como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

平清盛 第15話「嵐の中の一門」

2012-04-15 23:38:28 | 過去作倉庫11~14
 先週、あまりにもくだらない内容にガックリしたあまり、にわかな怒りが湧いて出て、プッツン切れてレビュウを放棄したことを、じつはちょっと後悔してました。
 後悔…というか、ようは負けた気がしてました。それで一週間をジクジクとすごしまして、今週。はい、今週も先週に引き続き…というか輪をかけてひっでえ内容でした。
 目の前で大河ドラマが、こうもグダグダに崩壊していくのを見るのは、ある意味興味深い見物ともいえます。低レベルの大河ドラマは4年続きだから、それはべつに驚かないけど、それっぽく作ったものがボロだして崩壊していく現象は、ちょっとつきあって見物する価値があるかもしれないですよね。
 というわけで、今週はちょっと頑張ってレビュウしてみたいと思います。今週のキヨモリにすごい感動したとかいう方は、腹がたつと思いますので、このあたりでお引き取りいただいたほうが良いかと。

 いまさら言っても遅いけど、ホント、今回シミジミ思いましたのは、
「朝ドラ作家(女)を大河脚本にスライドさせるのは、当面禁止にせよ」
 ということですね。
 人材払底しててしょうがないなら、とりあえずは「原作あり」とか、最低限の縛りをつけたらどうなんでしょうか。朝ドラで当てた作家が、大河ドラマ1年分の脚本を書けるセンスの持ち主かどうか、NHKの本職のPにはわかんないのかな。わかんないで、いきなり朝ドラ作家に、オリジナル脚本で1年スパンの歴史ドラマを書かすって、とんでもないバクチだし、成功を見込むほうが思うほうがおかしいと思いますが。甲子園の優勝投手だってたいがいプロ1年目は使い物にならないわけですしね。
 まあ大河ドラマとプロ野球は違うかもしんないけど、とにかく、史劇も家庭劇レベルで、父ちゃん母ちゃんに子供たちの内輪で納得して、毎回一話完結するような大河ドラマは、もうホントに見たくないのよ。こーゆーのは朝ドラでやってくれんかな、と思っちゃうの。
 大河ドラマを朝ドラフォーマットにしてどこまで突き進めるか、無茶ぶり企画としては、まあ見物っちゃ見物かもしれませんが、先週もいいましたように、視聴者が大きく感情を揺さぶられる=カタルシス、というのは望めないですよねえ。カタルシスなくてなんの大河ドラマか、と思います。これは真面目に。

 ああ、そのへんグズグズ書いてるとまたやる気なくなるし。頑張っていってみますか、

第15話「嵐の中の一門」

 先週、悪左府・頼長様(山本耕史)に掘られたショックで心身喪失した家盛(大東駿介)は、ショックのあまり意識が飛んで落馬して首の骨を折ったか、あるいはクモ膜下出血か、とにかく前触れもなくふいに突然死します。
 無言の帰宅をした家盛に、とりすがって号泣する家族。お母さんの宗子さん(和久井映美)は取り乱し、キヨモリ(松山ケンイチ)に「家盛にさわるな!!」とかいい、おじさんの忠正さん(豊原功補)はキレて、おまいのせいだ、おまいのせいで家盛は死んだのだ、と無茶な言いがかりをつけたうえ、おまいが代わりに死ねばよかったのだ!!とかいって仏さんの前で殴るけるの狼藉を働き…っと。
 なんでこの家族って毎度こうなんですかね。だんだん豊原功補が小林亜星に見えてくるよ。そのうち、忠正がキレ気味に「お前が!」とか言ってキヨたんを指したら、加藤治子と樹木希林が「それっ!」とちゃぶ台をもって避難したりすんじゃない。いくらなんでもネタ古いけど(笑)。ようはそのくらい昔ながらの、昭和の家庭内暴力の表現なんで、それも1回じゃいいけど毎回こうだと、ほんとに寺内貫太郎一家の朝ごはん風景に見えてくんの。

 と、そんなほのぼの平和な前ふりのあと、落ち込んだキヨたんは、雨の中屋根に上って(!)イジケます。あいもかわらず「オレはいらない子なんだ~」っつって。はいはいはい…。君はもうこういうのいい加減にしようよな…。
 で、時子夫人(深田恭子)と盛国(上川隆也)がいつもの如くオロオロする中、ひとりクールに、弟の…えっと、ナニ盛だったかなキミは。そう、頼盛だ。その末むすこが、「兄上はいちいちやることが大げさ…」とクールに、的を射たことをいいます。「オーバーに泣いて騒いで、あとでクヨクヨ悩んで、そんなんばっか。超うぜえ」と。
 いやー、ひさっしぶりに、このドラマで、ものすごい説得力あるセリフを聞いた気がする。えっと、ナニ盛だったっけキミは。君はこういうキャラとして、うざい主役の言動に、クールにひとこと、視聴者の気持ちを代弁した吹き矢を放つ刺客の役を、今後もやってもらいたいわ。すっごい影薄いし名前もすぐ忘れちゃうのが難だけど…。でも頑張ってね!応援する。たぶん、その場限りになっちゃうと思うけど(爆)。

 で、そんなことで家盛の喪中に、忠盛パパ(中井貴一)は、鳥羽法皇(三上博史)から、高野山の宝塔がこないだの台風で壊れちゃって…修繕しようにも先立つものがね…チラッ(と横目で見る)、みたいな打診を受けて、よろこんで寄進させていただきましょう!一門の財産をなげうってでも寄進させていただきます、ええ!と、子供の死のショックからかヤケクソな大風呂敷を広げます。
 そしてその現場監督には、ぜひともわが子清盛を!と、不肖のバカ息子をプッシュする。するとナリコ様(松雪泰子)から、「それはそれはあっぱれな心がけ。建立なった暁には、わたくしが平氏を貴族に引き上げてあげても良くってよ」と無責任なことを言い出したから、パパンの大風呂敷に火がついてしまうのですね。
 そんなわけで、高野山の宝塔再建という、とりあえずの目標ができたキヨたんは、工事現場で、謎の坊さんに遭遇します。それは、自爆の末に蒸発していたノリキヨ(藤木直人)だったんですね。
 剃髪し、墨染めの衣に身を包んだノリキヨあらため西行は、あいかわらず行くところ行くところにファンの追っかけがついており、差し入れやなんかのおかげで食べるにも不自由していない様子。あんな壮絶な自爆をしてもノホホンと生きていられるノリキヨを見たうえに、「いらない子なんだとか言ってないで、とりあえず頑張って仕事やりとげてみれば?なんか別の展開もあるんじゃない?」とか、常識的なアドバイスをうけ、なんか気楽になったキヨたんは、そうだ、宝塔再建をがんばろう!と、当座の決意を新たにするのでした。

 まあ、別にいいんだけど、「わが一門は嵐の中に…」とか言っても、どうみても寺内貫太郎一家の親子喧嘩のレベルなんだよね。あれで嵐とか言われてもな…って感じなんですが、ことごとくスケールの小さいこの世界の人たちにとっては、これもかなり深刻な問題みたいです。深刻なわりには、外部の人の無責任なアドバイスで、コロッと気分変えてリセットするのも毎度のことだし。
 そんなことばっか無駄に丹念に描いて、肝心の嵐のほうはほんと最小限の一筆書きでスルー、ってのもどうなんですかね。今週は、藤原摂関家の親子の仲が突然険悪になっていて、悪左府様とパパ(國村準)がタッグを組んで、忠通お兄ちゃま(堀部圭亮)をハブッたりしてましたけど、突然すぎないか、これ。先週まで仲良し親子で、三人でトバちゃんにイヤミをかましたりとかしてたじゃない。唐突な骨肉の争い。花田家かよ(笑)。
 で、ナリコ様の子の近衛帝が元服し、女性をそばにおける御歳になったことで、この親子喧嘩はエスカレートします。悪左府様が養女・多子(まさるこ)姫を入内させたのに対抗して、お兄ちゃまは呈子(しめこ)姫という養女を送り込むのですね。
 そのへんのゴチャゴチャから完全に蚊帳の外に放り出された崇徳上皇(井浦新)と雅仁王子(松田翔太)なんですが、上皇が「あのガキさえいなかったらわが世の天下だったとか、思わない?」と目え血走らせて王子に囁くのに対し、王子は急にミュージカルに入ってケムに巻きます。♪思いませんね~~僕は気楽に~うたって暮らせば幸せですし~~♪♪ みたいな。これではまったく両者話になりません。
 この唐突な骨肉の争いとか、話が通じないかげんが、その後の乱につながる伏線……ってことなのかもしれませんが、いくらなんでもこれでは材料少なすぎですぜ、先生。とりあえずこの二人の怪しい雰囲気は、けっこう見ごたえあって良かったけど。
 だから平家一門のご家庭劇場なんか無理に力いれて創作してないで、こういう「嵐の前」的状況の時期こそ、きっちり地道に歴史に材を求めて丹念にドラマに織り込んでおくべきよね。そうしないと、いざ本番の大事件のときに、しょぼくてどうにもならなくなる…というダメパターンを、あー、この3年余りで何度見てしまったことだろーか。そして今年もまた……。

 頼長・忠通兄弟の娘たちの入内合戦は、意外なところに波及します。ここんとこ色々面白くなく、やさぐれ気味のヨシトモ(玉木宏)が、お父ちゃんに「さんざんコケにし倒された摂関家に何ゴマすってんだよオヤジ。ボケたのかあ?!」みたいな暴言を吐いて、クサクサしながら京都の場末を歩いてますと、先週登場した常盤(武井咲)が、売り飛ばされそうなっているところに遭遇します。
 あ、いえ常盤は売り飛ばされそうになってるんではなく、人買いに見えたのも常盤のお父ちゃんだったようです。しかも父ちゃん徳井優だし(この人大好き。チョイ役やらせれば日本一)。
 話を聞きますと、常盤はスカウトの目にとまり、「第一回・全日本国民的美少女コンテスト」に出ないかと口説かれているところだったんですね。国民的美少女にえらばれれば呈子姫のメイドとして、宮中にデビューできるんだよん、と。
 で、話を聞いたヨシトモは、悪い話じゃねえじゃん、とか言って無知な少女をあおります。いい金稼げば失業してる父ちゃんも助かるし、病気の母ちゃんに楽させてやれるじゃん。常盤ちゃん、ここは心配しないで小父さんたちに任せてみたらどう?っと、なんか相手がちゃんとした芸能プロダクションなのか、悪質な人買いなのか、たしかめもしないで無責任なことを言う言う。

 で、常盤はみごと、初代・国民的美少女の座を射止め、呈子姫のメイドとして宮中にあがりますが、これはまた先のお話として。
 夢にまで見た貴族にステップアップする、というエサをちらつかされて、張り切って湯水のごとく金を注ぎ込むパパは、家盛の一周忌のころ、御所で悪左府様に遭遇します。
 最初は尋常に、家盛は残念なことをした、見目良く才気あり、わたしも特に目をかけていた若者だったのに、みたいなお世辞を言っていたのですが、そのうち悪左府様の三白眼の流し目がサディスティックに光りはじめます。
 いえ、これ、もののたとえじゃなくてホントに「三白眼の流し目がサディスティックに光る」んですよ。そんなのをそのまま表現できるって、すごいことじゃないでしょうか。
 今週の内容は、全体的にすっげえしょうもなかったのですが、単品でゾクゾクしたのはこの場面の悪左府様の暗い流し目でした。
 で、悪左府様は続けます。家盛ってワタシの計画にハマッて平家の足並みを乱し、そのうえあとにも引けず、どーにもならなくなって死ぬほど苦しんで、ホントに死んじゃったわけよね。かわいそうなことしたわ。せっかく身も心も強く結ばれた仲になったのに…って、あららナントカ(名前不詳)、いいのよ、もう死んだ人のことだもの。まあ、ようは身の程知らずな望みを抱く者は苦しみぬいて惨めに死ぬって教訓よね。
 っと言いたい放題の悪左府に、事情がわかってフルフル怒りに震えるパパなのでしたが…ここはパパよりも、悪左府の後ろについてあるいてるナントカ、って明らかに愛人風情の家来の表情のほうが見物でしたね。悪左府様の後姿を(彼から見れば耳の後ろのあたり)をホホ染めてうっとり見つめるあたりは、なかなかのもんでしたよ。ほほ。

 とにかく、事情が分かったパパはここでキレて宮中で刃傷沙汰を……ってわけにもいかないので、我慢して、それをご家庭に持ち込みます。
 めずらしく殊勝に仕事に打ち込み、奉納する曼荼羅の仕上げの筆を自ら入れようとしているキヨたんに、「中止だ!んなもんにいくらカネをかけても家盛は浮かばれないっっ!!」っつって。
 で、ここはキヨたんのほうが大人なので、荒れるお父ちゃんに「父ちゃん話それだけ?忙しいんで、悪いけど出てって」と冷たく言い放ちます。そしたらパパったらブチ切れちゃって、またその辺の絵の具やら什器を蹴りとばし、キヨたんの襟首つかかんで殴る蹴る。それっ、早く早く、ちゃぶ台もって避難しなくては!!
…って、なに同じ回の中で2回も同じパターンやってるの。「寺内貫太郎一家」でもやんなかったと思うよね。芸がないにもほどがある。しかも中井貴一になにやらすんだ。父キレる、それはそれでいいけど、毎度おなじみのお茶の間乱闘劇場でお手軽に済ますなっつうの
 んで、パパに投げ飛ばされて頭がキレたキヨたんは、匍匐前進しながら曼荼羅に近づき、自分の頭から出た血で、お釈迦様の唇に最後の紅を入れるのでした。う、うううっ。国宝になにさらすんだ。しかも国宝にべったり血の手形つけてんぞぼたぼた血い垂らしてんぞ
 それ見て感動してる場合かパパ。いや、パパは自分で蒔いた種だけど、そこに、なんと母ちゃんの宗子さんが唐突に湧いて出て、ウルウル泣きながら、「おお、おお……家盛が、家盛が」。家盛がどーしたっつうのかと思ったら、
「兄上に夜露死苦というておる」
…ってなにそれ(爆)
 なんかもう、いろいろどうでもいいや。何が何でも家族内で自己完結して一話完結で話を収めたいなら、好きなようにやってちょーだい、気が済むまで、みたいな。だいぶヤサグレた気持ちになりました、この場面。
 で、これでご家族が仲よく収まった…ならいいけど、これってまた来週にはリセットされて、おまいは要らない子だとかなんとか、おんなじことでギャースカと家庭内暴力がおっぱじまるんでしょうな。

 来週は、為義さんがキレて乱をおこしたり、いろいろあるみたいですが(棒)、まあ、悪左府様が登場する限りと、飽きが来るまでレビュウは続けてみたいと思います。


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