それでは「true tears」第10話「全部ちゃんとするから」のあらすじ感想を。
オープニングシーンは、朝、眞一郎が学校へと出かけていくところから。
家を出たところで、坊主の丁稚さんに「おはようございます」と声をかけられますが、彼は比呂美と雪かきをしているところでした。
「雪かきなんて……」と眞一郎は言いますが、比呂美は明るい笑顔で「おはよう!」と眞一郎に呼びかけ、
「学校行かないと、身体なまっちゃうから、部活のかわりってとこ」
と息を切らしながら答えていました。
ようするに眞一郎は、ママンに無理やり頼みごとされてたときのイメージをまだ引きずっていたわけで、そうじゃないことを確認すると、「そっか」と言って安心して出かけていきました。
そして、雪かきを続けた比呂美と、学校に向かった眞一郎が考えていたこと。
『兄妹じゃなかった……』
ここで同じことでほっとしてるあたりで、いまだにこの二人が両思いだということがわかるというもの。
問題は、比呂美と純をくっつけるという理由で、眞一郎が乃絵と付き合っているということ(比呂美から見た場合)。
坊主の人は、眞一郎を見送ったあと、比呂美の手が止まっているのを見て、
「比呂美さん、疲れたんなら……」
と親切そうに言ってくれますが、
「ううん。ちょっと、ぼうっとして」
と言って、比呂美は雪かきを再開します。
このとき、比呂美の顔を画面奥に向きっぱなしにして、表情を映さなかったあたりが意味深。
何か、他の人には見せられないような、恥ずかしい顔してたんじゃないかとか思うじゃないですか。
比呂美って、乃絵とか眞一郎とかが見せたみたいな、顔面真っ赤になる表情って見せてないですし。
雪かきが終わったあとは、比呂美は自室で数学のお勉強。
なかなかきれいな字で、丁寧にまとめられています。
と、そこへ携帯の着信音が鳴ります。
比呂美が携帯を開いた瞬間、柔らかかった比呂美の表情が緊張します。
そして、液晶を映している目は、かつて自分を封印していたころの目と同じ。
比呂美は、携帯を閉じて勉強の続きをはじめます。
まあ、比呂美がそういう反応を示す相手は、今となっては純しかいません。
純はバイク屋でアルバイト中で、その合間に電話をかけていたみたいですが、ため息をついて携帯をポケットにしまっていました。
そこへ、バイク屋のおじさんが缶コーヒーをひょいと。
「彼女に電話か?」と聞いて、「ええ、まあ……」と純が答えても、「お前、もてそうだもんなあ」と流していたところをみると、けっこう気心が知れた関係のようです。
で、おじさんが店に戻ってから「そんなことないですよ」と純はつぶやきます。
ここは、彼女と言われている比呂美から好かれてないことを指していると考えるべきかな。
学校のほうでは、やはり数学の授業が行われていて、先生が「ここ試験に出るからねー」とお約束なことを言ってます。
眞一郎は、教室を見回し、比呂美の不在を再確認しながら、ついでに比呂美の親友である朋与が力いっぱい睡眠しているところを見てしまい、あわてて真剣にノートを取ります。
授業が終わって、みんなが帰って行ったあとも、眞一郎は残って黒板を写しています。
「湯浅比呂美にノートか……」
と眞一郎に言ったのはもちろん三代吉。
眞一郎は少し顔を赤らめながら、「ノートくらい、取ったっていいだろ」とまたノートに向かいます。
「いいよな、お前は」
「いいよなって、何が」
「何でもねえ。さてと、俺もかわいいあいちゃんの顔でも見にいくかな」
「そうしろ、そうしろ」
「んじゃ、またな……」
親友同士ながら、微妙にすれ違っている会話。
眞一郎は、あいちゃんに対してははっきりした態度を取ったから、三代吉とあいちゃんにまた仲良くしてもらいたいのだけど、三代吉のほうはもうあきらめ入ってるんですね。
で、眞一郎の態度を試してみたけど、空振りだったと。
場面はニワトリ小屋のそばにいる乃絵のほうへ移ります。
「どんどん埋もれてく。どんどん、どんどん……。私に捧げてくれた、眞一郎の『すき』が。会いたい。会いたいわ……」
乃絵は、以前眞一郎が書いてくれた「のえがすきだ」の文字が埋まっている雪の前にしゃがみこんで、そのように思っていました。
そのときの表情が、
こんな感じでメランコリック。
だいたい、昔の乃絵なら、自分が会いたいと思ったら迷わず会いに行ってたはずで、これは乃絵が眞一郎に恋心を抱いているのと、事故現場に一緒に行ったときに眞一郎の気持ちが比呂美のほうにあるのに気づいてしまったせいでしょうね。
そこへ、背後から雪を踏みしめる音が聞こえてきます。
乃絵の前に姿を現したのは、なんと三代吉でした。
三代吉を見つめる乃絵は無表情です。
「石動……乃絵」
「なに?」
「俺に呪いかけてくれねえか」
「え?」
「誰も好きにならない呪い」
呪いをかけてくれと言われたとき、乃絵の表情が動きます。
そして、「誰も好きにならない呪い」と言ったときの三代吉の笑顔は自嘲気味でした。
ここで回想シーン。夜、あいちゃんの店内で、あいちゃんと三代吉がふたりで話をしています。
「私、三代吉に酷いことした……。本当に酷いこと……。別れよう……」
あいちゃんの表情は、三代吉に憎まれても仕方ないと覚悟を決めているようでした。
で、三代吉の返事の前に、現在のシーンに戻ります。
「誰にも心を動かされない、クールな男ってかっこよくね? 俺、そんな男になりたくて」
そんなふうに言う三代吉のことを、乃絵はじっと見つめています。三代吉は、この場では精一杯カッコつけてるのですが、
「やだ。絶対やだかんな」
あいちゃんの前では、三代吉は割り切れなかったんですね。
だから、噂に聞いている乃絵の呪いにでも頼ろうと。
すると、乃絵は人を見定めるような目で三代吉を見上げ、それから三代吉に近寄って三代吉の手をとって、目を閉じて何かを真剣に祈ってみせました。
それを見て、三代吉は「これでいいんだ」みたいな笑顔を見せたのでした。
それからしばらくして、眞一郎はニワトリ小屋の前をのぞくのですが、乃絵の姿が見当たりません。
乃絵はというと、帰ろうとしていたところで、前のほうをひとりで歩いている眞一郎を見つけて、嬉しそうに駆け出すのですが、なぜかその足が途中で止まってしまいます。
眞一郎の後ろ姿を見つめている乃絵の表情からは、彼女に何が見えていたのかはちょっとうかがえませんでしたけど。
と、ここでいきなり目の前の雪をスニーカーでこんこんと蹴飛ばす映像が。
いきなりだったので乃絵につながってるのかと思いましたが、乃絵の靴はやたらかわいらしいものだったので、乃絵ではないとわかります。
実際はあいちゃんだったんですね。
あいちゃんは、三代吉にちゃんと話をしようとして、帰り道に待っていたのです。
三代吉も、あいちゃんが何の話をしよとしているかわかっていたので、来るべきときが来たという顔をしています。
ふたりが歩いていった先は、三代吉があいちゃんに告白した神社です。
「もう一度、ちゃんと話さなきゃって思って……」
たぶん、あいちゃんは自分が眞一郎のことが好きだとい伝えようとしたのでしょう。しかし、三代吉はそれを言わせません。
「俺、もう大丈夫だよ。石動乃絵に、誰も好きにならない呪いをかけてもらったんだ。俺、愛子に笑っててもらいたいからさあ」
「愛子は、笑顔が一番だからな。へへっ。じゃあ!」
このとき、三代吉は一生懸命笑ってるんですよ。でも、途中で声が泣いているように聞こえるところがあって、ここは吉野裕行の演技がすごいなと思ったところ。
で、「じゃあ!」と言った瞬間にカメラはあいちゃんの表情をとらえていて、去り際の三代吉のようすはわかりません。
さらに、寒風の吹く神社にひとり残されたあいちゃんの表情も、カメラが一度後ろにまわり、正面に戻ってからも、胸元からあごのあたりまで上がったところでシーンが切れて、視聴者にはわからないようになっていました。
この、一番気になるところをあえて映さないカメラワークが小憎らしいというか。
そして、眞一郎帰宅。
眞一郎が「ただいま」と言うと、パソコンの前にいる比呂美が「おかえり」と明るい声でこたえてくれました。
すると、眞一郎はいきなりカバンから数学のノートを取り出して比呂美に渡します。
比呂美は朋与に頼んでるからと答えますが、
「無理だと思うよ。黒部さん、封印された妖怪みたいに爆睡してたから」
と眞一郎が言うと、比呂美はその姿を想像したのか、思いっきり吹き出します。
4話のラストで、眞一郎が洗顔フォームで歯磨きしたときの笑い方を思い出しますね。
こうして、朋与のことをネタにしながら眞一郎が去っていったあと、比呂美はすぐに眞一郎のノートを開いてひとこと。
「汚い字……」
とかいいつつ、この嬉しそうな顔ったら。ベタな幼なじみが「○○くんったら、しょうがないなあ」と言って困ったような笑いを浮かべて全部許してくれるアレと一緒ですよ(笑)。
いや、ここって比呂美が自分で勉強してたところなんですよ?
それでも、眞一郎がイラスト付きで「ここ注意!」とか書いてる部分に、いとおしそうに触れてみたりとかしてね。
でも、その途中でいきなり我に返って、またパソコンの作業に戻ってしまいました。
このときの比呂美の気持ちは、のちのち比呂美の口から語られるのでここでは述べません。
眞一郎は部屋に戻って、乃絵のための絵本の続きを書こうとします。
が、浮かんできたのは先ほどの比呂美の笑顔と、
「あなたの飛ぶ場所はここじゃない」と言った乃絵の言葉。
眞一郎は、乃絵はなぜあんなことを言ったのかと、ベッドに横たわりながら考えていました。
それから場面は酒蔵へ。
お父さんは今日も遅くまで仕事をしていましたが、そこへ比呂美が「あの、お話が」と姿を現します。
ふたりは、とりあえず階段に腰掛け、これまであったことを回想し、お父さんはママンのことを謝ります。
お父さんいわく、ママンはお父さんが比呂美母のことを好きだと思い込んでたみたいだとのこと。
このとき、比呂美は浮かない顔をしてましたが、これはつまり「自分が、眞一郎が乃絵のことを好きだと思い込んでいる」状況に重ね合わせてたんじゃないかと。
自分が眞一郎の気持ちを信じられなかったから、今のおかしな関係があるんだろうということですね。
「いや、話はわかった。すぐに手配する」
とここで話が飛びます。
というか、比呂美が話したかったの件でしょう。
「だが、忘れないでほしい。比呂美はうちの子だってな」
お父さんがこのように続けたので、視聴者にも「ああ、比呂美はうちを出て行くつもりなんだな」とわかりますし、実際その通りでした。
比呂美は「あの、本当に……」とたずねますが、これは「私と眞一郎くんは兄妹じゃないんですか」と聞きたかったんだと思います。
今さら聞きなおすのも失礼なので、最後まで言えなかったんでしょう。
お父さんはそれを察して「うん」と答えます。
つーか、比呂美が眞一郎のことを好きなのもわかっちゃってるんだろうなあ。
そして、比呂美が「よろしくお願いします」と頭を下げたところでBパートへ。