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ナビスコ杯決勝 大分トリニータ 対 清水エスパルス【2:0】地方の時代の幕開けだ!

2008年11月02日 00時38分56秒 | サッカーあれこれ
Jリーグ発足直後から数々の栄光に輝いてきた鹿島アントラーズは,「関東のチーム」ではあっても首都圏からの時間距離を勘案すれば,ある程度は「地方クラブ」と言えるかもしれない。しかし,住友金属というスポンサーを抱え,ジーコというビッグネームが果たしてきた役割を考えると,チーム発足当初からどちらにも縁がなかった真の「地方クラブ」である大分トリニータ(トリニティ)の今日の勝利は,格別に意義のあるものだったと言えよう。
そして,勝利という結果を更に上回るような今日のサッカーの内容は,潤沢な資金,熱狂的なサポーター,それに選手獲得の自由度というアドバンテージを持つ,幾つものビッグクラブを挑発し,そのいずれをも持たない地方のクラブを鼓舞するに充分なものだった。

イタリアの堅守を指していうカテナチオを,マスコットに引っかけてもじった大分の守備陣「カメナチオ」の特徴は,集中力と運動量だ。
確かに一人一人が強くて巧さもあり,個人能力の高さがそのかなりの部分を占めていることは間違いない。
しかし今日のDF上本と深谷は,ともに身長は180cmで,今日の対戦相手となったエスパルスの二人のCB青山と高木に比べると,高さでは相当のハンデがあった。
更にDFラインの中核を成す森重に至っては,身長が180cmに満たず,クレバーではあるが,中澤クラスの体幹の強靱さを持っているとはまだ言えない。

にも拘わらず,リーグ戦でダントツの最少失点を誇る守備の秘訣は,抜群の集中力とそれを最後まで切らさない肉体的及び精神的な体力にあると思う。
後半の途中で先制点を許したエスパルスが,右サイドにマルコス・パウロと市川を入れて攻撃的に来たとき,フリーで何度か市川にボールが入りながらも,早めのクロスでは高さがないはずのDF陣を崩せなかったのは,ひとえに最後まで振り切られないマークの粘着性の高さ故だった。
唯一,交替で入った矢島が瞬間的なターンの速さで,決定的なシュートを放ったシーン以外で,大分DFが振り切られて打たれたシュートはなかった。あの集中力と気迫(特に深谷は,往年の鹿島本田のような存在になりつつあるように思う)は,充分に王者に相応しいものだ。

守備と攻撃の切り替えの速さ,ブラブラしているように見えて,ある瞬間にだけ決定的な仕事をしてしまうウェズレイの職人技(追加点も見事だったが,GKのファインセーブで阻まれたミドルシュートは,ワールドクラスだった),常に数的優位を保って奪いに行くプレスの意識の共有,そして何よりチームの一体感。
岡田監督が窮地に追い込まれた場合の,リリーフ第一候補となった感のあるシャムスカ監督が作り上げた素晴らしいチームは,まさに選手と監督と「地方が元気にならなければ!」というスローガンを掲げる会社が,三位一体(=トリニティ)となった結果として,見事に戴冠した。心からの祝福を捧げたい。
(写真はナビスコのCMキャラクター成海璃子)


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