Sarrebourgと言う街に住んでいる。
行く途中にバカラ村があり、休憩も兼ねて立派なお店の前まで行ってみた。
日本で売られているものより安いのだろうが、それでもゼロの数が相当付いている。店の中に入る勇気はなく、ウィンドーを彼らと一緒に眺めた。
おばあちゃんの町に到着した。
駐車場に停めたら、おばあちゃんがバルコニーから手を振っている。
2年ぶりの再会である。ムッシュともちろんごあいさつのビズ(キス)だ。
息子としては90歳前の母親を自分の家に呼び寄せたいのであるが、おばあちゃんは、夫との思い出がいっぱい詰まったこのアパルトマンを離れたくないそうだ。
息子の訪問はどれだけ嬉しいことであろう。
それにしても至る所に亡くなったおじいさんの写真が飾られていた。 どのような歴史を刻まれたのか。この年齢のご夫婦にはいろいろな思いがあるのではと想像される。
おばあちゃんの名前は「Germaine」(ジュルメーヌ)だが、ゲルマンに由来しているのか?
フランス語が使えない時期もあったそうだ。
ご存知のようにアルザスは歴史の中で、いくたびもドイツになったところでもあるからだ。
アルザスと言えば、ドーデの「最後の授業」を思い出すほどであるが、このアルザス生まれのムッシュはこの話は、知らないと言う。
日本では小学校の国語の教科書にも出ていたのだが、不思議なことであった。
さて、一緒にお昼を食べることになった。
そこはおばあちゃんの行きつけのレストランだった。
店の人は勿論、たくさんの知り合いがおばあちゃんに挨拶をする。こういう光景はいいものだ。お年寄りを大切にしているようだ。
一人暮らしの高齢のおばあちゃんにとって、知り合いや隣人が大切なのは言うまでもない。
おりしも大統領選挙が目前だった。おばあちゃんが政治の話は好きであることは出会った時と同じだ。
どうやら反サルコジであるらしい。二年前、シャンブルドットのムッシュと政治議論をしていたおばあちゃんを思い出させた。
食事を終えて私たちはまたVosgesの山の彼らの家に戻るため、おばあちゃんに別れを告げた。
またバルコニーから見送ってくれた。
おばあちゃんは別の町で住んでいるが、私の中ではやはり「アルザス三人組」だ。
健康が気がかりだが、思い出とともに暮らすその姿にフランス人の深い愛を感じるのである。
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