ここ数日マスコミはボーイング787事故とアルジェリア人質事件についてさかんに報道をしています。
当然何故この様な事故や事件が起きたか、その原因についても解説がなされています。しかしその解説は直接的原因に終始し、もっと深い底に流れている大きな原因へ言及していません。浅い表面的な因果論なのです。
そこで以下に少し深く考えるヒントになるような個人的な感想を書いてみたいと思います。
まず判りやすいボーイング787の事故について書きます。結論を先に書いてしまえば、その原因は日本人技術者の経験軽視や感性の欠如が背景にあると思われるのです。写真を見ながら考えて見ましょう。
(写真の出典:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%B0787 )
美しい航空機です。ところがこの飛行機はエンジンはアメリカ製で機体や部分品は日本を主にして、外国製の寄せ集めで組み上げた新製品なのです。
日本の会社が機体や部分品の35%を作っているのです。特に火を吹いたバッテーリ(リチューム電池)はGSユアサ(昔の湯浅電池株式会社)が作っているのです。
日本の技術陣は基礎科学と数学だけを重要視する風土があるのです。経験や素人の感性を無視する風土があるのです。
ところが工業製品は長年の使用の経験の積み重ねで完成するものなのです。
とくに日本の航空機製造技術は決定的に経験の蓄積が欠如しているのです。
航空機に搭載されたリチューム電池が離着陸の時受ける衝撃でどのような損傷を受けるかという経験的な知見が無いのです。
ジェットエンジンでどの位急速に過充電がなされるかという経験的な知識がないのです。
勿論、過充電が起きれば回路を自動的に切断する安全装置はついていた筈です。ところが離着陸の衝撃でその安全装置が壊れてしまっていれば火を噴くのは当たり前です。
机上の計算では安全装置は完璧だったのです。しかし実際に使用される条件の経験的知識が無かったのでしょう。
その他の事故のフロントガラスのひび割れや燃料系統からの燃料油の漏れは明らかに航空機製造の歴史の浅さによるものです。
近代工業製品は科学と経験が合体してようやく信頼できるように完成して行くのです。今回のボーイング787の一連の事故はその事実を教えているのです。
さて次にアルジェリア人質事件の底に流れれている真の原因です。
結論を先に書けばそれはフランスがアルジェリアや隣国のマリを長い間植民地にしていたからです。その歴史の上で最近フランス軍がマリの武装イスラム勢力を大々的に攻撃したのです。それに対抗して、武装イスラム勢力が報復したのがアルジェリア人質事件なのです。
(写真の出典:http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323284004578246601320559198.html )
上が事件の舞台になった石油精製工場です。GSニッキという会社は昔、「日本揮発油製造株式会社」と言って、ベンジンや航空機燃料を作っていた会社で、現在は世界中に工場を展開している大会社です。
この事件の底流にはアフリカや中東を欧米が植民地として搾取したことに対する憎しみがあるのです。怨念があるのです。
生活が良ければそんな低次元の感情は理性で抑えられます。忘れることも出来ます。
しかし貧富の差が大きく、そしてそれをキリスト教国である欧米が増長していれば、当然イスラム武装勢力が実力行使をします。
この様に危険な国はイラク、レバノン、カメルーン、エジプト、アンゴラ、アルジェリア、モロッコなどと今日の読売新聞(9面)が報じています。
日本人は中国や朝鮮しか植民地にしなかったので、アフリカや中近東の人々の欧米人へ対する怨念を重要視しない傾向があります。今度の事件はその根の深さを示したのだと思います。
それにしても、
今日は人質になった全ての人々、特に日本人が安全でありますようにお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)