フランス人観察記録

日本人から見て解ってきたフランス人の考え方、行動についての覚書

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カメラなしのスケッチ旅行

2011年07月05日 | パリ11区

お父さんに出会ってから二ヶ月後、彼女はボーイフレンドとともに奈良にやってきた。

二人とも建築家の卵である。

 

残念ながら案内をする時間がなく、二人だけで奈良観光をした後、奈良駅で待ち合わせ、お父さんとここで出会ったんだと、その場所に連れて行った。

 

その後、彼らが我が家に来て一泊した。

 

写真を撮らないフランス人がいることは先述のとおりだが、この二人もそうであった。

ただ違っていたのは、写真の代わりに印象に残った風景や、人物などを精密なデッサン画として残していたのだった。

スケッチ旅行と言えばそうだが、初めて見たせいかその綿密さに言葉が見つからないほど、感動した。

この二人の日本での過ごし方や物の見方などまで想像できた。

 

彼女たちは素直でほんとにいい子たちだった。

日本食が大好きなフランス人でも、朝食だけはパン(それも甘いパン、バゲットにはジャム、クロワッサン)にコーヒーか紅茶でないとと言う人が多い。

数少ない和食の朝食を希望したそのボーイフレンドは、卵かけご飯にも挑戦し、完食したのだった。

80人を超える友人の中でこんな和朝食を問題なく食べられたのは、他に6人だけで,卵かけまでとなると、わずかに3人であることからも彼がいかに特別か分かる。

 

夜には習字のまねごとをしたり、お抹茶を点ててみたり、彼が長髪だったことから「イエス・キリストみたいだ」と言うと、大受けしてそのポーズをして笑わせてくれたのだった。

       

 

シャンソンのCDからモンマルトルのピアニストの話になり、「ぜひそのピアニストに会いに行きたい。そしてあなたの家で過ごしたことなどを話したい」と言った。

帰国したら一週間パリに滞在しその後、アミアンのお父さんを訪ね、再び住居探しにパリに戻ると言う。

 

そのことをピアニストに話すと「私も彼らに会いたい。是非来てほしい。日が判ったら知らせてください」と楽しみにしてくれていた。

 

彼らが帰国すぐに「一週間以内に行くけど、まだ日は判らない」とメールが来た。

ピアニストからは「まだ彼らから連絡はない」と言ってきた。

 

次に「アミアンに行き、再びパリに戻った時に必ず行く」と連絡があった。 

そんなメールが二人とピアニストとその後も数回やりとりがあった。

 

残念ながらその約束は果たされていない。

もちろん嘘ではなかったはずだ。その時は本当にその気だったのである。

たぶん予想以上に忙しい日々が待っていたのであろうと思う。

 

その彼らの仕事の様子はお父さんから時々いただいている。

 パリでの仕事もやはり日本人建築家のオフィスである。

 

お父さんからの「それが日本の仕事の仕方なんだろうが、あまりに忙しそうで可哀そうに思う」と諦めにも似た内容のメールに時々心が痛む。

私たち日本人は働き過ぎだろうかとフランス人を見て考えることも多い。

 

もちろん休みが少なくハードに働いているフランス人も知っているのだが、やっぱり考えてしまうのである。


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