阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

キルギス共和国・オトゥンバエワ大統領との会談

2010年09月07日 01時20分13秒 | 政治
 先週は中央アジアのキルギスとウズベキスタンに行っていました。

 目的はキルギスで10月に行われる国会議員選挙を成功させるためのサポートと、キルギスおよびウズベキスタンの観光開発を自然や伝統文化を活かした持続可能なものにする上での意見交換です。オトゥンバエワ大統領を始めとする多くの閣僚や政党の代表に会い、有意義な意見交換ができました。

 オトゥンバエワ大統領は、今年4月の政変で暫定大統領になり、6月27日の国民投票で大統領として承認されました。一方、6月半ばには南部オシ、ジャララバード州でウズベク系の住民との間で武力衝突が発生し、死者2千人以上ともいわれる惨事が起こっています。大統領によると「事件を起こすことによって利益を得る勢力によって計画され、実行されたテロによる破壊工作」とのこと。権力の座から引きずりおろされ、キルギスから追放された一族の支援なしにはあり得ないと、バキエフ前大統領を激しく非難しています。

 今、この国では大統領制を議院内閣制にするという世界でもあまり例のない試みが行われようとしています。ソ連からの独立後、アカエフ、バキエフ両大統領の時代には親族の登用や腐敗が進み、格差が広がりました。今年4月、国民は不満を爆発させ、清廉で外務大臣として外国にもパイプを持つ彼女は中央アジアでは初めての女性リーダーへと押し上げられました。

 彼女は次期大統領選挙には出馬せず、新しい憲法の下、より議会に権限を持たせる体制への改革を目指しています。自分自身に政治的野心があればできるものではありませんが、何よりも新しい体制にバトンタッチすることが自分の役割と確信しているようでした。

 一方、周辺国は大統領が強大な権限を持ち、時に独裁的とも思われる手法を行使して統治しています。天然ガスや石油、レアメタルなどの天然資源を上手くコントロールする必要があり、アフガニスタンやパキスタンなど政治的に不安定な国々が隣接していますから、何よりも政治の安定を重視しているようです。従ってキルギスにあまり違った価値観の国が生まれることに強い警戒を抱いていることは否定できません。

 では、日本として何ができるのか? 

 長年、民主化支援の現場で活動していた私には興味深いテーマです。

 様々な提案をしましたが、会談の席で大統領から快諾を頂いたのは「日本からの国会議員選挙チームを招待すること」でした。私は様々な紛争地域で選挙を支援する活動をしましたが、EUや米国は国会議員による選挙監視チームを派遣するのが一般的です。短期間の監視活動であっても、復興支援や経済協力、投資などに国会議員が一貫した興味を持つことで、その国との関係を構築する貴重な機会になります。

「紛争や混乱によって選挙の正当性が危ぶまれる地域の選挙監視」を日本の政治文化として定着させるべきだと思ってきたので、今回の大統領の英断には心から感謝しています。できれば私自身も参加したいのですが、どちらにしてもより多くの議員に声をかけたいと思っています。また、在日キルギス人協会会長のイバラットさんにも協力し、10月10日の議会選挙に向けた地方での選挙監視活動が機能するよう側面支援を行っていきます。人権状況や、メディアが公正に報道しているかなどもチェックしたいと考えています。
 
 大統領には25日に合流された首藤信彦衆議院とともに会いました。明るく温かいまなざしが印象的な、エネルギッシュな女性で、元衆議院議長の土井たか子さんや国際協力機構(JICA)総裁の緒方貞子さんを思わせる厳しさと潔癖さが伝わりました。日本からは新政権になって初めての国会議員の訪問とのことで、30分の予定を大幅に延長し、70分間にわたる意見交換の時間を作ってくれました。

 国会議員として、首藤議員と一緒に民主化支援をテーマに活動できたことは、かつて秘書として議員の海外出張をサポートしていた私には感慨深く、また、いつものことですが、大変勉強になりました。 

 キルギスでは、その他にもイマシェフ財務大臣、エミール観光担当、サリエフ中央選挙管理委員長に会い、選挙支援や観光開発の在り方について、それぞれ1時間~5時間以上もの会談を行いました。また、最大政党アタ・メケンのテケバエフ党首とサマコフ副党首、また総選挙での躍進が予想される品格党のクーロフ党首にヒアリングを行い、青年海外協力隊の方々が活躍されているプロジェクトサイトや、キルギス民族大学を訪問させて頂きました。

 さらに、ボクシングのライト級世界チャンピオンだったオルズベック・ナザロフ氏にも会うことができました。

 ウズベキスタンでは、観光大臣や投資促進を担当する第一次官に会った他、タシケント法科大学や日本センターで意見交換や学生との交流をさせて頂きました。両国では大使館やJICAの方々には大変お世話になりました。キルギス、そしてウズベキスタンは今後も注視し、関わっていきますので、今回の訪問の成果は折にふれて報告させて頂きます。

 オトゥンバエワ大統領と(大統領執務室にて)


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3 コメント

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情報公開のお願い (名無し)
2010-09-07 20:05:56
代表選が話題になってますが、一つ気になることがあります。
それは民主党の党員・サポーター制度です。
これに国籍の制限はありませんね?
ということは悪意を持ってこの制度を利用して
外国の意向を反映することを目的に党員やサポーターになれば
他国に影響される首相、政権ができてしまうわけです。
これは憲法などに抵触しませんか?
この外国人が代表選に投票できるという制度を改めてください。
さしあたりは国民に説明してください。
一国の首相を決まるというのに
小沢さんや仙石さんは党の問題だの知らなかっただの無知無責任極まりないです。
早急にこの制度を廃止することを要求します。
何のアクションも起こさなければますます民主党への信頼は失墜しますよ。
返信する
普天間発「超近代」への道、そして民主党代表選 (ハッピー・エコ・日本)
2010-09-08 00:48:51
阪口直人様

 以下の文書は私的なメールとして民主党国会議員のみなさんに送っています。
 阪口様にはこのコメント欄活用方法でしか送れそうにないため、こうして活用させていただきます。
 従いまして、この文書をコメント欄に掲載してくださらなくとも結構です。

 なお、平和維持活動がご専門でしたら、私の核廃絶に必要な普天間問題に関する政策提案の意味もご理解いただけるものと思います。

 問題は、政治家個人としての政治判断力・政策構想力に乏しい菅直人氏では、そうした平和国家・日本として必要な政策を引っ張っていくことができないことです。

 ご熟慮の上、代表選投票を行ってくださいますようお願いいたします。

@@@普天間発「超近代」への道、そして民主党代表選@@@

厳しい残暑が続きますが、お元気でご活躍のことと思います。
ご面識もなく失礼とは思いますが、このメールは、『普天間発「超近代」への道』と題するブログサイト(シーサーブログ http://tyoukindai.seesaa.net/)の紹介を行うべく、送らせていただいたものです。

最新記事は「普天間、メガフロート空母、そして核廃絶実現に不可欠な軍事的仲裁能力について」です。これは普天間問題解決のためのメガフロート空母建造が、将来の核廃絶・恒久平和実現に直接的にも不可欠な意味を持つことを簡略に論じたものです。
この記事を含め、上記サイト内掲載の私の普天間移設=メガフロート空母建造案をしっかりとご検討いただくなら、それが平和国家・日本にとって最も好ましい普天間問題の現実的解決案であることをご了解いただけるでしょう。

一方、このサイトでは普天間発「超近代」への道を切り開く上で不可欠な経済システムとして「自由と共同の通貨システム」について論じています。これは「イスラム金融方式に基づく補完通貨システム」を提案するものですが、その実現はそのまま現在の日本の厳しい経済・財政状況を立て直すことにつながるものです。
既に現在、消費増税頼みの経済・財政再建議論がさまざまな方面で加速しています。しかし、そうした国民活力に信を置かない財務表的思考偏重の戦略では、日本の長期国家衰退をますます深刻化させること必定(失われた30年・40年)です。
真の意味で日本の経済・財政を再建しうる道とは、国民と企業個々の経済活力に信を置く方法にしかなく、提案のような通貨システムの実現を抜きにこの危機を克服することはできません。
この通貨システムを実現させ、地方政府に移管させることのできる事業は基本的に地方へ、民間に任せることのできる事業は基本的に民間へと任せ、国民活力を大胆に引き出す方向へと経済・財政の運営戦略を変えるのです。
しからば、それは日本における資金循環を否応なく変化させ、国家と地方政府の歳入・歳出構造も自然に変化し大きく好転していくこととなるでしょう。その中で、国家が行うしかないことは国家が責任をもって行うことが日本再生への最善の道となるのです。

ところで、私の政策提案の早期実現という観点から注目すべきこととして、現在次期首相選出に直結する民主党代表選が行われています。そして、私の政策提案の主旨を踏まえて考えるとき、この件に関する私の見解は明白です。

民主党代表に選出されるべきは小沢一郎氏です。

これは、日米の外交的信頼関係を守りつつ普天間問題に関する新たな日本側政策提案を誠実に行うには、政権を替え日本の国民的選択としてそれを意志表示する他ないからです。つまりそれは、小沢一郎氏が普天間移設=メガフロート空母建造案を受け止めてくれるのかどうかにかかわらず、アメリカとの外交的信義の関係上まずは政権交代して再交渉する政治環境を整える以外ない、ということです。一度合意案に署名した政権が別の提案をして交渉したとして、外交的不信を招くだけであり、対等な交渉ができるものではないからです。

実際のところ、私は、菅直人首相と菅政権にはすでに以前より普天間移設=メガフロート空母建造案をお伝えしてご検討をお願いしてきました。ですから、ここに至って、その早期実現を期すには、私の好むと好まざるにかかわらず政権交代を求めるしかないのです。これは菅氏が翻意すればすむといった問題ではないのです。

但し、敢えて付言するなら、消費増税頼みの菅氏のその行き当りバッタリ的経済・財政運営観に危うさを感じていること、菅氏の「改革者」としてのそれなりの政治経歴とその発言内容に比してのあまりの実績の乏しさ(特にこの一年の)に危機の時代を乗り越える首相としての能力的欠如を菅氏に感じざるを得ないこと、なども菅氏を支持できない理由として挙げておかなければなりません。
菅氏と菅氏支持者には大変申し訳ありませんが、この危機の時代に、能力的に疑問の多い方に政権を続投させることは日本にとっての自殺行為と言って過言ではありません。
他方、小沢一郎氏の「政治とカネ」問題は、この危機の時代においては従来政治が遺した多くの問題の一端というべきことです。この問題はむしろ、今後の政治を如何に真の政策勝負・開かれた政治議論の場とするのか、そこにどのように資金が効率的に投入されるべきかという政治システム・制度整備の課題として代表選候補に問うことによってなされるべきでしょう。
また、よく言われる小沢氏の古い政治的体質は党務に関わる局面で発揮されてきたことですが、国政の場でも同じ手法を使うことは困難です。同時に、小沢氏ご自身が、国民に対し明確かつ説得力のある政治手法を採用することなしには実のある国政改革は不可能なことをよくご理解していることでしょう。

民主党代表選の投票権を持つ方々には、目先の利害や個人的感情を越え、これら日本の未来の選択に関わる課題と首相としての能力の厳しい評価判断を踏まえた上での投票権行使をお願いしたいと思います。
そして、代表選投票権を持たない私たち一般国民ですが、そうした投票権行使が行われるよう注視し後押ししていかなければなりません。

このメールは、意見送信可能な民主党国会議員の皆様をはじめとして、政治メディアなど可能な限り各方面の方々に送りたいと思います。

9月吉日

~安藤賢治
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キルギス議会選挙 (佐藤 圭)
2010-09-24 00:35:47
キルギス、タジキスタン、カザフスタンで4年ほど建築の仕事に関わり、現在はキルギスのビシュケクで、いかにこの国と日本とを橋渡しすることができるのかについて、日々考えている者です。

4年間現地の方を含め仕事をしてきましたが、現実や現状に即してすぐにも行動を起こす、そのエネルギーにいつも驚かされてきました。キルギスの政変についても、普段は物静かなと思える人の多いキルギス人が諸処の問題を抱えつつ、それを時にはものともせず行動する。今の日本の状況と比較して、時にうらやましく思ったものです。

彼らがいつも話しかけてくるのは、「日本はいい国だ」という肯定的なイメージです。そして日本人は友人だと思っているということ。そしてこちらがちくりと感じるのは、こうしたある種憧れのようなイメージにとどまっているまま、実際の存在を示し得ていないということです。

もちろん日本は遠く、また中央アジアに現実的に関わっていく方法を誰も見いだしていないことは事実です。日本は政府を通じて多額の援助を続けてきましたが、彼らの日本に対する肯定的なイメージを聞くたびに、「ではなぜ本気で来ない?」と暗に言われているような気持ちになってしまうわけです。実際、真剣に仕事の上で議論になった場合には、日本の不在が常に障害となりました。本気で我々が存在感を示していないことを、彼らは間違いなく感じています。

日本は現在、閉塞感の名の下に自ら内に閉じこもっていると考えています。「国際化をなし得ている」と自己肯定に陥る前に、客観的に見れば未だ十分とは言えない日本の世界における存在を「現実的に」強めていく必要がある、と考えます。そして、中国やインドなどが巨大化していく中、我々日本が存在を示していく方法とは、中央アジアの小国であるキルギスのような国に対しても誠実に、かつ現実的に我々の強みを伝えていき、彼らの発展とともに我々の存在も地道に高めていくーーということではないかと考えています。我々が今まで積み上げた良いイメージは、伊達ではありません。それを利用していないことに、歯がゆい思いをしているのは自分だけではないと思います。そして、こうした小国と見える国にも、非常に豊かな世界がある。現実的に経済観念で眺めたとしても、過去には見えなかったその国の強みが、見えてくるということはあると思います。それを見つけ出すには遠くから眺めているだけではおぼつかない。その国の土俵で、共に見る必要があるのです。

世界中で多様性を持たない単一のアイディアがすべてを押し流し、塗りつぶそうとしている中、細やかに現実に対応し、変化することに柔軟で、その時々の答えを出してきた我々日本人は、ある意味で非常に強い第三者勢力として世界に貢献し得るでしょうし、それを世界も求めています。そしてそれに応えようとすることは、我々が自ら生み出してしまった閉塞感という殻を打ち破る原動力になると思います。
個人的に幸運だと思っていますが、自分は常に海外で生きてきました。海外に出ることに慣れ、海外で生き甲斐を見いだしている自分には、自ら率先して外に出、そうした日本のまなざしを外に向けさせることが使命だと考えています。

ただし個人の力の限界も常に感じるのも事実です。とにかく今このときにも、日本の国としてのサポートが自分としても、キルギスとしても必要だと感じます。キルギスには驚くほどに資源があることが近年知られ始めていますが、すでにロシアや中国、トルコ、カナダなどがその利権を手中におさめつつあります。日本が喉から手の出るほどに欲しいレアアースやシリコンなどの鉱山が、キルギスの願いとは別のところで、キルギス自身に見返りの薄い国々に流れていく。それを黙って見ているしかないのでしょうか?

少しでも中央アジアに触れた日本の方達に、より深く中央アジアを知っていただき、その上で行動を起こしていただければ、これほど力強く感じることはありません。かなり政治に興味を持った人と話をしても、「中央アジアと日本」外相レベル交流すら「知らない。。。」現実があります。ASEANと同等の関係を築けるか。これは日本の裁量如何です。

長文失礼しました。キルギス議会選挙後の速やかな日本政府の対応を切に願い、失礼いたします。
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