障害年金社労士 吉野千賀 ブログ

障害年金など社労士の仕事を通して感じたこと、知って為になること、面白いことをよしの社労士事務所の代表吉野千賀が綴ります!

起業・創業を予定している方へ 2

2011-10-04 | 社労士の労務管理
こんにちは。社労士の吉野千賀です。

すっかり秋らしく快晴ですね。
昨日は、北海道の中山峠で20cmの積雪だったそうです。今年は雪の出足が早いですね。
空気も乾燥していますから、風邪には気をつけましょう。

昨日に続いて、脱サラして起業する方向けシリーズ2の今日は、「労働保険」です。


労働保険は、1雇用保険と2労災保険に分けられます。

社会保険と大きく違うことは3つ。

1 保険料の納入の仕方 → 会保険は毎月、労働保険は年に一度です。税金に近い支払い方です。
2 社長は入れない→ 労災のみ特別加入あります。
3 強制加入である→ 社会保険は社員数が5人未満の場合の個人事業は任意加入です。

労働保険は、労働者がケガをした時に補償したり、失業した時に最低生活費を給付したり、教育訓練費用を補助したり、
継続雇用をバックアップする保険です。

社会保険は、健康保険と年金。それぞれの制度の目的が大きく違うので、仕組みも違います。


1雇用保険

事業を始めて、誰かを雇うことになりました。

その方の労働時間が週20時間以上で、31日以上続けて働いてもらう時、会社は雇用保険の手続きを行わなければなりません。
週20時間以上には、残業時間は入りません。

余談ですが、誰かを雇うと労働契約関係が成立します。
口約束で働いてもらっていても、実際には契約関係があると判断されるのです。

給料の支払いも発生し、いつ?どのように?いくら?など、後々もめることもあります。
ですから、誰かを雇うことになったら、労働条件通知書は必ず渡して、内容をお互いに確認しておきましょう。


2労災保険

雇用保険との大きな違いは、短時間アルバイトやパートさんでも、労働者であれば補償されることです。

社長は労働者でないので、補償の対象外です。
特別加入制度に加入しておきましょう。

また、労働者ひとりひとりが加入というより、会社が代表して加入しているというイメージです。

労災事故が起きて、問題になるケースは2つ。

1 会社が労災事故を報告しない(労災を使いたがらない)。
2 労働者かどうか。

1は、日本の伝統?として、都合の悪いことは隠して何もなかったことにする、隠ぺい体質が根強いせいと思われます。
裁判例でも非常に多いです。

2は、専門的になりますが、工場の構内で働いている請負労働者はどうか、派遣労働者はどうか、など、
会社が直接給料を支払っていない方への労災は、どの会社の労災から出るのか、問題になることもあります。

労災は、その労働者の雇い主である請負会社や派遣会社が手続きするものです。
でも、その事故が自分の工場や会社で起きた場合、自分も安全管理責任が問われ、損害賠償を請求されることもあります。


3 労働保険加入の手続き

労働保険は、労災→雇用保険の順番で、加入手続きしましょう。

事業を始めたら10日以内に、労働基準監督署へ行き、「保険関係成立届」を提出します。
書類の事業主控に、「労働保険番号」を付けて戻してくれます。

次に、同じく10日以内に、上記の事業主控を持参して、ハローワークへ行き、
「雇用保険適用事業所設置届」と「被保険者資格所得届」を提出しますが、
上記「労働保険番号」を必ず記入します。

うっかり、近くのハローワークへ先に行っても、労働保険番号がない限り、手続きは進みません。
順番に注意しましょう。


4 保険料

労働保険料は、概算額を先に支払わなくてはなりません。
事業を始めたら50日以内に、翌年3月末までの労働保険料をまとめて納入しますので、注意が必要です。

概算額の出し方は、下記の通りです。

雇った人全員の現在~翌年3月末までのお給料(交通費含む)に下記保険料率を掛けた額です。

労災:個人で創業する方の事業は、概ね、3/1000 か、4/1000 です。
雇用:15.5/1000


今年の10月1日に、給料30万円の従業員を2名雇って事業を始める場合、
11月19日まで(50日以内)に支払う概算保険料は、

600,000x6カ月=3,600,000円

労災 3,600,000 x 3/1000 = 10,800円
雇用 3,600,000 x 15.5/1000= 55,800円   合計66,600円です。


ちなみに、この場合の毎月の社会保険料の会社負担額は、

厚生年金 600,000 x 8.029% = 48,174円
健康保険 600,000 x 4.74%(東京都)= 28,440円
介護保険 600,000 x 0.755%(40歳以上)=4,530円  合計81,144円です。毎月であることに注意です。

6か月分だと486,864円で、労働保険と比較すると、いかに社会保険が高いかがわかりますが、
健康保険は家族全員の分ですし、厚生年金は終身の年金なので、やむを得ないことではあります。

よく質問されるのですが、
社会保険料の会社負担率は、合計13.5%(40歳未満は12.7%)です。

事業を始める際の参考にしてください。


See you tomorrow!

chika yoshino
コメント
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