フランス人観察記録

日本人から見て解ってきたフランス人の考え方、行動についての覚書

親日家シラクのライバル

2011年06月24日 | パリ13区

私のフランス人の友人の中で、日本人から紹介されたと言うのは、かなりまれである。

そして日仏カップルも二組しか知らない。

 

その人は日本人の友人によって紹介されたムッシュである。

彼は来日40回を超える日本好きである。(シラクといい勝負?)

しかもそのほとんどは一人旅で、ホテルに泊まることはまれで、いわば私のフランス人バージョンのように日本の友人宅をはしごして過ごしている。

                                             

 

奥さんは関東圏の出身らしいが、彼は京都には必ず立ち寄る。

東京や京都大阪の町の中の移動は、もっぱら自転車である。

行ったことがない都道府県は、沖縄県だけと言うから私より日本を知っている。

 

もちろん日本語も堪能だ。

物理学を専攻していたという彼はグランゼコールの出身で、高校の物理の教師であったが、今は退職し自由の身となり、来日回数もさらに増えた。

在職中はバカロレアと言う大学入試判定試験の面接試験も担当していた。

 

しかし、この人はとにかく服装にこだわらない。こんなフランス人は珍しい。

何と上下ジャージスタイルで日本中移動する。(パリで会った時もそうだった)

まだ夏に会ったことはないが、夏はどんないでたちなのか興味がある。

 

食べるものもには全く贅沢をは言わず、リーズナブルなもので平気である。

彼によると日本食も何でも食べるそうで、「ゴキブリ以外は何でも食べます」といつも答える。

 

何が好きかと言うと、骨董だ。

いつだったか我が家に来た時は、その日骨董市で買ったばかりの火鉢や内裏雛とお

雛様、小さい欄間をバッグに入れて提げてきた。

                    

なかなかいいものばかりだった。

朝早く行ったらこんな掘り出し物を手に入れることが出来るようだ。

ただパリに帰ると、残念ながら日本人の奥さんを始め誰も関心がなく、自宅とは別の小さな物置き場を借りていてそこに収納しているとのことだった。

 

また使用済みの電車のカードや日本らしい絵や写真が載ったチラシなども集めているので、私も協力してある程度溜まったら彼にプレゼントしているのである。

 

お金をかけずに旅行する方法を彼からも学んだ。

私の旅行スタイルと違ってカメラを持たない主義の彼は、心と目にその情景をしっかりと焼き付けるかのように静かに眺めている。

 

大忙しの日本人の団体旅行では、目的地に着くとカメラでパチリ、パチリと撮り、実物はよく見ないで、さっさと行ってしまうと別の親日家のムッシュが笑って言ったことがある。 

 

その親日家のムッシュが東大寺に来て大仏殿を訪れ、大仏様を拝んだ後、中門のところまで帰ってきた時、もう一度よく見ておこうと大仏殿をゆっくり振り返り眺めていたのを覚えている。

 

写真を撮って後で眺めて楽しむのもそれはそれでいいことなのだが、写真を撮れば安心してしまい、本物を目に焼き付けるのを忘れてしまうのももったいないことだ

運動会のムービーも然りである。

せっかくの大切な子供の一瞬がファインダー越しというのは残念でならないのは経験済みである。

 

幾人か友人だけでなくフランス人の多くが、日本人のその習性に気がついているらしい。

「目でしっかり見なくてどうするんだ」という指摘は、彼らの「生き方」にさえつながっているような深いことに思える。

 

 

 

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿