですが、そんないい加減にでも茶道を習ってますと、茶器を蹂躙するという行為に、ほんとに、身の毛もよだつような思いがします、生理的に。
実のところ、情緒不安定になっていく村重が、そのうち手にした茶器を怒りにまかせてぶち割りそうで、でも割らない、というギリギリの緊張感が結構好きだったんですよ。茶を愛する者として、本能的に、どんなに気が狂っても茶碗だけは両手で丁寧に取り扱ってしまう、そんな感じに凄みを見ていました。
だけど、とうとうやっちゃった。まあ、茶器そのものをガッチャーンじゃなく、箱に入ったままだったのがまだしもでしたけど。
とりあえず大河ドラマは、この手の狂気演技をするのに、ものを壊す・ものに当たる以外の方法も考えるべきですし、壊してるのがどういうものなのか、ちょっと考えてから演出したほうがよいと思いますね。
高山右近問題
信長は荒木村重のなににそんなに激怒して、極端に残虐な見せしめに走ったのか…という焦点が微妙にブレていて、ようは謀叛そのものよりも「裏切った」という行為の問題、それは自分を「裏切った」んではなく、有岡城を脱出して逃亡したという行為に対する嫌悪感である、みたいに、だんだんこんがらがっていきました。裏切ったのがそんなに悪いことなら、自分のつごうで荒木村重を裏切らせた高山右近(生田斗真)はどうなるんですかね。イケメンだから許されるのか? それって差別じゃないの??
その高山右近ですが、今週は、なんだか泣き女みたいに、あちらこちらと出没し、泣いたり騒いだり自分を責めたりし、死を覚悟した美人妻に決意を語らせたりするインタビュアー的存在になってました。どうでもいいけど、こういう人があちこちうろついて、無駄に人の感情を刺激して回るのって、なんか「平清盛」の西行を思い出すな…(失笑)。
そんで最後は幽閉PTSDに苦しんでいた官兵衛が、亡き半兵衛パイセン(谷原章介)の形見の軍配を手にして復活し、あれよあれよというまに戦場に復帰する…「待っておったぞ官兵衛!」
…といっても、官兵衛留守中の三木城包囲戦の戦況とか、裏切った小寺のバカ殿がどうしていたかなど、一切なにも語られておりませんが。このあとどーするつもりなのか、すべてを来週に丸投げして、次回に続く。また来週。
そしておもむろに、今週のダウントン・アビー(第5回)
サブタイトルは「嫉妬の炎」
まあ、サブタイほどの濃厚な嫉妬が出てくるんでもなかったですが…。嫉妬の炎を燃やすのは、おもに、長女のメアリーにいいとこをすべてもっていかれる次女のイーディスですね。可哀想に、お母さんのコーラ夫人に「イーディスに意地悪くしないで、あの子は取り柄が無いんだから」とか言われたりします。
そのお母様ですが、今週面白かったせりふ。三人の娘をもって「若草物語みたいなのを期待したのに…」とため息をつきます。
このコーラ夫人は、アメリカの富豪の娘なんですよね。イギリス人(しかも貴族)なら「若草物語みたいな娘たちが理想」なんていう発想はあり得ないので、そういうところでチラッと出身地の地が出ています。それと、後半で出てくる、料理人のパットモアさんがディナーのデザートのラズベリー・クリームに間違えて塩をかけるくだりは、あれは「若草物語」の本歌取りみたいでウケました。
あいかわらず従僕のベイツが謎の存在で、このひと初登場の第一回から、ただならぬ過去がありそうなところを匂わせていたのですけど、今週、次女のアンナの切なる求愛を袖にして、「わけは言えないがダメなんだ」みたいなことを言います。なんなんでしょうか。
それにしてもよくわからんのは、メアリーとマシューが今週急接近するんですけど、もうこうなったらお互い好きよ好きよでいいじゃないですか、というかこの二人が結婚すれば一連の問題は八方丸く収まるんですよね。
まわりも二人が結婚すれば好都合だと思っているのに、障碍はメアリーの誇りというか、依怙地だけ。この人さえ「わたしは押し付けられた結婚はしないの」とかいうかわいくない態度を取り下げれば、自分ちの財産も保全できるし。
まあ、前々回にトルコ人に腹上死されたトラウマもあるかもですが…。その腹上死事件ですが、意外な展開をたどって、今週は妹のイーディスの知るところとなります。
その前に、ホモの下僕トーマスが、お嬢様の醜聞をロンドンの知り合い経由で噂話として流す、という悪だくみをするんですけど、このトーマスと侍女のオブライエンってお局様が、しょっちょう体育館の裏で二人でタバコ吸いながら、ヤンキーみたいに、ロクでもない悪だくみをするわけです。この人たちもいい加減、旦那様のものをかくしてベイツを陥れる、みたいな韓国ドラマ的な稚拙なことより、そろそろ、もっと人の運命を手玉に取るような道に踏み出してほしいのですが。
今週のバイオレット様。先週、執事のモールズリーの植物アレルギーでマシュー母から一本取った続き。
年に一度の村のフラワーショーが開催、バイオレット様もモールズリーの父親も出品します。ですが、伯爵杯は毎年、バイオレット様がもらうことが不文律化していて、これにマシュー母が異議を唱えるのですね。そんなのは不公平だ、民主的じゃないと言って。
もう、この二人のケンカを、回りも「ケンカを売られたことない二人のケンカ」と、娯楽として見物しており、これがきっかけでマシューとメアリーもちょっと接近します。
結局、フラワーショーの表彰式で、プレゼンターのバイオレット様が、恒例通り「グランサム伯爵夫人」と書いてある結果発表を「今年の優勝者は、ビル・モールズリーさん」と発表、拍手喝さいを浴びます。これで、自分は無傷で民主的に、マシュー母からまた一本とったことになるわけですね。流石バイオレット様。
というかこのドラマの主役ってやっぱりこの婆様なんじゃね?とますます思えてきました。次回もこの調子で活躍してほしいです。
それにしても村のフラワーショーとか、ほんとに英国ならではですよね。目の保養です。ウワサでは、あのジョージ・クルーニーがいよいよ年貢を納めるということで、結婚式場にはこのダウントン・アビーのロケ地の屋敷が候補になっている由ですが、ホントになったら面白いなあ。ぜひやってほしい。楽しみです。って招ばれてないけど(爆)。
また来週!
なので今週はあらすじをまとめるのもバカバカしい気分で、パスしようかとも思いましたが、とりあえずかいつまんで、ツッコミどころにだけツッコんでおきたいと思います。
第23回「半兵衛の遺言」
秀吉はそういうキャラなのか…?
有岡城の地下牢から救出された官兵衛(岡田准一)に、さっそく秀吉(竹中直人)が、その日のうちにすっ飛んで会いに来ます。この時間空間の扱いも謎なんですよね。官兵衛救出の報せが播磨に届くのと、秀吉が支度して有岡までやってくるのに、合計どのくらい日数がかかるもんなんでしょう。そこんとこの時差がまったく無視されているのですが、まあそこにツッコミだしたらキリがないです。
官兵衛に再会した秀吉は、「おお官兵衛…よくぞ無事で生きていてくれた…」とかいって、官兵衛とたっぷりとスキンシップをします。これがまた、先週の半兵衛先輩の臨終場面ほどではないけど、やっぱり肌をスリスリ、首から唇までコッテリ撫でまわす念の入りようで、さすがにちょっとキモかった…。竹中さんも冗談かセルフパロディでやってるとしか思えんね(笑)。
官兵衛に謝れ
そして秀吉は、まだ意識朦朧としてフラフラな状態の官兵衛を、仏さんみたいな帷子を着せたまま、輿にのせて信長(江口洋介)のところに運びます。
ちょ…どういう罰ゲームなんだこれは。ここでも有岡から安土までの距離感も時差は完全に無視され、官兵衛を救急車に積んで名神道を疾走してきたとしか思えない時間感覚なんだけど、これもツッコミだしたらきりがない。
そんで、まだ半分死んでいるような官兵衛を信長に引見させ、官兵衛はこの通り生きて1年も幽閉されていました、けっして上様を裏切ってなどおりません、どうか官兵衛をお許し下さい、と秀吉は信長に平伏します。
これもねえ…。いつもそうなんだけど、信長があまりにも安っぽすぎるせいか、秀吉の過剰に大袈裟なペコペコぐあいが、あからさまに信長をバカにしているみたいなんだよね。この場合も、もとから「お許しください」って筋合いの話じゃないし、露骨に「官兵衛に謝れよ、オメエがよ」と言っているようにしか見えません。
さらにそこに、実は生きていた松寿丸がフェイントで乱入し、信長の目の前で父子涙の再会を実演するので、もうどうしたって「オレが悪かった、許せ」というしかないじゃないですか。
実際これは「オレが悪かった」でいい場面なんですけど、今回の場合、言っても話の通じないバカ殿に反省させて謝らせるために、秀吉が念の入った演出を施したみたいに見えちゃいましたね。
さあ泣いてくださいませ、涙涙の再会ショー
まあ、官兵衛の監禁イベントをほんとにアッサリ切り上げてしまったので、涙涙にまた涙の再会ショーの連続も、だんだんシラケていきました。とくに光(中谷美紀)と官兵衛の再会シーンに松寿丸が乱入して親子三人で号泣するシーンなど、ドッチラケのピークでしたわな。もうそういうのは人目につかないところでやってくれ、みたいな。
わたしって捻くれてますかねえ…。こういう、ここぞという場面でウルウルできないのは、せっかく毎週大河をみて、感想文まで書いてるのに時間の無駄みたいな気もしますけど、とにかく(これは今年の「官兵衛」が初めてではなく、ここ何年もそういう傾向なんですが)感動の結末にいたるドラマチックな緊迫をショートカットして、安上がりに感動場面ばっかりコテコテに盛るので、ホント白けるんだよね。こういうのは重大な脚本力の欠如と思います。
入浴もシーンありました。
別にサービスとも思わなかったけど、官兵衛・善助(濱田岳)・太兵衛(速水もこみち)の入浴シーンがありました。官兵衛の傷養生のために、三人で有馬温泉に浸かってました。
まあ、湯帷子とかフンドシとかまとった着衣入浴だったとか、そんなことを責める気はないですが(おい)なんで九郎衛門(高橋一生)が湯に入らなかったのかしら。そこんとこの面子を入れ替えるだけでずいぶん違ったと思うけど(何が)。
突然ですが、去年の「八重の桜」前半の、西島秀俊と長谷川博已の、あの「まったく不必要な温泉入浴シーン」って、ほんとに今思うとありえない僥倖というか、大河ドラマに脈絡なく現れた一幅の名画のような珠玉のシーンだったんだわね。などと、三人風呂入ってる場面見ながら、来し方を思い遠い目をしていました。
茶道具問題。
有岡城から尼崎城に逃亡し、立てこもっている荒木村重(田中哲司)は、信長の逆鱗に触れ、尼崎城の鼻先で、主だった家臣の妻女を磔にするのを見せられます。さらに追ってもたらされた、美人妻・だし(桐谷美鈴)と子供たち(って子どもばっかりゾロゾロいたけど、村重とどういう関係の子たちなのかよくわかんなかった)が、京都の六条河原で処刑されたと聞きます。
これがサヨナラ公演のクライマックス。村重はコテコテにキレてキレてキレまくります。雨の中庭に飛び出して、水たまりの中にひっくり返って手足をバタバタさす赤ちゃんプレイなど。
こういうわかりやすいぶっ壊れた狂気演技さすなよ…「平清盛」じゃないんだからよ、とたいがいゲンナリしたんですけど、それ以上にやめてほしかったのは、村重が、有岡城から持って出てきた自慢の名物茶器を、キレてぶちまけて蹂躙したことですね。
まあ、わたくしは怠惰このうえない弟子で、エラソーに語れることなどなにもないですが、そんないい加減にでも茶道を習ってますと、茶器を蹂躙するという行為に、ほんとに、身の毛もよだつような思いがします、生理的に。
実のところ、情緒不安定になっていく村重が、そのうち手にした茶器を怒りにまかせてぶち割りそうで、でも割らない、というギリギリの緊張感が結構好きだったんですよ。茶を愛する者として、本能的に、どんなに気が狂っても茶碗だけは両手で丁寧に取り扱ってしまう、そんな感じに凄みを見ていました。
だけど、とうとうやっちゃった。まあ、茶器そのものをガッチャーンじゃなく、箱に入ったままだったのがまだしもでしたけど。
とりあえず大河ドラマは、この手の狂気演技をするのに、ものを壊す・ものに当たる以外の方法も考えるべきですし、壊してるのがどういうものなのか、ちょっと考えてから演出したほうがよいと思いますね。
高山右近問題
信長は荒木村重のなににそんなに激怒して、極端に残虐な見せしめに走ったのか…という焦点が微妙にブレていて、ようは謀叛そのものよりも「裏切った」という行為の問題、それは自分を「裏切った」んではなく、有岡城を脱出して逃亡したという行為に対する嫌悪感である、みたいに、だんだんこんがらがっていきました。裏切ったのがそんなに悪いことなら、自分のつごうで荒木村重を裏切らせた高山右近(生田斗真)はどうなるんですかね。イケメンだから許されるのか? それって差別じゃないの??
その高山右近ですが、今週は、なんだか泣き女みたいに、あちらこちらと出没し、泣いたり騒いだり自分を責めたりし、死を覚悟した美人妻に決意を語らせたりするインタビュアー的存在になってました。どうでもいいけど、こういう人があちこちうろついて、無駄に人の感情を刺激して回るのって、なんか「平清盛」の西行を思い出すな…(失笑)。
そんで最後は幽閉PTSDに苦しんでいた官兵衛が、亡き半兵衛パイセン(谷原章介)の形見の軍配を手にして復活し、あれよあれよというまに戦場に復帰する…「待っておったぞ官兵衛!」
…といっても、官兵衛留守中の三木城包囲戦の戦況とか、裏切った小寺のバカ殿がどうしていたかなど、一切なにも語られておりませんが。このあとどーするつもりなのか、すべてを来週に丸投げして、次回に続く。また来週。
そしておもむろに、今週のダウントン・アビー(第5回)
サブタイトルは「嫉妬の炎」
まあ、サブタイほどの濃厚な嫉妬が出てくるんでもなかったですが…。嫉妬の炎を燃やすのは、おもに、長女のメアリーにいいとこをすべてもっていかれる次女のイーディスですね。可哀想に、お母さんのコーラ夫人に「イーディスに意地悪くしないで、あの子は取り柄が無いんだから」とか言われたりします。
そのお母様ですが、今週面白かったせりふ。三人の娘をもって「若草物語みたいなのを期待したのに…」とため息をつきます。
このコーラ夫人は、アメリカの富豪の娘なんですよね。イギリス人(しかも貴族)なら「若草物語みたいな娘たちが理想」なんていう発想はあり得ないので、そういうところでチラッと出身地の地が出ています。それと、後半で出てくる、料理人のパットモアさんがディナーのデザートのラズベリー・クリームに間違えて塩をかけるくだりは、あれは「若草物語」の本歌取りみたいでウケました。
あいかわらず従僕のベイツが謎の存在で、このひと初登場の第一回から、ただならぬ過去がありそうなところを匂わせていたのですけど、今週、次女のアンナの切なる求愛を袖にして、「わけは言えないがダメなんだ」みたいなことを言います。なんなんでしょうか。
それにしてもよくわからんのは、メアリーとマシューが今週急接近するんですけど、もうこうなったらお互い好きよ好きよでいいじゃないですか、というかこの二人が結婚すれば一連の問題は八方丸く収まるんですよね。
まわりも二人が結婚すれば好都合だと思っているのに、障碍はメアリーの誇りというか、依怙地だけ。この人さえ「わたしは押し付けられた結婚はしないの」とかいうかわいくない態度を取り下げれば、自分ちの財産も保全できるし。
まあ、前々回にトルコ人に腹上死されたトラウマもあるかもですが…。その腹上死事件ですが、意外な展開をたどって、今週は妹のイーディスの知るところとなります。
その前に、ホモの下僕トーマスが、お嬢様の醜聞をロンドンの知り合い経由で噂話として流す、という悪だくみをするんですけど、このトーマスと侍女のオブライエンってお局様が、しょっちょう体育館の裏で二人でタバコ吸いながら、ヤンキーみたいに、ロクでもない悪だくみをするわけです。この人たちもいい加減、旦那様のものをかくしてベイツを陥れる、みたいな韓国ドラマ的な稚拙なことより、そろそろ、もっと人の運命を手玉に取るような道に踏み出してほしいのですが。
今週のバイオレット様。先週、執事のモールズリーの植物アレルギーでマシュー母から一本取った続き。
年に一度の村のフラワーショーが開催、バイオレット様もモールズリーの父親も出品します。ですが、伯爵杯は毎年、バイオレット様がもらうことが不文律化していて、これにマシュー母が異議を唱えるのですね。そんなのは不公平だ、民主的じゃないと言って。
もう、この二人のケンカを、回りも「ケンカを売られたことない二人のケンカ」と、娯楽として見物しており、これがきっかけでマシューとメアリーもちょっと接近します。
結局、フラワーショーの表彰式で、プレゼンターのバイオレット様が、恒例通り「グランサム伯爵夫人」と書いてある結果発表を「今年の優勝者は、ビル・モールズリーさん」と発表、拍手喝さいを浴びます。これで、自分は無傷で民主的に、マシュー母からまた一本とったことになるわけですね。流石バイオレット様。
というかこのドラマの主役ってやっぱりこの婆様なんじゃね?とますます思えてきました。次回もこの調子で活躍してほしいです。
それにしても村のフラワーショーとか、ほんとに英国ならではですよね。目の保養です。ウワサでは、あのジョージ・クルーニーがいよいよ年貢を納めるということで、結婚式場にはこのダウントン・アビーのロケ地の屋敷が候補になっている由ですが、ホントになったら面白いなあ。ぜひやってほしい。楽しみです。って招ばれてないけど(爆)。
また来週!
で、信長とのご対面のシーンですが、あれは史実的には安土ではないです。信長は伊丹まで出張ってきていたようで、昆陽池あたりで本陣を構えていたそうです。そう、田中将大選手が小学生の時つけたプレートがいまだにくっきりと名前も判別できる状態で残っていたと、大リーグに行ったときにちょっと地元で大騒ぎした昆陽池公園です。なので、実際有岡城から昆陽池までは伊丹市営バスで20分程の距離なので、あの担架みたいなのに乗せられて移動しても、さほどの距離ではないと思いますので、あれはOKでしょう。でも、その説明して欲しかったですよね。それを言うなら、だしさんの処刑シーンで子供を連れて侍女が来ていましたが、実際、侍女が岸和田に連れて逃げていたらしく、それで岸和田市荒木町という名前になったそうなんですが、多分、荒木町から京都の六条河原に行く方が大変やったと思うんですよ。しかも、最前列やし・・・
茶器の件は、私も嫌でした。私も一応お茶をかじった人間ですし、先生から「道具は大切に扱いなさい」と注意されてきたので、ああやって、がっちゃんがっちゃんやられると、嫌ですね。それなら、「信長みたいなアホに、この大事な茶釜やれるか!」と一緒に自爆した松永久秀の方が、まだましかも・・・(けど、ゴッホのひまわりを同じようにしたいと公言して、世界中からひんしゅく買いまくってた人もおられましたね)
「ダウントンアビー」実は、まだ見れてないんです。DVDに落としてあるんですが・・・いろいろ都合で見ることができずに、早く見たい!と思ってます。めっちゃ楽しみや~
大雨、大丈夫ですか?気を付けてくださいね。
>言っても話の通じないバカ殿に反省させて謝らせるために、秀吉が念の入った演出を施したみたい
えっ、そういう事だと思って見てましたが違うの?
高山右近は本当ウザかったですね~~生田斗真くんってなかなか芸達者で、コメディで「イケメンだけどウザいバカ」をやると笑える人ですが、それが狙いで大河に起用されたのか、と思っちゃいます。
さてダウントン・アビー、今回もマギー・スミス様(この方ご自身がDameなのよね)にやられましたね。先週、逆襲が大成功したので余裕しゃくしゃく、ますますパワーアップしてる感じです。
いっぽうで姉妹の近親憎悪もスゴイ。あそこまでやるか。
ところで「従者」とか「下僕」とかすごい語感の肩書が使われているので、原語はなんというのかと思って英語のWikiを見たら、シーズン4(シーズン5も予定とか?)までのあらすじが出ていて、思わずネタバレ読んでしまい「て~っ」「じぇじぇじぇ」「うっそ~」でした。何というジェットコースター展開。
ちなみに東京は、関東甲信越っていうくらいですから、山梨の富士山は、おおいに支援しておりますよ♪
静岡側の富士山がメインというのは、ふだん富士山が見えない西日本の感覚じゃないかな~静岡っていうか東海道から見える富士山ですよね。東へ下れば三保の松原があって富士のお山があって、というね。
そういえば亡き姑が京都の田舎から出てくるといつも「今日は富士山が綺麗に見えた」「今日は雲に隠れてあんまり見えなかった」と、まず富士山話で始まったのを懐かしく思い出します。
村重どのの茶器については、私も、「どんなに乱心しても本能的に道具は丁寧に扱ってしまう、くらいのほうが凄味がでた」と仰ったツイッターの方のお言葉に、強く同感、感服いたしました。あれで貫いて見せてほしかったです。
まったく、視聴者が求めているものを作り手側がわかっていないというか、鈍感というか、なんとかならないのでしょうかねぇ。せっかくの長い実績ある国民的ドラマ枠ですのに…。
全く同意です!何でこんなにつまんないのでしょうねえ。でも、有馬温泉には、行きたくなりました。ナゼか。
これから何を楽しみに見続けようかな(別に見続けなくても良いのですが)っと考えたとき、
この頃茶道に興味があるので、千利休が出てくる(?)まで見ようと思います。誰がやるのでしょうね?ちょっとワクワクしてます。石坂こうじさんがいいな。
それか、大杉漣さん。表千家の千利休の肖像画が、私には大杉漣さんに見えてしょうがないので、いつか演じてくれないかなって、密かに思ってます(笑)
松永久秀の「平蜘蛛」爆死は、反信長を貫いて名器と心中した痛快さが支持されているのであり、「ひまわり」会長は、一般大衆を見下した金持ちの利己行為と感じさせて批難を浴びたのではないかと存じますが、如何でしょうか。
>有馬兵衛の向陽閣へ
って関東圏でいう、♪伊東へいくならハトヤ 電話は4126、みたいなのでしょうか?
あ、いや高級感がちがうかな(笑)と、とりあえず「紀行」をみて有馬温泉に行ってみたいと思いました。
たしかに3人が入ってた湯はあんまり茶色くなかったですね。フンドシとか湯帷子も染まってなかったし。
距離感の補足ありがとうございます。
恥ずかしながら、信長が播磨に出張してきている、というのを見逃していました。っていうか、安土にいるのかどこにいるのか、全然気にしてなかったです。
岸和田市荒木町の件、はじめて知りました!あの、カーネーションの岸和田ですよね。そうでしたか~。
>静岡側の富士山がメインというのは、ふだん富士山が見えない西日本の感覚じゃないかな~
反応ありがとうございます。
「裏富士」というのはたぶん、山梨県側の自虐ネタだと思うんですけどね。けっこう他県の人などに、「こっち側からみる富士山も綺麗なんですね」「こっちからもけっこう見えるんですね」的なことを言われイラッとしつづけた全県民共通のトラウマの裏返しかと(笑)
きっと、反対側の方は裏とか表とか考えてらっしゃらないでしょうね。
個人的には、国道20号を東側にむかってラザウォーク甲斐双葉というモールを通り過ぎたあたりの景色が、美帆の松原にも負けない絶景だと思っております。
>何というジェットコースター展開
うわわわ。
英語のページには要注意ですね。シーズン1はあと2回ですが、このぐらいだとほんとにイントロ、という感じなんでしょうか?
とりあえず、先週妹娘がオスマン帝国大使館に密告の手紙を送ったのが、シーズン1のクライマックスという感じ?
向こうのドラマって、ほんといいとこで終わって「次は半年後」みたいな展開しますよね(笑)。
そうですね、茶器への狼藉の件は、荒木村重の乱心と、妻子の死に対するショックの大きさという意味で、必要だったかもしれませんけど、八つ当たりの相手が茶器というのが、やはり生理的にぞっとするものがあって受け入れがたかったです。
というか、あそこで茶器を破壊するというのは、誰でも簡単に考えつくと思うので…なんか、いろんなアクション、リアクションが安直だなあと。
むしろ、視聴者反応を意識しすぎた結果がああなんでしょうかね、と思うこと多々です。
視聴者の好反応以上になにをやりたいのか、考えて作ってもらいたいものですが…。
ワタシも有馬温泉行きたいです。今週心が動いたポイントはそこだけでした(笑)。
今週の展開は、吉川英治版の「黒田如水」などはメインに据えているくらいで、ほんとにいいところなので、中クライマックスとして大切に盛り上げてほしかったですが、いかにも投げやりで、泣かせシーンばかり盛っていて、ガッカリいたしました。
大杉漣さんはいいですよね。
利休だけは、よい役者さんに、本編とは関係なくよい佇まいで演じてほしいと思います。
去年の映画の海老蔵さんがほんとに素晴らしかったので、今度はどなたが演じるのかなと。
どなたが演じるにしても、演出上、茶器の取り扱いは細心の上にも細心でお願いしたいものです。
向陽閣=ハトヤそうです。まさにそんな感じです(笑)
ちなみに、有岡城は播磨ではなく摂津です。すいません、細かいこといいまして。でも、やっぱり摂津と播州(播磨)とは、言葉もびみょーに違うんですよね。なので、ほんま、すいません。細かいこといいまして。
岸和田の荒木町は、実はそうなんです。私も今回村重がらみでいろいろ調べてたら、その事実を知って、びっくりしていたところなんです。荒木町には知り合いは、いたんですが、まさかその町名の由来がそっから来てたとは知らずにびっくりしました。そう、岸和田は「カーネーション」で一躍有名になりました。ちなみに、荒木町と小篠さんのお店のあった五軒家町は、ちょと離れてるんですがね。ええところですよ、岸和田。綾野くんがほんまに弾いたオルガンもありますしね。ええとこやしてよ、岸和田。いっぺんくるけ?あ、すいません、岸和田自慢してる場合ではありませんでした。
小紫さま、そうですね、ひまわり会長さんが嫌われたのは、おっしゃる通り見下した感で嫌われたと思います。久秀のすがすがしいまでの反信長姿勢は、あっぱれと思います。本当に私の表現したように「あんなアホな信長に、この名器をやれるか!」という反骨精神から来たものだと思います。私は、そういうの好きなんですけど。