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子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2012年TVドラマ冬シーズン・レビューNO.2:「ダーティー・ママ!」「ラッキーセブン」

2012年01月22日 22時34分29秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
「八日目の蝉」で,アカデミー賞よりも歴史の古いキネマ旬報主演女優賞を獲得した永作博美が次に挑んだのは,シングルマザーのやり手刑事役だった。
日本テレビの新作ドラマ「ダーティー・ママ!」は,どうしてもフジの竹内結子主演「ストロベリーナイト」と比較されるであろうことを前提に,昨今の警察ものには欠かせないはずの「リアルさ」を完全に放棄してまで,「異色の」という形容詞に拘った刑事ドラマを目指したようだが,これまでのところその狙いは完全に裏目に出ている。

見た目は儚げなのに,あえて強がって生きていくことを信条にしてはいるが,実は繊細で純粋。そんなこれまで得意にしてきた「不思議系熟女」キャラクターを越えるものを,という思惑が露骨に現れたアフロヘアーからして,既にやり過ぎ。年齢不詳も売りのひとつのはずなのに,あれでは却って年があからさまに出てしまうということに,制作陣は気付いていないのだろうか。
しかも「アンフェア」の秦建日子の原作ゆえ,捜査パートはそれなりにハードなのではと思わせておいて,人質を取った犯人に向かって腐った卵をぶつけて捕まえる,という導入部を見せられた日には,開いた口が塞がらなかった。

更に言えば,前節の「私が恋愛できない理由」でガテン系の照明屋という,どう思い込んでみてもそうは見えない役で苦労した香里奈を,永作の子供の養育係兼新米刑事として起用するというキャスティングにも大いに疑問が残る。制作サイドとしては,永作・香里奈という2枚看板で勝負に出たつもりなのだろうが,キャラクターの親和度を見る限り,このままでは共倒れだ。本当は,もうすぐ28歳という実年齢とキャリア相応の役を与えられずに,こうやって居心地の悪そうな雰囲気を引きずり続ける香里奈を観たくはないのだが。

一方,キャスティング面での話題という点で今季一番なのは,フジ「ラッキーセブン」だろう。
松潤に瑛太に仲里依紗に大泉という人気者を集めた探偵団に,「家政婦のミタ」で一世一代の大当たりを取った松嶋菜々子を揃えた顔ぶれは,一見ネームバリューと演技面での堅実さの両方を兼ね備えた盤石の布陣に見える。
更にアクションを得意とする(らしい。「GANZ」は未見なので)佐藤信介の演出とくれば,派手な展開で視聴者を眩惑して,「ミタさん」超えを狙うと関係者が鼻息を荒くしてもおかしくはないのかもしれない。

でも第1回を観た限りでは,月9枠が伝統的に受け継いできたフワフワした画面のルック,瑛太と松潤の裸とハードなアクション,笑いを取るまでは行けない大泉と仲里依紗の絡み,死を賭した調査対象者の行動と妹の思いを軸にしたシリアスな筋,そしてミタさんのオーラを日テレに置いてきてしまったような松嶋菜々子の笑顔,すべてが噛み合わないまま,ごろんと放り出されてしまっているような印象を受けた。

とりあえず主役二人のネットリとした絡みは置いておくとしても,「ハラがコレなんで」で堂々たる演技を見せた仲里依紗を,前々クールに続いて刺身のツマ扱いする設定と,「ファイト・クラブ」まで風呂敷を広げた上でのアイドルそろい踏みのアクションと軽いタッチのドラマ部分との落差を,少しも埋めようとしない脚本の弱さは致命的だ。
前期の「ミタさん」のような大化け番組は見当たらない中での16.3%という数字が,果たして及第点なのかどうかは分からないが,竹内結子の1枚看板で勝負している「ストロベリーナイト」に負けている状況が続くことは,少なくとも嵐ファンは良しとしないだろう。こっちの方こそ,番組のトーンは「ダーティ・ママ!」路線で行くべきだと思うのだが,どうなるのだろうか。


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