山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

保護ネット修復に行く  令和2年4月8日

2020年04月09日 | 番外編
 そろそろ甲府市近傍の山でキンランが咲き出す頃である。鹿の食害だけでなく盗掘もあって近年激減しているキンランとギンランはいつ無くなってもおかしくない状況にある。同様にエビネも登山道沿いからは姿を消してしまった。数年前から保護ネットを設置して自主的に保護に乗り出したキンランであるが決してうまく行っているとは言えない。柵で囲ったが出て来ない株があり、また個体数が全く増えてくる気配が無い。かと思えば、囲っていない場所に突然姿を現して花を咲かせたりする。何をどうすればうまく保護して数を増やせるのか、全く分からず手探りの状態である。ひとつだけ分かっていることは、何もしなければ数年後には消滅する運命にあるということだろう。今やれることは、保護ネットで囲うこと、それくらいしか思いつかない。


    部分的にポールが破損して倒れてしまい、これ以上倒れるのを防ぐため一部解除してあった保護柵。


    まだ葉も何も出ていない。笹を刈りたかったが鎌を忘れてきたため、ラジオペンチで大きな笹だけ切除する。


    シュンランは葉を出したが花芽無し。


    完成した保護ネット。花が咲く頃に再訪して笹を刈り取ってやろう。


    もう1ヶ所は倒木と風で壊滅的な打撃である。大部分のポールを入れ替える。


    2時間近くかかって修復完了した保護ネット。倒木の原因となった後ろ側の木はほぼ倒れ尽くした感がある。

 何人かそろそろ咲いているのではないかと訪問者がやって来た。毎年この場所のキンランが咲くのを楽しみにしているという訪問者も居り、励ましの言葉をいただいた。この山の変貌を心配している人たちがたくさん居るのである。


    保護柵の外で足元に咲いていたシュンラン。


    シュンランの大株だが葉が皆千切れている。おそらく食害だろう。昨年も同じように千切れていた。


    山頂の東屋。訪問者がちらほらとやって来る。


    イカリソウ。だいぶ減ってしまっている。


    ガマズミ


    アオダモ


    ヤマツツジ

 某山ショップとタイアップして4月下旬に予定していたこの山の植物観察会はコロナウィルス拡大の影響で中止してもらった。豊かな植生を紹介し、この山を守るために何をすべきか訴えたかったが、残念ながら出来なくなってしまった。楽しみにしていた人たちがたくさん居たようだが、またの機会に案内したいと思う。保護ネットも大事かもしれないが、それ以上に訪問者の意識を変えることは重要だろう。
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pre-スーパームーンのパール富士  朝霧高原  令和2年4月7日

2020年04月09日 | 月富士
 本日は14夜の月なので、地球に最も近付く満月をスーパームーンとするならば、その前日ということになる。しかし地球に近くて大きな月ということであれば、今宵の月もスーパームーンと言って良いかもしれない。1ヶ月ほど前から撮影場所を検討し、日没の数分前に富士山山頂に月が昇って来る場所の目星をつけていた。しかしその周辺には駐車場が無いので少しばかり歩くのは覚悟していた。仕事を終えて急いで現地に向かうと、撮影地付近には5~6台の車が路上駐車しており、道路沿いの撮影場所は既に先輩カメラマンたちが三脚を並べて月の出を待っており入れそうも無い。少し離れた場所の細い林道のようなところに車を止めて、林の中の藪を漕いで牧草地の縁までたどり着く。牧草地は立ち入り禁止でロープが張られているので、その縁の草むらの中に三脚を立てる。2台のカメラのセットが終わり、試し撮りをしているとすぐに月が昇って来た。西側に雲が出てしまったためにうっすらとしか焼けなかったがそれでも残照の富士山に月が現れた。


    牧草地の縁にカメラを構える。都合良くこの部分だけ木が低い。


    残照の月に昇った月


    スーパームーンの残照パール富士

 本日狙っていたのは月の大きさを強調するために富士山山頂がギリギリで入るくらいの望遠レンズを使ってのパール富士である。540㎜望遠レンズにフルサイズカメラでちょうどよい位置に納まってくれた。


    残照富士。試し撮り。


    残照の富士山に現れた月





    スーパームーンの残照パール富士


    200㎜望遠に変える。やはり少し物足りなさを感じてしまう。


    シャッタースピードを上げて暗めに撮ると金色の月になる。

 残照は思ったほど赤く染まらなかったが、ポジションが良かったこととこの季節にしては天候が良くて富士山がスッキリと姿を見せてくれ、それなりに良い撮影が出来たと思う。

 ついでにもう1ヶ所ちょっと立ち寄る。


    ふもとっぱらの月。少し霞が出てしまったがこれはこれで良い。


    ダブルスーパームーン。右上の白い筋は国際宇宙ステーションだがこの日はノーマークだったので数カット撮影したのみ。

 ふもとっぱらの月と富士山もなかなか良かった。明日はこの場所からダブルパール富士になるのだが、時間が少し遅い。おそらくは人が多くて早い時間に来ないと場所を取れない可能性もある。本日が良かったので既に気合も入っていないし・・・たぶん来ないだろう。
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金星と国際宇宙ステーション再び さらにライトアップの桜も  八代ふるさと公園  令和2年4月6日

2020年04月09日 | 渓谷
 前日よりもさらに空が晴れて澄み渡った夕暮れとなった。風も穏やかである。撮影条件は前日よりも良く、ISSは前日よりも1時間ほど早い時間に飛んでくる。本日は以前から狙っていた八代ふるさと公園の桜の木も見てみたいので、前日とは場所を変えて訪れてみる。八代ふるさと公園に到着すると、その手前で地元の祭りが開催されているのか提灯がぶら下がっており人通りが多い。さらに公園の駐車場にもそこそこに車が止まっていて、ライトアップされた桜を見に来ている人が次々にやって来ていた。人ごみの中は怖いが混雑というまでは行かないここの夜桜は比較的安全であろう。


    満開の桃の花を前景に甲府盆地の町灯りと南アルプスを見る良い見晴らし台になっている八代ふるさと公園


    左に南アルプス、右に茅ヶ岳の山塊。その向こうにはうっすらと八ケ岳。


    桃畑と大蔵経寺山のライトアップ


    想定していた時間よりも少し遅れて現れた国際宇宙ステーションISS


    月光の桃畑と南アルプス、そしてISS


    そこそこに車が止まっている駐車場


    桃源郷と金星輝く南アルプス


    ライトアップされた桜の木。赤っぽい色は赤色のライトが照らしているため。


    満開のちょうど良い時期だった。次々に訪問者がやって来るが混雑しているというほどでは無い。


    満開の夜桜と大蔵経寺山の灯


    星が廻る桜の木の空

 満開の桜と桃と月光の南アルプス、さらにISSが加わって、この季節としては出来過ぎな夜景と星空を楽しむことが出来た。
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金星・プレアデス星団と国際宇宙ステーションISS  令和2年4月5日

2020年04月09日 | 星空
 接近しているプレアデス星団と金星は前日が最も位置が近くて良かったのだが残念ながら空模様がいまひとつで山は雲に隠れてしまった。本日は夕方になっても空が晴れている。ステラナビゲータで見てみると夜8時半ごろに金星とプレアデス星団の下を国際宇宙ステーションISSが通り過ぎて行くことが分かった。時刻は夕方7時を過ぎている。富士山と一緒にISSを見るには山中湖あたりまで行かなければならないが間に合いそうも無い。ならば、南アルプスの上を飛んで行くのに良さそうな場所を探してみると中央市農業公園あたりが良さそうである。本日の植物調査・観察会の際に車を止めた場所である。


    甲府盆地の夜景と南アルプスの空に輝く金星


    八ヶ岳も見えるが霞んでいるうえに町灯りで消えてしまう。


    接近した金星とプレアデス星団


    北岳の上に輝くはずだったが、残念ながら北岳は雲に隠れてしまった。


    もう1台のカメラ。南アルプスの上には接近したプレアデス星団(スバル)と金星、さらに左側にはおうし座のV字型が輝く。


    八ヶ岳の上にはカシオペア座が輝くが、肉眼では確認できず。


    金星の下に白い筋が写っている。点滅しておらず飛行機では無い。


    南アルプスの空に輝く金星・プレアデス星団と国際宇宙ステーションISS

 月齢12の明るい月が照らした南アルプスと甲府盆地、その上に輝く金星とプレアデス星団、さらには国際宇宙ステーションが加わるという狙いだったのだが、やはり4月に入ってしまうと空気の透明度が悪くなかなか思った通りにスッキリとは写ってくれない。特に標高が低い場所から狙うのではなおさらである。やはり星空は甲府盆地を見下ろす山の上から狙うほうが綺麗である。しかしテント装備で山の上に登るほどの体力と気力が・・・厳しい。
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越野の君が咲く山を周回する  令和2年4月5日

2020年04月07日 | 山に咲く花
 前日のカイコバイモに続いて本日はコシノコバイモの探索調査である。いずれも昨年から山梨県動植物保護条例の特定指定種に指定されている稀少な植物であり、今年は個体数や生育状況、シカ食害の有無などを調査することとなった。環境や植物のためにも、またコロナウィルス拡散の懸念もあって大人数での山行は止めてメンバー5人で入山する。


    ニッコウネコノメソウのようだ。


    ミヤマエンレイソウは少し数を増やしているように見える。


    ウスバサイシンの花


    雪に埋もれていたアズマイチゲの葉が姿を現していた。昨年酷いイノシシの掘り返し被害に遭ったが葉は出してくれた。花は無し。


    ヒナスミレはほぼ見頃。


    広葉樹林の中にポツポツと咲いていたエゾアオイスミレ


    ふもとの畑の中にはノジスミレの群落


    コシノコバイモが咲いている。少し痛み出していて花がしぼみかけである。


    まだ元気な株と幼弱な葉


    幼弱な葉は結構あるが花は決して多くは無い。


    3つ並んで咲いた株


    登山道脇に咲いた株。葉が傷んでいるのは踏まれてしまったためだろう。

 花の咲いている個体数をカウントしてみると例年とあまり変わらないくらい咲いてはいるのだが、登山道沿いにあった花は斜面が崩落して無くなっていたり、あるいは踏まれたものもあるのか、あまり見当たらなくなっていた。イノシシの掘り返した跡も昨年見かけているのでその影響もあるかも知れない。いずれにせよ、決して個体数が十分とは言えない状況であることは例年と変わりない。

 稜線まで登って縦走して別ルートを下山する。


    本日の最高点。


    峠には立派な道標が立っているが、縦走してきた尾根と芦川へのルートははっきりした道が無いのでお勧めできない。


    台風で倒木だらけになった谷の中。以前はあの中に道があったのだが今では歩けない。


    かつては大きな群落があったエビネも流失して半分以下になってしまった。しかも葉が千切れている。


    これは鹿の食害だろう。どこの山域でもエビネはあまり食害に遭っていなかったがこの場所は酷い。


    イワデンダの若葉か?


    クマワラビの若葉と思われる。


    オオハナワラビ。辺縁の紅葉の色が少し抜けてきていた。


    人里まで下りてきて石垣の隙間を覗き込んでいて発見したのがこの花。


    極小の花、イヌノフグリ。


    最初に見た時は自信が無かったが、この特徴的な種を見て確信したイヌノフグリ。

 毎年の恒例となっているコシノコバイモだが、登山道脇の斜面は年々崩れて状態が悪くなっているうえにイノシシの掘り返しが加わって状況はあまり良いとは言えない。訪問者の数も増えているように思うが、何が出来るというわけでも無い。目立たない地味な花なのに、不思議なことに人が歩く登山道脇の少し固い斜面を好んで咲くのだから、少しばかり踏まれるのは仕方ないのかも知れない。今後も観察を続けたいと思う。イヌノフグリは想定していなかった大収穫だった。北杜市で師匠に案内していただき、環境を見ていたから発見できたが、もし見ていなければ見逃していただろう。

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南部町のシダをちょっとだけ訪問する  令和2年4月4日

2020年04月06日 | 渓谷
 カイコバイモの生育状況を観察し、ほぼ予定通りの午後3時半に下山してきた。日が長くなり日没まではまだ時間があるので、沢沿いに咲くシダをちょっとだけ訪問してみた。


    前回訪問時は気付かなかったが、木の幹だけでなくここでは岩壁にもアオネカズラがたくさん着生していた。


    今まで見てきたトウゲシバはほとんどホソバトウゲシバだったが、これは明らかに葉の幅が広い。


    普通のトウゲシバ。山梨県ではこちらのほうが少ない。


    タキミシダ。やはり前回見つけた2株以外には発見できず。再訪してじっくりと探す必要があるだろう。


    まだ葉を展開していないシダ。まだ鱗片だけ見て何のシダか見分けるほどの実力は持ち合わせていない。

 桜の花が満開を迎えている。きっと桜の大木に着生しているあのシダは桜の花と一緒に写真が撮れるはずだ。


    桜の大木と月


    この桜の木の幹に着生するシダ


    桜の花とマツバラン。日没時間となりもう日が当たっておらず暗かった。


    2月に訪問した時より少し大きくなったような気がする。

 南部町を含めた山梨県県南部はまだ調査されていないところがたくさんあり、花もシダも未知のものがたくさん眠っている可能性がある。探索してみたいところはたくさんあるのだが、なかなか時間がとれないことと、いよいよヤマヒルに気を使わなければならなくなってきたことが難点である。
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南部町の山に咲くカイコバイモに会いに行く  令和2年4月4日

2020年04月06日 | 山に咲く花
 当初は20人ほどの大人数での観察会になるかも知れなかったのだが、コロナウィルス感染拡大のため観察会を中止にして4人だけでの訪問となった。もうそろそろ南部町の山ではヤマヒルが出るのでその対策も怠らずに入山する。


    中腹のミツマタが満開


    このテンナンショウに出会うのもこの山域を訪れる時の楽しみのひとつ。


    スルガテンナンショウ。付属体(中にある棒状の部分)の頭が鍵型に丸くなっているのが特徴。


    スギ植林帯の林床で見かけるのは普通のマムシグサ。


   ナガバノスミレサイシンの花はポツポツと咲いている。 葉はたくさん見かけるが花は少ない。


    フイリフモトスミレと思われるが開花しているところはまだ確認していない。花芽が出ているのを確認。

 登ること3時間ほど、先頭を歩いていた私は全くヤマヒルが付いて来なかったが後ろのメンバーは何人か靴に付いてきた。持って行ったアルコールスプレーで撃退した。コロナウィルスの影響で消毒用アルコールがほとんど手に入らなくなり、今回は昨年の残りのエタノールにアルコール分40%のウオッカを半量足して持って来た。少し高くついた消毒薬であるがこれも止むを得ないだろう。


    カイコバイモが咲いている。ほぼ満開だが、一部はもう終わりかけていた。


    幼弱な葉はたくさん見かけるが、花数は昨年に比べるとずいぶん少ない。


    昨年の3分の2くらいしか咲いていないのではないだろうか。


    日当たりの良い平坦地で昼食となる。登山道の中に咲いていたカイコバイモ。


    お顔を拝見。


    幼弱な葉の群落。2~3年後に無事に咲いてくれることを期待したい。

 ネコノメソウ属の咲く谷まで行ってみる。ハナネコノメソウは満開になっていたが、こちらもやや少な目に感じた。


    谷に咲くハナネコノメソウ。大群落は見られなかった。


    ツルネコノメソウ


    イワボタン


    そしてこの谷の中にも一株だけカイコバイモが咲いていた。

 登山道は廃道になっており何ヶ所か崩落していて危険な道のため一般登山者が登って来ることはまず無い場所である。人による影響は考えにくいので今年が外れ年なのだと思いたい。あるいは台風の影響や環境の変化による流出や減少が否定できないため、今後も継続的な観察を要するであろう。また来年会いに来る必要がありそうだ。


    下山途中で見たエビネ。新芽が出ているが一部の葉は食害を受けている。この山域も鹿の食害が酷い。
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早春の林床に咲くトウゴクサバノオ  令和2年4月2日

2020年04月03日 | 山に咲く花
 2週間ほど前に訪問した時はまだ固い蕾だった花がそろそろほころんでいることと思う。3年がかりで昨年ようやく出会えたクリーム色をした小さな花に今年も会いに行ってみた。


    早春の林床に咲くユリワサビ


    まだ風が冷たく、他の草はあまり生えていない。


    ハナネコノメソウ。沢沿いに咲くものとはちょっと違って、固まってゴッソリとは咲かず控え目である。


    花の色も控え目


    別のネコノメソウ属。赤い葯と平開する萼、ニッコウネコノメソウと思われる。


    居ました、小さなクリーム色の花


    トウゴクサバノオ


    まだ蕾の花が多く、7分咲きといったところだろうか。


    生育場所での個体数はそこそこに多いが、周辺を探索してみると生育しているのはこの場所だけで範囲は狭い。


    稀少で貴重な花である。


    この場所に咲くものはクリーム色でなおさら珍しいのではないかと思う。


    トウゴクサバノオ。今年も出会えました。

 日没までまだ時間があったのでスミレを見に行ってみる。稀にヒナスミレが咲いているが他はほとんど見当たらず、まだ時期が早そうである。


    気の早いキスミレが少しだけ咲いていた。


    キスミレ。葉がまだ展開していない。


    ギザギザの葉のスミレ。花芽がまだ見えていない。


    一輪だけ花を咲かせていた。


    上品なピンク色の花。他の株よりも一足先に姿を見せてくれた。

 トウゴクサバノオはまだ咲き始めたばかりだが思っていたよりも生育範囲が狭いということが分かってきた。生育地では雑草の如くたくさん生えているがやはり絶滅危惧の花である。できるだけそっとしておいてやりたい。
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