スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

コペンハーゲン会議の次に向けた2段階ロケット案

2009-11-16 15:22:30 | スウェーデン・その他の環境政策
12月のコペンハーゲン会議(COP15)では拘束力を持った数値目標を盛り込んだ国際的な合意に至るのは難しい、と前回書いたが、APECの会議でもそれがさらに決定的になった。アジア・太平洋諸国の首脳は「無理だ」という声明を会議の最後に発表した。

だから、コペンハーゲン会議も当初の期待とは裏腹に、より現実的な路線で行かなければ、何も成果が上がらない大失敗ということになりかねない。

そんな危機感をあらわにしたのはコペンハーゲン会議の開催国であるデンマークのラスムセン首相。彼は何とAPEC会議が開かれていたシンガポールに電撃でサプライズ訪問し、「2段階ロケット」の妥協案を持ちかけた。まず、コペンハーゲン会議では大枠の合意に至ることを目指し、その上で来年に別の国際会議を開催し、削減目標や細かい詳細に関して拘束力を伴う議定書の制定を目指すというものだ。(ただ、電撃訪問は彼自身で決めたものではなく、APEC会議が極秘裏に彼を招待していたようだ。彼はオバマ大統領や中国主席と個別の会談を持っているが、サプライズ訪問でそんなことができるわけではない。)

見方によれば、早急な対策が望まれる問題の先送り、と解釈することもできるが、一方で、当初の会議の目的が達成できない以上、2段階でいくという妥協案は仕方がない。国際的な協議が今後も続けられていく分だけよいと見るしかない。オバマ大統領もデンマーク案を支持し、「完璧を目指すあまり、何も達成できなかったでは元も子もない(Vi får inte låta det perfekta bli det godas fiende)」と発言していたという。


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