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映画 天のしずく 辰巳芳子 いのちのスープ

2012年09月26日 07時35分01秒 | FB(フェイスブック)から
 

【 映画 天のしずく 辰巳芳子 いのちのスープ 】

料理研究家の辰巳芳子氏の初のドキュメンタリー映画のご紹介です。関係者さまのご厚意で事前に拝見させて頂き、「命を繋ぐこと」の意味を噛みしめました。

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一人でも多くの方に見て頂ければと切に願います。

      公開は11月3日です。

関係者さまの寄稿とお写真とを頂きましたので、掲載いたします。

引用開始

この作品は料理家で作家の・辰巳芳子(87歳)の世界を描く初映画ドキュメンタリー作品である。辰巳芳子さんは40冊以上の本を執筆する料理界のカリスマ。

そんな彼女を象徴するのが”いのちのスープ”。老若男女、赤ちゃんから命を終えようとする人までこぞって口にするスープに込められたもの。何故、辰巳芳子は人生をかけて“いのちのスープ”を作り続けるのか?何故、人々は辰巳芳子の作るスープを“いのちのスープ”と呼ぶようになったのか?これまで語られる事の無かった辰巳芳子の波乱万丈の半生と、愛する人々と共に向き合った生と死の物語が語られている作品です。


作品は、辰巳芳子のスープを生み出す、高い志を持つ全国の生産者と日本の四季折々の美しき風景、そして、台本には書かれていなかった、遠く離れた瀬戸内海の島から届いた一通の手紙から始まる感動のドラマで構成されています。構想4年、制作2年の歳月で作られたこの作品は、日本人が失ってしまった「大切なモノ」を取り戻すための一つの道しるべとなりました。

「大切なモノ」とは何か?映画に深く感動をしてくださったジャパンローカルフード協会・代表の松田正明様のご好意で、公式Facebookに文章を幾度かに分けて寄稿をさせていただくことになりました。松田正明様へは心から感謝しております。

映画『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』
            宣伝担当:有田浩介


【第1話】

【時間の感覚】

文章:有田浩介<作品宣伝担当>

 あえて、辰巳芳子を“芸術家”と言おう。辰巳芳子が発する端的な言葉には宇宙とも言える壮大で奥深い意味合いが込められている。とある雑誌インタビューで、辰巳芳子は女性編集者に「丁寧に生きるとはどういうことか?」と質問を投げかけた。

 作中でも、料理教室で生徒に突然質問を投げかける場面が幾度かある。「愛情を持つこと」、「相手を想いやること」と答えた編集者に対して、辰巳は「自分の良心に手を当てて問いただすことよ」と優しく答えた。とても短い言葉だった。

 取材部屋には沈黙が訪れた。各々が「良心に問いただす」という言葉の深意を探求した時間だった。その沈黙は分数にすると恐らく1分も無かったと思う。鎌倉の緑豊かな山に囲まれた辰巳邸のリビングルームに差し込む木漏れ日がこの1分弱を悠久の時間へと変えた。辰巳芳子の言葉には時間を止める力がある。


「時間の感覚」。これは現代人が失った「大切なモノ」の一つかもしれない。私たちは今、多様化した価値観とあふれ出てくる情報の収集で日々気付かないうちに時間を“処理”するのに思考を費やしている。ネットサービスの向上でその“処理”速度は日々早まる一方。それと同時に、収集する情報も日々増えている。ウィキリークスのように、国家機密でさえディスクローズするウェブメディアがある今、私たちが入手できない情報はほとんど無くなった。とても便利な社会だと思う。

 しかし、この膨大な情報を流れ作業のように“処理”をする事で私たちは“思考をめぐらせる”という大切な時間を失ってしまっています。“思考をめぐらせない”情報に本当の意味はあるのでしょうか?私たちはいつしか「時間の感覚」が狂ってしまっているのです。

 作中には、「時間の感覚」を象徴する場面がある。それは、辰巳芳子がスープに使う椎茸を「つくりこ」という独自の栽培方法で生産する大分県・竹田市の加藤至誠さんのインタビューにあった。

 「つくりこ」とは、原木栽培という栽培手法で、伐採した森の木に茸類の細菌を施し、山の中という最も自然に近い環境で茸を栽培する手法だ。この栽培方法では天候次第で収穫量は安定しないが、天然条件と変わらない方法で栽培されるため、その食味は天然のものと同じといえる。そんな山の幸を作り出している森は15周年周期で伐採しているという。その1本、1本のほだ木にはまた森の恵みが宿される。役目を終えたほだ木は15年かけて土に返り、新たなくぬぎ林を作るというエピソードがある。

 効率化ばかりが優先されている現代社会では考えられない「時間の感覚」で自然の恵みは生み出されていると作品を通じて知った。

 NHKドキュメンタリーディレクターとして在局40年間で「シルクロード」「エンデの遺言」「チベット死者の書」「アインシュタインロマン」「インターネットドキュメンタリー・地球法廷」「ユネスコ世界遺産プロジェクト」などの知的ドキュメンタリーシリーズを手がけ、国内外のドキュメンタリー賞を多く受賞した知の冒険者こそ、本作の監督の河邑厚徳だ。

 河邑監督は、混沌とした現代社会を生きるためのヒント、もしくはティップを辰巳芳子という料理家に見出し、社会への一つの提案としてドキュメンタリーを完成させた。

 3.11以来、日本人は地に足を付け、実態のあるライフスタイルを求めていくのではと語っている。手や体を動かしながら普通に暮らすことで得られる実態感と幸福感。辰巳芳子は、作中で、「丁寧にものをつくることは、丁寧に生きることと同じ」と説く。

 ごく当たり前の日常をきちんと行うことに理屈ではない心の豊かさが生まれるという。もしかすると、日本は今、忘れていた当たり前の幸せを取り戻せるチャンスなのかもしれない。そのためには、思考をめぐらせる「時間の感覚」が必要なのかも知れない。


映画『天のしずく 辰巳芳子“いのちのスープ”』は11月3日(祝・土)全国劇場公開 http://tennoshizuku.com/

次回は、渡辺然<作品宣伝担当>が食を中心とした愛のサイクルについて寄稿させていただきます。

引用終了
 
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