スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

スウェーデン人の名前ランキング(女の子新生児 編)

2007-01-17 08:46:09 | スウェーデン・その他の社会
新政権の政策について続けたいところだが、その前にちょっとだけ別の小ネタを。

スウェーデン統計局はありとあらゆる情報にランク付けをしたいのか、果てまたそれほどお暇なのか、スウェーデン国民の名前データベースを持っており、自分と同じ名前の人が何人スウェーデンにいるのかを検索できたり、新生児の名前トップ100のリストを公開したりしている。

今回は女の子の名前
下の表は2005年に登録された新生児の名前のトップ100だ!

す、すごい! 第1位は閻魔、いや失礼、エンマだ。そしてその次に続くのが摩耶、いや、マヤだ。何か、出だしから凄まじい響きだ。エンマ、という人には何人か会ったことがあるが、耳にするたびに未だにドキッとする。これはドイツ語起源のようだ。一方、マヤのほうは、アメリカ原住民族のマヤ文明ではなく、ギリシャ神話が起源らしい。そして、第5位が井田さん、いや、これはイーダと延ばすのだ。

その他、力強い響きといえば、15位アマンダ、16位マティルダといったところか? アマンダと聞くと、いつもアルマダ海戦の無敵艦隊を思い浮かべてしまうのは私だけ? マティルダと同じ起源の名前(たぶん)として、27位ティルダというのがある。この場合、後者は前者の短縮形かと思う。ちなみに、この名前はドイツ起源で「力、戦い」の意らしい。道理で・・・。

同様に、66位アレクサンドラは、ギリシャ起源(男性形:アレクサンデル)ではないかと思うが、その短縮形が78位サンドラだという話をどこかで耳にしたことがある。

その他のコメント(私の独断)としては、6位Linnéaは男性形がLinnéだが、発音に注意!Linnéaは「リネーア」と「ネ」にアクセントが来る上、長母音。同様にLinnéは「リネー」と「ネ」にアクセントで長母音。ウプサラ大学の植物学者として有名な彼の名前は日本語では何故か「リンネ」と言うが、本場スウェーデンでは「リネー」なのだ。ちなみに今年は彼の生誕300年だとか。

12位Wilmaは、私は実際に会ったことはない。もしかしたら、7、8年前にスウェーデンで人気のあった連続ドラマ「Skärgårdsdoktorn(群島のお医者さん)」の主人公の娘がこの名前だったから、その人気のおかげかも? 11位Ebbaは70年代のロック・グループEbba Grönのボーカルだが、現代で言えば、ファッションのカリスマ的存在と巷で言われるEbba von Sydowのおかげかもしれない。(さらにウンチクを語れば、件のドラマのWilma役を演じた女の子の本名がEbba。現在Handels(ストックホルム商科大学)の学生で、かつTV4のLet's Dance(UN芸能人社交ダンス部的番組)に出演)

22位Sagaは、佐賀、いや、サーガと伸ばす。まさしく、物語、もしくは伝承神話という意味。それに関連して82位Frejaは北欧神話に登場する女神(旦那はFrej)。61位Fannyは(ファンニュ)と発音するが、くれぐれもFunnyと綴りを間違えないように!70位Mejaは以前、日本でヒットしたスウェーデン歌手の名前。ちなみに彼女の本国の人気は日本でヒットした後に火が付いたが、そこまで売れなかったようだ。32位Lovisaと74位Louiseは同起源の派生形。

見渡せばすぐ分かるように、aで終わる名前が多い。これは日本の名前の「子」みたいなもので、aで終わる名前はほとんどが女性だ(インド・ヨーロッパ語族に共通した特徴なのか?)。ここに挙げた名前のうち、いくつかは男性名と対になっている。既に上に上げたもののほかに、Emil-Emilia、Hans-Hanna、Filipp-Filippa、Oliver-Olivia、Theo-Thea(多分ギリシャ起源)、Cornelius-Cornelia、Johan-Johanna、Mikael-Mikaelaなどだ。

58位Kajsa(カイサ)や、ここには登場しないがÅsa(オーサ)などは、日本語にもなりそうな気がするが、さて・・・、海佐?大佐?、これじゃまるで自衛隊の階級名か・・・。

2005年のランキングの隣のカッコ内の数字は、2004年の順位。だいたい人気は安定していることが分かる。やはりスウェーデンでも、はやりすたりはあるようだ。ある一時期にいくつかの名前に人気が集中しすぎると、人が付けないような名前を付けたいと願うのはどこでも一緒。その上、複数の世代を経て忘れられかけた名前が、再び巻き返してくることもある。だから、例えば94位Märta、88位Heddaなんかは随分古臭い名前のような気がするが、ランキングに再登場したりしている。

それに関連して言えば、8位Alvaも最近はあまり聞いたことがないが、この名前は経済学者であり社民党議員で大臣も務めたGunnar Myrdal(ノーベル経済学賞を1974年にハイエクと共に受賞)の妻の名前。彼女Alva Myrdalは社民党政治家(大臣職も)であり女性活動家としても知られ、1982年にノーベル平和賞を受賞。

72位Astridは、2001年に亡くなったスウェーデンの童話作家Astrid Lindgrenの名前。その下75位Ronjaは、彼女の代表作の一つである「Ronja Rövardotter」の主人公の名前。

そういえば、たまに出会うAnna-KarinAnn-Sofieといったハイフン繋ぎの長い名前はここでは見当たらないが、もう人気がなくなったのだろうか?

ちなみに、スウェーデン人全体で見た場合に一番多い女性の名前は第1位がMariaで第2位がAnnaだが、これらは未だに手堅く人気があり、46位Anna、82位Mariaと登場している。


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5 コメント

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昨日に続いて登場です!! (kyotonC)
2007-01-17 09:44:37
 とても勉強になります。

 Emma は、2002年から首位、2001、2000年は、Juriaが首位でしたね。

 私もTio-i-toppは面白情報の宝庫なのでいつか取り上げたいと思っているのですが、解説ができないというハンディがあるのであります。
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Unknown (Tomo)
2007-01-19 12:59:35
ごぶさたしてます。久々の書き込みです。

いつ、誰が決めたのかはわかりませんが、1年365日の暦の一日ごとに人の名前がつけられていてました。

例えば×月○日はEmmaの日みたいな感じです。
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Unknown (Yoshi)
2007-01-26 08:23:06
KyotonC先生。
Tio-i-topp、とおっしゃると、どこの統計のことでしょうか?スウェーデン統計局が発行しているものでしょうか?

どれかが分かれば、よくよく取り上げたいと思います。
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Tomoさん (Yoshi)
2007-01-26 08:27:06
そうです!

365日に名前が付いていますね。人によっては、誕生日に加えて、この日も祝うとか。

僕が前使っていた携帯電話のスケジュール機能には、スウェーデンの友人が冗談で(半分、嫌がらせで!)365日の名前を全部、登録してくれたのですが、メモリーを食う上、あまり役に立たなくて、邪魔者扱いにしてしまいました。
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遅くなりました。 (kyotonC)
2007-01-26 19:43:41
はい、Tio-i-toppは、SCB発行のStatistical
Yearbook of SWEDEN に入っています。毎年、後半部分に赤色の部分があるのですが、Tio-i-toppは後半の中の前半にあります。収められている場所が微妙に前にあることにスウェーデンらしさを感じます。

日本なら、絶対に巻末だし、あのようなトピックスをそもそも年鑑に取り上げないですしね。

あの年鑑は、インターネットでダウンロードできると思いますが、小生は毎年、ビールを我慢して1万円出して購入しています。
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