goo blog サービス終了のお知らせ 

子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2008年の10本(映画):邦画の頑張りは嬉しいけれども…

2008年12月31日 17時09分23秒 | 映画(新作レヴュー)
音楽と同様に,2008年に観た中から印象深かった映画10本を,洋画邦画を問わず,順位付も行わずに選んだものを記録しておきたい。

1 潜水服は蝶の夢を見る(ジュリアン・シュナーベル)
2 アメリカン・ギャングスター(リドリー・スコット)
3 ノーカントリー(ジョエル&イーサン・コーエン)
4 ラスト コーション(アン・リー)
5 ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(ポール・トーマス・アンダーソン)
6 歩いても 歩いても(是枝裕和)
7 ダークナイト(クリストファー・ノーラン)
8 ホット・ファズ(エドガー・ライト)
9 ヤング@ハート(スティーヴン・ウォーカー)
10 イースタン・プロミス(デヴィッド・クローネンバーグ)写真

10本以外では,傷だらけの兄弟のインドぐだぐだ旅行を,愛情を込めて描いた「ダージリン急行」(ウェス・アンダーソン),ケイト・ブランシェットの男気が光った「アイム・ノット・ゼア」(トッド・ヘインズ),終盤の転調が見事だった「ぐるりのこと」(橋口亮輔),鮮やかな幕切れと撮影技術が際立っていた「幻影師アイゼンハイム」(ニール・バーガー),日本に遂に生まれた本格的ディスカッション映画「ブタがいた教室」(前田哲),批判的な論評が多く目に付くが,私は断固支持する「ハッピー・フライト」(矢口史靖),にわかには信じられない実話を巧みな職人芸で手に汗握る犯罪映画に昇華させた「バンク・ジョブ」などが,暗い話題ばかりが飛び交った1年に彩りを与えてくれた。

振り返ると,邦画の話題作の拡大(複数館)上映が一般化し,札幌市内唯一の名画座(非封切り館)として主にミニシアター系の埋もれた佳作を上映してきた蠍座が,映画の日(毎月1日)の営業を取り止めたことに象徴されるように,ヒット作に被る(観客が集中する)傾向が益々進んだように感じられる一年だった。
東京のミニシアターで公開された作品の公開時期がどんどん後ろにずれ込むことはおろか,地方での公開が見送られる,更には3大映画祭の受賞作クラスさえもが輸入されないという,今年の音楽を振り返ったコラムに書いた文化閉鎖状況が,映画界においても確実に進行しつつあると言えるだろう。

ミニシアターの衰退に関する朝日新聞の時評に「見たい,知りたい,という欲求が減退している」という関係者の感想が載っていたが,そうした観客の動向が,リスクの少ないシリーズ作や先行公開国で実績を上げたヒット作に頼る配給会社の姿勢を助長しないよう,映画館側の工夫も必要なのではないだろうか。
例えば,記念グッズが付いているとはいえ,早朝やレイト割引よりも高い設定となっている前売り料金が,果たして映画ファンを定着させるという目的に適っているのかどうか,また劇場が備えている設備の違いによる料金格差の適否,等の課題について,観客側の意見も交えた論議が行われても良い時期なのではないかという気がする。

この不況下,東京ディズニーランドが過去最高の来場者を記録した,と今朝のニュースで報道されていたが,TDLでは得られない興奮や感動を求めて,来年もまた暗闇に浮かぶスクリーンを見上げ続けるであろう映画愛好者にとっても,映写されるフィルムに,お台場ならぬ,ダイバーシティ(多様性)が約束される年となることを願って,今年の記事の締め括りとしたい。
今年一年こんな拙い記事を読んで頂いた方々に,心から感謝いたします。
皆様にとっても,良い年となりますように。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。
ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。