como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

真田丸 第48回

2016-12-08 21:35:34 | 過去作倉庫15~
 ラス3の1です。
 前回がほんとうに、物を投げたくなるくらい腹立たしかったので、今週はもうみるのがいやでしたが、「ノルマ・ノルマ・ノルマ…」と必死に言い聞かせて頑張りました。
 まあ、暗示をかけたせいか、今週は思ったほどつまんなくなかったです。プレ最終回・最終回へのつなぎの回ですが、そこそこまとまっていたし、テンポもわるくなかった。先週の流れで、腹立つところもあるにはあったけど、いまさら腹立ててもね、という程度にとどまっていました。
 っつっても、なんだろうね、ドラマ見終わっても、良くも悪くも「とにかく、語りたい、語り倒したい」という気持ちが全然わいてこない。つまんないわけじゃないんだけど。この低テンションって、近年では、そうね、「篤姫」とか「官兵衛」の終わりのほうがこんな感じだった気がする。「天地人」とか「清盛」あたりは「この圧倒的なひどさを、とにかく語りたい、人に伝えたい!」という熱がムラムラと沸いてきたものですが。いや、あのての駄作のほうがそういう意味では良かったとか、そんなことを言う気はないですよ。駄作は駄作だ。
 ま、あと3回なので、ほんとこれ以上何も期待しないんですけど。そんじゃまいってみましょう、第4回「引鉄」トゥナイトゥナイトゥナイトゥナイ今夜こそおまえを落として見せえるう!!……あれ??(そんな古い歌誰もおぼえとらんわ!!)


今週のざっくりしたあらすじ

 大坂城の堀が埋められたあとも、往生際のわるい浪人たちは、家康本陣への特攻を繰り返します。特攻というより、ほとんどガキのピンポンダッシュみたいなもん。大将クラスがアホみたいにはしゃいで、先頭きって特攻する幼稚さに、イラついた…というかあきれた家康軍は、さっさと陣を畳んで撤収することに。
「わしらが撤収すれば大坂城に浪人がいる理由もなくなり、やつらも出ていかざるを得なくなる。そうして人がいなくなった時が総攻めのチャンス」と、あいかわらずホトトギスを鳴くまで待っている体の家康(内野聖陽)です。
 そんな家康の駿府への帰路をおそう。暗殺者を放って家康の首を取りますと、幸村(堺雅人)はやけに声高らかにアナウンスします。そんな、公の場でいってしまったら暗殺でも何でもないんですが。
 そして、暗殺計画が語られた夜に、織田有楽斎(井上順)は自分の部屋で密書をしたため、障子を叩いてあらわれた密偵に手渡そうとします。…んがしかし、その密偵は幸村本人で、「有楽様が徳川とつるんでいることはとっくにわかっておりました」と。そして短剣を抜く幸村に、びびりながらも有楽斎も「わしを誰だとおもっている。こー見えても信長公の実弟だ」「わしが徳川との懸け橋になって動く、豊臣家の悪いようには決してしない」などと開き直ります。幸村がスチャッと短刀を替えると、「まてまてまてまて、話せばわかる」と。
 この辺、食えないしたたかさと小物感がいい具合にせめぎあってて、味あるんですよね。ヘンに芸人風に突出してないところも上品。有楽斎の一人芸。有楽斎の夜ヒット(違…)。ちょっと「政宗」のイッセー尾形さん思い出します。こーゆー軽い味だけは、ベテランとか演技派でもちょっと出せないよな。
 この圧巻の小物芸をフィナーレに、「いますぐ立ち去れ」と引導を渡された有楽斎は退場。井上順さんお疲れ様。声をどうしたのか、まだ心配ですが、これはこれで役にあっててかっこよかったです。
 そして刺客・佐助(藤井隆)のミッションはそのまま進行し、駿府へ向かう家康を襲撃することに。事前に、きりちゃん(長澤まさみ)に「無事に戻ったら夫婦になってくれ」といいますが、きりちゃん「ごめんなさい」と間髪入れずに突っ込んで、この大河ドラマ安定の死亡フラグを華麗に蹴倒します。
 んで、そのあと佐助に襲われて殺害された家康が影武者だったことがわかって、がっくり…となるのですが、このくだりもやっぱり真田太平記の家康襲撃をバカにしてるだけの無意味な悪ふざけ感が強く、一瞬イライラッとしました。んでも、きりちゃんの鮮やかな「ごめんなさい」が良かったので、まあ、みなかったことにしてあげます。
 家康襲撃に失敗した幸村は、まあダメ元だったしと気を取り直して、あらたな大坂城防衛白書を立ち上げます。うめられた堀のかわりに、家康・秀忠の本陣だった茶臼山と岡山を空堀で結び、エリア一帯を要害化してしまうというもので、秀頼王子も大乗り気。ただ、壮大なプロジェクトだけに準備に時間がかかり、とりあえず、それまで浪人たちを留め置く理由をでっち上げなくてはなりません。
 とりあえず、再就職に手間取っているということにして浪人たちを留め置き、ボーナスも支給。長丁場になるので家族を呼び寄せるのも苦しゅうないという、浪人たちにとってはむしろウハウハの好待遇です。人も増え、浪人たちだけでも雑魚寝状態だったのに、家族とかどうしたんでしょうかね。そのあたりの説明何もなしですが。
…まあ、とにかくだんだん雑然としてきて、秀頼夫人の千姫なんかは露骨に表情を硬くしており、幸村に、「ねえ、また戦になんの?あたし実家に帰っちゃだめ? ってか秀頼さんと別れて江戸にかえりたいんだけど」などと言ったりします。自分の立場をなにもわかってねえな、このムスメ。幸村もせめるわけにはいかないので、「きかなかったことにします」と返すのですが、このバカむすめがラストまでになんか一山当てそうな気がする。
 そんな間に、幸村は休みを取り、陣払いして沼田に帰る前の真田軍を訪問します。久しぶりに会う三十郎とか茂誠と久闊を叙し、ふたりの甥にも会いますが、まえに信尹叔父様が「あれは駄目」といった次男の信政のほうが、やっぱり性悪。幸村の前ではいい子な顔をするくせに蔭へ回って年下の大助をいじめたりする。どーでもいいけどこいつ、ちょっとシャレじゃなく不快なキャラだし、不快なのはいいけど、この甥たちと幸村の出会いの場がやっぱり真田太平記の同場面をバカにしていて、全体的に不愉快でした。
 義兄の信誠に「野戦で大将首を狙うにはどうしたらいいかな?」とか、敵陣の人にそーゆーことまともに聞くかあ?みたいな、返事のしようのない質問を連発する幸村。そして、兄の伊豆守信之(大泉洋)に手紙を書いてたくし、真田家のメンバーとは別れていきます。
 大坂城にもどると、作兵衛(藤本隆宏)が春ちゃん(松岡茉優)をコーチして城の中庭を畑にしております。盛大に鍬を揮うと、ガツッとぶつかるものがあり、なにやら箱が掘り出されました。その箱には、忘れもしない、ジャパネット利休のあのマークが。
 箱の中から出てきたのは使い方のわからない銃のようなもので、ヤミで銃器の密売とかもやっていた利休が裏稼業がばれそうになって始末に困り、大坂城の自分の茶室の縁の下に埋めた…ということらしい。ヤバい銃器にはめっぽう詳しいヤンキーおにいさんの毛利勝永(岡本健一)にきくと、馬上筒っつって、火打石で点火するので火縄がいらず、機動性が高くて馬上からでも操作できるもんだと。
 ふしぎな武器を手にいれて、ひとりでもくもくと「八重の桜」みたいに、改造や手入れや射撃訓練にいそしむ幸村なのでしたが、そんなころ、大坂城では浪人たちがお金の問題がこじれ、不穏な空気になってます。家族を呼んで手当を出してやったりしたので、お金が足りなくなってきたんですね。食べる口も急にふえたし。そんでも、戦に勝って黒字出すまでのがまんだといってみんなで耐えようとしてたところ、大野修理の弟の大野治房が、勝手に御金蔵破りして金銭を持ち出して自分の子分にくばってしまったから大変。兄ちゃんの修理は「このバカ、ボケナス、役立たず、どーしてくれるんだ」とむちゃくちゃ罵倒しまくります。
 そういう治房を、幸村がそっと、「わたしにも優秀な兄がいて…」などと話しかけフォローを試みます。兄は優秀でなんでもよくできて、わたしは兄ちゃんを超えたいと子供のころから思ってました。超えたと思ったこともありました。ま、錯覚でしたけどね。でも兄ちゃんにいわせると、わたしをずっと意識してかなわないと思って悔しい思いをしてたんだそーです。兄弟ってそういうものなんですよね。だから兄ちゃんが優秀だからっつってもあなたはあなた、落ち込んだり、やけになることはないのですよ。
……ってこれ、フォローにもなにもなってない安っぽい自分語りでしかないですが、それより、そうか、このドラマの真田兄弟の物語は、こんだけの要約に尽きるわけかと、なんかものすごくガッカリしました。いやあ、最後近くにすげえ脱力球をなげられてしまったなあ。
 ま、それはとりあえずいいや。幸村の自己陶酔気味の説得も、脳筋バカの大野治房は「堀を掘り返してえ」とか言って、全然話をきいてません。しかも、治房の子分にだけ手当が出たということで場内に不満が爆発し、にらみあいの労使交渉に発展します。
 とりあえずエリア要害化計画が完成するまではと、涙を呑んで組合側に折れ、浪人たちには特別手当が支給されます。ところが、その支給されたボーナスを握って、浪人たちは大阪の街に飛び出して、てんでに刀槍や銃器の類を買いに走ってしまったんですね。
 いや…これがいちばんわからんところなんだけど、なんで? 後藤又兵衛が「みんな戦がしてーんだぉ!」とかいってましたけど、そんなバカみたいな一言で説明されても困るよ。なんで?人が増えたから武器が足りないの? 負けたら一文無しの浪人に逆戻りだって危機感があるの?そもそも、そんなに勝ちにはやってケンカする気満々の闘争集団なの??
 わかんない。ホントわかんない。堀とか真田丸を潰されて心底悔しいって描写もべつになかったじゃないですか。大野治房が子分を連れてどんどん堀をほりだしたのも、単に空気の読めないバカだからとしかみえないですけど。
 そんでまあ、このトートツな臨戦態勢に、怒りに火をつけられた家康が、「戦支度じゃ。浪人度もめ叩き潰してくれる!」みたいなこといって、大坂冬の陣の開戦のラッパが高らかに鳴り響く。そして同じころ幸村の手紙を読んだ信之が、「やばい、弟は死ぬ気だ。止められるのはオレしかいない。大坂いってくる!」と腰を上げたところで、今週はおしまい。

 
今週のざっくりした感想。

 あいかわらず真田太平記に安っぽいケンカを売っている描写が二、三。あと、幸村が大野兄弟の関係について、チープな自分語りを投影して言及した点。そこんとこが心底ガッカリではあったんですけど、冬の陣の前夜の描写としては、わりと盛りだくさんで悪くなかったと思います。
 ラスト近くで「バカが局面を仕切る」という展開の仕方は、洋画のパニック映画なんかではよくみかける手ですね。群像の中でも飛びぬけてバカっぽく何も考えてないような者が、何も考えてない突飛な行動で全員を危機に陥れ、思いもよらぬ展開でクライマックスをけん引するというパターン。
 こーゆーことを今週は大野治房がやったわけで、それは別にいいけど、1年がかりのドラマの最終局面をポッと出のバカみたいなのが回すんじゃなく、ここまで煮詰まってきた主人公クラスの濃い人間関係からカタストロフをおこすことはできなかったんか…と、それを思うとやっぱりガッカリします。
 ま、いまさら文句言ってどうなるものでもないし、この上嫌われるのもいやですから、これ以上いうのは控えます。最低、ここまでの地雷を回収して、それなりに面白くあと2回みられればそれだけで十分だと思ってますよ。なんにせよ、あと2回でおわってくれるのが一番うれしい、みたいな。
 そんじゃまた来週。