ふぶきの部屋

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韓国史劇風小説「天皇の母」第9回

2011-05-14 13:00:23 | 小説「天皇の母1話ー100話

皇太子がヨーロッパを歴訪?」

新聞でニュースを読んだヒサシは吐き捨てるように言った。

苦労知らずのお坊ちゃまはやる事が壮大だな」

ドルが高い時代、海外旅行など夢のまた夢。

それでもいつかは「ハワイに行きたいね」というのが庶民のささやかな合言葉。

しかし、皇太子はハワイどころかイギリスを始めとするヨーロッパを回るのだ。

「国賓」として。エリザベス女王の戴冠式にまで出席と言う。

ちっ。ただで旅行が出来るんだものなあ」

ヒサシの頭の中には、皇太子が何の為に歴訪するかではなく、国費で行くという事の方が

重要だった。

自分で金を出して外国旅行は出来ない。でも税金を使って堂々といけるんて。

それってなんて特権階級なんだろう。

でも、あんな背が低い日本人が、しかも天皇の息子がヨーロッパの社交界なんかに

行ったらいい物笑いの種だな。なんせ、日本の天皇はドイツのヒトラーと

同等に見られているんだから。僕だったらそんな好奇の目で見られるのは嫌だな」

特に戴冠式・・・・

世界中のハイソサエティ、特権階級が集まるのだ。

ついこの間まで敵国だった日本の皇太子が列席して暖かく迎えられるものか。

冷たい貴族・王族達の態度が目に見えるようだ。

「ああ、怖い怖い」

ヒサシはちょっとぞっとした。

自分も国費で留学できたら」

ちらりとそんな考えが浮かぶ。

一銭も出さずにイギリス辺りへ留学できたら気分がいいだろうなあ。

箔がつくし、回りの見る目も変わってくる。

何よりも旅費や学費が浮いた分、他の事に金を仕える。

それは「リッツホテルかどこかのレストランでフルコースを食べたい」

というものだ。

吊るしじゃなく、英国屋で背広を仕立てて派手なネクタイをして、誰も食べた事の

ないビフテキを食べる。ワインはとにかく上等のを頼もう。

一人でそんな場所でいたら、どんな目で見られるだろう。

女性達が沢山集まってくるんじゃないか? 一流の仲間入りが出来たら

これ以上の幸福はないような気がする。

とはいえ、それは夢だな。それにしても皇太子だからって半年も大学を休んで

留年しないのはおかしいんじゃないか?」

ヒサシの疑問は、左巻きの大学関係者の心の写しだった。

 

宮内庁や天皇ですら、皇太子の復学問題が大きくなるとは思わなかった。

なぜなら皇太子の旅行は私的なものではなく、れっきとした「公務」なのである。

ゆえにその間、大学へ通えないのは本人の責任ではない。

無論、旅行の間も船の上では進講が続けられているし学問に遅れが生じないよう

細心の注意が払われている。

なにより皇太子という立場は一般の学生とは違うのである。

 

しかし、それを「差別」と言い出す輩が多くなったのだ。

なぜ皇太子だからって特別扱いをする?民主主義に反するのでは?」

「天皇はもう現人神じゃない。人間なんだ。人間はみな平等。ゆえに皇太子だって

ハンデを受け入れるべきではないか」

「皇太子の進級に反対する」

こんな意見が学内で大きくなり、学長や宮内庁は頭を抱え込んだ。

皇族や華族の学校であった学習院大学の中でそのような意見が出るとは。

しかし、時代に逆らうわけにはいかなかった。

結果的にアキヒト親王は留年・・・という処置も出来ず退学。この後は聴講生として

大学に通うハメになったのだ。

それは皇太子にとってもかなり屈辱的な出来事だった。

成績が悪くて退学ならまだしも公務の為に学校へ通えなかったから退学なんて。

一体、戦後の天皇家とは何なのだろうか。

ただそこにいるだけで尊敬される立場ではない。

こちらからアクションを起こさないといつか忘れ去られてしまうのではないか。

何の権限も持たず、自由もなく・・・それでいて税金で養われている存在などと

陰口を叩かれてはいけない。

どんな事があっても天皇家の名誉を守り、存在意義を国民に知らせるのだ。

その為には自らが考えるべきことが多かった。

父天皇とは全く違うタイプの悩みだった。

 

そして一方でヒサシは、国費で留学する術を見つけた。

それは外務省に入って国費留学生になる事だ。

「これこそエリートへの道」

そう、エリート中のエリートになってやる。

何が何でも。皇太子のような恵まれたところにいるわけじゃない。

自力でチャンスを掴むのだ。


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2 コメント

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Unknown (のぶちゃま①)
2011-05-15 15:12:07
いやー、いつもいつもワクワクしますな^^

特に今回はアキヒトさんが留年となるとご学友と学年の差ができてしまうというカラクリ、勉強になりました。※中退?

また、腹黒いヒサシ、とうとう外務省狙いですな。

次回も、「フィクション」楽しみにしています。
Unknown (ふぶき)
2011-05-16 07:28:02
>のぶちゃまさま
そうです。中退して聴講生になったんですね。
次回からお妃選びにはいろうかと。

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