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後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

芥川賞受賞小説、楊逸さんの「時が滲む朝」をお勧めする

2008年08月27日 | 本と雑誌

兎に角、読みやすく明解な文章。ストーリーがダイナミックに展開し、読み出したら本を置いて一休みも出来ないくらい面白い。小説を一気に読むなどということは絶えて久しかった。今月号の文藝春秋に掲載しているので、是非ご一読をお勧めしたい。

1981年、鄧小平が政権を取り、改革開放のうねりの中で自由と民主化運動に身を投じた大学生、梁浩遠の孤独と挫折の物語である。1989年の天安門広場へ装甲車を送り込んだ鄧小平の「弾圧政策」で大学を追われる。中国から日本へ逃げ、そこで幸せそうな家庭を持つ。でも、心は学生地代の民主化運動から離れない。仲間達は器用に変身しながら上手に人生を渡って行く。しかし梁浩遠にはそんな賢さは持っていない。一見幸福そうな日本での生活のなかでの挫折感が読者の心へ切々と伝わる。

その間に中国の政治も社会もどんどん変わって行く。独り梁浩遠の気持ちだけを置き去りにして。

これは紛れもない本格的な小説だ。人間や人生が描かれている。社会の変化と、不器用な個人の関係を悲劇的に描いている。政治というものを考えさせる。中国と日本の社会の明暗をさらりと間接的に描いている。思わず目頭が熱くなる山場をあちらこちらに配している構成の絶妙さに感心する。最後は一応明るい結末にはなっているが「一体、梁浩遠は幸多い人生をおくれるのか?」。余韻豊かな小説である。

中国文がそこここに翻訳無しで散在して読み難いが、気にしないで飛ばし読みするのが良い。ご一読の価値があると信じてここに心からお勧めいたします。(終わり)


素晴らしい人々を見つけました

2008年08月27日 | 日記・エッセイ・コラム

毎度つまらない話ですが。年のせいか善い人に会うとひどく嬉しくなります。ブログを書いている若者にも感動することが多いです。

2、3日前に飯田市の奥の阿智村の山林の中で、子供のためのキャンプ生活体験を企画・運営している人と、数人の現場のリーダーに会いました。参加する孫を送って行ったときに。

親から別れて山のなかで数日暮らしている数十人の子供たちの笑い声のなかで少し言葉を交わしただけです。羽場睦美氏という運営責任者から、そして現場のリーダー達からも、子供たちを大切にし、誇りに思う気持ちが響くように伝わってきます。

いろいろな団体が同じような事業をしていますが、これは最も質の良い事業のように思いました。

28年間も続いているそうです。孫も小学4年から今年、6年まで毎年参加しています。7泊8日、親、家族とは電話禁止でテントに寝て自然の生活の楽しさを体験するそうです。帰ってきて一回りたくましく成長した様子が伺えます。

小学生をお子さんにお持ちの親の為に、この情報をおくります。今年のサマーキャンプは終わりましたが、ホームページや電話でお調べになさって下さい。夏以外の季節にもいろいろな体験事業を実行しています。

URLは;http://www.oerf.org/ で、電話は0265-25-8535です。

それと羽場睦美さんのことはインターネットで検索すると紹介記事があります。是非ご覧下さい。やっぱりそうだったのか。羽場さんの命がけの事業なのだ!、と納得します。最後に現場の風景写真を2枚添えておきます。(終わり)

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