障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

高齢化社会での働き方 2

2011-10-12 | 社労士の年金
こんにちは!社労士の吉野千賀です。

今日も秋晴れで、さわやかです。千鳥が淵を少し散歩しました。
もう毛虫の時期も終わり、安心して歩けました。

昨日のニュースステーションで年金のこと、報道されていましたが、見ましたか?
厚生労働省の社会保障審議会で、将来の年金の支給開始年齢の引き上げについての本格的な議論が始まったそうです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001r5uy.html

今後も議論は継続して行われるのでしょう。

いつから?とか、対象者の生年月日は?などの詳細検討はこれからでしょうが、いずれにしても、年金の支給開始年齢が引き上げることは避けられないのでしょうね。

現役世代の私たちとしては、60代の働き方を自分たちの現実的な問題として、考えなければなりませんね。

それにしても、25年くらい前までは、女子の開始年齢55歳だったことを思うと、70歳近くまで働くことは正直きついなぁと思います。

1 60歳代前半の働き方

とりあえず、現行の制度での働き方について、書いてみます。
制度が変更すると言っても、実際は多少の緩衝期間が設けられるので。

まず、58歳の誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」で、まずは自分がもらえる年金額といつからもらえるのかを確認します。
「ねんきん定期便」は毎年、送られてきますので、将来の生活設計のために都度確認しておきましょう。

60歳代の働き方を考えるには、早い時期から始めた方がいいですよね。

会社員なら、会社の定年は何歳か?、継続雇用制度はどのように運営されているか?、などを確認します。

大企業であれば、おそらく定年後は継続雇用制度を採用し、現役時代の給料の6-7割になり、嘱託や契約社員として再雇用される、というシステムを取り入れている企業が多いようです。

ここで、会社を退職すると、現役時代の給料の5割で転職というデータがでています。
現実的には、5割減でも、転職できたらラッキーではないでしょうか。

大企業よりも中小企業で高齢者雇用は活発というデータがあります。(厚生労働省「雇用管理調査」)

中小企業では、元々大企業のような年功賃金ではなく、フラットなカーブだったり、組織が柔軟で、高齢者がいないと回っていかない、という事情もあるようです。

定年後の身の振り方も、早い時期から考えて準備しておいたらいいですね。

現行の制度では、男性で昭和36年4月1日生まれ(女性は昭和41年4月1日)までの厚生年金に加入(会社員)していた人へ
60歳前半から2階部分のみ支給が開始されます。

生年月日により、60歳だったり、61歳、62歳、63歳、64歳と細かく設定されています。

この部分の厚生年金は、働いていようとなんだろうと、絶対に請求します。

なぜなら、この部分の厚生年金は、「請求を遅らせると年金額が増える」部分ではないからです。
多くの方が誤解や勘違いしているようです。

そして、60歳前半に継続雇用で働く場合、この一部もらえる厚生年金とお給料(と賞与)は調整されます。
この仕組みを「在職老齢年金」といいます。

現行の制度では、年金月額 + (お給料とボーナスを足した額の月額)が28万円を超えると、年金が減額されます。

例えば、年金額60万円、年金月額が5万円、お給料が26万の場合

5万円+26万円-28万円=3万円 3万円の半分の1万5000円が減額されるので、

受け取る年金月額は、5万円-1万5000円=3万5000円 となります。

減額されたとしても、受け取れる額はお給料26万+3万5000円ですから、減額されるからといって働かないよりは、減額されても働いた方がいいですよね。

これに、さらに、雇用保険から「高年齢雇用継続給付」の支給もあります。

60歳時点の給料に比べて、75%未満に下がると支給の対象になり、61%以下に下がった場合の15%が支給率の上限で、65歳まで支給されます。

例えば、60歳時点で給料が40万円、再雇用されて24万円(60%)になった場合、

24万x15%=36,000円 が支給されます。 (この場合、前記の在職老齢年金からお給料の6%がカットされます。)

高年齢雇用継続給付の申請は、会社が代行して行うことが多く、そもそも会社が継続雇用制度を採用し、賃金設定をする際に、
これらを詳細に試算して定年後の賃金を提案しています。

計算がややこしくなりますが、あまり気にしなくていいところです。

60歳前半からもらえる厚生年金の請求だけは絶対に行ってくださいね。(しつこい)

仮にお給料が高くて年金が減額されたり、停止されたりしても、
65歳までの間に事情が変われば、再開すればいいだけのことですから。

また、厚生年金の被保険者にならない働き方もあります。
この場合は、在職老齢年金にならず、年金は全額支給されます。

厚生年金の被保険者にならない働き方とは、例えば、自営業になる、会社員で働く時間を短縮する、海外で働く、などです。
働き方を考える上での参考にしてください。


2 65歳以降の働き方

現行の制度ですと、65歳から1階部分もでるし、配偶者の分も加えると、働かなくても暮らせる程度の年金が支給されるかな?と思います。

でも、日本人は働き者ですよね。
日本の高齢者の労働意欲は高いのです。

海外と比較すると、日本は29.7%の男性が65歳以上も働く意志があるそうです。

ドイツ5.7%、フランス2.2%、アメリカは定年がないせいか21.5% です。 (ILOの統計 2008年)

現在、65歳以上の方は経済成長を支えてきた世代で、バリバリ働く体質があるのかもしれませんね。

私の場合は、もし65歳以上も働くのだとすると、やむにやまれず(?)になるのでしょう。
年金を繰り下げして、なんとか年金額を増やすため、です。

さて、65歳以上の在職老齢年金という制度があります。

これは、65歳以上で厚生年金に入っている場合、2階部分のみ調整される制度です。
65歳以上になると、調整金額も28万円から46万円と緩和されます。

例えば、先ほどと同じ例の場合(2階の年金額60万円、2階の年金月額が5万円、お給料が26万)です。

5万円 + 26万円 =31万円 <46万円 となり、年金は全額支給となります。

社会保障審議会で議題になっているのは、年金が減額されると、働く意欲がそがれることもあるので、
60歳前半の調整金額も46万円に引き上げて、減額しないように、長く働いてもらうようにしようというものです。

1階部分の年金をもらいながら、2階部分を繰り下げして、働いてお給料をもらうこともできます。

1階部分を繰り下げして、2階部分をもらいながら、働いてお給料をもらうこともできます。

繰り下げ率は、1階も2階も同じです。1か月あたり0.7%の加算。1年で8.4%の増額です。
金利と比較すると、お得な率で繰り下げできるので、生活設計するときの参考にしてください。

66歳支給 108.4%
67歳支給 116.8%
68歳支給 125.2%
69歳支給 133.6%
70歳支給 142.0%

65歳からもらった場合と、70歳から142%の額をもらった場合、累計額が並ぶのは80歳過ぎです

自分の健康状態や家族環境など、いろいろな状況に応じて、繰り下げを検討されるといいかもしれませんね。


いずれにしても、現役世代の私たちにとって、「60歳代も働く」ことは必須です。

会社でそのまま働き続けるのか、転職するのか、自営業などで独立するのか、田舎暮らしをするのか(←私の希望)、
40代頃から、将来に向けて、考えてまいりましょう。

新しいことに挑戦したり、楽しみながら、50代・60代を過ごしていきたいものですね。



埼玉県の荒川にアザラシ出現のニュースが報道されていますね。
「アラちゃん」と命名されています。

多摩川のたまちゃんを思い出された方も多いと思います。
たまちゃんが現れたのって6年も前だったんだ!とニュースを見て、驚きました。

つい2・3年前の出来事のように思っていました。
こうして、年をとっていくんだなぁと、しみじみしてしまいましたよ。


See you tomorrow!

Chika Yoshino










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