como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

龍馬伝 感想再録 最終話

2010-12-31 17:19:06 | 過去作倉庫07~10
 11ヶ月の長きにわたりました龍馬伝も、いよいよ今夜が最終回。ってことで、ふつー、それなりの感慨に浸ってそうなモンですが、今年は、今年は…。
 はい、先週の大政奉還があまりにも、どうしようもない出来だったのがわざわいし、萎えたまま最終回を見始め、萎えたまま見終わりました。ま、大政奉還したらあとは龍馬死ぬだけだし、このドラマの龍馬が死ぬっていったら、どんだけシツッコク引っ張るか予想が付くようなもんだし。それを想像しただけで萎えるという、最悪のコンディションでの最終回でしたね。
 なんだかんだいってもこのドラマ……どうだったんだろう? わたしの中では、駄作って捨てるほどでもないんだけど、全体を一言でまとめれば、ただもう「残念」って感じかな。
 なんかこう、ドラマの隅々にいたるまで残念感が満ち満ちてて、痺れるほど良い回もあったし良い役者の快演もあったのに、それが良ければ良いだけことごとく残念だったという……。ほんとに、大河ドラマ史上空前と言っていいんじゃない、この徹底した残念さは
 てなわけで、龍馬伝最終回です。
 最終回なので75分もあります。75分も必要な内容かどうはさておき、なんかこう、ツッコミを許さない感じの75分で、べつにいいけど、こーゆー無駄な「どーだスゲーだろう」感がそもそも残念要因ではあるんだよな…。ま、いいや。なんかこう、あえて突っ込むのがむなしい…。突っ込む甲斐もない…。それでいてすんげえ圧倒的に良かったかっていうとそうでもない…。
 とまあ、どうしていいかわかんないので、思いつくまま、ポツポツと、ひとり酒など飲みながら書いてみようと思います。大河ドラマレビューはじめて4年、こんなテンションの低い最終回初めてだよな…。 

 最終回 龍の魂

みどころその1
「平成22年度文化庁芸術祭参加作品」の件

 こんな看板が仰々しく出る大河最終回って、わたしの知る限り初めてですよ(*)。ビックリしましたよ。
 ゲージツ祭参加作品なので、今日はいつもと違うんだからな!てってー的にゲージツなんだからなっ!!という激しい気合が感じられました。なので、いつものOPがありません。クリント・イーストウッドの映画のように、静かに淡淡とした始まり方です。
…ってこの気合、悪いけど思いっきり無駄なんじゃね??と、最初から頭のなか???マークで一杯でした。大河ドラマというのは、ある種の様式美の世界なんだなあ、ってつくづく思いましたですね。いつものアバンがあり、OPがあり、タイトルのあとに「最終回」と出て盛り上げるという、体に染み付いた様式美を外した違和感に、なかなか付いていけないんです。
 ってことで、せっかくの武市先生やイゾ子再登場の美しいOPも、アバンだかなんだかよくわかんないまま、「はあ?なんじゃこれ??」って感じで流れてしまったのが、もうめちゃくちゃ残念。

(*)あとで考えて、「新選組!」の伝説回「友の死」がそうだった…ようなことを思い出したんですが、それもリアルタイムに芸術祭参加じゃなかったと思います。たしか。

みどころその2
○○○…の件。

 えーっと、この新政府綱領八策、ここで「○○○自ら盟主となり…」とあるのはちゃんとした史実で、そのお手紙も残っているんですが、一般的な幕末もので、この部分がバッチリ取り上げられることは今まであまり無かったんですね。
 手元の本によると、この○○○は「慶喜公」の伏字といわれている由で、まあ当時としては、それが一応穏当な考え方だったんじゃないかな。武力討幕の気運が満ち満ちてくるのはこの直後の話で、この段階では、まだそんな、徳川政権が決定的に崩壊し、世の中がひっくり返ったって感じはなかったんではないか、と思います。だから、薩摩が仕掛けた江戸の藩邸焼き討ちとか、そういうのが寝耳に水の大事件になってくるわけだしね。
 んで、ここで○○○=慶喜公、と引っ掛けた(と思われる)書状に薩摩とかがカチンときた、これはわかるんですが、今回、終始引っかかっていたのは、たかだか龍馬の草案が、そんな、世の中を動かすほどの権威をもったものだったのか、ってことですよね。
 なんか、この○○○が慶喜公だったら、ほんとに大政奉還が無意味になってしまう、それだけは許せん!!ってそれはそうだけど、べつに龍馬が絶対的な決定権を持つわけでもなんでもないじゃないですか。すくなくとも、このドラマの龍馬はそんな要人には見えないよ。だから、薩摩が龍馬を殺す殺さない、ってハナシにそこでなるのが、なんだかよくわかんない。
 まあ、こーゆーのって、主人公を格上げして見せる手なんでしょうが、そこはある程度、冷静に歴史みきわめて考えていただきたいところです。
 新政府綱領八策を、ちゃんととりあげたのが珍しいだけに残念だったな。しかも、あとで出てくるけど○○○にアテるのが「みんな」って、これ思いっきり脱力したわ…。みんなの党か。そーだったのか。んじゃ新政府綱領なんていわないで「アジェンダ」でいーんじゃないの。ははは…(と力なく笑う)。

みどころその3
華麗なるイトコ共演の件

 この最終回まで引っ張って、最後の大物として出てきましたのが、今井信郎。市川亀治郎が演じます。いよっ、亀様っっっ!!
 これがもう、惚れ惚れするよーな怪しさで、この殺気に、なんかエロスさえ感じましたですね。素晴らしいわ亀様。さすがよ。
 そして、お待たせしましたイトコ共演。亀様は、ここで弥太郎(香川照之)と絡みます。龍馬に会いにいって、「おまんにはおまんにしか出来ない仕事があるがじゃき!!」とかなんとか上から目線で言われて重いっきりムカついて、なにかその気持ちを抑えきれずにいる弥太郎は、龍馬を狙う見廻組と遭遇。「坂本龍馬は何処にいる」と聞かれて、なんかヤバイ気配を感じた弥太郎は、「あんなのは大した奴じゃない。殺すことなんてない。頼む頼む、殺さんとってくれ!!」とか言って命乞いをするんですね。
 それを見下す亀様の冷たい目。いやーもう、ほんと、龍馬を殺すためだけに出てきたような人だよね。ってそうだけど(笑)。香川さんと亀様のイトコ共演、べつにシツッコいセリフのやりとりもないんですが、なにかこう、避けられない流れに動かされていく二人…という不気味なものも感じさせ、すごく良かった。
 その前の、弥太郎と龍馬の長々、クドクドしたやり取りと比べると段違いだよな。ああ、大河ドラマの主役級の演技というのは、本来、こーゆーものであってほしかった…という、いまさら考えてもしょうがない、凄みを感じた一幕でした。
 
いまさら突っ込んでもしょうがない三題噺

○慶応3年暮れになってもまだ3トップで浪士狩りやってる新選組。
○松平春嶽様の前で豆を食ってる三岡八郎が、前に出てきた横井小楠と区別が付かなかった件。
○あいらぶゆ~いまだけは悲しいうた聞きたくないよ~~、って見てるこっちが恥ずかしいシーン入れんな!!

みどころその4
軍鶏買うて来い、からの一連

 新政府綱領八策のことが問題になるのも、今回なかなか新鮮でしたが、中岡慎太郎が龍馬への殺意を胸に近江屋を訪れる、というのも珍しい設定で、でもちゃんと裏づけと説得力もあって、そこは今回よかったです。上川さんの演技の力も、当然あるよね。
 っていうか、ここで龍馬が慎太郎に、新政府の夢を語る場面、相方が達者な上川さんじゃなかったら、恥ずかしくって見ていられなかったと思うの。
 で、龍馬暗殺シーンでのお約束。峯吉、軍鶏買うて来い~、これが出たら、あとは血染めの屏風のシーンまでまっしぐらなわけですが、個人的には、この流れは、「新選組!」での佐々木只三郎(伊原剛志)のシーンが鉄板だったんです。だから今回の見て、龍馬のあれこれより、あー伊原さんと亀様のコンビでこのシーン見たかったあ!!とか、時空を越えた共演を妄想して萌えたりしました。
 龍馬の死のシーンは…うん、まあ、また思い切った血みどろだったけど、死ぬまでが長すぎだよな…と思って。また寺田屋遭難の再現じゃないけど、ごめんちゃ~ごめんちゃ~とか言いながら10分くらい引っ張るんじゃないかと寒気がしましたが、あそこまでじゃなかったにしても、やっぱクドく感じましたよね。慎太郎と瀕死の漫才なんかやってないで、あーもう早く死ねよ、スッキリと、とか思っちゃって。失礼ですね。ごめんなさい。

みどころその5
けっきょく最後は万歳三唱なんですね…

 そして、ホントにやめてほしかったのは、この暗殺場面に弥太郎がやってきて、龍馬を返せ~返してくれ~~りょおおおおおーーーーまああああーーーー!!とか絶叫してのたうちまわるの。これはもう、たのむから勘弁してくれや…でした。
 まあ、亀様が「坂本龍馬は徳川に忠誠を捧げた我らを愚弄したっっ!」というとこは、これは良かったけどさ。
 結局、龍馬が殺された理由って、ホントしょーもない理由、深い政治的意図などない、感情的な意趣返しの次元だったんだと思うし。そういうあたりの空しさが、もうちょっと出ればよかったですが…まあ、このドラマは徹底的に(福山)龍馬さん万歳ドラマであることが宿命付けられていますので。結局最後までそうでした。
 なんかもう、暗殺者も、弥太郎も、薩摩の西郷ドン一蔵ドンも、よってたかって、あの手この手で、龍馬さんバンザーイバンザーイって盛大に打ち上げてるようにしか見えなかったよな…このラストの一連。
 まあ、こーゆードラマだったという、その全てを、ラストシーンが物語っていた気もしましたけど、ゲージツ祭参加の凝りに凝った映像で、75分間の福山雅治のPV見せられたようで。最後はやっぱり脱力して終わってしまったです。
 あの、なんか秀吉の死を思い出すようなギンギラな弥太郎の臨終場面もないよな~。結局あれだって、龍馬万歳の変形なんですもんね。弥太郎が泣きながら「あんな龍はどこにもおらんがじゃっっ!!」とかゆって、もうヤケクソとしか思えぬ龍馬万歳の絶叫をぶちあげて、そしてバタンと仰向けに倒れておっ死んで完、って…。まあ、ひどいとかなんとか言う以前に、ある意味これも、なんかこのドラマのラストをしめくくるのに相応しかった気がする。

 というわけで、おつきあいありがとうございました。史上空前の残念大河ドラマ「龍馬伝」、ここにめでたく

この龍馬伝後半感想は、当ブログを閉鎖していた間、某SNS(Mi●iではない)の自分のテリトリーを使って、細々、地下活動的に発表してきたものの再録です。
ここに再現するにあたって、多少のトリミングはしましたが、基本的には、リアルタイムで、みたその日に書いた感想のままです。
限定スペースで書いたものなので、かなり言いたい放題、失礼千万なことも書いておりますけど、これも、前半の苦悩の時期にはかけなかった本音ということで。まあ、基本的には戯言と思って、ご放念いただければ幸いに存じます。