フランス人観察記録

日本人から見て解ってきたフランス人の考え方、行動についての覚書

朱印帳の中に見る「美」への興味

2011年07月04日 | リール・アミアン

この年配のムッシュとは奈良の興福寺の境内で出会った。

 

マダムと一緒で、団体旅行ではないようだった。

興福寺の南円堂で、朱印帳を持っていて、窓口で記帳と印を押してもらおうとしていたところに私が通りかかった。

あいにく言葉が通じず、困っていたようだったが、「May I help you?」と聞くと朱印を押してほしいということだった。

単に朱印をもらいたいだけで、彼はちゃんと朱印帳を持っていたし、今考えてもなにを困っていたのか思い出せない。

 

とにかくムッシュとマダムの間に首を突っ込んで、「May I help you?」と聞き、お寺のおじさんにそう言って、朱印をしてもらうのを手伝ったことは確かだ。

 

しかしどう見てもフランス人らしいから、「Vous etes Francais? (あなたはフランス人ですか?)」と聞いたら、やっぱり「 Oui !」 ときたので、「 Bonjour!」となったわけである。

その後何を話したかも、ほとんど記憶が無い。とにかくアドレスを交換して別れた。

 

仏教徒でないフランス人が朱印帳に興味を持つのは、筆と墨で書く「漢字」と印肉で押す「印」と言う異文化の中に、絵画のような美を見ているからだと思う。

 

帰国後のやり取りで判ったことだが、彼等は夫婦ではなかった。

恋人同士である。

マダムはパリに住み、ムッシュはアミアンに住んでいた。

ムッシュの娘さんが建築学の勉強で東京の有名な建築家の所に勉強に来ていて、その機会に日本へやってきたというのだった。

 

 

やがてその娘さんが日本留学も終わりに近づき、フランスに帰る前に、同じ建築学を学びに東京に来ていたフランス人の彼氏とカップルで関西にやってくるのだが、その話は別の機会に譲る。

 

 

それにしてもフランス人が日本に勉強に来るほど、日本の建築学は進んでいるのだと実感した。

 

このお父さんは最近娘さんの設計で、自分たちの家をシャンブルドットに改造したとのことである。だから泊まりにおいでと誘われた。

アミアンはまだ行ったことがないから、いずれお邪魔することになるだろう。

 

あっそうそう大事なことを忘れていた。

このムッシュのニックネームは「朱印帳」である。

 



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