焼酎のオンザロック

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プリオン2

2008年02月28日 12時32分52秒 | 本や映画、音楽
 異常プリオンに起因する病気は遺伝し、伝染する。しかも異常プリオンは蛋白質であって生き物ではないから当然死なない。殺菌・消毒ができないのだ。その上、元々自分の作り出した蛋白質なので免疫機能が働かない。

 異常プリオンが一番最初に発生するメカニズムは不明であるが、プリオンを取り込む、つまり食べると体内の蛋白質が異常プリオンに変化するという連鎖で伝染する。

 問題となる異常プリオン蛋白質は正常な蛋白質と同じ構成だが畳まれ方が違うだけ。そして異常な畳まれ方をしたプリオンの近くにある正常な蛋白質が間違った畳まれ方に変化してしまう。

 したがって食べなくても触れただけで伝染する可能性もある。

 異常プリオンが増加し脳内に蓄積すると狂牛病のような症状が出てくる。異常プリオンは代謝も分解もされず蓄積することで脳細胞を破壊していく。

 牛の異常プリオンが人間に伝染する確率は牛同士より低いがゼロではない。実際イギリスでもアメリカでも牛から人間に伝染し数百人単位で死んでいるようだが、普通の病気でいう潜伏期間が長いので原因を特定しにくい。

 また食肉業者も業界を守ろうとする政府も隠蔽にはしる。

 牛に狂牛病が広まったのは牛の飼料に牛の骨、つまり牛骨粉を使用して結果的に共食いをさせたからである。異常プリオンは牛から牛に飼料をとおして伝染した。

 また異常プリオンを作ってしまうことがDNAに起因するため遺伝する。このようなDNAは品種改良のように近親交配を繰り返すことで発生しやすくなるようだ。牛や羊に多いのはそのためである。

 異常プリオンは何種類もあり病状は皆違うが、突然発生し遺伝し伝染するというこれまでの病気とは全く違う特性を持っている。病気が発生すると家畜は全部処分されるが、焼却した灰からも感染する。

 最近は遺伝子操作が問題となっているが、これまで人間がやってきた品種改良というのは試行錯誤の遺伝子操作でありDNAを直接操作するより危険度が高いかもしれない。

 この本では牛などからの伝染ではなく、突発的に人間に発生し遺伝している例としてイタリアの一族の病気が紹介されている。病名は「致死性家族性不眠症」、脳内に蓄積する異常プリオンが脳を破壊し眠る機能が失われて死んでゆく病気で遺伝する。

 人肉を食べれば伝染するだろうが幸いそういう習慣がないので一族にとどまっている。しかしそもそも何故発生したかは分からない。

 とにかく分からない事は分かった。生き物はあまりに複雑である。




 
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2 コメント

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Unknown ()
2008-02-28 13:37:11
非常にこわいです…。
潜伏期間が長いのは、人間だけではなく、牛でもそうなんでしょうか?
異常プリオンを持っていて、狂牛病を発症していない牛をうっかり食べたら、伝染してしまうんでしょうか
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Unknown ()
2008-02-29 10:45:01
狂牛病の潜伏期間は2~3年、人間に発生して遺伝している「致死性家族性・・・」はだいたい50歳前後で発症、結構長いです。

 危険部位は除去、20ヶ月未満の牛だけ輸入してるから大丈夫、と言ってるけどアメリカ人の作業は杜撰で中国産冷凍食品同様信用できません。

 実は日本人は西欧人に比べ、牛から感染しやすいのだそうです。だからアメリカ牛の輸入規制に厳しかったのですが、日本人が感染し易いことは報道されませんでしたよね。

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