子供はかまってくれない

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映画「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」:42年間の「スーハー」,お疲れさまでした

2020年01月11日 10時56分12秒 | 映画(新作レヴュー)
1977年の第1作の公開から足かけ42年間という,年数だけから言ったらギネスブックに載った「男はつらいよ」シリーズを遙かに上回る長期に亘ってマニアを楽しませてきたシリーズが完結した。
登場人物やコアなストーリーを一新した新シリーズが企画されているというニュースも耳にしたが,ルークやレイア姫,アナキンにレイ,レンといったキャラクターにまつわるエピソードや彼らの間の関係性こそが「スター・ウォーズ」というサーガそのものだという正統派ファンにとっては待ちに待った,と同時に,一抹の寂しさを覚えずにはいられないお正月となったことだろう。

物語としては、煎じ詰めてしまえば父母と子、兄妹、いとこ同士等の因縁もの。そこに「フォース」という、各家族で代々受け継がれてきた資質≒遺産が絡むが故に、微妙な曲線を描きながら進んでいく物語を楽しむ、というのがこの壮大なサーガの正しい浸り方なのだろう。
実際,遠い昔に木っ端微塵に破壊されていたように記憶していたダークスターの残骸が,海上にその姿を覗かせるシークエンスや、レイを中心としてポーやチューバッカらで構成されるチームが、敵や新たなシチュエーションに相対する姿を正面から捉えたショットは、これぞスター・ウォーズ!と大向こうから声がかかりそうな迫力に満ちている。おそらく殆どのファンは、歌舞伎の大見得を切る見せ場のような高揚感を感じて拍手を送ったのではないだろうか。42年という歳月が生んだ映像の進歩にため息をつくためだけだとしても,木戸銭は安いものかもしれない。

だが「誰が誰の子で、誰の親であっても良いので、キャラクターから想像できる行動や展開とは真逆の筋立てで驚かせる、もしくは今の世の中を撃ち抜くメタファーを物語で」と所望する非スター・ウォーズ・フリークの一映画ファンである私は、立ち往生してしまった,というのが、最終3部作の受け止めだった。この完結編に詰め込まれた,過去のエピソードを想起させ,かつ決着をつけるようなプロットのほとんどについても,じっと傍観していた,というのが正直なところだ。
本作の評価はファンの間でもまちまちのようだが、少なくともこれまでの作品に埋め込まれていた伏線の回収などにはまったく興味がない人間は、エンディングの必然性や達成感に対する評価も出来ず,今作に出演はしないけれどもただただ42年間ヘルメットの下で「スーハー」音と共に息をし続けた,私にとっての「スター・ウォーズ」の象徴であるダース・ベイダーさんに「長い間,大変ご苦労様でした」という気持ちで頭を垂れるお正月。
★★☆
(★★★★★が最高)


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