阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

人生の岐路に立って、町田樹選手と黒田博樹選手の選択に思う

2014年12月30日 21時10分17秒 | スポーツ

 衆議院選挙が終わってから、連日、挨拶回りや、自転車に乗っての街頭演説活動をしています。

 必ず聞かれるのは「で、どないするんよ?」

 政治でしか達成できない改革への情熱は、全く変わることはありません。そして、年末年始返上でこのような活動をしているのは、もちろん、次を見据えてのことです!

 一方で、この機会に自分自身を徹底的に見つめ直し、『何になるのか』よりも、『何をするのか』に重きを置いて選択したいと思います。今、岐路に立っている自分が経験や専門性を活かして少しでも社会に貢献できるとすればそれは何なのかを熟考しつつ、最大4年後の選挙に向けて経済的な自立をいかに実現できるのかという大きな課題とセットで、再起への可能性を探りたいと思っています。

 キヤノンに勤めていた時、国連が史上初めて一国の暫定的な統治を行い内戦が続いたカンボジアの平和創造に寄与する壮大なオペレーションを知り、もう駆り立てられる思いで退職し、国連ボランティアとしてUNTAC(国連カンボジア暫定統治機構)に参加しました。1992年のことです。ちょうど、思いがけず社内の試験で2段階昇進し、年間100万円近く報酬が上がることになっていました。「もったいない」と多くの方に言って頂いたのですが、その時は、経済的なことなど、まぁ何とかなるだろう!と根拠はないけど確信していたので、誰にも相談することもなく、自分の進路を決断することに躊躇はありませんでした。

 今回は、政治活動を続けるにはお金がかかることがわかっているので、それを工面する方法を確立することとパッケージで考えなくてはなりません。

 それにしても、人生の岐路に立った時の決断については、なるべく時間的制約からは自由でいたいものです。浅田真央選手は現役続行の可能性を『ハーフハーフ』と言っていますが、何よりも自分の心の声に従って決めて欲しいと思います。今年1年を振り返って、何に感動したかと言われたら、最初に心に浮かぶのは浅田真央選手のオリンピックのフリー演技ですね。ファンとしては、是非、あのような感動を再び味わいたいと思っていますが…。

 さて、この年末、二人の選手の選択に、心を動かされました。

 ひとりはニューヨークヤンキースの黒田博樹投手。メジャーリーグで長年ローテーション投手として安定した成績を残し、今年の年棒は19億円だとか。来年はそれ以上の契約を提示する球団も複数あった中、『自分を育ててくれた広島カープに恩返ししたい』と、年棒4億円の広島に戻ることを選択したのです。黒田投手は、メジャーリーグに挑戦する時から、プロ野球人生の最後は広島カープで!と発言をしていました。メジャーリーガーとしての地位を確立し、ヤンキースという超人気球団の一員であることは、その選択を難しくするのではと思いましたが、まさに男気を感じさせる鮮やかな決断でしたね。阪神ファンの私としては複雑ですが、心から拍手を送りたいと思います。(それにしても阪神タイガースはどうしてFA選手にことごとく袖にされるのでしょうか?)

 そしてフィギュアスケーターの町田樹選手。彼は氷上の哲学者との異名があるようですが、表現者として彼が創り上げる世界、そして、それを伝える言葉は本当に魅力的でした。全日本選手権に向けて創り上げてきたプログラム=作品への並々ならぬ思いを語っていたので注目していましたが、自分の集大成としての演技だったのですね。

 昨年日本で行われた世界選手権では、優勝した羽生結弦選手とはわずか0.33差の銀メダル。今年も世界選手権の代表に選ばれていただけに、もう一度町田ワールドを観たいと願うのは私だけではないはずです。しかし、社会問題にもなっているスポーツ選手のセカンドキャリアをサポートする研究に打ち込むため、早稲田大学の大学院に進学するとのこと。フィギュアスケートを、スポーツマネジメントの領域で考察する研究者を目指すそうです。

 町田樹選手にしても、羽生結弦選手にしても、演技、そして言葉を通して発するメッセージに志の高さを感じます。自分の才能やキャリアを人々のため、社会のために活かしたいという意志が、彼らを強くし、表現者としても成長させるのでしょうね。

 黒田投手と町田選手、ふたりの選択は、今、岐路に立つ私にも大きな勇気を与えてくれました。




写真上:選挙事務所があった海南市の藤白神社近くは歴史的な街並みが続く地域です。