私は原発を次第に止め2030年にはゼロにするのが良いと信じています。しかし先の衆議院選挙では国民の過半数以上が原発維持の自民党へ投票をしたのです。
民主主義の原理に従うべきと思いますので、原発再稼働を受け入れざるを得ません。
しかし再稼働にあたっては原発が安全度の高い所から順次再稼働されるようにと祈っています。
ところがマスコミは原発の構造とその脆弱な部分を忘れたように一切報道しなくなりました。
原発のある地元の賛成さえ得られれば順次再稼働する政治的な傾向が強いのです。
安全な原子力発電装置へと改良工事をしたか否かは誰も問題にしません。
そこで原発の仕組みとその脆弱部分をもう一度考えてみましょう。
上の図の左部分には原子炉と格納容器が描いてあります。そこで発生した高温高圧の水蒸気が右側の発電棟へ送られてタービンを回し、発電をします。
タービンを回した高温高圧の水蒸気は右下に描いてある復水器(Condenser)で大量の海水で冷却されてまたもとの真水になります。その真水をもう一度炉心へ送り、高温高圧の水蒸気にして発電棟へ送るのです。
この構造の原発の脆弱な部分は原子炉と発電棟をつなぐ配管部分です。そして多量の海水を環流する復水器の配管部分です。
福島原発では大津波で停電し、炉心と発電棟を循環していた真水が止まり、炉心が高温になり、水素を多量に発生し、水素爆発をしたのです。そして多くの配管の継ぎ目が損傷してしまったのです。
水素爆発で危険な放射性粉末が福島県に降り注いだのです。
その後、緊急に冷却水を送ろうとしても配管が壊れているので炉心まで届きません。
そのせいで炉心はメルトダウンして高放射性の汚染水が発電棟や海中へ流れ出たのです。
現在、定期点検で止まっている48基の原発は上に書いた脆弱部の改良工事をしているのでしょうか?
そして津波対策の防潮堤は建設しているのでしょうか?
いろいろな理由で起きる停電へ対する緊急予備電源工事は完了したのでしょうか?
マスコミは原発の安全度を高める上記の諸改良工事のついて報道すべきです。
その上で新聞社は原発現場の調査をして「原発の安全度ランキング」を発表すべきではないでしょうか?
いたずらに「活断層」のことばかり大騒ぎをしないで、停止中の全ての原発の安全化のための改良工事についてもっと、もっと明快な報道をすべきと思います。
下に2011年5月17日に掲載した記事をもう一度お送りいたします。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
=====2011年5月17日掲載記事==================
水素爆発でこんな状況になったら脆弱な配管類が壊れたと考えるのが技術者の良識
下の写真の出典は、http://www.asyura2.com/11/genpatu8/msg/430.html です。
今日の新聞で、1号炉から3号炉の燃料棒がメルトダウンして、炉心圧力容器の底が損傷して核燃料の一部が格納容器へ漏れ出しているという記事が出ていました。
しかしこのブログで何度も書きましたが、これだけ酷い水素爆発をしたら冷却系統の配管がほとんど全て壊れると私は推定していました。ですから炉心へ水が満足に送られていなかったのです。それを今頃、東電が発表しているのです。
貴方は、東電の情報公開が遅すぎるとお思いになりませんか?確証が無ければ不利な考え方は一切発表しない。その東電の態度が不信感を一層掻き立てていると思います。困った会社ですね。
・
・