アルジェリア人質事件で日本人10人が犠牲になり、遺体が日本に帰ってきました。悲しい事件です。深く哀悼の意を表し、ご冥福をお祈り申し上げます。
さてここで今回の事件を冷静に考えて見たいと思います。
そして、アルジェリア人質事件の日本と各国の対応ぶりを比較して日本の特異さを3つほどを以下に指摘しておきたいと思います。
(1)冷静に対処すべき安倍総理が必要以上に感情的な反応を見せたことが他の国々と違っていました。
外国で献身的に働いている日本人が多数人質になったのですから総理大臣としてその救出に全力を上げるのは当然です。しかしベトナム・インドネシア・タイ の公式訪問の日程を中断して帰国するのは国民の感情をあまりにも意識し過ぎた行動です。
麻生副総理に対策本部を任せてあとは電話やメールで連絡を密にするば良いのです。
第一、安倍総理が帰国しても手も足も出せない「地のはてアルジェリア」で起きた事件なのです。
どうも夏に行われる参議院選挙で自民党が一票でも多く取ろうとしているようで、あまり尊敬出来ません。
欧米の各国の首脳だったら公式な外交日程をキャンセルして帰国しないと思います。
(2)何が何でも人質の人命の安全確保に執着するのは日本の特異性です。
今回の事件はイスラム武装勢力の人数とその重装備からみて戦場における作戦行動と同じ襲撃ぶりだったのです。日本国内における一人の犯人による人質事件とは全く性質が違うのです。
アルジェリア軍が早期に武力鎮圧しなければ、襲撃した武装勢力はもっと多数の人質を戦争状態の隣国のマリへ連れ去っていたのです。その上で天然ガス精製工場を爆破したことでしょう。
日本人が10人も犠牲になったのは非常に残念です。痛恨の極みです。しかし犠牲者は多くの国々にわたっています。アメリカ、イギリス、フランス、コロンビア、ルーマニア、ノルウエー、マレーシア、フィリッピン、韓国、日本などなどです。
今回のアルジェリア政府の武力による鎮圧をアメリカやイギリスやフランスは適切な処置だったと評価しているのです。
安倍総理だけがアルジェリアの首相と電話で話し合ったとき人質の救助だけを強調し過ぎ、アルジェリア政府の武力行使に対して批判的な言い方をしたようです。
その後安倍総理がイギリスのキャメロン首相と電話会談したときキャメロン首相が安倍総理にあんまりアルジェリア政府を非難しないようにと言ったそうです。
今回起きた悲劇では人質の命を助けたいのは各国共通の祈りです。しかし日本以外の国々は事件の全体像を客観的に分析し、アルジェリア政府を強く非難することをしなかったのです。日本だけが違っていました。
(3)日本人だけがイスラム武装勢力の力を過小評価していた。
2001年9月11日の貿易センタービルやアメリカ軍本部のペンタゴンへの大型航空機の突入事件以来、世界中でイスラム武装勢力の軍事的な襲撃事件が多発しています。
幸い日本ではそれが皆無でした。ですから日本人はイスラム武装勢力の怖さを知りません。しかし日本人が外国で起きているイスラム勢力の襲撃についてもっともっと強い関心を持つべきでした。正しくその攻撃力を分析、評価しておくべきだったのです。
現在、日本の多数の企業は世界各国に工場を持っています。当然イスラム武装勢力が浸透している地域にも存在しています。
日本人は何故かイスラム武装勢力へ対して好意的です。欧米強国へ反発しているから小気味良いのかも知れません。しかしその刃(やいば)は今や日本人へも向けられているのです。今回の事件では日本人が襲撃の主目標になっていたようです。
人質の救出にこだわるので、交渉しやすいのもその原因と言われています。
日本は外国と違った、特異な国でも良いのです。それが日本民族の文化なのですから無理に変える必要はありません。
しかし日本文化の何処がどのように外国と違うか明確に知っておくことが重要なのです。賢い国際関係を築くためにそれは必要不可欠な事なのです。
下に襲撃後の貿易センタービルとアメリカ軍本部の写真を示します。
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