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2010年TVドラマ冬シーズンレビューNO.4:「不毛地帯」,「コード・ブルー2nd」

2010年04月01日 23時51分54秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
2010年冬シーズンのドラマは一部の鉄板ものを除き,おしなべて不調のまま終わりを告げる中,2クルーに亘って放映されたフジの「不毛地帯」も大団円を迎えた。
最終回にしてとうとう15%の大台に届いたが,今クールの平均視聴率は前期のそれを若干上回る11.93%を記録し,尻上がりに数字を伸ばしたと言っても良い結果となった。

全体を通して見ると航空機から原油まで,どのエピソードも日本の高度成長期の勢いを感じさせるものではあったが,質的には「日本経済新聞」の見出しのレヴェルを越えるダイナミックさは見出せなかった,というのが正直な感想だ。原作もの故,TVドラマ用の脚色が難しかったであろうことを差し引いても,登場人物が作り出す深刻な表情と総じて平板だった展開とは,最後まで噛み合うことはなかった。
また本来ならビジネスプロットと対をなすはずだった小雪と唐沢の恋愛エピソードも,早世した和久井映美を「遺影」という形で最後まで登場させたことが仇となったのだろうか,終盤に入っても見事なまでに盛り上がりを欠いていた。

ただ,途中から主人公の壱岐正(唐沢寿明)のビジネス上のライヴァルである東京商事の鮫島(遠藤憲一)と近畿商事副社長(岸部一徳)の,壱岐に対する過剰な敵愾心が,思いも掛けずコメディリリーフの役割を果たしたことで,唐沢の眉間の縦皺がどんどん深くなっていっても,ドラマが必要以上に重たくならなかったことは良かった。
北海道ロケだったらしいラストのシベリアのシークエンスが,かなりしょぼかったことに目を瞑れば,美術や撮影も全体的にしっかりとした仕事をしていたため,脚本にもう少し工夫と力があればと惜しまれるドラマではあった。

同様に笑わせることでペースを変えるという技を使わない直球勝負のドラマながら,「不毛地帯」を遙かに上回る平均16.63%という視聴率を稼いだのは「鉄板」ものの代表格「コード・ブルー2nd」だ。

こちらは山P主演,旬の美女3人の競演に「医療もの」という3種の神器のそろい踏み効果から,高視聴率も予想通りと言える結果となったが,全体を通して観ると治療シークエンスが持つ緊迫感に比べると主要登場人物5人のエピソードには膨らみがなく,ドラマ全体の盛り上がりは今一歩という感が強かった。

そんな中では白石(新垣結衣)と父親の関係が最もヴィヴィッドに描かれており,最終回の別れのシーンもなかなかに感動的だったと思うが,それも父親役の中原丈雄の渋い演技があったからこそ。中原は先の「不毛地帯」でも少ない登場時間ながら,重要な局面で壱岐を助ける重役として場面をさらう演技を見せていた。
謹んで,今クールの演技賞を捧げたい。やはりドラマは脇が命か。


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