彼とは京都のポルタ(地下街)で出会った。
ある日、そのポルタのイベント広場でイタリアの人達が、大きな旗を振り回し、放り上げたりするイタリアン・フラッグショーをしていた。
何だか地方の貴族の騎士道に関係するような古い伝統的なもので、私もそれを見物していた。
横に小柄な彼がいた。
聞くとフランス人だった。
ショーが終わり、私はその珍しさに満足して、なかなかよかったと思った。
ここにフランス人のプライドを垣間見た気がした。
その時はそれで別れたが、彼の帰国後からその時の写真を送ったり、手紙のやり取りをしていた。
半年後の春に京都に滞在していると連絡が有った。奈良に来ると言うので
待ち合わせの時間や場所を確認するためだった。
途中から奥さんが、出てこられた。
なかなか流暢な日本語なので、「大変日本語がお上手ですね」と言った。
そうしたら「あら、主人は言ってませんでしたの?私日本人です」
びっくり!!!大笑い!!!である。
こちらはてっきりフランス人と思い込んでいたので、まさか日仏カップルとは思いもしなかった。数少ないうちの日仏カップルの友人である。
奥さんは関東の出身の方で、彼は公務員、奥さんは航空会社に勤めていてともに既にリタイアされていた。
60歳でリタイアし、年金生活である。
奥さんに聞くと、このご主人は定年を待ちかねたように一人でさっさとリタイアを決め、その後一切働く気など無かったそうである。
これが普通のフランス人のサラリーマンである。
(これからは日本と同じく年金の支給開始年齢が引き上げの動きが有り、将来はそうはいかないだろうけれど。)
彼は日本が大好きで、京都に毎年春と秋に滞在する。
このため、初め小さいワンルームマンションを買った。
やがて今度は週末に遊びに行くために持っていたパリ郊外の別荘を売り、京都で友人を呼ぶために、もっと大きいマンションに買い換えたのである。
私の見るところ彼等は、とびきりのお金持ちでもない。
共働きして定年まで働き一男一女を育てリタイアし、年金とそれまでの貯金でやっている。
だから決して贅沢や、無駄なお金は使わない。ここと言うところには使う。
こだわりには使うのである。ここがフランス人らしい。
週末を過ごす郊外のセカンドハウスも堅実な彼等が、こだわって購入したのだった。
例えば彼は、京都ではほとんどお金を持たず自転車であちこち見物に行く。
小づかいは、奥さんにコントロールされている気がするが、彼の衣服や持ち物にはこだわりがみられ、ある程度自由な部分もあるらしい。
その自転車はフランスからわざわざ毎回日本に持ってくるのである。
機内持ち込み料だけで、十分日本で新しい自転車は買えるが、そこはこだわるのである。
フランスにいる時、京都のマンションはあいている。
その間誰かに貸せば借り手が有るかもしれないと奥さんは言うが、彼は絶対に貸さない。
大事な日本の自分の家を貸すのは嫌だそうだ。
この牛乳の底のようなメガネをかけたムッシュは、実にいい人なのである。
賢い日本人の奥さんとのカップルであるが、どちらがどちらを尻に引いているのか、まだ判断がつかない。
また時間を見つけて、遊びに来させて頂きますね!
コメントありがとうございます。
試行錯誤しながら始めた記録を見てくださっているとのこと、大変励みになります。
このごろは美しい景色よりも人とのふれあいが中心のりょこうになりつつあり、そんな視点からフランス人の日本人との違いなどを書きとめていこうと思います。(青字で表現)
また気がついたことなどあればお気軽にコメントください。
ゆっきーさんはフランスはお好きですか?