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後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

平和な日本を守るために外国理解を深める(1)都市国家意識や地域主義の強いヨーロッパ

2013年10月09日 | 日記・エッセイ・コラム

戦後68年、日本は豊かで平和な素晴らしい国になりました。この平和を維持するために一番重要なのは国際外交です。武力ではありません。

国際外交を賢く進めるために常日頃から外国の人々の思考パターンや行動様式を深く理解しておく必要があります。

そこで今回から数回にわたって、「平和な日本を守るために外国理解を深める」という連載記事を書き始めたいと思います。

まず第一回はヨーロッパ人の考え方と行動様式です。

日本人は明治維新以来、ヨーロッパのことは随分と学んで来ました。ですから充分深く判っていると言う人が多いと思います。

しかしこの理解の仕方は富国強兵に役に立つ部分のみ理解している傾向があります。

将来の日本の平和のために虚心坦懐、客観的に彼らの実像を理解すべきと信じています。そうすれば彼等との外交交渉で間違い犯さなようになります。日本がより安全になります。

まず以下の竹内義信さんの文章をお読みください。

・・・・イタリアは都市国家の寄せ集めなのですから、どうしても地域主義になります。イタリア人は自分の出身地を誇りに思い大切にしています。イタリア人である前に、シチリア人であり、ヴェネチア人であり、またボロ-ニア人なのです。北部同盟は大きな政党が堂々と行った独立運動ですが、他にもシチリアの独立運動やヴエネチアの北のFriuliの独立運動などがあります。・・・・竹内義信著、「イタリアの魅力とその混沌」(3)イタリアの地域主義 からの抜粋)

この文章を読んでイタリア国内にある小さな独立国家のサンマリノ共和国を思い出しました。下にその写真を示します。

Monte_titano1_2

岩山の上に堅固な城塞がありAD301年の建国以来、数多くの敵襲を撃退し、独立を守ってきたのです。(詳しくは、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%8Eをご覧ください)

イタリアの事情は塩野七生さんが膨大な本を出していますが、才媛過ぎて理解しにくいきらいがあります。それに比較してイタリアに4年間住んでいた竹内義信さんの記録は明快で、イタリアの実情を活写しています。

彼の5回にわたる連載記事で、都市国家意識や地域主義の強いイタリア人の思考パターンがよく理解出来ました。

ひるがえって私はドイツ南西部のシュバーベン地方の首都、シュツットガルト市に住んでいたことがありました。ああ、ドイツもイタリアと同じだなあ、と感慨を深くしたのです。

シュツットガルト市に住むとき、まず新聞の広告欄でアパート探しをしたのです。するとシュバーベン人にだけに貸すという広告が幾つもあるのです。

シュバーベン人は掃除好きでアパートを大切にするからシュバーベン人に限って貸すというのが建て前の理由です。しかし本音はバイエルンだのモーゼルだの訳の分からない「外国人」が流入するのを少しでも防ぎたいというものです。

これには度肝を抜かれました。幸い研究所のシュバーベン人に保証人になってアパートを借りましたが、私のドイツ理解の浅さを思い知りました。大体、日常の挨拶言葉が北ドイツと違うのです。

ドイツは都市国家と農業中心の領主国家の集合だったのです。都市国家で有名なのは北海に面したハンザ同盟の幾つもの港湾都市です。

そして内陸部は城壁を巡らせた領主国家で、農民は朝に城門が開くと周囲の農地に出て行くのです。日暮れに城門が閉まる前に帰らねばなりません。その例はローテンブルグなどのローマ街道沿いの幾つかの城塞都市国家です。

さて、都市国家意識や地域主義の強いヨーロッパの一面を明治政府は意識的に無視しました。明治維新を成功させ中央集権国家をつくろうとしている明治政府にとっては都市国家意識や地域主義は有害だったのです。

その後の大正、昭和でも富国強兵を成功させるためには国民が一致団結して政府の方針や政策を支持しなければならなかったのです。

このような社会意識は戦後の復興期にも大変役に立ったのです。

それに異を唱え、地域主義を強めようとしたのが大阪維新の会なのです。

私は明治政府の方針が間違っていたなどと非難できません。是認します。

しかしそろそろ日本はヨーロッパ諸国の強さの一端はこの都市国家意識や地域主義にあるのではないかと考えてみる必要があるのではないでしょうか?

ヨーロッパは日本と全然違うのです。深く理解すれば日本の将来の平和のために何か役に立ちそうだと私は考えています。

それはそれとして、

今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)